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カーネーション
私が初めて出会った花こそは
母の日のカーネーションだ
おやつのアイスを我慢して
貯めたお心遣いを握りしめて
近所の花屋に向かって歩く
「母の日のプレゼントなんです」
「千円分のお花をください」
フリルたっぷりのカーネーションを
ピンクの包装紙に赤いリボンで束ねてある
お姫様のドレスみたいなその存在は
まさに愛情の象徴のようで、少し震える
133センチのカラダで大事に抱えた花束を
渡し終えて安堵のため息をついて
作りおきの麦茶を一息で飲み干した記憶
そんな思い出のある花