仲間
感想ありがとう、励みになります。
ショックを隠せずに項垂れるキャッティさんを連行するように連れてクゥさん達と別れた後、私とアリエルさんは手を繋ぎながら夜になるまで町を歩きながら過ごした。
夕飯時になって〔湖上古城亭〕に向かい、セインさん達が来ることを考慮して横並びにテーブルについて食事をしながらテトラさんを待っていると、アリエルさんがポツポツと口を開いた。
「あたし情けないよね。不安で不安で、こんな助けを求めるような事なんていつものあたしなら絶対にしないのに、今回はどうしてもあの得体の知れないあいつにまた会ったりしたらって思うと怖い」
「分かるよ、凄く怖い目にあったもんね」
俯いてアリエルさんが少しだけ震えている気がした。肩をそっと抱こうとした時、
「やぁ、サーラさん。待たせちゃったかな?」
「ぴゃっ!」
「いやセイン、絶対にタイミング悪いぜ。少しは空気読めよ」
それより分かっていたのなら止めてください。シリクさん……
顔を上げたアリエルさんは普段通りの表情に戻っていて、少し怒気を含ませながら私に変わって答える。
「待たされすぎて会話のネタが尽きていたところよ。むしろタイミング良かったわ!」
あー! これ絶対に私が肩抱こうとしたの分かってた!
だけど私の手を掴むアリエルさんの手は震えていたことから全てが全て演技ではなさそうだった。
「ほらシリク、タイミング良かったって言ってるぞ」
「セイン……いや、いい」
こっちはこっちで……まぁこういうところがセインさんの良いところでもあるのかなぁ?
セインさん達が加わわり、正面にセインさん達が座る。人数的に私の横にはごく当たり前のようにテトラさんが座ったけれど、きっと今回の話の橋渡しになったからだよね。
結論から言うとセインさん達もオルカさんの言い分がわかるそうで、安全が約束された冒険はただの旅と変わらないと。
ただだからと言って、オルカさんの言い分に付き合わされる仲間の事は考えないといけないじゃないかと思うのは私だけなのかな?
「サーラさん、死ぬかもしれないのに命を懸けて迷宮に挑む理由ってわかるかな?」
「そこに莫大な財宝があるとか、達成したら何かを得られるとかは一切無しだぜ」
「えっと……」
あれ? 言われてみればそうだよね。理由もなく危険を冒す理由……今まで私にはそういう事ってなかった。
「探究心よ、サーラ」
アリエルさんが答えた。
「そうだ。探究心が僕らをそこに導く。オルカの場合、それが人一倍強い根っからの探検家なんだと思う」
「そうなんですね。でもそれに付き合わされるアリエルさんは、アリエルはどうなの?」
「!、あたしは……オルカのパーティの仲間だから……ごめん、サーラ」
「う、ああああ、いい、いいの別に。そうだよね、仲間は大事だよ」
なんだか、振られた気分よね〜
「だからサーラ、さんは俺たちと迷宮に行こう」
「テトラお前も空気読めねぇ奴だったか!」
「シリク珍しいな。俺も同じことを思ったぞ!」
「私も同じです。コロナ」
「テトラは何かまずい事言ったのか?テクセル」
「セイン、貴方も……いえ、そういう人でしたね」
あはは……
「イッ!」
アリエルにつねられたぁ!
「あ、あの、少し考えさせて、ください」
残念そうな顔をしたセインさんとテトラさんを引きずるようにシリクさんとコロナさんが連れて出て行く。
去り際のシリクさんの投げキッスは避けておいた。
「サーラさん、良い返事を期待してますね。それでは」
最後にテクセルさんも出て行く。
「サーラ、宿屋に戻ろうか」
う、なんか凄いドス黒い妖気を感じるぅぅ
「は、はい……」
ドナドナ〜
今回は私が最初に利用した宿屋をチョイスして、スイートクラスの部屋を取った。
そして部屋に着くが早いかアリエルに怒られる。それはもうちまちまぐちぐちと延々と注意という名目で怒られまくった。
「……だから、サーラは隙がありすぎなの! 分かった!?」
「はいぃ」
うう、そんな事言われたって、私だって気をつけてるつもりなのに。
アリエルを見るとハァとため息をついたかと思うと、さっきまでと変わり、ニマッと笑顔になって私に顔を近づけてくる。
「ところでサーラ、あたしの事アリエルって呼んでくれたね」
「え? あ! ご、ごめん」
「うううん、嬉しいよ」
また口を塞がれた。もちろんキスで。
「……ぷぁ、サーラお風呂行こ」
「うん」
なんか、毒されていってる気がする。でも、私は男でアリエルは女なんだから変な関係じゃないよね! 今だけ今だけ。
湯着に着替えて2人お湯に浸かる。やっぱりここは広くて綺麗で良いなぁなんて思っていると、アリエルが何かに気がついたようでそちらを見ている。
「あ、サーラさんとアリエルさんなのれす」
「本当だ。一緒の宿屋だったんだね」
キャッティさん達も同じ宿屋だったみたいで、早速円陣を組むように集まるとあの後の話が気になっていたのか聞かれる。
「えと、じゃあアリエルさんはやっぱり行くのれすね」
「そうね、仲間だもの」
「無理をしているのではないかな?」
「なら、貴女があたしの立場なら仲間を見捨てられるのかしら? アーテミスでしたっけ?」
「うん、なるほど、確かにそれは無理な話だな」
皆んなやっぱり仲間思いなんだなぁ。
「あまり長湯するのもあれですからぁ、部屋に戻ってからにぃ……」
「うわあぁぁぁ! カトレアが沈んでいくのれすぅぅぅ!」
着替えを済ませた私達は、スイートクラスを取っていた私達の部屋に集まる事にした。
「うひゃぁ、前回といい今回といい、サーラって実は何処か良いところの娘さんとかなんじゃないの?」
「違います、違いますよ」
「キャッティそれは今はどうでもいい事なのれす」
「う……そうね、じゃあやっぱりオルカさん達と迷宮に行くのね。サーラはどうするの?」
「サーラならテトラにパーティに誘われていたわよ? ねぇサーラ」
バッとアリエルを見ると、サッと顔を背けた。
どぅえぇぇぇぇい! わ、わざと……こじれるような事をぉぉ
「サーラちゃ〜ん、ど〜いう事かそれ説明してもらえるかなぁぁ?」
笑顔でキャッティさんが聞いてきたけど、目が、目が笑ってない。
私の受難は終わらない。
本日分の更新です。
女体化の期限はあるけれど、これといったやらなければならない目標が無いと、本当に描くのが難しい。
今現在、オルカパーティ、キャッティパーティ、セインパーティだけですが、増やす予定があるのが難題でしょうか。
読んでいる人は覚えられねーよとか言われかねませんが、あまり同じパーティ内で好きな人が重なったら、そのパーティは崩壊しかねないと思うんで……
あぁアルクレスタもいたなぁ。
っと愚痴っぽいこと書いてしまった。
次回更新は明日を予定していて、またちょっぴり絡みが含まれます。
苦手な人はごめんなさい。
それでは




