黒の男
「…何故敵意があると分かった?殺気は抑えた筈だが」
彼らの中でもかなり殺傷能力がある天王星の嵐を簡単に相殺したその影は、余裕たっぷりな声色で聞いた。その声には恐れや恐怖などの感情はなく、純粋な疑問とほんの少しの驚きが込められていた。
「直感だよ」
天王星が緊張気味に質問に答えた。怖気が走った体と心を無視して目の前の影から目を離さないようにする彼は蛇に睨まれた蛙のような顔をしていたが、どこか覚悟を決めているようだった。
他の面々もヤバい空気を感じ取り、軽度のパニックを引き起こしていた。
「えっ!?何!?冷え冷えトリオの方で何が起こったの!?なぁ何があったんだ水星!」
「おおおお落ち着け太陽!!あああああ焦っても意味ねぇぞ!!」
「…美しくないわね。この喧騒は」
「なんで金星はそんな落ち着いてるの!?ねぇ火星僕らどうすれば良いの!?」
「知るかぁ!俺に聞くんじゃねぇよ地球!まぁとりあえずぶん殴りゃいいだろ!」
「なんでいきなり信用失うようなことをするんですか。ちゃんと考えてください。大丈夫ですよ地球さん。わたくし月が貴方を守ってみせます」
「襲撃!?よっしゃ、ようやく今まで鍛えていた体が火ぃ吹くな!ところでこれ土星が仕込んだこと?」
「いやなんで俺になるんだよ木星!流石にこれは俺でも知らないわ!マジで!ホントに!」
「…これヤバくない?ねぇ海王星、どうしよう?」
「はぁ…心底めんどくさい。君でどうにかしてよ天王星。冥王星もそう思うでしょ?」
「思うけど海王星ほどじゃ無い。こればっかりは参加しないとダメそうだし」
皆思い思いに動揺している中、影の姿がくっきり見えるようになってきた。
ショートヘアーの黒髪は、黒の長袖と同じ色の上着と一体感が出る。下にはこれまた黒い長ズボンを身に着けていて、全身真っ黒だった。しかし、指にはめた銀の指輪複数個が黒い体によく目立っていた。
「しくじったな。まぁいい。次がある」
男がそう言うと、振り返り、真っ直ぐ歩いていった。そして5歩程度進め立ち止まり、重々しい目線だけ天王星たちの方へ向けた。 最後に念を押すような、押しつぶすような、そんな圧迫感のある目と声で、気に入らないものへ憎悪をぶつける声で言った。
「そのふざけたお前らの屈託のない笑顔を捻り潰してやる」
視線をそらし、また何もなかったように男は歩みを進めた。ドス黒い怨念が強く張り付いた背中は、黒い空間に隠され小さくなっていった。彼らは、そんな男の背中が見えなくなるまで見つめるしかなかった。
彼が消えたその場所には、苦しい静寂があたりに充満していた。
すいませんサボりました。インフルが治ったあとも中々やる気がでず、ずーっとぐでぐでしてました。本当にすいません。これからはぼちぼち書いていきますので、今後ともよろしくお願いします。それではまた次の話で会いましょう。




