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夕影ノ空  作者: 月影彩依
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プロローグ~ラグナロク~

あくまで、プロローグです。

用語説明は後書きに書きます。

ラグナロク。それは世界の終末であり、終焉だ。

紅い光が空を覆い、そしてその空は犠牲達の流した血だまりのように紅くなり、正にそこは桃源郷ではなく地獄であることを如実に表している。九つの世界が終焉を迎え、そして、新たな世界を、いつまでも見続けていた運命の女神達ノルニルの3姉妹は、崩壊していく世界を観た。


「…もう、世界は終わる。スクルドよ、遂に死の呪いをかけるのか?」


長女であるウルズは、末っ子であるスクルドに訊ねる。スクルドは紅い空をにやにやと笑いながら、手を空へと翳した。


「うふふっ!勿論そうするわ、ウルド姉様!だって神々の運命ラグナロクが始まったのよ?!こ~んなにわくわくしない日はないわ!!…でも、私達はまた運命を紡がなきゃいけないのね?疲れちゃうわ」

「そう言ってはいけないよ?スクルド。我らが使命は、世界の命を見守ること。…たとえそれが神であろうと、例外ではないのだから。スクルド、さぁ、おやりなさい。使命を果たさなければ」


次女ヴェルダンディは、スクルドを宥めるように優しく呟いた。それを聞き、スクルドは口を開く。


「___________」


風に乗る小さな呪いは、全世界へと周り、宇宙にも響く。あまりに小さなその声が、全てに大きな波紋を生み、崩壊という闇が世界を覆い始める。歌うように優雅に可憐に呪いを呟くスクルドを見れば、きっと本当に歌でも歌っているようにしか見えないだろう、天国にいる天使のように。だがしかし、その呪いが響く下の世界は、黒々とした…天国ではなく、地獄絵図となっていた。全ての生物にとって、その呪いは天使でもなんでもない。ただの、悪魔の声。まるで、かの有名な悲鳴により全てを殺す植物『マンドレイク』のような。

真下より見える九つの内の八つの世界の生命が、消え失せていく。ただし、その中で魂となっても尚、一際輝きを放ちふわふわと浮く魂が幾つかと。

それを見たヴェルダンディは、白い両腕を広げて、その魂達抱き締めた。


「君達は毅いんだね。呪いをはね除けるとは…」

「ふむ。さすが神と言ったところか」

「むぅ!私の呪文が効かないの?!…あれ?」


スクルドは小さく首を傾げた。


「…エイル?」

「スクルドや、この魂の名を知っているのか?」

「うん、ウルド姉様。私の友人だったの。名前をエイル」

「なるほど。慈悲と援助の意を冠する女神であったか…。数々の生命の寄り道な運命から掬い上げた女神。スクルドが珍しく慈悲を与えるのも、無理も無き…か。__ほとんどがエイルと関わりがあるようだ」


光り輝く魂達を手で撫で上げながら、ヴェルダンディは微笑んだ。


「これからは、この世界で理不尽に死に逝った神々を混ぜた世界を創るのは、どうだろうか」


唐突の提案に、スクルドは無邪気に笑った。


「わぁ!素敵な考えね、ヴェル姉様!どうせ見守るならば、そっちがいいわ!!」

「転生を強制したくないな。それはこの者達の意志で決めようか」


楽しそうに話を進めていく妹達に、ウルドは一つの溜息を零す。しかしその表情は、緩みに緩んでおり、現在進行系で世界が崩壊しているときに浮かべる表情ではなかった。


「仕方のない妹達だな。そなた達がそう望むのであれば一度、創り上げてみようかのぉ」

「いいの?!ウルド姉様?」

「うむ。儂も見てみたい。一度、創るだけであるぞ?」


ス「はーいッ!」 ヴェ「分かった」


二人同時の返事が聞けたところで、ウルドはその美しい金髪を靡かせて、世界樹ユグドラシルごと艶美な光で自分達を包み込んだ。

一際輝いたその大きな光は、ぴちゃん、と何かが滴った音をどこからか立てると、光の粒子をまき散らせながら弾けた。粒子も、終焉の闇を一瞬ところどころ照らし、儚く消えていく。


世界樹ユグドラシルが喪われ、そして終焉の呪いが掛けられたこの世界で今、助かる道はないのだろう。

世界の規律は、世界樹ユグドラシルがあるからこそ保たれ、そしてその樹の世話をする女神達がいてこそ、世界樹ユグドラシルの安定_即ち世界の安定が約束される。

今その両方を喪った今、この世界より希望は絶たれた。

神々の醜き戦争が、あまりに命を奪いすぎてしまった。それにより、世界の中枢は悲しみ、見放し、それにより女神達をも見放した。見放された世界に、『支配』が戻って来ることはないのだ。


その代わりに創られる、新たな物語。

紡がれていた物語が、再び違う世界として生まれ変わり、再び紡がれ始める。

運命を表す黄金の糸が織られ、者々の過去、現在、未来。全てを見定められている。

女神達は、世界樹ユグドラシルと共に願い、祈り、創る。



今度こそ、平和となりますように。

戦がないことを、我々は願っている。

どうか、繰り返さないで。

終焉である終末ラグナロクを繰り返さないで。

我らが望むのは、平穏で安定した世界なのだから。



取り残された世界の空が、闇の断片より、名残惜しそうに赤を覗かせていたのを、誰も知る者はいなかった。



さてさてさて。完結してないくせに始めちゃいましたよこの作者(お前だお前)

はい分かってます!だって、ネタの神様が降臨してしまったんだよ!


用語説明に入りますね(この物語に於いて)


ラグナロク…世界の終焉。もしくは終末。全ての生命と世界が滅びる日。神々が滅びる意でもあるので、『神々の運命』とも言われる。


世界樹ユグドラシル…世界の中枢に存在すると言われている。世界を構成しており、世界の状態を如実に表す。この樹が枯れたとき、それはラグナロクの始まりでもある。


ウルド、ヴェルダンディ、スクルド

順に、長女、次女、三女(末っ子)。そして順に、過去、現在、未来を司っている。世界樹の世話をしており、全ての運命を見定め、あらゆる生死を見守る。なので、ある意味全ての神の頂点に立つ者達であるかもしれない。今回の世界の創造主。

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