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22・瓶

シャーレアは随分と早く、帰って来た。


「そんなに息を切らせてどうしたんだい?」

とても買い物に行っただけには見えない疲れ方だ。


「ちゃんとスブタァの材料を買って来たわ」

なにかあったのだろうか、聞いてみることにした。


「彼の様子はどうなの?」

しかし、遮られてしまった。


「彼ならただの軽い持病だよ薬で治らないやっかいな不治の病だそうだ…」シャーレアが気になるのはインキーノの容態らしい。

「そうなの?」

シャーレアはインキーノにたずねる。

返事をされる前に視線を送り彼が余計なことを話さないようにする。

インキーノがこくりとうなずくとシャーレアは納得したようでそれ以上追求しなかった。


「だから彼が木から落ちたこととは何ら関係ない心配しなくてもいいんだよ」


それにしてもシャーレアは、何から逃げていたんだろうか、聞きそびれてしまった。

―――――

「皇子、酢豚でも食べませんか」

クリアはいつもハーブばかりを主食にしているカラーズを心配して、肉料理をテーブルに乗せる。

出来立てのそれからはまだ湯気が出ている。


「スブタァか悪くないが」

カラーズはバジルに水をやりながら言う。

「ご心配なく、憎きパイナップルはしっかり取り除きました」

クリアは抜き取られたパイナッツーの残骸を見ながら

達成感に満ちたりた顔をしていた。


「パイナッツーを抜けとは頼んでいないぞ」

「私が嫌なだけですよ」

―――――――――――

暗闇に一筋の光差す古城、そこに一国の王が在るはずもない。

王者たる存在はとうとう部屋から一歩も出てこなくなった。


水色髪(すいしょくがみ)の青年が踵で踏みつけた場所には、裂かれ、中綿が飛び出しているシルクのクッションがある。

水色髪の青年は足元の異物を不快に思う。

そのままワタを蹴りあげ、赤の絨毯を塵で汚した。


「穏やかじゃないな」

そこに薄紫髪(あわしがみ)の男が現れ、水色髪の青年がはたと動きを止める。


「コレ、ティードラァ殿の部屋の前で拾ったぞ」

破り捨てられた一枚の紙クズを手に持っている。

薄紫髪の男はそれを床に巻く。

さらに篭から塵、空き瓶覗かせた。


「手紙は兎も角、篭の中身は見覚えがない」

水色髪の男は苛立ちを隠しきれなくなり壁を殴った。


「いつティードラァ樣が起き上がってくるかわからない」

水色髪の男は“片付けておけ”と言い、その場を去ろうとする。

「悪いな!依頼に含まれていないサービスはしない主義なんだ」

薄紫髪の男はゴミを追加し、一瞬にして姿を消した。

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