新たなクエスト8
「インクルと云うチームは無かったよ」
「アイちゃんは?」
「ん、寝てる」
「職業選択って普通10才からだろ?」
「だから正規で無い所で授かったのかもな」
職業は一度授かると、ほぼ変えられない。レベルが一定数越えると転職出来るらしいが、生涯で替わった者は、極僅かしかいない。
自分達も適正選択を増やす為に、10才まで色々やらされた。年齢が高いとレベルが上がりが遅くなるので、10代で授かるが一般的だ。
「黒髪に黒瞳なんて、珍しいもんね。案外、特殊職業になれるって知ってて騙したんじゃない?」
「許せんな!」
親の能力を引き継ぐ可能性はあるが、絶対では無い。判定前に分かる事は無いに等しい。
職業判定は、教戒が一手に引き受けている。授かる場も教戒施設だ。
「しかし、俺達は明日には学院に戻らないと」
「大丈夫、うちくる」
「侯爵が迎え入れるって言ってくれたのか?」
「ん、後で来る」
「ズルいぞ、シア!俺が連れて行きたかった」
「いや、ルイじゃ無理だろ」
「なんでだよアル」
「あの娘の負担がかかりすぎる」
「ちゃんと可愛がるぞ……っと、そうだ!シア。見ろよこれ!!」
青い液体の入った瓶の中に、淡く光る花が一輪入っていた。
「凄いね」
「昨日と違って魔物が出たんだ!けど、全部やっつけた!!」
「素材になる物はなかったから討伐証明だけな」
「塔なんて無かったぞ?」
「……ああ、探せば遺跡っぽい洞窟くらいはあるかも知れないけどな」
時に、魔物は痕跡さえ残さず人を喰らう。ただ、戦闘の跡も無く、魔物も居なかった事から、同行者は逃げおおせたかもしれない。
「そうだ!姉上から押し付けられた服も持ってきた」
ルティアスは、右手に瓶、左手に収納鞄を自慢気に見せた。
「全部黄色なんだぜ、凄い束縛感だよな」
「要らなきゃ捨てて良いって言ってたよ」
「ん、聞くね」
唐突にガルシアルの目の前に封筒が現れた。中の手紙を確認してから、そのままハイドマークに渡した。
「いいのか?」
「……ん」
「なんだ?あの娘の事か?」
「………………あぁ、ラックが戻ってくる」
「久々だな。今回どれくらい居られるって?」
「侯爵と一緒に来るって、アイの事も確認したいそうだ」
「あー、精霊女王の事か?滅多に会ってくんないだろ?すんなり通ったもんな」
「ああ、能力を授けてる事もあるんだろうな」
家の事情で休学中の友人の復学。明日は一緒に登校する事になりそうだ。
「ラックと一緒に、あの教師の悔しがる顔が見れるんだ!楽しみだな」
「浮かれすぎてビン割るなよ。なかなか見つからないだからな、浮遊水花」
「綺麗」
「だよな?なんかの病気の特効薬が作れるだっけ?」
浮遊水花は薬の材料であるのだが、見た目の美しさから鑑賞用に欲しがる者も多く居るという。発見しにくく、極短い間しか咲かない為、貴重植物として有名だ。
「なんにせよ、見つかって良かったよ」




