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20・ペンにインクをつけて書く

「げっ緑む…ドロウノ!!」

貴族の屋敷から帰っていると会いたくないやつを見かけた。


「げっとは失礼なやつだな!」

ドロウノの奴は相変わらず俺を年下だと、ナメた真似をしてくれる。


「攻撃バカなお前と違ってな俺は変身能力も調合も完璧なんだぞ!」

最近出来るようになった魔法で女に変身して見せた。


奴の顔を見ると自分が優れた魔法使いらしくなってきたことを言いたくなる。

「そんなに自信満々で言わなくてもだな、俺はもう魔法はほとんど使えないだろ?」

この男が言う通り、魔法ではもう勝った。


「じゃあなんでそんなに余裕なんだよ!!」

怒りでかけた魔法は解ける。


――――――

昨日はいつもと違ってフィードも参加した賑やかな食事で、楽しくて鍵穴の事などすっかり忘れていた。


私はいまそれを思い出して、ドレスの隠しポケットから綺麗な宝石のついた本を手に取り、開いて捲ってみる。

これは昨日本棚の奥の扉を開けて出てきたもの。

前の家主が忘れたと勝手に解釈して、父に確認してみたところ見覚えがないと言っていた。


“もし前の持ち主が返せと言っていたら代わりの本を渡すから”と言い

今住んでいる私が貰っても構わないのだとも言われた。


「どうしてかしら始まりと終わりのページが書かれていないわ」

本に破られた形跡があり始まりのページには物語の書き出しが足りない。

妙に気になってまず部屋を探してみる。

流石に武器のようなものがゴロゴロした

危険な部屋を勝手に見るのは気が引けて、父に相談してみると、探しておいてくれると言っていた。

しばらく探し疲れて息抜きに庭に出てみると、思いがけない人物を見かけた。


城で別れて以来ずっと会っていないインティーナらしき女性、しかし誰かと話していたので私は壁に隠れる。


―――――

『まだまだだな』


あの緑虫、相変わらず腹が立つ事を言う。

魔法使いを名乗っておきながら魔法が使えない出来損ないになったくせに―――

それにしてもどうして奴は魔法が使えなくなったんだ。


一昔前は俺に自作の魔法を嫌味たらしく自慢して来たけど、突然されなくなった。


「アイツに泡吹かせてやりたいけど…」

何かいい方法はないものかとブツブツ考えて、意識を欠いたら木から落下してしまった。


最近の行動はもっぱら調合で、まったく肉体を鍛えていなかった為、受身は取れず思いっきり左腕を強打する。

魔法は長寿とは言え不死身ではないし、痛覚はちゃんとあるから痛い

不老不死のような便利な身体になりたいものだ。


「大丈夫!?」

近くから見覚えのある少女が歩いて来るではないか。

――――――――――

「おいクリア」

ハーブをムシャリ、ムシャリと咀嚼しながら

自分が仕える皇子カラーズは私を睨んでいる。


「なんですかカラ…いえ間違えましたハーブズ皇子」

長い刻を生きたせいか、最近はどっちが正しい名だったのかわからなくなってきた。


「シャーレアはいつ来るんだお前ちゃんとシャーレアに会って伝言を伝えて来たのか?」

カラーズは私が役目を投げたと疑っている。

先程わざと名前を間違えたのにそれは無視されたようだつまらない。

しっかり彼女の父親に伝えておいたのに侵害、というか野郎ぐちぐちと気色悪い悩みを野郎に打ち明けるなと言いたいものだ。


「ちゃんと彼女の父親に伝えましたよ」

普通に考えて無視されたとしか考えられないが、シャーレア自身が来たくないから来ないのではないかと言ったら

カラーズは人間からハーブになるだろう

それも見てみたいかもしれない。

シャーレアが現れてからと言うものカラーズがハーブを食べる量が増えて私は大変迷惑しているのだ。


こうなったら早急にシャーレアと婚約をしてもらいたいが、しかし、シャーレアの周りには男の影が多い。


カラーズとシャーレアを結び着けるか、或いはシャーレアと他の男の縁を繋げ、諦めさせるか――――

そうだ、てっとり早い方法が一つある。

シャーレアに問いただし、カラーズをどう思うか答えさせればいいんだ。

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