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アナザーフロンティア  作者: シュナじろう
亡霊達の将
32/37

古城攻略再開と臨時パーティ結成


 それからも数日間、プレイヤーレベルや種族レベル、スキルレベルのレベル上げに努めた。

 その結果、私のプレイヤーレベルは15になった。

 またスキルのレベルも大幅に上昇し、新しいスキルもいくつか増えている。


(SP:63)

第0スキル

(【霊体33】【死霊26】)

【刀剣27】【二刀の心得25】【蹴り5】【受け流しの心得22】【魔法の心得24】【服23】【薬剤の心得31】【サバイバルの心得35】【叡智の心得31】【食の心得21】【住の心得40】

第1スキル

(【守護霊12】)

【霊的生命体3】【短剣16】【二刀使い4】【受け流し2】【法衣2】【製薬の心得10】【薬学15】【察知21】【感知21】【釣り1】【魔法の才能16】【調合12】【料理16】【食材の知識8】【合成7】【鍛冶8】【叡智15】【直感16】【読解10】

無効化中

【生への執着1】

発動中のスキルシナジー

【魔法剣】【製薬技術】【調味・調薬技術】【錬金術の片鱗】【知識と経験の価値】


 新しく習得したのは全部で四つ。

 【受け流しの心得20】で派生した【受け流し】に【服20】で派生した【法衣】スキル、そして【二刀の心得20】で派生した【二刀使い】。

 そして今回のスキル習得でも一番注目したのが、【霊的生命体】という、ゴースト系ならではのスキルだ。

 このスキルは前提条件として【霊体】と【死霊】がともにレベル20を超えていること。

 ゴースト系の固有スキルの中でも、習得条件が厳しく設定されているだけあって、効果も結構強力だった。

 まぁ、その代わりにSPも4ポイント持っていかれたわけなんだけど……その効果が、こんな感じである。


【霊的生命体】第1スキル EXTRA 消費SP:4

 【霊体】スキルの効果による昼間の認識阻害効果を無効化する。

 呪い、嫉妬、怨念、その他デバフや各種負の印の影響を受けない。また、体調不良の影響を受けない。影響を受けないだけで、判定に成功すれば付加される。この効果は耐性として扱われない。それぞれの効果はより強力な効果に上書きされる。

 HP自然回復量と回復所用時間が常に一定(2時間30分につき1)となり、HP回復効果を無効にする。この効果は特別な優先効果がない限り最も回復間隔が短い効果が最優先される。

 【霊体】スキルの『本来MP消費を伴わない行動を行った場合にMPを消費する』効果を50%カット。

 特定の分類のアイテムを使用できなくなる。

 特定の分類のアイテムを使用するに際し、特殊条件が発生するようになる。

 アイテムを生産する際に、〈霊媒〉または〈霊媒・微〉が付与される。

 余分な〈霊媒〉印を吸収し、対応する霊核より1ランク下の霊核を入手する。持ち物がいっぱいだった場合はHPを1回復。この効果は回復効果無効の効果を受けない。

 他のスキルによるアバター体の外見変更の影響を受けない。この効果は、最優先される。


 などとまぁ、ずいぶんとタイムリーな効果が登場したものである。

 こんなスキルがあるなら、ゴースト系であっても装備品の交換は割と簡単に住みそうなものだけど、そもそもゴースト系の生産職は果たしているのかな。

 いたとして、このスキルにたどり着く人は……まぁ、そもそもゴースト系なら絶対持っているスキルなんだし、到達まではそれほど難しくはない、か。

 まぁ、これでもまだ第1スキルなんだし、問題はこの先、ということになってくるんだろうなぁ。

「なんにしても、お姉ちゃん、裁縫できないから防具は誰かに作ってもらうしかないし、そのための『霊核・小』探しはやっぱり必要なことには変わりないんだけどね」

「世の中、そう甘い話はないよねぇ……」

 人には誰しも、得手不得手というものがあるもの。

 裁縫が簡単な補修程度しかできない以上、大人しくできる人に任せるしかない。

「なにはともあれ、これで多分、目下の古城再攻略の準備はできたかな」

 【死霊】スキルが成長したことにより、その効果も成長を見せており、デバフ効果やデバフ印の吸収効果が、側にいるパーティメンバーにも波及するようになったのだ。

 これでなーが呪いにかかっても、私が側にいればカバーできるようになったわけである。

 当のなーも、どうやら私が宿題を片付けている間にレベル上げを配信で行っていたようで、今回の攻略に合わせて、魔法使いから神官見習いを経て、神官に転職したらしい。

 ゴースト系のモンスターが跋扈する場所だし、まだまだ序盤ということもあったから、場所に応じた職に変更することも十分に可能だったとなーは言っていたから、特に心配はいらないだろうと私は思っている。

 ともあれ、これで私もなーも、ハイト古城攻略の準備は整った。

 あとは、出発に向けた最終確認をするだけだ。

「それじゃ、確認作業といこっか」

「うん、そうだね。武器の耐久度は――」

「おっけーだね。メンテ用のアイテムも十分持った。専門じゃないけど、なーの杖も直せるよ」

「おぉ! 助かるよ!」

 回復用のアイテムもかなりの量を集めたと思う。

 シナジー効果のおかげで品質ランクが付いた状態を維持したまま合成することができたので、どれもルナティカさんに『超一級品』の太鼓判を押されるくらいのアイテムにはなっている。

 それでも、マナポーションはそもそもの回復量が低いから、高品質の物を作ってもそれほど効果の上昇は見込めないのだが、そこは【薬剤の心得】や【薬学】スキルによる回復量上昇効果があるから、あまり気にはならない程度にはなっている。

「料理は食べた?」

「うん。食べたよ」

 視界の端、インジケーターに料理関係のバフ効果が付いていることを確認しながら、私は言う。

 ちなみにこの料理関係のバフ効果、この前のアップデートで不具合の修正に掛けられており、効果時間があまりに短かったということで点検したら、ポーションやアビリティによるバフ効果と同じ基準で時間が設定されていたらしい。

 修正された今は、大体どれも30分以上は継続する強力なバフ効果となっている。

「よっし。それじゃあ、行こっか」

「うん。行こう」

 準備は万端。

 私達は手を取り合って、古城へ向かってまっしぐらに歩いていった。


 以前は一人で向かった古城。

 あらためて見上げてみると、その規模はかなり大きい。私が依然探索した範囲が、いかに狭いかをうかがわせるほどだ。

 今回はなーを加えた二人パーティでの挑戦となる。

 とりあえず後衛をなーに任せ、私が前衛に立つ形でフォーメーションを組んだ。

「とりあえず、まずは北の丸を目指して進んで行こう」

「わかった。北の丸の入り口付近までは、攻略が進んでるんだよね?」

「私はね。攻略情報見てみたら、古城の攻略を進めている人は、北の丸の奥にある門のボス戦で、かなり苦戦しているみたい」

「そっか……」

 しかし、同時にそのボス戦が一つの節目となっている可能性も高い。

 北の丸に到着したら、気を惹き締めないといけないだろう。

「ん。前からプレイヤー……私達と同じく、ゴースト系と普通の種族のプレイヤーだ」

 ふと前方を見れば、私達と似て、ゴースト系の種族を選択したらしいプレイヤーを連れた4人組のパーティを発見した。

「こんにちわ。ハイト古城の攻略ですか?」

「あぁ。そのつもりだったんだが……厄介なことになっちまってな……」

「? どうかしたんですか?」

「あぁ。実はな――」

 立ち往生していたらしいプレイヤーたちの内、なーと同じく神官を選んでいるらしい男性プレイヤーが頭を掻きながらこの先で発生したという問題を教えてくれた。

 彼らが言うには、この先の城門で、門全体を覆う紫のSPが発生したらしく、それ以降もゴースト系のプレイヤー以外の侵入を拒むかの如く、多数の悪辣な紫SPが発生したという。

 敵自体は、少なくとも東の丸の範囲内なら私が最初期に戦ったような弱い敵しか出てこないものの、その罠のせいで思うように進めないのだとか。

 しかも、そのほとんどがゴースト系のプレイヤーでなければ発見、もしくは解明できないようなSPだらけだったらしい。

 う~ん……おかしいなぁ。

 私の時は、そう言うのなかったと思うんだけど……こういう時はあれだね。見落としている情報がないかどうか、マップ情報を見てみるに限る。

 私も、ハイト古城ののマップ情報はまだ見てなかったし。

 えぇっと、現在のエリアは……うん、もうハイト古城には入っているみたいだね。

 えっと、なになに……。


『古城ハイト 城郭・林道』

 周囲を天然の要害に囲まれた城砦にして、かつて反映した皇国ハイトの政治中枢。

 ただでさえ警備が厳重で、許可なく立ち寄ったものには容赦ない鉄槌が下されるが、一度生者が足を踏み入れれば、生けとし生ける者へ向けられた羨望と憎悪からくる敵意が容赦なく牙をむくだろう。

 正面口にして唯一の出入り口、ハーミット門。その先の北の丸に続くローラン門。

 数ある門はすべて櫓門。ハイト一の砲将ローランが近づくものに鉄の嵐をもたらす。

 彼のもとに到達するまでに、三人の将を打ち取らねばならない。

 東の丸には雑兵ばかり、しかし降り注ぐ鉄の雨には悪霊たちの怨念が含まれているので要注意。

 下って地獄、上って地獄の北の丸。その先にそびえるルタリオ門。

 守りを固めるのはハイトの弓聖ルタリオ。たどり着くには二人の将を打ち取る必要がある。

 狭い道と訓練を積んだ槍兵たちが行く手を阻む。鏃の雨もまだ止まない。

 櫓に守られた西の丸。祭儀場の先のアメリア門。守りを固めるのは四将の紅一点・古の聖女アメリア。死してなお残滓が残るその聖性は、城を守るはずの亡者をも浄化する。

 最後の要の三将丸

 ハイトの剣聖マービンを筆頭に、三人の将が貴方を待つ。

 入り組んだ通路の先、熟練の兵の襲撃が貴方を拒む』


 ふーん、なるほどね。

 どうやら、ゴースト系プレイヤーのスタート地点なだけあって、ゴースト系プレイヤーに対する優遇措置が取られているステージみたい。

 逆にそれ以外のプレイヤーが一人でもパーティに交じっていると、初心者卒業扱いされて、普通の難易度に戻される、ていう具合なのかな。

「マップ情報は見ましたか? なんか、ゴースト系……多分、『死霊』スキルを持ってない人が来ると何らかのスイッチが入るみたいで……いや、逆か。むしろ、『死霊』スキルがトリガーになっている?」

「マップ情報……? それは、マップそのものじゃなくてか?」

「はい、そうです。マップ情報、エマニノ周辺の平原とか、北の谷とか、そう言ったところだと単なるフレーバーテキストみたいになってるんですけど、こういったダンジョンとかだと意外と重要な情報が出てくるんですよ」

「ちょっと見てみる」

 なーの言葉を受けて、プレイヤーの一人がマップ情報を表示させる。

 ほどなくして、おぉ、と声が上がり、

「こんなところに攻略のヒントが描かれていたとはな……」

「まぁ、ヒントといってもかなりざっくりとしたものにはなってますけどね……」

 ただ、私も見ていてかなり参考になるな、とは思っていた。

 特にこれから攻略する北の丸に関する『下って地獄、上って地獄』という部分の言い回しと、その次の西の丸にいるらしいボスの説明が気になる。

 西の丸のボスに関しては、『城を守るはずの亡霊をも浄化する』ってあるし……これ、もしかしたらゴースト系のプレイヤーでも、HPを直接削られるってことを指しているんじゃないかな。

 少し、警戒しておいた方がいいのかもしれない。

 私が密かに警戒心を強めていると、隣で同じようにマップ情報を開いていたらしいなーが、少し考えたような顔を見せてから、

「そちらさえよかったら、一緒に攻略しませんか?」

「え? いいの? その、少なくとも私達よりかは慣れているみたいだし、装備も……」

 おそらくは私と同じ守護霊になった、女性プレイヤーが私に本当にいいのかと聞いてくる。

 そのプレイヤーもは反りがほとんどない短刀――確か、忍刀っていうんだっけ――を装備していたことから、多分パーティでの役割は斥候だろう。

 確か、ハイトの街の鍛冶屋で、亡霊の忍刀っていうのが並んでいたと思うけど、多分それだ。

 来ている服に関しても亡霊くノ一の装束ってあった気がするし。

「問題ないですよ。私も、ここは北の丸に入ってすぐのところまでしか進んでませんし」

「あ、それならここのマップに関しては私の方が少し進んでますね」

 なんにせよ、人数が増えればそれは戦力の増強にもなり、結果として攻略も容易になるということで、急遽彼ら四人を加えた臨時パーティが結成されたのであった。



※スキル情報(29話より【直感】)

【直感】A/【直感】B 第1スキル EXTRA

前提スキル:A【叡智】+【察知】+【感知】

前提スキル:B【発見】+【察知】+(【狩猟】または【採取】)

※特殊条件:Aは【叡智の心得】を起点とするツリーおよび、【サバイバルの心得】を起点とするツリーに属する。

※特殊条件:Bは【サバイバルの心得】を起点とするツリーに属し、【叡智の心得】系のスキルからは完全に切り離される。

※両方習得時は統合される。片方のみでも、【直感】の習得を条件に含む場合は条件達成となる。

 探索時、敵のいる位置や方向などを大まかに察知できる(Aはとても大雑把/Bは詳細)。

 探索時、赤のSP調査時、確殺判定に成功で出現した敵に即死ダメージ(Bのみ/ボス級は除く)。

 探索時、通常では採取できないものも採取できるようになる(Aはとても強い/Bは弱い)。

 探索時、倒した敵の解体時にデフォルト以外の解体方法が選択可能になる(Aはとても強い/Bは弱い)。

 探索時、クリティカルや即死ダメージ(この場合、最大HPの100%を超えるダメージを指す)、および即死の呪いを受けにくくなる(Bのみ)。

 生産時、達成値にボーナス。クリティカル判定に成功で最終達成値に50%~100%の追加加算ボーナス(Aのみ)。


※即死ダメージとは最大HP100%分のダメージを指し、単純に即死効果という場合は『即死効果を持つ呪いの一種』を指します。即死効果の方はデバフなので当然死霊スキルの吸収対象になります。

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