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第二章 時を越えた邂逅と別離 3-2

 


 グルカは訝しがりながらもペランの言い付けを守り、近衛騎士団の直属の上司に辞表を提出した。

 それは先の大公ブルガの、国葬翌日のことであった。


 ペランとの関係もあり騎士団内で微妙な存在となっていた上に、ブルガという後ろ盾をなくしたグルカの辞意は、その場で驚くほどあっさりと認められた。

 彼はその足で星光宮内のノリス長官の許へ行き、紹介状とともに偽ることなくペランの言葉を伝えた。


 ノリスはしばらく考えた後、明日からでもトールン行政府の役人として出仕することを言い渡した。

 持ち前の誠実さと人当たりの良さ、それ以上の勤勉さで彼は行政府内でめきめきと頭角を現わし、要職を歴任し現在の統括警護総監の地位にまで昇進したのであった。


 このペランの先見とグルカの決断は、全くの正鵠を得た行動だった。

 ブルガ亡き後近衛騎士団内で、内輪揉めとも言える粛正劇が勃発したのだ。


 それまでブルガに積極的に心を寄せていた将官級の者が失脚し、騎士団から追放された。

 ペランたちの改革に賛同し、ともに行動していた若き下士官も同様で、最悪な場合は獄に繋がれる者さえあった。


 あのままグルカが職に留まっていれば、どんな処遇が待っていたのか想像も出来ない。

 万が一の場合、獄中での病死として処分されていた可能性さえあっただろう。



 すでに行政府の役人となっていたグルカにも、近衛騎士団の屯所に出頭するように召喚状が届いた。

 グルカの相談を受けたノリス長官は、それを無視するように言った。


 業を煮やした騎士団の将官が行政府にまで乗り込んで、グルカの身柄を引き渡すように談判したが、ノリスは頑としてその要求を突っぱねた。


「グルカはトールン行政府所属の人間だ、わたしの了解なくしてどこにも身柄は渡さん。どうしてもというのなら、このノリスにも覚悟がある」

 そう一喝し、門前払いを喰らわせた。


 身体を張ってノリスは、ペランから預かった若者を庇ったのである。


 そうしている間に星光宮内の不穏な空気も収まり、有耶無耶なままグルカの件もたち消えて行った。



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