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エロじじぃ

朝、息苦しさで目が醒める。アリエルの濃厚なキスのせいだった。


「おはよう、サーラ」

「おはよう、アリエル」



いつもの服に着替えようとアリエルを見ると、服の上に新しく一緒に買ったドレスローブを取り出して着ているのを見て、私も初めてドレスローブというものを着てみる。



アリエルのドレスローブは薄い桃色のマーメイドラインのウェディングドレスに袖とフードが付いているようなデザインをしている。マーメイドラインとは膝までがスレンダーなラインで、膝下から人魚の尾ひれのようにスカートが広がっているデザインで、身体のラインが目立つけど、スレンダーなアリエルに似合っている。


対する私の新しいドレスローブは薄い青色のAラインのウェディングドレスに袖とフードが付いたようなデザインで、裾に向かって直線的に広がる形でアリエルのドレスローブよりも動きやすくなっている。


着替え終わって2人で並んでポーズを取ってみたりしながらちょっとふざけたりした。



そのあと朝食を済ませ、オルカさん達が泊まっている宿屋に顔を出すと、未だアルクレスタさんから連絡がないから今日も各自自由行動だと言われた。


「サーラ、今日はどうしようか?」

「うん……アリエル、今日、私行きたいところがあるの」

「いいよ。一緒に行こ」

「うううん、私1人で行きたいんだ」


じーっとアリエルが見てくる。ニコッと笑うと頷いてくれた。


「行ってくるね。たぶん、そんなに時間かからないと思うから」

「じゃあ、あたしは町をぶらついてるね」



私は1人で人気のない場所まで行くと、縮地法を使ってヒュンヒュンと移動を開始した。




迷宮の町を離れて更に縮地法で移動を続けて、ある森の中で立ち止まる。

辺りに人の気配はもちろんなく、魔物の気配もない。


これだけ離れた場所なら……


「【自然均衡の神スネイヴィルス】様、代行者サハラです。お願いを聞いてください」


誰もいない場所で独り言のように呼びかける。こんな呼び出すような事をするのは初めてのため、現れてくれるか自信はなかった。


少しするとこちらに杖をつきながら近づく老人の姿が見えてくる。


「サハラよ、儂も暇ではな……」


突然立ち止まって私をジロジロと見つめてくる。


「どうかしましたか? スネイヴィルス様」

「そ、そうか、そうであったな。今其方は女体化していたのだったな」

「はい、それでお呼びたてした理由は実は私の恋人の事なんです。どうか知恵をお貸しください」


フルフルとスネイヴィルス様が震えている。やはり忙しい中呼び立てた上に、まるで恋愛相談のような事に呼び立てたのが良くなかったのか、怒りに震えているようだった。


「お……」

「お?」

「おおおおお!」


な、何? 何事!?


「良いぞ良いぞ、おいちゃんなーんでも聞いちゃるぞ」


……。


なぜかデレたスネイヴィルス様になっていた。


「サハラ、いや、今はサーラかの。儂にどのような知恵を借りたいのじゃ? なーんでも聞いちゃるぞ」


なんか私の知っているスネイヴィルス様と違う対応に少し戸惑いながら、アリエルの事を話し何とかする方法がないか尋ねてみた。



「なるほどのぉ、無くはないぞ」

「ほ、本当ですか!」

「ただしアリエルが受け入れなければ無理じゃがな」



スネイヴィルス様の説明から、アリエルが私の従属になり、私の支配を受ける必要があるそうだ。そうする事で精神的に繋がりができるのだと言う。


「ありがとうございます!」

「良いぞ良いぞ。礼など、ましてや頬っぺたにチューしてくれなど言わんぞ」

「はい!」

「フォッ! そこは普通、チューしてくれるもんじゃろう」

「一応、今は女体化してますが私男ですよぉ? 申し訳ありませんが、線引きはしているつもりです。

それよりそんな事が出来たのなら……」


ちょっと、ノォーーーとか叫ばないでほしい。


「ん、おお、それはな、その娘の信仰が儂【自然均衡の神スネイヴィルス】で、しかも神官であるから出来るのじゃ。

最も儂では無く其方の従属となるわけじゃが、代行者でも従属化は可能じゃぞ」


つまり偶然にもアリエルが【自然均衡の神】を信仰する神官だったから可能なのだそうで、もし違う神であったのなら不可能だったという。


「つまりなるべくして出会ったという事なんですね。やったぁ」

「ぐぉ、おおおおおお、サハラよ、いや、サーラよ、そのままの姿の方が儂はいいと思うぞ」


さすがの私でも気がつく。スネイヴィルス様は……その本性はただのエロじじぃだ。


私は1人呻くスネイヴィルス様に礼を言うと縮地法を使って迷宮の町へと急いだ。





うーん、やっぱり誰かに見られるといけないし、町の外から入り込むしか無いよねぇ。


町の外から歩いていく。初めて町に来た時を思い出す。

あの時こうやって歩いているとゴロツキが囲んできたんだっけ。


「そこの可愛いおねぇちゃん、俺らと楽しい事しようぜ」


そうそう、こんな感じで。え?


気がつけば前と同じく囲まれてしまい、手を掴まれてしまう。

さすがに今回はオルカさんが現れる事はなく、私自身で解決するしかないように思われた。


「おいおい、女1人にそんな囲って恥ずかしくないのか? 男なら1人真っ向勝負で言い寄るもんだぜ?」


思いもよらない場所から声が聞こえ、ゴロツキ達全員がそちらに向いた。


「んだてメェ……ってシリクさん」

「おうよ、後でボスにチクっとくから覚悟しておくんだな。お尻ぺんぺんじゃすまないぜ」


ヒィと声を上げるとゴロツキ達は私をほっぽり出して一斉に逃げ出した。


そっか、シリクさんシーフだもんね。じゃあ、あのゴロツキは同じシーフギルドの人なんだ?



「よぉあんた怪我なかったか? 悪かったな、うちのギルドの下っ端が迷惑かけて」


あれ? 私と気がつかないまま近づいてくる。

あ、そっか。今日は新しく買ったばかりのドレスローブだったんだ。


「えーと……シリクさんありがとうございます」

「別に礼なんか良い……って、サーラじゃないか! いつもの格好と違うからわかんなかったぜ」

「新しく買ったばかりなんですよ」


クルッと一回転して見せる。


「……前言撤回」

「え?」

「やっぱり礼が欲しくなった」


そう言うが早いか素早く腰に手を回して抱き寄せると顔を近づけると、そっと囁く。


「お前が欲しい。お前、俺の物になれよ」


うひゃー。

前々からこんな事言ってたけど、シリクさん本気だったんだ。

うう、どう切り返そう……


言い寄って来る男の受難は確実に増えてきている。




本日分の更新です。


えー、ドレスローブの説明ですが、あくまでこんな感じとイメージしやすいようにウェディングドレスを例えに出しただけなので、服の上に羽織るようなもののなので実際にはあんなにピッチリしたものではありません。

そんなものは既にローブではなく、ドレスでしかないですからね。


なおこの世界の一般的なローブと言うのは割烹着のような物にフードが付いたもの、又はジェダイの騎士が羽織っているような地味なものを想像してもらえれば分かりやすいかと思います。



次回更新は明日です。

更新時間は都合により指定出来ないので申し訳ありません。



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