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囚人ちゃんと盲目お嬢  作者: 睦月微糖
2/16

食には勝てない

あの咆哮が森中に響き渡った数分後。




バルトスカ監獄の唯一外の世界を見下すことが出来る訓練所にて2人の看守が中央でうつ伏せている赤色の龍を囲むように様子を伺っていた。




「ふむふむ、今回の結果も上々……と」


「うぇぇ……斑目先輩、耳栓してたのにまだ耳がキーンとしますよぉぉ……」




潰れた耳栓を持ちながらフラフラと歩く気の弱そうな小柄な看守の前を、斑目(まだらめ)先輩と呼ばれるガタイの良い看守がバインダーに挟まれた記録用紙に記入しながら目を閉じる龍に近づく。




「おいNO.1046、本日の実験は終了だ。すぐさま自分の牢屋へ行け」




声をかけると龍は目を開け斑目達の方を見たが気だるそうに目を閉じた。




「NO.1046、聞いてるのか?」




再び声をかけるが全く反応なし。




「斑目先輩!ここは僕に任せてください!」


「おいおい(つばめ)"ここは僕に任せてください"と言っても簡単に野郎を起こせるもんじゃな」


「NO.1046さーん!今日の晩御飯、サーロインステーキが出るそうですよー!」




燕が大声で龍へ晩御飯の事を伝え終え、これで起きるでしょ!というようにガッツポーズを取ると突然燕の頭から激しい痛みが感じたと共に視線がグラグラと歪む。痛む頭を擦りながら顔を上げると右拳を撫でる斑目がいた。どうやら殴られたようだ。




「馬鹿野郎!そんなこと言って起きる奴なんてよっぽどの大食いぐらいだろうが!」


「イッタタタ……でも斑目先輩、僕の同級生の居眠り大好き優月(ゆづき)君はそれで起きてましたよ?」


「龍と人とは違うだろ、て優月君って誰だよ!?」




時間が経つにつれて徐々に痛みが増す殴られた部位を撫でながら渋々斑目の話を聞いていると、反応ありだったのか龍がゆっくり目を開きながら人間の数十倍の大きさがある体を起こし始め欠伸をする。そして猫のように体をしばらく伸ばしていると、パキパキと音を立てながら龍の姿形が変化していく光景が燕の視界に飛び込んでき、思わず悲鳴をあげてしまった。




「おい燕っ!どうした!おい!!」



突然部下の悲鳴に驚いた斑目が何で驚愕してるのか分からない燕の肩を掴み、落ち着かせようと燕を揺さぶると震えながら斑目の後ろを指さした。




「う、うし、うしっ……っ!」


「うしぃ?牛がどうし」




"た"と言い切ろうとした瞬間、突然燕の肩を掴んでいたはずの斑目がコマ送りアニメを見てるかのような残像を残しながらバインダーと共に監獄の内部に繋がるドアがある壁の方角に吹き飛んだ。




「え、あ、せ、せせん……せんぱーいッ!?!?」




何が起きたか理解出来てない燕は急いで壁に埋まってる斑目とその足元にいとも容易く折れ曲がったバインダー&ぐしゃぐしゃの記録用紙の元に向かった。




つもりでいた。




つもりでいたが、何故か出来ずにいた。




「……うぅ、ぐえぇ……」




斑目の元に行こうとしていた足は地面を蹴らずに宙に浮かび、呼吸がままならずにいる。何とか酸素を取り入れようと口を大きく開けようとした瞬間、燕の視界に赤毛のショートヘアの人物が下を向いた状態で胸倉を掴んで持ち上げている姿が見えた。




その人物は燕の胸倉を掴んだまま、ゆっくり顔を上げると非対称の瞳を燕に向ける。




「……今日の晩飯にサーロインステーキ出るって、本当なのかい?つ・ば・め・くぅん??」






いたずらっ子のような表情を浮かべながら燕に問いかけた。

とりあえず看守さんの設定を軽く乗せておきます


巣本燕(すもとつばめ)

新人看守、上から支給された拷問器具もまともに扱えない気弱な男

たまに監獄の定食に出るミルフィーユを唯一の楽しみにしている



斑目鷹久(まだらめたかひさ)

新人教育を任されている看守、新人教育を任される前は自害した実験達の処分を担当していた

自分の思い通りにいかないと気が済まない男




こんなもんですが、どうぞよろしくお願いします

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