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第一章 楼桑からの使者 3-15



「まあそうことを荒立ててくれるなユーディ。ネールもトリキュスも、なにもそのような意味で申した訳ではなかろう。機嫌をなおしてくれぬか、な、儂の頼みじゃ」

 あわててガリフォンが、両者の間に入ってなだめに掛かった。


「いやガリフォンよ、ユーディの怒りはもっともじゃ。ラフレシアさまは、いまでもわれらの主君も同然のお方、主君に対する侮辱は万死に値する。グラームスの手を借りるまでもない、なんならばこ奴らごときこの場で儂が斬ってしまっても構わぬぞ。どうするユーディよ、わ主の返事一つぞ」

 そう言ってダリウスが、刀の柄に手を掛ける。


「!」


 ユーディが青ざめている二人を睨み据えたまま、沈黙の時間が過ぎた。


「・・・・・」


 睨まれている二人も黙り込んだままである。

 そこで再び、ダリウスがユーディに返答を促した。


「さあどうするユーディ。どうしても腹に据えかねるとあらば、儂がこの二人の首を刎ねてくれよう。ラフレシアさまは儂にとっても大事な姪だ、その姪を侮られてはこのダリウスの面目も立たぬでな。こ奴らの首双つを持って娘のもとへゆき、ことのあらましを説明するがよい。その時にお主の心優しい娘が、どのような顔をするかは想像に難くないがな。それともここは二人の過ちを許し、詫びを受け入れるか。さあ、どちらかに決めろ。あそこまで言うた限りは、そうせねばこの場は収まるまいぞ」



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