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第二章 時を越えた邂逅と別離 1-9



「あのノインシュタインという場所はサイレンが建国されてからこの方、なん百年と東方の異教徒どもと戦をしてきた。親の屍を子が踏み越え、その孫がそれをも馬蹄にかけて戦い護ってきたという土地柄だ。無為に敵に領土を譲るものがあれば、たとえ主といえどその命に従う必要はない。代々そう教えられてきているそうだ」

 如何にもダリウスの言葉は真実であった。


 ノインシュタイン家が太守として侯爵位とともに、東方国境の宏大なこの地に封じられてこの方、この一帯を家名と同じノインシュタイン地方と呼ぶようになる。


 初代領主であるヴァルデリオン・ガーデンス=ノインシュタインは、異教徒との戦により受けた傷が悪化し死の床についた際こう言い残した。


〝取るに足らぬ小領主であったわたしを、この地の太守として信じ託して下された大公殿下に報いるため、たとえ寸土であろうと敵に領土を分け与えてはならん。戦の敗けにより土地を失うのは仕方がない、命を賭して取り戻せばよい。されどどのような理由があれ、割譲などと言う言葉を口にする者がおれば、それは領主でもノインシュタイン家の末裔でもない。家臣の誰ひとりであろうと命に従うな。わが子孫に非ず、そのような不忠者は斬り捨てるべし。トールンが陥落しサイレン中が敵の軍門に下ろうと、ノインシュタインとその騎士団だけは戦を止めてはならん。最後の一兵となるまで戦い続けよ。国と大公に報いるために戦で死するは、わがノインシュタインの誉れと思え。さらに申し送る、贅に任せ甲冑を飾り立てることも許さん、色は黒のみ。わが騎士どもは黒装束のみにて華やかさを望むな。そのようなものは戦の邪魔、敵を屠るに毛先ほどの足しにもならん。よいか命を顧みず国に尽くし殉ぜよ、このひとつのみがわが遺言だと知れ。けっして子々孫々忘れるでない〟


 そう言って息を引き取ったと言われている。


 これがサイレンでは有名な『ヴァルデリオン殉国候遺訓』と言われている、伝説の言葉である。


 これ以降、彼の騎士団を『殉国騎士団』と呼ぶようになる。



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