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異世界で出会った男の子 2

こんにちは!といです。


今回は書いてて楽しかったです!





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月曜日

罪人………?

私と同じくらいの歳なのに…?


一体、なにをしたんだろう……。


呆然と立ちすくす真冬を見て、その男の子が口を開く。



「……まず、名前をなのるね。

僕は、あかつき新太あらた


「私は、七瀬真冬」


「君は、どうしてここに…?」


「あーーー………」




どうしよう。別の世界から来たこと、隠した方がいいのかな?

でも、罪人がいる部屋なんだよね?ここは。

記憶をなくしたことにしよう。



回答に時間のかかる真冬を、新太は不思議に見つめた。



「き、気づいたらここにいたの。

家も覚えていない」


「記憶喪失………ということか」


「そうだね」


「………なら、ここがどこか、分からないだろう。

ここは………そうだな、『僕の部屋』というのが正しいかな」


「………?

新太専用の部屋?」


急に「新太」と呼び捨てで呼ぶ真冬に驚きつつ、「そうだよ」と答えた。


「…罪人に、部屋なんてあるのね。

それも、1人で使える」


失礼なことをいうなぁ、と思いつつも新太は怒りを抑える。


うーん、広くない?

王室の広さだよね。


※真冬はヲタクです。前にプレイした恋愛ゲームの王室と同じ、ということです。


「………異世界、いいかも」


ぽつり、とつぶやいた真冬の一言に、新太は目を見開く。


「異世界………?」


「…あっ!いや、いいせかい……なんちってっ!」


急にボケた真冬のこの意味不明なボケであろう何かに対し、新太はフフと優しく笑う。



「そうだったね。記憶喪失してたんだっけ」


「う、うん」


「ここは、誰か入る時には必ずノックされるから、ここにいるといい」


「ありがとう…!」


罪人って本当?こんなに優しいのに…。

どんな罪を犯したのか……聞いてもいいのかな?


「………新太……は、どんな罪を………犯したの……?」



「僕はね……、うーん……。

王族に歯向かったんだ。それで、今はここに」


「王族に…歯向かった?

そんなことで?」


「そうだね」


「家族とも、友達とも会えないんでしょ?

もちろん、ゲームもっ」


「………ゲーム?」


家族と友達は拾わず、新太はゲームを拾う。

それに不思議な思いが芽生えた真冬だったが、気にせずにいた。


「ゲームは、出来るよ。これでもしてろ、ってね」


「そうなんだ……」


「うん。真冬………は、ゲームすきなんだ?」


『真冬』と呼び捨てで呼んで頬を赤らめた新太がなんだか、弟のように思う。


「好きだよ」


「やる?まぁ、少ししかないんだけどね」


新太に「こっちだよ」と案内される。


扉を開けて、また扉を開けて、また扉を開ける。


その間にも、大きな浴室とふかふかであろうベットがあった。


さすがに、ヲタクでニートの真冬でも分かる。

明らかに、罪人の部屋じゃない。



「……今までの部屋って、全部新太の部屋?」

「そうだよ。というか、この階全部かなぁ」


「この階ぜんぶっ?!」


大きな声で叫ぶ真冬に、新太はクスッと笑う。


「何をそんなに驚いているの?普通でしょ?」


「ふっ、普通じゃないよ!」


「え、そう?」


「当たり前でしょ!!」


「あぁ、真冬……っは、記憶喪失だったよね」


未だに呼び捨てが恥ずかしいのか。


「………ん」


「?」


そうか、ここは異世界じゃん!

なら、階ぜんぶ自分の部屋って有り得るのか?



「…あ、ここだよ。少しだけど」


「えっ?!」


壁一面に本棚が置かれて、本棚にはぎゅうぎゅうにソフトが置かれている。


少し大きめの棚には、ゲーム機が何十台と並べられている。


「す、少しじゃないって!」


!!真冬のテンション上昇中!!


正人まさと兄さんと春姉さんのが、もっとあるから……あっ」


「お兄さんとお姉さんがいるんだ?」



あ、待って。今は会えてないんだっけ?



「待って、今の…忘れて!全部!特に、なま…え………」


新太の心

待った、すっごく怪しいよな!

特に名前!とかさ!



「いや、なんでもない」


どうせ、すぐに忘れてくれる…。



「春姉さんと正人兄さんって、なんだか覚えやすい名前だね!」


オーマイゴット!!



「そうでしょー…。自慢なんだーー………ははっ」


明らかに棒読みな新太を変なやつ、と認識した真冬は「まぁ、ともかく…」とゲーム機を手にする。



「このゲーム楽しそ…………う………」


ん?何語ですか、これは!


そうか!日本語じゃないのか。


「あーーー……やってみたいけどーーー………お腹すいたなぁーーー」


「あ、お菓子あるよ」


「なになにー!」


「コウモリの血が乗ったフィナンシェ」


フィナンシェは私でもわかる。

でも、コウモリの血って?!


美味いの?!それはっ!!



「美味しくはないけど、クセになるよね」


美味くないんだね!へぇ!


「チョコレート食べる?コウモリの血いりの」


おおいですねぇ、血!


手渡されたのは、真っ赤に染まるチョコ。


「うわぁ、真っ赤だねぇ」


「さっき入れたばっかなんだ」


わざとなんだね?!血は!


とはいえ、食べないと申し訳ないよね。


パクッ。


「………」


うん、コウモリの血って食べたことないけど……

これは、コウモリの血ですね。


「美味しい?」


「…くはないね」


コンコン


扉をノックする音が聞こえた。



「?」

最初に、新太が気づいて次に真冬が気がついた。


「ちょっと出てくる。真冬は……うーん、そこのクローゼットに隠れてて」


新太はクローゼットを指さした。


「うん」


扉を開けると、コンビニくらいの広さが真冬を驚かせる。


「ええっ?!広くない?!」


「大きな声は控えめで……!アイツ、勘鋭いから…」


「誰か分かるんだ?」


「うん、完璧にね」


「すごく仲がいいんだね」


「まぁ」



扉を開けると、金山かなやはやて

………と、可愛らしい女子、花森はなもりカナ。


颯は着慣れない黒スーツを着ている。

カナは肩まで伸びた栗色の髪の先をくるんと丸めている。

ゆるカワ系でピンクと黄色の淡い色のワンピースの袖を触ってソワソワしている。

「あっ、よう!新太!」


「新太くん!久しぶりぃ〜」


「よう」


「でね、というのもぉ〜、そろそろぉ、カナの気持ちに応えて欲しいなぁ〜って」


「……オレは、ムリ。

颯にでも応えてもらえ」


「え?なんで颯?」


「なぜだろうな。なぁ、颯?」



「………っ、お前なぁ………っ!」


「でも、好きな人はいないんでしょ〜?」


「…………………………」


すぐに答えを出せない自分にアレ…と思い、新太はすぐに

「いない」

と言う。


「フフ、よかったぁ。なら、まだ大丈夫ね♪」


自覚アリぶりっこのカナは、王宮での評判もあまり良くない。

ぶりっこだし、罪人が好きだなんて…と皆から変人と言われている。本人はちっとも気にしていないからいいものを。


「………ところで。女の匂いがするんだが?」

颯は鼻をクンクンとさせて言う。


「なっ!」


「石鹸……。清楚系だな」


「ちがう…!」


「ほう?少し部屋に入らせてもらおうか」


「女っ?!なんですって!

この私がいるというのに……?!」


ずいずいと新太を押し避けて二人は入っていく。


「ちょっ………!」


「うん。このクローゼットが怪しい」


「やめろ………!」


「石鹸?!新太、柑橘系が好きなんじゃなかったの?!」


一つ会話を遅れているカナも、クローゼットの前に立つ。


「いっせーのーせっ!」


「きゃっ?!」


あぁ、見つかってしまった。


「ん?この服からだな。うん」


颯が真冬の服を掴んで嗅いだ。


「やめろ………っ」


「なんだ?好きなのか?

まぁ、確かにかわいいな。カナよりも」


「むぅ。でも、たしかにかわいいわね。

でもぉ、私よりってのはないんじゃない?」


カナは新太の様子を伺いながら言う。


「……………」


新太は俯いてばかりで話そうとしない。

呆れた颯は話し相手を新太から真冬に変えて話す。


「………名前は?」


「真冬」


「オレは颯。で、これがカナ」


「……………」


「肌白くないっ?どうしてっ」


急にカナが話す。



「あ、いや………」




そこに。


「どうしました。話し声が聞こえたんですが……」


暁家に仕える執事が扉から顔を出す。


「あぁ、皆様いらしていたんですね。

あれ?そちらは……?」


ヤバいっ!


事情を知らない颯とカナを除いて、

真冬と新太は身の危険を覚えた。


新コーナー!

新太の日記


今日は、真冬とあった日。

最初はすっごく可愛いなぁ、という。


真冬はオレが王族で王子であることを知らない。


知ったら、多分『新太』なんて呼んでくれないだろうし。


兄さんと姉さんの名前を言っちゃった時は、

ヤバいって思った。


忘れてくれますように。


執事も、ノックせずに入るなんて無礼な。


一応、罪人でも王子なのに。

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