新たなクエスト3
「エルサドル?」
私の言葉に周りが慌ただしく動きだしていた。人が出たり入ったりと忙しそうだ。
あれ?紙が浮いてる??知らない魔法だ。どんな魔法だろうと茫然と見ていたら、頭を撫でられ抱え上げられてしまった。
「え?ちょっと!?」
有無も言わさずに、がっちり抱えられながら馬車に乗せられた………………動けない。
馬車に揺られ数時間、辺りはすでに真っ暗になっていた。ドタキャンごめんアル!!……ってか何処ここ??
着いた場所は大きなお屋敷だった。高い天井、大理石のようなツルツルの広い廊下、外はもう日も暮れて真っ暗なのに、室内は照明らしき物が無いのに明るかった。
抱え上げられたまま、随分奥にある森らしきレリーフが施された木の扉の部屋に連れて来られた。
室内なのにまるでレリーフと同じような部屋。根が床から突きだしており、その上に座らせられた。そのまま私だけを残し扉が閉められた。
え?嘘?閉じ込められたの!?暫くすると、室内中央に光が集結し、大きくなって弾けた。その場所に、師匠より年上に見える年配の女性のエルフが、枝に座っていた。
「里外に居れるんだ」
私の言葉にエルフの女性は驚いた顔をした。
「あ、アイと言います。初めまして」
「……アイ?」
良かった。言葉通じている。
「はい。私昔、隠れ里で精霊術を教わった事があったんです。師匠ロアウランに、里から出れないから一緒に行け無いって言われた事があるんです。だから……」
「里に?」
「はい、教わりに行きました」
エルフの女性の顔が真っ青になっていった。
「あの、大丈夫ですか?具合……」
「アイ?」
「はい、アイです」
「我を存知?」
「いえ、初対面です」
女性は少し考えてから。
「我エルサドル、残存しエルフ」
残存!?相変わらずエルフの言葉は解りにくい。
「えっと、私同じ名前のエルフに会った事があります。私より見た目少し年上な感じで、師匠の所に来てた私に会いに来てました」
え?なんで沈黙??顔色はさらに悪くなってませんか?
「………………人と異なるか」
「……へ?私??人ですよ?それより大丈夫ですか?」
呆けた顔してる。いったい何が聞きたいんだ?
「幾つ?」
「え?ああ、年ですか?6才です」
考えこんでしまった。まぁ顔色は元に戻ったから大丈夫だったんだろう…………それならば。
「あの、聞きたい事あります」
空間収納から冒険者カードを出して見せた。
「仲間達と連絡を取りたいのです。」
エルサドルは、それを見ながら、ため息をついた。
「久しいな」
は?……いきなり何言い出すの?
「初対面です!」
「300年、アイは異なるか」
うわぁー自分本意だよ。この、エルフ。そこはエルルと同じだな。