第二章 時を越えた邂逅と別離 1-6
「いいか、人は結果を残す者には賞賛を送る。しかしそれが過ぎると嫉妬されてしまうものなのだ、ましてや貴族だの宮廷人だのと言う連中は特にな。それはサイレンの星光宮に限った話しではない、小国から大国までどこででもあたりまえにあることなのだ。出る杭は打たれる、ましてや小身のものが目立つと尚更だ」
コルデスが真っ直ぐに目を合わせ、ゆっくりと言った。
「嫉妬? みながこの俺に嫉妬しているというのか。こんな取るにも足らぬ親なし孤児の俺に」
まさかと言った表情で、ペランが目を丸くする。
「お前は才を見せすぎる。学んだ知識をすぐに活かし、それに創意と工夫とを加え周りが思いも掛けぬ事を言い出す。それがそのままブルがさまに受け入れられ、主従の仲が益々緊密となってゆく。それを快く思わぬ人間がいるのだ」
「なぜそれが悪いんだ。俺の考えたことが役に立つのならば、それでいいではないか。サイレンにとって有意義であれば、なぜ嫌われてしまうのだ、なぜ悪く思われねばならんのだ。お前たちも陰ではそう思っていたのか」
ペランはいかにも理不尽とばかりに、コルデスに食ってかかる。
「馬鹿を言うなペラン、俺とコルデスがそんな人間に見えるか。ほかのやつはいざ知らず、俺たちは心からお前を友だと思っている。でなければ、わざわざこんな話しをお前にすると思うか。人が嫌がることをあえて言うと思うか、見損なうなよ」
心外だとばかりに、ダリウスが語気を強める。
その青い瞳には、疑われた悲しみの色がありありと浮かんでいた。
「す、すまなかった。――いまの言葉は取り消す、俺が悪かった」
瞬時にダリウスの心情を悟り、咄嗟のことで感情を迸らせてしまった自分を恥じペランが謝罪した。
読んで下さった方皆様に感謝致します。
ありがとうございます。
応援、ブックマークよろしくお願いします。
ご意見・ご感想・批判お待ちしております。