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この小説はドラマの劇中歌のように話の途中で曲を指定します。なのでYouTubeまたはiTunesのような音楽を視聴できるアプリをご用意してくれるとこの小説をより楽しむことができます。
ミヤは病院へと足を訪れていた。一歩ずつ、一歩ずつ何かを望むように。
ガララ
ドアが開かれる。そこには1人の眠っている少女ーーーマリが細々と居座る。横にはその両親がうな垂れている。
マリはミヤにとって大事な幼なじみだった。昔、ミヤ、マリ、トモキの3人で良く一緒に遊んでいたものだ。高校生になった今3人で遊ぶことはなくなり。ミヤは普通の男子として平凡に、マリは美貌を武器に人気者に、トモキは勉学に励むガリ勉へと成し遂げていた。遊ぶことはなくてもミヤは2人とある程度のやりとりは続けていた。トモキとは学校でも良く話す中だった。そんな高校生活も束の間、マリはある日突然事故に遭ってしまった。事態はとても重くマリは一命は取り留めたものの、植物状態になっていた。そんな状況から一年が過ぎようとしていた。
「ミヤくん。あなたにね言わなきゃ行けないことがあるの」
「どうしたんですか?」
深刻なマリの両親の顔がミヤの心をゾクゾクと煽る。両親は怪訝な顔をしながら
「マリは後、、、5日しか生きれない。」
そう言った気がした。
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それからすぐして、両親はミヤとマリを2人きりにさせる。
「、、、、、」
現実を受け止めることができない。受け入れられるわけが無い。幼なじみの死が近づいて来ている。信じたくは無い。
「俺がきっと生きながらせてやる。まだ、まだ生きれるだろ、マリ」
ミヤはマリの手をふと、勝手に握る。そうして無責任に彼女に問い詰めた。マリが答えることはない。呼吸器の音だけが室内を轟かしていた。
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「雨か、、」
帰り道、ミヤの頬にポツっと滴が一滴滴れる。辺りはすっかり暗くなっており、ミヤにはその細い通り雨でさえしっかりとした質量で心に憎たらしく刻みこまれるのを感じる。その雨は次第に強くなり始め、ミヤを襲う。ミヤは急ぎ足で足を早め荒ぶ心を抑える。
肌に打ち付けられる雨はどこかしょっぱかった。
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「ただいまー」
腑抜けた声色でミヤは帰宅したこを報告する。
「お帰りなさい。ってちょっとミヤどうしたの?ずぶ濡れじゃない?」
ミヤの母はミヤが帰ってきたのを聞きつけ、ノコノコと現れては、ずぶ濡れのミヤの服をみて心配そうにこちらに目を移す。別にどうってことはなかったのでミヤは「大丈夫」というと、風呂場に向かってシャワーを浴びた。その後、食事、勉強や勉強などを済ませる。何故だかいつも元気で明るい母親は今日に限っては口数は少なかった。ミヤは気を使われてるいると感じて、表情を曇らせがら食事を終えた。その点とマリの命日を除いては今日はいつもの通りの日常と何ら変化はなかった。いつも通りの日々と。
「おやすみ。」
1日の活動を終え、ミヤはベットへダイブする。
そうしてミヤはスマホを少しばかり弄る。スマホを弄り始めてから15分後もしない内にミヤは睡魔に駆り立てられ、思うがままに眠りについていた。深く淡い眠りに。
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眠ってから何分経ったのだろうか、ミヤは見知らぬ場所で目を覚ます。どこなのだろうか、辺りを見渡せと一面は草原で目の前には大木がずっしりと構えていた。ミヤはここは恐らく夢の中の世界だろうと決定づける。
「にしても、キレイだな」
夢という、まやかしにしてはあまりにもこの景色は美しかった。誰もいない草原に1人、風が少しだけ肩を空かす勢いで靡く。なんとも言えない美しさがそこには居座っていた。
ミヤは辺りを見渡した後、丘上になっている木の上へと歩み始める。一歩ずつ一歩ずつ。
何歩歩いただろうか、ミヤの足は前進することなくその場に留まってしまう。
「人か?」
恐らく誰かの頭部であろうか、そこには人影と呼ぶに相応しい得体の知れない影があった。ミヤは恐る恐る足を進める。近づくたびその何者かは着々とミヤの記憶の中に眠る人物へと合致していく。そうしてミヤは急ぎ足で上まで登る。確認した人影は彼女で間違いないだろうとミヤは確信を踏んだ。
「マリ、、、?マリだよな、、、、?」
彼女は読んでいた本をパタンと閉じて、ミヤの目へと視線を向かう。2人の目が見つめあった。そうして彼女は呟く。
「、、、ミヤ?」
いるはずのない、マリとミヤは夢の世界ーーーまやかしの世界で思いがけない再開を果たしたのだった。
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『夢で逢えたら』/ indigo la End
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高鳴る気持ちをミヤは隠し切れなかった。突然の再開を果たしたミヤは困惑と僥倖の気持ちがカメラフィルムのように切り替わる。
「マリ、どうしてここに?」
ミヤは純粋な疑問をマリに問う。
「んーとね、いつも病院に見舞いに来てくれる。誰かさんの強い思いで、これたのかも。」
「おま、聞こえてたのか!?」
思わず恥じらいの声が出てしまう。あんなセリフを聞かれていたのかと思うと顔から火が出そうだ。
「マリ、植物状態じゃ、、、、?」
「んーそれはね、確かにそうなんだけど、意識はあるの。だからミヤのくっさい台詞とか、その、、、手とか?握ってくれたことも覚えてるよ。」
ミヤは思わず顔を伏せてしまった。恥ずい。恥ずかしすぎる。何もかもマリの感覚は聞こえていたようだ。
赤くなった顔を覚ましながら、ミヤは思いっきり頭を上げるとマリを見る。マリは上品に手をかざしてふふふっと笑っていた。ミヤは首を横に振る。
「よし、話たいことが山盛りあるけど、とりあえず隣座っていいか?」
マリはコクンと頷くと座っていた切り株から少し横にずれてくれる。ミヤはその空いたスペースにゆっくり腰を掛けるとマリに話しかける。
「んで、ここはどこかは知ってたり?オレの予想だと多分夢の世界とかそんな感じだと思うけど。」
「多分そうみたいだね、だから私の好きなように世界を変えることもできるみたい。夢だからかな?」
「それでこんな綺麗なまやかしを作れるんだから流石だよ。マリは。」
「ふふっ そうでしょ? 私も凄く奮闘したんだよ。もっと褒めて褒めて!」
マリはカモンとでも言わんばかりに手を振る。
心なしかマリも今の自分を忘れているように手足を動かし、笑顔を振りまいてる姿は天真爛漫そのものだ。
「そー言うところは昔と変わってないんだな。もうちょっと大人な女性目指そうぜ?」
「もー、ミヤもそう言うところ変わってないよ、私だって女の子なんだからもっと優しくしてよね。紳士な男目指してよ。」
「俺だって変わったよこの一年。学校じゃ紳士のミヤって言われてるぞ?」
「ミヤが?ちょっと見てみたいかも。ほら優しくしてよ!」
マリはまたカモンと手を振るその姿をみてミヤは思わず笑ってしまう。
しばらく、2人の話し声と笑い声がが2人だけの草原に響いていた。
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「久しぶりにこんなに笑ったよ、ありがとなマリ」
「ううん、私も楽しかったよ。ありがとうね。」
2人はお互いに感謝の意を表明する。辺りはもうすっかり日が暮れそうで辺りは夕焼け色に染まっていきそうだった。マリは少し悲しげな顔をしながら呟く。
「お日様までは変えられないみたい。もう朝が近い、きっとミヤも目が覚めると思う。」
確かに、ほんのり耳をすますと目覚ましのベルの音がする。本当に朝になったようだ。見えない力で何かに戻される感覚を感じる。少しずつ。少しずつ。
「ミヤ!」
マリが突然、ミヤの名前を呼ぶ。
「私、待ってるから、ここでも、病院でも、だから、、、」
マリは言葉を詰まらせる。
「だから?」
ミヤは堪らず聞き返してしまう。マリは少し顔を赤く染めながらボソっと呟く。
「だから、、明日もまた来てね」
「もちろん、くるさ。マリがいてくれるならな。」
そう言葉を残してミヤは夢の世界から消えていく。淡く、儚く。
マリはミヤの消えてく姿をみて、悲しい顔を隠せなかった。
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ゆっくり、ゆっくりと世界から自分が引き剥がされるのを感じる。ゆっくり、ゆっくり。
ジリリリリリリ
ジリリリリリリ
目覚ましのベルの音が次第に大きくなって、自分が元の世界に帰還したのだと耳が推理した。
「朝か、、、」
目覚ましを止めた第一声が朝の小鳥たちの囀りと共鳴する。朝が、日照りが目に入る。咄嗟に腕で影をつける。どうやら昨日はカーテンをしめわすれたみたいだ。
「俺はマリと、、、夢か。これは。」
自分でもびっくりするほど、夢の内容は鮮明に記憶に刻まれていた。夢でマリと会ったのだ、間違いない。
その日の学校の昼休み。ミヤは幼なじみのトモキと昼食を食べていた。
「それでな、マリと夢であったんだよ、あれはきっとマリも同じ夢を見てたんだよ。」
「あのな、ミヤ、マリは植物状態なんだよ、ミヤが見たのはなんかのまやかしだろう?」
話に熱が篭っているミヤにトモキは氷水をかけるように冷静に宥める。少し冷静になった
「お前だって他人事じゃないだろ?」
「それはそうだけどマリの余命はもう5日もないってミヤ、君が言ったんじゃないか。残り寿命が少ない相手と夢で会うなんてまるで小説のファンタジー見たいだろう?」
そんなことありえない。とでも言わんばかりに現実はトモキは突きつけてくる。マリの話になるとトモキはもう忘れてしまいたい、と言う気持ちが心の奥底で揺らめいているのが感じ取れる。トモキもトモキなりのマリに対するなんらかの気持ちがあったのだろう。
「でもトモ、、」
「ミヤ、この話はもう終わりにしよう。それよりも今日のニュース見たのかい?」
トモキはミヤの話を遮って話題の別のベクトルへと方向転換させる。仕方なくミヤもトモキと世間話をして昼休みを潰し終えた。
その日の夕方、ミヤは自転車を漕いで、この長い長い下り坂を誰も自転車の後ろにはのせず、アクセル全開でペダルを漕いで病院へと足を運ばせていた。放課後、トモキに一緒に来るのか尋ねたら。
「塾だからノー」
と、端的に言われてしまい渋々一人で病院へと向かっていた。
暫くして病院へと着くと自転車から駆け下りて、玄関へ駆け込んで、エレベーターで駆け上がり3階へ到着する。エレベーターが少し揺れているのがわかった。その揺れが心を少し揺さぶる感覚で自分の気持ちが高まって来ている。間違いない。ドアがゆっくり開くとミヤはゆっくりと歩いてドアの前まで着くとドアをゆっくり開いた。
そこには、前と変わらず植物状態のマリが眠っていた。
いつも通りで何も変わっていなかったことにミヤはガックリとした。夢で出会えてもしかしたら思っては見たものの現実はそんなには甘くない。臙脂色に染まりかけた病室に彼女はいつも通りに眠っている。ミヤは彼女の前まで行くと近くの椅子に座りかける。
「マリ、聞こえてるか?」
、、、、、、返事は待てど暮らせど返ってこない。ミヤにとっての微かな希望は儚くも粉砕されてしまう。それでもミヤは続ける。
「昨日夢であったけどめっちゃ楽しかった。ありがとな」
、、、、、、無言のまま時が過ぎていく。心なしかいつもは聞こえるはずがない、点滴が垂れる音まで聞こえるような気がした。
ミヤはもしかしたら、今日また会えるかも知れないと言う淡い期待から今日のことを話すみたいな行動はしないと決めた。したくなかった。
だから暫くの間、病室は静かな時が流れた。何も言えなかった。ミヤはふとマリの手に視線をやる。握ったらどうなるのどろうか。また夢で弄られてしまのではないだろうか。そんな下らない心配事がミヤの頭を駆け巡る。様々な思考が考えては消えて、考えては消える。結局最終的に下した決断はマリの頭をそっと撫でる程度しかできなかった。
マリを見ながら考え事にふけた後、ミヤは病院を立ち去る。足取りは少し重かった。その足で自転車を漕ぎ家まで着くと、昨日と同じような工程を済ませる。今日の母はいつも以上に明るく、ミヤに話しかけてきて、ミヤは気怠く気負いした。
風呂に入った後、勉強、趣味などを終え、とうとう待ちに待った就寝時間がやってくる。目が重たくなってきた。さっそくミヤはベットにダイブをする。そしてスマホ音楽を聴きながら心を落ち着かせる。そうして数分後には眠りに落ちていた。
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どんどん自分の体が別の世界へと移っていくのを感じる。少しずつ少しずつ。そうして気づいた頃にはミヤは草原の中に立っていた。遠くの方に見える丘の上には大きな木が樹立している。
「帰ってこれたのか」
ミヤは小さく喜びを噛みしめていた。またここにこうして来ることができた。きっとあの丘の上には、、、、
「マリ」
小さくそう呟くとミヤは丘の上へ登ろうとする。マリがいることを確かめるべく。一歩ずつ一歩ずつ。、、、、いない。丘の上には彼女はいない。太い切り株の上にも座っていない。そんなバカな。
「まさか、、木の上?」
そう言って木を仰ぎ見る。勿論そんな所に彼女がいる訳もなく下を向くすると後ろから
「ミーヤ!」
「うぉっ!」
後ろを振り返るとマリはその天真爛漫な笑顔を輝かせていた。
「脅かすなよ」
「だって、木の後ろのハンモックで本読んでたら誰かさんの足音がしたんだよ?そうなったら脅かすしかないでしょ!」
そう言って彼女はきょうびみないようなピースをして「ニヒヒー」と笑っていた。見た目は清楚なのに子供心が隠し切れていない。
「昔と変わんないな、マリ」
その言葉を聞いた後マリはこの状態を察したのかハッと気づき、態度が変わったかのようにお淑やかな仕草で髪を耳に纏める。驚いた、こんな淑女らしいことがマリにもできるのか。
「どう?できてる?」
マリの質問にミヤはキョトンとした顔で
「昔と変わったな、マリ」
と今しがたしたコメントを掌を返して答えた。そう言って二人は笑ってしまった後、ひとまず落ち着いた2人の沈黙からミヤがその間を断ち切るように言葉を紡ぐ。
「とりあえず、また逢えてよかったよ。」
「今日も病院に来てくれたもんね」
「やっぱわかってたか」
「うん、でもなんも話してないからすっごく詰まらないよ。」
彼女の辛口コメントにミヤは思わず。
「あー」
と言い訳の合図を始めて、続ける。
「それはな、この時のために話題を取っておいてだな、ネタバレ回避しただけだ」
「んー、そゆことねー」
軽く会話を弾ませた後、ミヤはマリに今日の出来事をゴタゴタと述べていく。マリは聞き上手でちゃんと大事なところでちゃんとリアクションを取ってくれるおかげで話やすかった。
そうしてある程度の会話を終えるとマリはタイミングを伺っていたかのように話を切り出す。
「ねぇ、つりやってみようよ。あそこの。」
マリが指さした場所には直径10数メートル程の池があった。
「私さ、結構夢の世界にいるからここの草原については詳しいんだ」
「おー、面白そうだなって、魚は夢の世界にいるのか?」
「んーそれはやってみてからのお楽しみ!はいっはいっ!」
マリはミヤの背中押して強引に行こうとする。ミヤは仕方なく池の方へと向かった。果たして何か釣れるのだろうか。楽しみである。
「って釣竿はどっから?」
ふと疑問がミヤの頭を過った。それもそうだ、こんな夢の世界に都合よく釣竿なんてあるわけが無い。作ったにしては再現度が高い。
「もーミヤ、ここは夢の世界だよ?釣竿の一つや二つ作るのなんてへっちゃらよ」
「すごいな夢の世界。明晰夢すぎるだろ。」
「なんでもありって訳じゃ無いけど簡単なものくらいは作れるみたい、夢ってすごいね」
「ほんとだよ、こんなはっきりとした夢なんて一度も見たことないからテンションあがるわ!」
そう言ってミヤは早速その釣竿を池に投げ込む。手先が微妙な振動を感じる。
「おっ?」
どうやら魚が食いついたようだ。
「いや、早すぎるだろ、、、よっと」
ピョンっと池から魚がつりあがる。ミヤは魚を手に取る。釣れた魚はあまり目にしたことはない種の魚だった。なんなら
「池なのに海水魚っぽいな」
その言葉に後ろでギクッとしたマリが慌てふためく。
「べ、別にね、いるんじゃないの?海のお魚だって池ぽちゃすることもあるはず、、、」
おそらく彼女は夢の中で釣り堀を再現してくれたのだろう。ミヤが小さい頃によく川釣りを楽しんでいたのを知っていたからか、どこまでも憎めない奴である。
「ありがとな、マリ」
ミヤはそう言って暫くの間、池で釣りを楽しんでいた。
「ミヤ、ちょっと」
魚が食いつくのを待っていたときマリにいきなり呼び止められる。
「どした?急に?』
ミヤが振り向くとマリが手を後ろにしながら、ムズムズしている。
「あのね、えーと実はミヤが釣りしている間に作ったの、、」
「おぉ、何を?」
「ついてきて」
そう言ってマリは丘に向かって歩き出した。なるほど、道理で釣りしている最中マリがいなかった訳だ、丘で何か作ったに違いない。
2人が丘まで着くとそこには2つ綺麗に並んだ椅子とハンモックがあった。
「まじで、これ作ったのか?」
「んーそう!夢の世界だからつくるのとっても簡単で、、」
「まじか、めっちゃすごいじゃんか!いつからそんなDIYスキル身につけたんだよ!」
「フフフ、ありがと」
ミヤのシンプルな褒め言葉にマリは上品に笑いながら照れる。顔がニヤニヤしていた。わかりやすい。
2人は釣りを終えてハンモックでダラダラしていた。
「あのさ、俺やっぱお前といると落ち着くよほんと」
突然、ミヤが沈黙だった空間にメスを入れる。辺りは一気に夕日に染まりかける。ミヤにとっての気持ちはそれでいっぱいだった。気持ちはこれだけ。
「私ね、友達にはなりたくなかったの」
そう言った彼女の顔は夕日に染まって赤かった。
どこかの感情を隠してしまうように。声高は少し震えていた。ミヤはその答えに驚く。
そこまでの記憶しかミヤには残っていなかった。彼女の夕日が赤く染まる、そこまでの記憶を目覚めてから思い出す。そんな一日が幕を開けた。
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『染まるまで』/ indigo la End
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読んでくれてありがとうございます。まだ続きます。この小説の形態が良かったかどうか、物語のことなど、ぜひ感想をお願いします。もし良かったら続けたいと思います。