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序章 14

 


 実際に戦闘を行っているのは楼桑兵だが、公都トールン近郊や諸侯が治める主要な領地、そしてサイレン国境線には夥しい数のヴァビロン軍が展開しており、一分の隙もない布陣が敷かれていた。


 地方領主が保有する騎士団や、国境を守護するサイレン兵たちもその圧倒的な軍勢に包囲され、ほんの一部(特に善戦しているのは公国東部を治める領主・ノインシュタイン侯爵率いる『殉国騎士団』である。このノインシュタインだけは連合軍に最後まで屈服しないどころか、逆に反撃し公都奪回を目指しトールン間近にまで進軍した)で奮戦を見せている騎士団はあるらしいが、ほとんどが降伏なり壊滅なりという状態であった。


 以前のサイレン公国には、いま以上の武力があった。

 各領主が保有する騎士団の数も規模も大きく、その軍容は壮観なものであったといわれている。

 サイレン家の縁戚に当たる大領主も健在で、その騎士団は無敵とまで謳われていた。

 

 しかしサイレン史上最大の内乱『トールン大乱』と呼ばれる、国運さえ傾くほどの騒動を経て、その力は徐々に衰退していった。

 それまでサイレン三家と呼ばれた直系大公家も、事実上現在のリム大公家のみとなっている。

(詳細は外伝『眞説・トールン大乱』による)


 されどその当時の戦力があったとしても、大国ヴァビロンの軍勢に対抗し得るほどのものではなかった。


 なんと言っても肝心要の〝公都トールンと星光宮〟が陥落してしまっていては、もはや話しにもならない状況である。


 前述の『殉国騎士団』の忠誠心と屈強さは、後々までサイレン国民から賞賛される事となる。


 一方それに匹敵する武力を擁する『バロウズ騎士団』は、その後サイレンの民の怨嗟を一身に背負うこととなった。


〝湖水伯〟とまで謳われたバロウズ伯爵が治めるグリッチェランドが、楼桑軍の侵入ルートとして無抵抗で敵を通過させてしまったのである。

 バロウズ伯本人は知らぬことであったのだが、彼の重臣がヴァビロンに懐柔され裏切っていたのである。


 これ以降バロウズ家は〝売国伯〟と罵られ蔑まれることとなる。


 不幸なことにこのバロウズ家はその当主の確固たる忠誠心と愛国心とは裏腹に、常に悲劇に見舞われる運命にあった。

 誠実で純粋であるが故に、結果として国を裏切らざるを得ない宿命を背負い、悲劇の中に滅び去るさだめの家系であった。

(それはバロウズ家最後の当主となる「湖水公」「バロウズ宰相」「湖の騎士」等と称された〝クリストファー・アール=バロウズ公爵〟の悲恋の物語として後々語られるであろう)


読んで下さった方皆様に感謝致します。

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