1/38
プロローグ
逃げなければならない。 それは、誰もが背負う使命。
「叶!!そっちじゃねぇ!こっちだ!」
息が切れて苦しい。胸がちぎれているような感覚に、喉から感じる微かな鉄の味…血などどこからもでていないのにいつも感じるこれはなんだろう。って、落ち着いたら思うんだ。そう、落ち着いたら。
「お、おう!」
俺はいつも必死に“友達”の背を追いかけるだけ。
「があぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
「康!!」 「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!」 「おい、早く行くぞ!」
“奴”らに、捕まらないために。
「叶!!助けてっくれぇ!!」
すべては、生き残るために。
俺たちは、いつからか…心を殺した。