表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
106/133

第二章 時を越えた邂逅と別離 1-11



「よいかペラン、大公であるブルガさまでさえ宮廷で安穏と暮らすのは、そう容易いことではないのだ。ましてやご自分の思う政を進めるには、幾多の障害が立ち塞がっている。その最大の相手がネルバ方爵家を筆頭とするサイレン五名家と、代々宮廷で権力の座を独占している世襲の大貴族たちだ。ましてやお前などは注意に注意を重ね、自らの力だけで身を護らねばならんのだぞ。政争とは命さえ削らねば勝ち残れぬ、剣や槍を使わぬ真剣勝負だ」


「まさか、ブルがさまはサイレンの大公なのだぞ。どのようなことでも出来るのではないのか? なのに好きに政さえ出来ぬと言うのか」

「君主ただひとりで国を動かすことなど出来ぬ。家臣の心を掴みその忠誠を勝ち取らねば、自分の思う国造りも出来ぬのだ。それはブルガさまとて同じ、だから無理をしてでも義弟であるシュタイナーさまがトールンに留まっておられるのだ。ブルガさまの防波堤となるためにな」

 コルデスが諭すように言う。


「そのシュタイナーさまもあと一年すれば、領地であるノインシュタインにお戻りにならねばならん。フェリキアとの停戦期限が終了となるからな」

 ダリウスが吐き捨てるように言う。


「その後はわれらが、ブルガさまをお支えしてゆかねばならん。家督を継ぐのはまだ先になろうが、宮廷内で正式な官職に就き地位を築かねば。無役の部屋住みでは、なんのお役にもたてんからな」

「俺もそのお役の端にでも加わりたい。ブルガさまを少しでもお扶けしたい」

 勢い込んでペランが身を乗り出す。

 そんなことくらい分かっていると言いたげに、コルデスが先を続けた。


「そんなお前の気持ちがわかっているから、こうして聞かせたくもないことを言っておるのだ。今のままでは、確実にお前は星光宮から排除されてしまう。お前がブルガ様の身の回りの世話をするだけの、単なる下男程度であれば誰も気にはせんだろうがな」


〝下男〟そう言われペランはブルガから乞われ、星光宮への宮務めを決めた時のことを思い出していた。

 考えてみれば自分自身、近頃初心を忘れていたことを考えさせられる。


〝そうさ、俺は家来なのだ。ブルガさまの身の回りの世話をする下働きとして、汚れ事や力仕事をするために出仕するのだと思っていた。直臣に取り立てられたなど、微塵も思ってはいなかった。いまさらそこに戻ったところで、一向になんの不都合があるだろう。あのお方のお側に仕え、役に立てればそれでいいではないか〟

 心の中で、そう言う思いが浮かんでくる。



読んで下さった方皆様に感謝致します。

ありがとうございます。

応援、ブックマークよろしくお願いします。

ご意見・ご感想・批判お待ちしております。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ