表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
77/133

第一章 楼桑からの使者 4-5

 


 今回の任務が、彼にとっての表舞台へのデビューとなるはずである。

 才をひけらかせすぎる感のあるブラーディンに対する、一種のお目付け役と言ったところだろう。


〝さあてクルーガーよ、この癖の強いブラーディンをどのように捌き、面目を潰さずに役目をまっとうさせるか。お前の腕を試すよい機会だぞ〟


 今日も宰相府の自分の机で山積する難事を、ひとつひとつ誠実にこなしているであろう、聡明でありながらも控えめな表情の青年の顔を思い浮かべ、ガリフォンはほくそ笑んだ。


 ならば最初からボルスとクルーガーを使者に立てればよいと思うかもしれぬが、物事というのはそう簡単なもではない。


 使者にはそれなりの名前が必要である。


 サイレン軍総帥と商都シャザーンの領主で財務卿という肩書きが、世間ではものを言う。

 表の顔は派手であるに越したことはない、一将軍と下級実務官では通る話しも通らないのだ。


 副官の役目は、困難な実務を裏で調整し推し進める。

 それが出来るものにしか務まらない。

 ましてや正使がダリウスとブラーディンでは尚更であった。


 わずかの間にここまでの判断を下すガリフォンの手腕からして、やはり並みの為政者とは違うことがわかる。

 だからこそダリウスやブラーディンという癖のある者を、従わせることができるのであろう。


「最後の難問は殿ですな。ご苦労を掛けるが宰相殿、ここは貴殿にお願いするよりあるまい」

 息苦しそうに巨体を椅子に沈めたビンスウェルが、申し訳なさそうな顔をガリフォンへ向けた。


「分かっておる、なんとかやってみよう」

「殿は娘のエメラルダを信用しておられるようすじゃ、それにブルースとも心安くしておられる。この二人からも説得させてみればよかろう。グリッチェランドに発つ前に、二人には儂から話しておこう。後は頼むぞガリフォン」

「お前こそ短気を起こさず、首尾よくことを果たせよ」


 国の政と武の両輪たる二人は、互いのこれからの任を気遣いしかと目を合わせた。



読んで下さった方皆様に感謝致します。

ありがとうございます。

応援、ブックマークよろしくお願いします。

ご意見・ご感想・批判お待ちしております。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ