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13・闇

彼女が俺を目当てに近づいたのではないと気づかないフリをした。

本音を言えば、なんらかの目的を持っている俺に、彼女の罪悪感を植え付けて

二重に俺に会いに来る口実になればいいと、そう考えたからだ。

俺の為に来るのでなくとも騙されていたとしても

それで構わないと思っている。

======

深い緑の帽子とコートに片耳に赤いイヤリングを着けた魔法使いの男は同じく魔法使いで黄色の帽子とコートの男を見かけた。

「コソコソと何を嗅ぎまわっているんだ」

と赤いイヤリングの魔法使いが問うと

すぐに振り向いて魔法使いの男は淡い緑色の滴形をしたイヤリングをカラりと鳴らす。


「やあ久しぶり」

黄色の帽子を脱ぎ、金髪をサラリと揺らした男がニヤリと笑う。

「お前最近会っただろう、久しぶりではない筈だぞ」

赤いイヤリングの男は少し苛立ちながら言った。

「フーン…アンタ、虫みたいな色して偉そうに言うんだなあ」

同じく機嫌を悪くした黄緑のイヤリングの魔法使いが、深緑のコートをなじる

「フッ…見た目だけなら無邪気な少年のくせに、中身は邪悪だな」

馬鹿にされて腹がたち、赤いイヤリングの魔法使いがマントと帽子を脱ぎ捨てて杖を構えた。


「すぐキレるんだなー若作りのオジサン」

黄緑のイヤリングの魔法使いは応戦しようとする。

今にも戦いが始まろうとしていたところに、別の男が現れる。

「貴様等…」

青い髪の男が冷ややかな目で二人の魔法使いを見ている。


「ゲッあの時の…」

黄緑のイヤリングをした魔法使いは帽子を深くかぶる。

「知り合いか?」

赤いイヤリングの男は逃げようとする黄緑のイヤリングの魔法使いの肩をかなり強い力で掴む。


「城の近くで争いは止めていただきたい…それでもわからないなら創造主の力を使ってでも理解させましょうか」

青い髪の男は二人を凌駕する力を秘めている。

二人の魔法使いはそれを瞬時に関知したので口答えはしなかった。

それを確認した青い髪の男は立ち去る。


「さすがに上には上がいるな」

黄緑のイヤリングの魔法使いは苦笑い。

「そうだな、しかし奴は何者だ」

赤いイヤリングの男は青い髪の男が何者なのか、判らないと訝しげに尋ねた。


「アンタこっちより少しは上のくせにそんなことも判断できないんだ?」

ニヤニヤと嫌みを込めながらも男の正体を教える。


「仕方がないだろう得意分野でないからな、そうか天界が…」

新たに知った派閥に興味が沸いたと言う。


「クリスタルの手がかりはどうだ?まあ先に手に入れるのは」


「あっそうそう自慢じゃないけどこの前城に忍び込んだとき、親しくなったかわいい子がいたんだよ」

黄緑のイヤリングの魔法使いは思い出しながら語る。


「そうかオレは馬車でもっとかわいい子と話してとても仲良くなったがな?」

赤いイヤリングの魔法使いは対抗心を燃やす。

暫く争いは続いたが決着はつかず互いに疲れて帰ったのだった。

====

茶会も終わり、カラーズとペンネスが見送りに来てくれた。

「またいつでも来てくれ私は歓迎しよう」

ペンネスがいるから一人称を変えて、皇子の体裁を整えているカラーズ。

「今度は屋敷に来てくれ」

機会があればペンネスの屋敷に行こう、彼も貴族だからクリスタルの欠片を持っているかもしれないし。

クリアは途中で抜けてまだ戻って来ていない。

何をしているのかわからない。

イレーサーは先に買えってしまったし、私はまた一人で帰宅することになった。


「また会ったな」

馬車に乗ったところで後ろから声をかけられる。

馬車に乗り合わせたのは、この前も一緒になった男性、今日は帽子がないし、コートを着ていない。

「今日も一緒でいいか?」

特に断る理由はないので了承した。


「綺麗な石を持っているな、男からの贈り物かい?」

指を差されたのはカラーズに貰ったペンダント。

「ええ」

贈り物ではないけれど貰い物ではあるので、頷いておく

細かい説明はしなくても意味は伝わるだろうと思ったから。


「そうだオレには弟がいるんだが…丁度君くらいの女の子の好みが知りたいと言っていたんだ」

つまり彼は女の子の好みが知りたいのだろうか。

「そうね…宝石は幾つになっても好きじゃないかしら」私の場合はわざわざ貰わなくても父が採って来てくれる。

だから贈られても嬉しいのかどうかは、わからない。

綺麗なものだから嫌いではないけれどそんなにほしいというわけでもないからだ。

ただこのペンダントはただの宝石とは違い、願いを叶える為の欠片だ。

しかしまだ目覚めていないから使えないもの

だから現時点では宝石と同じ干渉用の装飾品ではある。


「その割りに君はあまり宝石が好きそうに…というか嬉しそうに見えないが」

どうやら彼は気付いたらしい。

「そうね…宝石なら父に頼めば手に入るからかしら?」

あまりペンダントの詳細を悟られないようにもっともらしい理由を言ってみる。


「だがそれは恋人か何かからの贈り物だろう?普通はのろけながら喜んでも…」

やけに食い下がって聞いてくるけれど、彼は一体どうしたのだろう。


「目的地に着いたようだ、ではまた」

男は先に馬車を降りた。


私は屋敷に着いてからすぐに自室へ戻った。

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