隠し物
「よし、掃除も完璧」
今日は、理佳(彼女)が僕の家に遊びにくる。部屋をこれでもかってぐらい頑張って片付けた。片付けが終わりソファーに腰かけて理佳を待った。
「そうだ、理佳が好きな花を飾らなきゃ」
押し入れから花瓶を取り出しテーブルに置いた。花瓶を置いたと同時に、玄関のチャイムがなった。
「やっと、来たかな?」
花を花瓶に乱雑に入れると玄関に向った。玄関を開けると理佳が立っていた。
「開けるの遅いよ」
怒った顔で僕を睨みつけるが、すぐに目をそらし中に入って行った。
「部屋、片付けた?」
「そりぁ、理佳が来るから頑張って片付けたよ」
「そうなんだぁ。じゃぁ、今から理佳のお部屋チェーック」
理佳は笑顔で人指し指を立てた。
「まずは、ベットの下」
理佳は膝をついてベットの下を覗きこんだ。
「暗くて何も見えない。まぁ、異常なしかな」
「もう、部屋の詮索はやめてくれないかな?」
「だめだよ。まだ一ヶ所目だよ。もしかして、理佳にみられたくない物でも隠してるのかなぁ?」
不適な笑みで僕を見つめる。
「い、いやぁ何も無いけど、あまり…」
「親から男には注意しなさいってよく言われてたからね。ってことで、チェック再開」
「はぁ…」
僕は溜め息しかでなかった。でも、このまま押し入れをみられたら理佳はなんて言うだろう?
「次は、押し入れ」
考えをまとめきれないまま押し入れが標的にされた。
「あれぇ?顔色悪いよ。押し入れに何か入ってるのかなぁ?」
「べ、別に…」
考えがまとまっていない、というのもあり見せる事にした。
『ガララッ』
音を立てて押し入れが開いていく。全て開け終った時理佳は呆然と立っていた。
「…ね、ねぇ…これは、いったいなんなのかなぁ?」
声を震わせながら尋ねた。理佳の目の前には理佳自身が押し入れの中に入っているからだ。
「理佳は記憶ないのかなぁ?僕とずっと一緒にいるって約束したのも忘れちゃったの?」
「…記憶?何を…言ってるの?…意味わかんない」
理佳は走って玄関に向かった。僕も走って理佳を追い掛けた。
「待ってよ」
「もう、話すことは無いし話も聞きたくない!」
「あ、あのさぁ、この花、理佳の為に買ったんだ。理佳がこの花好きだって言ってたから」
理佳は靴を履き終わり僕の方を向いた。
「もう、今日からはその花大ッ嫌い!」
そう言うと玄関のノブに手をかけた。
「サヨナラ!」
「どこにも、行けないよ」
理佳は何度も玄関を開けようとするが全く開かない。
「…クククッ。まだ、気付かないのかな?まぁ、理佳が帰ってくるのは予想外だけどさ。もう、君を殺して三日目だよ。昨日も同じ時間に来て殺した時間まで一緒に遊んでいたんだよ。何度考えてもおかしいね。じゃぁ、今日は何して遊ぼうか…?」