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なんだか今日はおケツがちべたいね。

作者: 七宝
掲載日:2026/05/30

 くぐもった絶叫を聞いたことで私(タカシのイントネーション)はお目目(メ〜メ)を覚ました。


「キョピャーーーーーーーーーー!」


『デュクシ!』


『デュクシ!』


 攻撃音も同様に、こもったような音だった。


 私は寝ぼけまなこのまま家の中をウロウロウロ(ウロウロ度合いが通常の1.5倍であるさまを表す語)した。


 ゴゴゴゴゴゴゴ


 期限切れチョコビ置き用部屋の期限切れチョコビ置き場にゴが7つ落ちていた。だからなんだと言うのか(笑)


「キョンシーーーーーーーーーー!」


『デクシ!』


『デクシ!』


 閉じ込められた絶叫は続いていた。その正体が羽生さんではないかと噂されるネット将棋最強プレイヤーのような攻撃音も続いている。


「はやく見つけておくれ。ヒントは納豆」


『ペプシ!』


『ペプシ!』


 冷蔵庫ヤンっ!


 タカシもとい私(タカシと同様のイントネーション)は足で歩いて手で冷蔵庫を開けた。


 中にあったのは納豆3パックが3個(ばーちゃんが会う度に買ってくれるからどんどん溜まっていく)と、卵55個(定期的にばーちゃんが卵屋でまとめ買いで買ってくれるから全然減らない)と、味ぽん40本(好きだから常備してる)。


 そして、見知らぬ老人。


 老人は現実世界の物体に干渉しないのか、仕切り関係なしに当たり前みたいに膝を抱えて体育座りみたいな体勢で収まっていた。ってことは冷蔵室には座れてるから、仕切りだけ無視できる感じかな? ふざけんなよ。


 頭にマヨネーズの蓋乗せてるんだけど、被ってるつもりなのかな。


「チョピーーーーーーーーーーー!」


『ザコシ!』


『ザコシ!』


 老人は全く動いていない。しかも叫び声は依然としてくぐもっている。そして、それは私の腹のあたりから聞こえていた。


 製氷室を開けてみる。


「パン!!!!!!!!!!!!」


『み』


『ひ』


 とんでもない音量になった。


 中には小さな老人と、口のついたアイスの実2個があった。


「ミーンミンミンミーーーーーンィヤァーーーーーーーーーーー!!」


 アイスの実2個が叫び


『そうけん』


『びちゃ』


 小さな老人が2回喋る。


 このまま見ていると全部食べてしまいそうなので、一旦閉めるとしよう。


 冷蔵室の老人に視線を戻す。


 老人はパンツ一丁で座っており、そのパンツからはしょぼくれた伸びキンがはみ出ていた。


「おはようございます」


 とりあえず声をかける。


「どうも。今日は冷えますな」


「お前が勝手に冷えてんだろ」


 私は静かに扉を閉めた。


 1


 2


 3


 開ける。


 老人はまだいた。夢じゃなかったんだ。


「なぜ1度閉めた」


 老人はパンツに手を入れて私を睨んだ。


「これを食べなさい」


 パンツから出てきたのは、腹がパンパンに膨らんだイワシ1匹だった。


「これを食べないとワシ出てくよ」


「その前に、あなたは誰なんですか?」


「ワシはショボキンTVのショボキン。ユーチュー婆をやっとる」


「おばあさんなのにハミキンしてるんですか?」


「ま、いろいろあんねん」


「具体的にどうぞ」


「簡単に説明するとですね」


「はー」


「テーゼとアンチテーゼが合体すると、ワシになります」


「大根みたいなことですか?」


「近い」


 そう言って老人はイワシを持ってベランダへ出ていった。3階なんだけどな。


 と思ったら戻ってきた。なんだろ。


「思ったより高かった」


 この上なくそのまんまの理由だった。


 でも帰ってきてほしくなかったので、とりあえず牛乳パックを全力でぶん投げた。それは見事命中して破裂し、老人を真っ白に染め上げた。


「カルシウムだ!」


 老人が叫ぶ。


「存在が硬くなる!」


「何言ってんだ!」


 こんなキモいやつとはこれ以上一緒にいたくないので、部屋はジジイに明け渡して退去することにした。


 外に出ると、電柱が全てチンポになっていた。これは困る。さすがにヤバい。しっこしたら洪水じゃん。


 電線はどうなのかと見上げると、犬が空中で静止していた。バグ?


 ちなみに電線はなかった。


 コンビニに入ると、レジで店員が台に突っ伏して号泣していた。


「一番くじいかがっすかァァァ! 色即是空ゥゥ!」


「怖っ!」


 思わず声が出てしまった。それを聞いて店員が顔を上げた。


「ラシャセ」


 目が左右反対で、目頭が外側になっている。いいの?


「温めますか?」


「なにを?」


「地球」


「もしかして地球温暖化っておたくのせい?」


「そス」


「そカ」


 その時、スマホが鳴った。母からだった。


「もしもし」


『元気? 野菜食べてる? なんで食べてないの? 食えよコラ。ん? なんか地球温暖化のニオイすんなその店員⋯⋯って目が逆ゥゥ!?』ガチャン


 切られた。


 パリン!


 痺れを切らした店員の顔が割れた。


 次の瞬間、店員から合成音声のような音が流れた。


『キンタマっち』


 なんなんだよ。


 そう思った時、またスマホが鳴った。母からだった。


『そういう時ほど野菜なのよ』ガチャン


 なんなんだろね。


 外に出ると、世界が元に戻っていた。


「120番1つ。あとレジ袋」


 中では犬がタバコを頼んでいた。


 よかった。

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