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アナザーフロンティア  作者: シュナじろう
オストリス・ゴースト
15/37

情報収集

前回のあらすじ三行

古城で拾った小太刀をなーに預けた

調合と合成を試した

この小太刀、まじやばかった( ´Д`)=3 フゥ


 夜。

 私は、奈緒と兄さんの二人とゲーム内で待ち合わせて合流することにした。

「……お前がゲーム内での朱音か……やはり、透けて見えるな……」

 そして、開口一番のセリフは、やっぱりこれだった。

 やっぱり、幽霊だから透けて見えるんだね、他のプレイヤーからは。

 ちなみになーからは、普通に見えているらしい。

 霊視の効果があるパッシブアビリティを持っているからかな。

「とりあえず、兄さんのゲーム内での名前を教えてもらえるかな。ゲーム中に何て呼べばいいのか、このままじゃわかんないよ」

「俺のアカウントネームか。ウィロウインドと名乗ることにしているが……お前たちなら、普段通り兄でいいと思うが?」

「兄さんがそれでいいなら、それで」

「まぁ、この際それはどうでもいいさ。ところで――朱音。早くあれ、くれないか?」

「あぁ、あれか。うん、ちょっと待ってて」

 兄さんはもう少し食い気味に来るかと思っていたが、さすがに手に入ることがほぼ確定しているとなれば、落ち着きを取り戻せる程度に理性は残っていたらしい。

「ふむ……なるほど…………」

 そして、少しだけ素振りをして、その小太刀の振り心地を確かめて、一言。

「いい小太刀だな。手に馴染むようだ。これなら、ゲーム内でも心気なく剣を振るえそうだ」

「そう。それはよかった。頑張ってハイトから出て来たかいがあったよ」

「…………お前な。この件がなかったらずっと籠っている気だったのか?」

 それを言われると、ちょっと痛い。けど……理由が全くないわけでもない。

「クエスト中でもあったしね。とりあえず、まずは推奨レベルの20あたりを目指しながらお城の探索をしてたとこだったの」

 ハイトの薬屋さんが教えてくれたことで受注したクエスト。お城の調合器財や料理器財の入手。

 図らずも、両方とも別な形で手に入ってしまったけど、それで気が済んだかといえば、そうとも言えない感じだ。

 しかし、推奨レベルの高さで初っ端から躓いたのもまた事実なのだけど――そのあたり、ハイト城の敵はそれなりに強い分、経験値も多く手に入るからね。

 兄さんのことがなければ、出てくる理由の方が小さかったくらいだ。

 兄さんたちは、私の話を聞いて、少しだけ考えこんだ。

「レベル15……断じて、職業や種族の、ではないんだよな?」

「うん。何にもついてない方のレベル」

「またずいぶんと先のクエストを受けたもんだな……普通に時間かかるから、並行して他のことをしておいた方がいいと思うぞ、俺は」

「私も同感、だけど……」

「やっぱり面白そうだと思うのか、なーは」

「うん……。なんか、すっごく面白そう! お姉ちゃん、私にもそれ、手伝わせて!」

 ……まぁ、断る理由もないし、一人より二人、二人より三人。

 もしもこれに兄さんも加わるのなら、前衛二人に、なーという後衛が一人。

 私はその回復役であるなーの恩恵にあずかることはできないけど、それでも私一人よりかははるかに効率が良くなるのは確か。

 断る理由が思いつかない。

「それなら、お願いしようかな……」

「うん! ありがとう! お姉ちゃん、回復は任せて、とは言えないけど……その分、援護の魔法攻撃には期待してね!」

「うん、ありがとう。二人とも……」

 それから私となーは、兄さんに顔を向ける。

 が――休みの日以外は道場の仕事がある兄さんは、当然そちらを優先させねばならない。

 そのため、兄さんは不参加の方向で、なーだけのみお宝クエストへの途中参戦が決まった。


 その後、兄さんは武器を慣らしてくる、と言ってそのまま平原へと向かって走り去ってしまい、この場は再び私となーの二人だけになる。

 残された私達は、当初の予定通り掲示板での情報収集を進めることにした。

 しかしなーのサポートの元、どうにか掲示板を表示させることに成功した私は、リスト化された公式掲示板のどれを最初に見ればいいのか、少し戸惑いを感じてしまう。

 上から下へ、掲示板のタイトルを流し見ていくと、やがて種族・職業に関する掲示板も存在することに気づく。

「これ、見てみようかな……」

 私の種族、ゴーストはとにかく癖が強い種族だと思う。

 だから、ここにも私が気づいていない特徴があるのではないかと思い、ひとまずこの掲示板には行ってみることにした。

「種族・職業の掲示板か。まぁ、見ておいて損はないよね。……それとも、どうする? 守護霊の情報でも、軽く流しておく?」

「んー、他にゴーストを選んだ人って、多分生きた人たちの街に入るとEP減少って言うデメリットに忌避感を抱いてしまうと思うし……なるべくなら、おなじゴーストを選んだ身として、少しはそれを和らげたいな、とは思うかな」

 せっかく、そのEP減少のハンデを追わないで済む種族を見つけたんだから、真っ当なプレイをしたい人にこの種族の情報を残しておくのは、とても役立つことだと思う。

 そうでなくても、生きた人と接することができるのが夜だけになる、って言う特大のデメリットを抱え込んでいるのだから。

 せめて、夜だけでも生きたNPCと普通に接することができるようになれば、少しは感じ方も違ってくるはずだ、と思いたい。

「うん、お姉ちゃんがそう思うならそれでいいと思う。……HNはどうする?」

「んーん。開示は、とりあえずしない方向で」

「わかった。それじゃ、まずは設定を開いて、ここを非開示にして……あとは、こっちでここをこうして……。オッケー。それじゃ、情報流してみよっか」

「うん」

 私は、なーに手取り足取り教えてもらいながら、掲示板に情報を入れていった。


713.名無しの守護霊

 ゴースト系の進化先の一つを発見しました。

 守護霊という種族です。

 ゴーストとの違い、種族固有スキルの変化(生への執着→守護霊)、それによる街でのEP減少を防止可能、HPを消費しての味方の治療が可能。


 少しだけ考えて、EP減少のデメリットはなくなった、ではなく防止可能にとどめて置いた。

 スキル自体は原則消滅することはなくて、ただ有効化と無効化ができるだけだからね。

 これで送信を押すと、少したって興奮気味のレスポンスが返ってきた。

 どうやら、新しい種族の発見は、それがなんであれお祭り騒ぎになる、という法則性のようなものがあるみたい。

 反応としては、まさかのEPデメリットなしか、とか、どれくらいの治療効率なのか、とかそういう反応もあれば、シンプルに進化条件の開示を求めるようなものもあったり、実に様々。

 とりあえず、催促されないうちにわかっている条件を追加で流していく。

 進化条件の再表示についても、『昇格・進化/転職・変異』のところから守護霊を選べば普通に表示できたので、それをスクリーンショットに収めて添付しておいた。

 EPを稼いだ方法については、ハイトの街のすぐ近くにあった、道祖神をきれいにしたらちょうど10ポイント稼げた旨を載せたら、なにやら掲示板を見ていたらしい浮遊霊のプレイヤーさんが、『あれかー、ただのオブジェとして無視してたけどそんな意味があったのか』と、普通に驚いていた。

 さらには、


745.名無しの浮遊霊

 うっし。それじゃ、ギリギリ生への執着が条件を達成しているし、今のうちに検証しに行ってみるか。たしか、街道沿いにも似たようなのあったし


 といって、検証しに行ってしまった。

「盛り上がったね~。いやぁ、こういう楽しい瞬間があるから、掲示板への投稿はやめられないよ」

「私はちょっと緊張したけどね……」

 でも、返ってきたレスポンス的に、おおよそ歓迎されている感じだったから安心した。

「あ。そういえば、あのことも載せておこう」

「あのこと?」

 私は、ゴースト系の種族の一つの特徴として、装備やアイテム、あるいは敵の攻撃による呪いや嫉妬、怨念などの効果をすべて吸収してMPとしてしてしまえることも投稿した。

 これについては、一番最初の種族、ゴーストにも備わっているものなので、もし呪われた武器があった場合、知り合いにゴーストの人がいれば解除してもらうという手もあるのではないか、というアイデアも投稿してみた。

 これについても、おおよそ好印象。

 むしろ、その手の装備があったのか、という新しい情報への感謝や、解呪屋という新しい産業(?)の発掘などと嘯かれ、少しだけ話題になったくらいだ。

「あ~、まぁさっきのあれ、確かにヤバかったもんね……」

 ちなみに、呪いや嫉妬、怨念については状態異常や装備品に関するヘルプに記載されていたので、わざわざここに書こうとは思わなかった。

 注意深くヘルプ見てれば、すぐに気付くはずだしね。……大丈夫だよね?

 …………などと思ってたら、『それってヤバいのか』と言ってくる人がいたよ。

 まぁ、どこにでも説明書を読まないで買ったものを使おうとする人はいるんだなぁ、などと思いながら、私はその人にそれらの合成印のヤバさを懇切丁寧に教えてあげた。


 それから、私達はある程度情報を集めた後種族・職業の掲示板の閲覧に区切りをつけ、別の掲示板を見てみることにした。

 新しく見ることにしたのは、クエスト関連の掲示板だ。

 ここには、種族限定のクエストから、見つけるのが若干難しいクエストなど、いろいろなクエストの発見場所や条件が公開され、広くプレイヤーたちに共有されていた。

「へぇ……いろんなクエストがあるんだねぇ……」

「うん。……あ、これなんか面白そう」

 なーがそう言いながら指さしたのは、お使い系クエストの一つである、『特定ジャンルの料理の納品』だった。

 新商品に繋がりそうな料理を納品することがクリア条件のそれは、発見者によればふつうランクの料理でも結構な報酬がもらえるらしく、手作りともなればその倍額にも及ぶ好条件のクエストなんだとか。

 ただ、残念なことにお一人様一回まで。

 報酬のゲインも、ゲームが始まったばかりの今ならふつうランクで5000Gというのは破格だが、サクサク進めているプレイヤーからすれば数時間もあれば稼げてしまうらしい微妙な金額に届きつつある金額。

 普通に、始めて間もないプレイヤー向けのクエストになるだろうとのことだった。

 私はハイトでNPC相手に若干戦利品を売ったりしてたから、そこそこお金は持っているけど……それでも、1000Gにも満たない、本当にお小遣い程度のお金しか持っていない。

 今後のために、少しでも増やしておいた方がいいのかな、などと考えなくもなかった。

 まぁ、結論を言ってしまえば、まだいいかな、というのがそれになるんだけどね。

 そもそも、敵にやられてHPが0になれば、所持金は容赦なく1Gも残らず没収されちゃうんだし。

 それを考えるなら、むやみに増やすのも考え物だろう。

 銀行とかも、休業中みたいだし。

「NPCの銀行システム……いつ解禁になるのかな……」

「負けて街に戻されると、お金が無くなっちゃうもんね……」

「そうなんだよ。だから純粋な魔法特化の私としては本当に死活問題で……まぁ、武器と防具にはもう〈持ち帰り〉印はつけ終わってるし、まだ序盤だから一日当たりの稼ぎが少ないからそれほどでもないんだけど……」

「まぁ、ね……私は5000Gをようやく超えたところかな。なーは?」

「えぇっ、お姉ちゃん未だそれだけしか持ってないの!? 他のプレイヤーは大体1~2万Gはとっくに超えてると思うよ?」

「それだけって……なーはどれくらいなの?」

「私、もう少しで50000G超えそうなんだけど」

「えっと、どうやったらそんなに稼げるの?」

 というか、すでに昨日一昨日でそんなに稼げていたのが驚きなんだけど。

 一昨日についてはサービス開始日だから半日くらいしかできていないはずだし。

「レベル上げしながら素材の売却をしていれば、普通に一日5000Gくらいにはなるし。私は料理をしてそれを知り合いのPCに委託販売頼んだりしてるから、その分もあるけど」

「そんなに……というか、序盤なのにもうそれほどいっている人がいるの?」

「夕食後はもっぱら料理に時間を回してたからね……。昼間のうちに集めた食材を駆使してれば、10人分くらいなら普通にできるからね……」

 ちなみに、手作りランクの料理ともなれば、今の始まったばかりの環境であれば1品あたり1000Gは軽く超え、場合によっては、2000Gに届くものもあるらしい。

 なーは、そのやり方で昨日一昨日のうちにかなり稼いだそうだ。

 何気に手作り料理の売れ行きが良く、そちらで30000Gもの稼ぎになったんだとか。

 ちなみに前線組の中でもこの稼ぎの量としては上々らしい。

 いいなぁ、そんなに稼げて。

「まぁ、お姉ちゃんさえよければ、夕食後は一緒にアイテムでも売ってみたいなぁ、って思ってるんだけどね」

「うーん、まぁ、頑張っては見るけど……」

 期待はしないでほしいな。

 いろいろ試行錯誤はしてみるけどさ。

 それにしても……一日で、5000Gか……。

 私も、それくらい稼げるようになるのかな。


浮遊霊 ゴースト系種族 第1段階

進化条件1・ゴースト種族Lv.10以上

進化条件2・累計エリア移動数10回以上

進化条件3・探訪済みエリア数3か所以上

固定スキル【霊体】【死霊】【生への執着】【漂流】

【漂流】第1スキル

 CUT(スキルLv÷10)+1回までデスペナルティを回避する。

 蘇生手段を持たず、戦闘不能になった際にデスペナルティを回避して復帰をした場合、倒れた地点付近に24時間の間地形効果:怨念を付与する代わりにリスポーン地点が完全ランダムとなる。その後、【生への執着】スキルが有効となっていた場合、EPを10減少させる。


※上記固定スキル以外の種族系統限定スキルは通常スキルへ移行

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