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消失点のその先に  作者: 白雪 凛


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EP 2-4 充編

「お父さんどうしてお母さんと結婚したの?」

充は早く帰宅した父に疑問に思ったことを聞いた。充と血が繋がっていないのだ。子供のいる親を引き取るなんて苦労するのではないだろうか。

「そうだなぁ。惚れた弱みかな。明奈が亡くなってから少し時間も空いていたし、明奈との子、充の兄の面倒も見て欲しかったから」

「そういえばお兄ちゃんのことは誰が面倒を見ていたの?」

父さんが兄の面倒を見ていたとは思えない。

「祖父母だよ。まぁ保育園に預けていたし、実際に面倒を見てもらっていた時間は短いはずだけどね」

「じゃあ玲ちゃんと結婚してからは、玲ちゃんが面倒を見ていたの?」

父は少し黙った。

「充病気持って生まれたから、あんまり面倒見てないと思う。相変わらず祖父母が見ててくれることが多かったんじゃないかな」

「父さんって、子供に興味ないよね?僕と血の繋がりがないからかとも思ったけど、兄さんのこともあまり知らないみたいだよね」

父は頭を下げた。

「いや……。その点に関しては今更謝っても仕方ないんだけど、すまないな」

「まぁ兄さんも他人に興味ないみたいだから、完全に父さんの血を継いでるよ」

父は苦笑いをした。



「ねぇ父さん、僕にも見つけられるかな」

「何をだ」

父は話が変わったことに少し驚いたようだ。

「時間を忘れられる何かを」

「充はそれを見つけたいのか」

充は頷いた。

「うん。だって父さんも兄さんもとても充実してそうなんだもん」

「そうか。でも俺みたいに何かを犠牲にするかもしれないぞ」

「うーんそこはあまり見習いたくはないかな。僕はもし家族ができても家族との時間をしっかり取りたい」

「まぁお前に取ってそれが大事ならそうするといい」

「うん」

「やりたいことがあればどんどん挑戦するといい。お金なら払えるからな」

しかし父はすぐに言葉を付け足した。

「ゲームとか遊び以外ならな」

「わかったよ」

僕は父さんのことはあまり知らなかったが、こうして話をしてみると案外悪い人ではないのだと思う。

「父さんのこともっと冷たい人だと思ってた」

父は頷いた。

「でもこうして父さんと話せて、イメージが変わったというか。不器用な人なんだなって。これからはもう少し僕たち家族との時間を大切にしてくれてもいいんじゃない」

最後に少しだけ意地悪なことを追加した。

「あぁ」

父は暖かい眼差しでこちらを見た。



いよいよ。夏休みの突入する。

充は前半は祖父母のもとで料理を教えてもらう予定だ。祖父も退院しているようだが、まだ完治はしていないので、駅からはバスか徒歩で家に向かわなければならない。

学校から出された課題や少しの衣服をカバンに詰め込み、忘れ物がないか確認した。

兄さんは少し前に学校へ行った。父は仕事から帰って来ていないらしい。母は昨日は遅くに帰って来たようでまだ寝ていた。

母に手紙を書き残すと、充は電車に乗って祖父母の元へと向かった。


出勤の時間からズレた電車は人が少なくて、充は久しぶりに座りながら流れゆく景色を見送った。

毎日こんな電車だったら通学も楽だったのになと心の中で思った。

祖父母の家は変わりなく、暖かい色に包まれていた。

「おじいちゃん大丈夫」

松葉杖をつく祖父の姿に充は少し悲しくなった。

「おっどうしたくらい顔をして、ちょっと運が悪かっただけさ。歳をとるとちょっとの怪我でも骨が折れちゃうんだもんなー。参っちゃうよ」

「ほんとね。私もまさか骨折するとは思わなかったわ。充くん寂しい思いをさせてごめんね」

祖母が約束を果たせなかったことを謝罪した。

「ううんいいよ。2人とも元気そうで良かった」



約2週間祖母に野菜の切り方、お米の炊き方、お味噌汁の作り方などを教えてもった。

しかし充はもう少しレパートリーを増やしたくて、細山と三好を家に呼んだ。

「うわぁでっけぇ家だな」

細山は開口一番そういった。三好はまだ新しい家にどこか落ち着かない様子だ。

「そんなことはいいから、早くご飯つくろうよ」

充はカレーを作るために細山を呼んだのだ。普段から料理をしている細山は慣れた様子で野菜を切った。充はそれに倣って野菜を切った。

三好は皮を剥いたり、炒めたり細山の指示に従って動いていた。

カレーを煮込み始めたその時、ちょうど炊飯器からお米の炊ける音が聞こえた。

あとはカレーが煮えるのを待つだけだ、スパイスの匂いが鼻腔をくすぐる。ちょうど昼時だったので細山もお腹が空いたらしくグゥグゥとお腹がなっている。


「いただきまーす」

自分たちで作ったカレーは、まぁ悪くはなかった。市販のカレールウを使っているので味はほぼ決まっているのだが、苦労をして作ったカレーは特別な気がした。

「隠し味でチョコレート入れるのもいいし、ソースとかあと、梅昆布茶試してみたいんだよな」

細山は料理に関する知識も豊富なようだ。

「さ、それじゃあご飯も食べ終わったし、例の進捗報告しようぜ」

使った鍋や食器を片付けると、充の部屋へ行き夏休みの宿題の進捗報告会が開かれた。

最下位が今度はカフェのドリンクを奢ることになっている。

充は祖父母の家にいる間に、だいぶ終わらせていたのだが、なぜか細山はすでに全部を終えていた。

「嘘なんで?」

三好が驚愕していた。いつも細山は宿題を忘れることが多かったし、課題も手をつけ始めるのがギリギリだからだ。

「かーちゃんに、山の日までに宿題終わらせなかったら、旅行置いて行くからって言われてさ」

「それなら終わってるのも当然か明後日だもんな期限」

「おうよ。死ぬ気で終わらせたぜ」

「仕方ない。充最下位争いはどちらかになりそうだね」

三好も終わっていないということだ。

「僕はちょうど半分くらいかな?」

充が告げると、三好もちょうど同じくらいだった。


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