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薬剤師が異世界転生!  作者: なぎさセツナ
3/10

皇帝陛下と薬師ナギサ

王宮に着くと、そのまま皇帝陛下の病室に案内されるナギサ達。


(イシュタル侯爵家ひとり娘 ナギサ)

お母様、お父様。


(イシュタル侯爵家当主 クラン:女)

よく来た、ナギサ。


(イシュタル侯爵家婿養子 ゲイン:男)

お前の腕を見せてくれ。


(ナギサ・イシュタル)

はい、頑張ります。

皇帝陛下に近づいてもよろしいですか?


(マンティコ帝国宰相 グレン・アシス:男)

もちろんだ。


(ナギサ・イシュタル)

では、失礼いたします。



ナギサは皇帝陛下に近づく。


(ナギサ・イシュタル)

では、いきます。

 【診断】

なっ!



(マンティコ帝国皇帝 リリアス・マンティコ:女)

どうした、我はもう助からんだろ。


(グレン・アシス宰相)

陛下、そんな……


(リリアス・マンティコ皇帝)

言うな、自分の死期ぐらい分かるわ。

其方に言命ずる、我を介錯せよ。


(ナギサ・イシュタル)

嫌です、必ず助けてみせます。


(リリアス・マンティコ皇帝)

ぬかせ、我はもう助からんわ。


(ナギサ・イシュタル)

皇帝陛下、一つ許可を。


(リリアス・マンティコ皇帝)

なんだ?


(ナギサ・イシュタル)

陛下は病魔に全身蝕まれております。

今からする治療でダメたら、一度死んでください。

必ず蘇らせます。


(マンティコ帝国近衛騎士団長 アイリス・バロイ:女)

貴様!今なんて言った!(激怒)


(ナギサ・イシュタル)

今からやる処置で無理なら、一度死んでくださいと。


(アイリス・バロイ近衛騎士団長)

許さん!今すぐ叩き斬る!


(ナギサ・イシュタル)

それは私が失敗してからにしてください。

やれる手は2つ、最高位の回復魔法を掛ける事、それで無理なら、一旦リセットです。

蘇らせれば、全てがリセットされ、健康体で復活できます。

しかし、これは最後の手段です。


(グレン・アシス宰相)

其方ならできると。


(ナギサ・イシュタル)

できればしたくないです。

しかし、最後はやるしかないです。

失敗すれば、その時はこの場で叩き斬ってください。

どのように苦しめられても構いません。


(クラン・イシュタル)

やはりそこまで……


(ナギサ・イシュタル)

はい、はっきり言います。

内臓全て、骨、頭の中まで病魔に蝕まれています。

普通の治療じゃ助かりません。


(リリアス・マンティコ皇帝)

やってみろ、我は其方に賭けよう。


(グレン・アシス宰相)

陛下!


(リリアス・マンティコ皇帝)

此奴がそこまで命を賭けると言うのだ、やらせてみれば良い。


(ナギサ・イシュタル)

では、まず、治癒魔法を掛けます。

 【テラヒール】



温かく眩しいぐらいの光に包まれるリリアス・マンティコ皇帝。


(マンティコ帝国筆頭魔道士 クレイ・サクト:女)

嘘だ!


(アイリス・バロイ近衛騎士団長)

どうした?


(クレイ・サクト筆頭魔道士)

"テラヒール"なんて、神話の世界の魔法だ。

神級の治癒魔法で、存在するか分からない魔法だ。


(クラン・イシュタル)

どうだ?ナギサ。


(ナギサ・イシュタル)

ダメだ、骨の奥まで病んでいる。

それと、これは呪いだ、呪術を用いたヤツが居る!


(アイリス・バロイ近衛騎士団長)

なんだと!


(リリアス・マンティコ皇帝)

呪術か、大体想像がつく。

そこにマクイ辺境伯が居るな。

我に呪術を掛けたのは、其方の手の者だろ。


(マクイ辺境伯:男)

なっ!何をおっしゃいます、陛下(焦)


(リリアス・マンティコ皇帝)

貴様は我を疎ましく思っていた。

隣国と蜜月の関係の貴様は、裏取り引きをしたのだろ?

次期皇帝にでもしてやると言われたか。


(マクイ辺境伯)

まさかそんな事は。

何かの間違いです。

大体、この女の力が本物かどうか分からないではないですか!


(リリアス・マンティコ皇帝)

論点のすり替えだな。

なら、我が助かれば、貴様は全てを喋るか?


(マクイ辺境伯)

うっ……


(アイリス・バロイ近衛騎士団長)

何故、答えられない。

違うなら、堂々としていれば良いだろう。


(マクイ辺境伯)

はっ、ははっ、最終手段は蘇り?出来るものならやってみろ!


(アイリス・バロイ近衛騎士団長)

語るに落ちたな。

捕えろ!


(近衛騎士達)

はっ!


(アイリス・バロイ近衛騎士団長)

連れて行け!


(ナギサ・イシュタル)

いや待ってください。

あなたは蘇りは無理と言いましたね?


(マクイ辺境伯)

当たり前だ!できるものならやってみろ!


(ナギサ・イシュタル)

分かりました、陛下、よろしいでしょうか?


(リリアス・マンティコ皇帝)

あゝ、やれ。


(グレン・アシス宰相)

陛下、そんな無茶な!


(ナギサ・イシュタル)

騎士団長、剣を構えてください。


(アイリス・バロイ近衛騎士団長)

あ、あゝ……



アイリスは剣を構える。


(ナギサ・イシュタル)

陛下、ではいきます。

一度死んでください。


 

そう言うと、ナギサは皇帝の胸を刺した。

リリアス・マンティコ皇帝が息を引き取る。


(ナギサ・イシュタル)

 【診断】

確実に亡くなりました。

確認してください。


(グレン・アシス宰相)

あ、あゝ、分かった。


(アイリス・バロイ近衛騎士団長)

なら、僭越ながら、私が……

・・・死んでいる、崩御なされた。


(ナギサ・イシュタル)

では、いきます。

 【リボーン】



温かい光に包まれ、光り輝くリリアス・マンティコ皇帝。

そして、光がおさまると。


(ナギサ・イシュタル)

体力回復です。

 【エナジーチャージ】



しばらくすると、変化が起こる。


(リリアス・マンティコ皇帝)

うっ、うーん……我は助かったのか?


(マクイ辺境伯)

うっ、嘘だ!信じられん!化け物だ!


(ナギサ・イシュタル)

陛下、最終確認をいたします。

 【診断】

無事、終わりました。


(アイリス・バロイ近衛騎士団長)

陛下!


(リリアス・マンティコ皇帝)

呼吸が楽だ、頭も軽い。

前より身体の調子が良いぞ。


(ナギサ・イシュタル)

リセットしました。

長年の疲労や古傷も治っているはずです。


(リリアス・マンティコ皇帝)

そうか。



リリアス・マンティコ皇帝は、古傷だった膝や身体の傷があった場所を見る。


(リリアス・マンティコ皇帝)

傷跡が無い。

足も軽い。

其方の言う通り、治っているな。


(マクイ辺境伯)

嘘だ!そんな事、あるわけがない!!


(リリアス・マンティコ皇帝)

ほぅ、貴様は我が嘘を言っていると言うのだな(冷たい目)


(マクイ辺境伯)

いえ、そういう訳では……


(リリアス・マンティコ皇帝)

では、どういう訳だ?(蔑む目)


(マクイ辺境伯)

いえ、その……(冷汗)


(アイリス・バロイ近衛騎士団長)

連れて行け!全て吐かせろ!!


(近衛騎士達)

はっ!



静まり返る皇帝の病室。


(リリアス・マンティコ皇帝)

どうした?我は生き返ったぞ。


(グレン・アシス宰相)

はっ、はい!陛下、おめでとうございます!


(クラン・イシュタル)

よくやった、ナギサ。

しかし、いつの間にそんな事が……


(ナギサ・イシュタル)

えっ?いや、その、あはは(汗)


(クレイ・サクト筆頭魔道士)

ぼ、冒涜だ、神への冒涜だ!


(アイリス・バロイ近衛騎士団長)

なんだと?なら、お前は皇帝陛下が死ねば良かったと?(感情の消えた目)


(クレイ・サクト筆頭魔道士)

いえ、決してそういう訳では。

しかし、これは神への挑戦!人が踏み入れてはいけない神域です。

これは禁忌かと。


(リリアス・マンティコ皇帝)

なら、このナギサは神だな。

神なら神域に居てもおかしくない。


(クレイ・サクト筆頭魔道士)

そ、それは、そうですが……いや、神??


(ナギサ・イシュタル)

皇帝陛下、私は帝国の一貴族です。


(リリアス・マンティコ皇帝)

吐かせ。

これだけの奇跡を平然とやっておいて、一貴族な訳なかろう。


(ナギサ・イシュタル)

えっ?いや、必死だったんで(汗)


(リリアス・マンティコ皇帝)

其方は今から我の右腕よ、王宮に部屋を用意する。


(ナギサ・イシュタル)

えっ?いや、その、薬局がありますので……(焦)


(リリアス・マンティコ皇帝)

噂は聞いておる。

なら、王宮から通えば良かろう。

アイリス、護衛を頼んだぞ。


(アイリス・バロイ近衛騎士団長)

はっ!陛下!


(ナギサ・イシュタル)

勘弁してください(涙目)



しかし、そう簡単にいく筈がない。

王宮の皇帝陛下の自室の隣りにナギサの部屋を用意される。

また、公務の間には、お忍びで薬局にやってくるなど、なかなか離してくれないリリアス・マンティコ皇帝。


(リリアス・マンティコ皇帝)

ナギサ、来たぞ!


(ナギサ・イシュタル)

へ、へい……


(リリアス・マンティコ皇帝)

マンテ子爵だろ?忘れるとは酷いな(ニヤッ)


(ナギサ・イシュタル)

マンテ子爵……いや、無理がありますって。


(リリアス・マンティコ皇帝)

じゃあ、男爵か騎士爵にするか。


(ナギサ・イシュタル)

なんでです。

せめて我が家より上の爵位でお願いします(涙目)


(リリアス・マンティコ皇帝)

そんな事をしたら、王族とバレてしまうじゃないか、ナギサ伯爵。


(ナギサ・イシュタル)

・・・は?


(リリアス・マンティコ皇帝)

其方の家は侯爵だろう。

同じでも良かったのだが、それでは其方が家に気を使うだろう。

家督を継げば侯爵だしな。

という事で、手始めに伯爵の爵位を与える。


(ナギサ・イシュタル)

いいです、要りません、社交界は勘弁してください(涙目)


(リリアス・マンティコ皇帝)

何故だ?社交界は我と一緒に行くぞ。

その辺の貴族が手を出せるはずが無かろう。


(ナギサ・イシュタル)

もう泣きます。

普通に薬師、させてください(半泣)


(リリアス・マンティコ皇帝)

無理だな。

我の件は隣国までも知られている。

それなりの爵位があり、我らの一族と深い関係でなければ刺客が来る。

我とて其方を手放す気は更々無い。


(ナギサ・イシュタル)

さいですか……(涙)


(リリアス・マンティコ皇帝)

これも其方の運命だ。


(ナギサ・イシュタル)

はい……(遠い目)



もはや諦めの境地に至ったナギサ。

そうなると、是非弟子にとナギサの元へ押しかけてくる。

それをアリスが選抜する。

ある日……


(リリアス・マンティコ皇帝)

ナギサ。


(ナギサ・イシュタル)

はい、マンテ子爵。


(リリアス・マンティコ皇帝)

其方を帝国薬師大学の講師に推薦しといた。


(ナギサ・イシュタル)

無茶です!私の知識は平均以下です。

助手のアリスに頼ったりします。

それに、いざとなれば、魔法のゴリ押しです。

まだ、魔法学校の方が現実的です。


(リリアス・マンティコ皇帝)

なら、魔法大学だ、変更しておく。


(ナギサ・イシュタル)

ううっ……

魔法陣よりイメージで発動してますが、大丈夫ですか?


(リリアス・マンティコ皇帝)

なんと、イメージでか!

是非、我にも教えてくれ、新しい方法だ。


(ナギサ・イシュタル)

あぅ……はい……(涙目)



なんか自爆したナギサ。

その後、皇帝陛下の魔法の家庭教師をすることになったナギサ。

その内容は、筆頭魔道士も真っ青な無茶苦茶な内容だった。

魔法理論、魔法陣は完全無視、感覚とイメージのみで操っている。


(リリアス・マンティコ皇帝)

これは面白いな、面倒でややこしい魔法理論なんて、なんの役にも立たん(笑)

これだと操るのが楽しいぞ。



流石皇帝陛下、飲み込みが早い。

そのせいか、今まで以上の威力で発動させることができているとか。

騎士団の魔法訓練場の的を打ち砕いたのには、周りもどん引きした。

そうなると、魔道士は目の色を変えてやってくる。

自分もレベルアップしたいと。

それに皇帝陛下が了承したから、もはや薬局どころではなくなった。

近衛騎士団や騎士団の中位魔道士以上になると、流石センスがある。

軽く威力が倍になった。

訓練道具を作る工房から苦情が来たので、皇帝陛下の許可を得て補強した。


(ナギサ・イシュタル)

皇帝陛下、薬局が……


(リリアス・マンティコ皇帝)

なんだ、行ってないのか?


(ナギサ・イシュタル)

行く時間がありません(涙目)


(リリアス・マンティコ皇帝)

そうか。

宰相に言って、スケジュールを管理させよう。


(ナギサ・イシュタル)

お願いします。



宰相のスケジュール管理で、やっと薬局に行けるようになったナギサだった。


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