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オルカと言う男

先頭をオルカさんとポラベアさんが、その後をアリエルさんに私が支えられるようにして歩いていく。


「一先ず次の部屋で一度休みましょう」

「だな」


扉の前まで来るとオルカさんがポラベアさんにドアを開けるように合図を出す。

今オルカさんは、あの翼を持った魔物が持っていた弓を持っていて、ポラベアさんも魔物が持っていた剣を握っている。


「片手剣だと心許ないが、使ってみるか! 行くぜ!」


思い切り扉を開いて中に入り込んでいく。その後を滑り込むようにしてオルカさんが弓に矢をつがえて入っていった。


「無理しなくても良いからね。デプス3ならあの2人で余裕だからさ」


アリエルさんも中に入っていった。私も中に入り込むと、既に2体のミノタウルスが倒れていて、残りは1体になっていた。


「こいつぁすごいぜ! ミノタウルスが紙のようだ」


ポラベアさんが嬉しそうに剣を振っている姿があって、オルカさんもその弓の威力に驚かされていた。


ピシューーー


後から入ったアリエルさんと私にもその威力のほどを見せるかのようにオルカさんが矢を放つ。

命中した直後ブワァっと炎が舞い上がり、ミノタウルスが悲鳴をあげる。そこへポラベアさんが剣で袈裟斬りにして見せ、ミノタウルスは絶命した。


オルカさんの弓は見た目的にも確かに凄いけど、ポラベアさんの場合あまり違いが分からないのは私だけだろうか……



ミノタウルスを一掃した後ここで睡眠を兼ねた休憩となった。

オルカさんは手に入れたばかりの弓を黙々といじり、ポラベアさんはさっきから食事に夢中だ。アリエルさんは何かスクロールのようなものを見ながら、時折私を気にしてか目配せしてくることはあるけど、黙ったまましゃべる人は誰1人いない。


誰も私の事を何も言わない。分かっている筈なのに。


「あの!」


我慢の限界だった。私は思いきって声を掛けた。

3人のが各々手を止めて、こちらに顔を向けてくる。


「何でですか? どうして何も聞いてこないんですか?」

「何のことか知らんが、言いたけりゃ勝手に言えばいいし、言いたく無いなら無理に詮索はしねぇよ」

「そういう事。誰にも、あたし達だって他人に言えない事はあるのよ」


このまま私はこの町にいても大丈夫なのかな?


うつらうつらしはじめると、アリエルさんが近寄って横並びになる。


「少し休みましょう。見張りはポラベアとオルカがするわ」

「それは……」


耳元に口を寄せてくる。


「どうせあの2人、新しいオモチャが気になって眠れないから放っておけばいいの」


そういった後アリエルさんがジーっと私を見つめたかと思うと、にゃは〜っと甘えるように私に抱きついてきた。


うひゃー。なになになんなの? まさかアリエルさんまでアーテミスさんみたいだったりするの?


ドキドキしながらしばらくどうしたものかと思っていると、しがみつかれたままアリエルさんの寝息が聞こえてきた。


た、ただのフレンドシップだよね。うんうん。


しばらくして私も眠りについた。







ものすごい視線を感じて目が醒めると、頬を赤らめながら私を見つめているアリエルさんと目が会う。


「あ、お、おおお、おはよう」

「えーと……おはよう? アリエルさん何か顔に付いてます?」

「う、うううん、寝顔見てただけよ」

「アリエル、それ趣味悪いぞ。ほれ、さっさとメシ食べたら行くぞ」


慌てるアリエルさんにエルフの携帯食を一欠片割って手渡す。


「これは?」

「エルフの携帯食です。それだけでお腹を満たせますよ」


へ〜とクッキーのようなエルフの携帯食を口にポイッと入れて食べる。


「あ、本当だ。凄いわねこれ。よくこんなもの持って……ても、おかしくないのよね」

「え?」

「あー、なんでもないわ。ほら2人が待ってるから行きましょ」



んー、なんだろう、なんかひっかかる。けどよく分からないからいいか。






デプス3を4人で進んでいく。私は私を受け入れてくれたと思う、このパーティの居心地が良かった。ただ分からないのがオルカさんだった。



デプス2前まで戻って休憩しているときの事。


「オルカの事、気になる?」

「へ? え?」

「彼にはね、何も無い。世間の価値観に左右されないで自分が興味持った事をただするだけ。それが例え悪い事であっても関係無い」


それってまるで動物と同じ。善悪が無く秩序も混沌もない。


「ならなぜ私を助けたんですか?」

「興味を持ったんでしょうね」

「そ、そ、それって……」

「残念だけど、興味と好意は別よ」


アリエルさんが何故かその部分だけ機嫌悪く言われてしまう。ああ、そうか、きっとアリエルさんはオルカさんが好きなんだ。


「残念だけど今思った事はたぶん間違ってるわ」

「え? え?」


その時休んでいた部屋の扉が開いた。


「ん? オルカか?」

「サーラ、さん! 探していたんだ。無事でよかった」


セインさん達が入ってきた。


「探していた?」


そこでセインさん達が加わり部屋の中で説明をしてくれた。


あの後キャッティさん達はすぐに地上に戻って古城の臨時ギルドに報告しに行き、すぐさま町のギルド本部に連絡がいった。

見た事もない魔物だという事と、仮にもデプス3までいけるキャッティさん達が呆気なく壊滅しかねた事もあって、すぐにギルドが捜索隊を募ったそうだ。

それをどこで聞きつけたのか領主のアルクレスタさんが捜索、発見して無事連れ戻した者に多額の報酬を提示した事で、町中の冒険者達が湧いたという。


「はぁ……」


そこまで聞いて思わずため息が出てしまう。


「あ、いや、僕たちは報酬目当てではないよ。サーラさんが心配だったから捜索に来たんだ」

「そうだぞ、サーラ、さん」


そうじゃない。そこじゃなくてアルクレスタさんの方なの。そんな事されたら私が特別な人だと町中に広めているのと一緒じゃない。


「つまり、俺たちは報酬を受け取れるんだな?」


オルカさんが口を挟んできた。



本日分の更新です。


今回の外伝、多種多様な性格の人達が今後も登場していきます。

もちろん残念ながら、彼らが本編に持ち越される事は恐らく無いのですが、1分ぽっと出誕生キャラではクゥが結構お気に入りだったりします。


「僕1分誕生なのれすか?」



まだまだ登場人物だけは無駄に増えるであろう外伝限りの登場人物達。

皆さんは誰がお気に召すのでしょう?


ただ恐ろしいのは登場しすぎて訳分からなくならないようにだけはしなくては……



時間更新は明日を予定しています。


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