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エピローグ


 《レイビアの手紙》

 

 ―――拝啓 ヨツバくんとビオラちゃんへ


 新学期に向けた長期休暇に入っただけなのに、なんだか寂しくなったので、こうして手紙を書くことにしました。

 知ってると思うけど、私とアーサーくんは私の故郷、ネーフィに帰省してます。

 帰った日は本当に凄かったよ。村中大騒ぎで、隣とお向いのオバさんなんて泣き始めて止まらないから大変だった。花嫁衣裳まで引っ張って来た時は流石に怒ったけどね……。

 アーサーくんは、ハロルド叔父さんを相手にずっと、剣の稽古をしています。私から見ればもう充分強いと思うんだけど、まだまだ足りないみたいです。

 そうそう、そう言えばこの前ミヤビさんが遊びに来ました。お休みを利用して、世界中を旅してるらしいです。魔術を使えば一瞬なのに、わざわざ歩いて回ってるみたい。でも、とっても楽しそうだった。

 ……なんだか、“私”って書くのも慣れないね。皆の前でも使うようにはしてるんだけど、皆ニヤニヤして笑ってて恥ずかしい。学園に戻った時には、もっと自然に使えてるといいな。

 最後になったけど、アシレイ様がヨツバくんのこと心配してたよ。でも、よくやったって褒めてた。詳しくは直接言いたいから、ゲームの対戦がてら来い! ってさ。

 それじゃあ、まだお休みは長いから、ヨツバくん達も楽しんでね!


 レイビアより



―――――――――――――――――――――



 《ビオラの手紙》


 ―――レイビア様へ


 お手紙ありがとうございました。

 本来なら、マスターが書くべきなんでしょうけど……、未だ文字が書けませんので、私が代筆させていただきます。

 文面から、レイビア様の楽しそうな様子が想像でき、私も嬉しく思いました。引き続き、長期休暇を楽しんでください。

 

 学園は相変わらず平和な日々が続いています。

 ウィリー様やロザ様は、来年の“闘技会”へ向けて、今から新しいロボットを造り始めていました。どうやら、お二人が乗って直接操縦する、“巨大合体ロボ”なるものを目指しているらしく、今は足部分に奮闘しています。……既に部室より巨大なので、本当に完成するかは分かりません。

 ハヤト様は自室にこもって魔術の研究に勤しんでいます。もうすぐオリジナルの魔術が完成するそうで、上手くいけば精術士の夢に一歩近づくと仰っていました。

 私としては頑張っていただきたいのですが……、上階であるマスターがわざと騒音を出しているせいで、なかなか集中できないようです。

 ミヤビ様の件ですが、私達も絵ハガキをいただきました。といっても、手渡しでしたが………。

 種を明かしてしまいますと、確かにミヤビ様は徒歩で旅をしています。しかし、野宿は嫌なようで、日が暮れると“瞬間移動”で自室にまで戻ってきているようです。……なので、ほとんど毎日顔を合わせています。

 そして、マスターですが―――



―――――――――――――――――――――



 「なぁに、書いてんだよ」


 ビオラが机に向かって、何か熱心に書いていたので、取り上げてみる。


 「レイビアさんへの手紙です。まだ書いてる途中なんですよ」

 「なるほど……、ま、読めないけどな」


 ビオラが、返してほしそうに手を伸ばしているので、意地悪せず紙を机に戻した。


 「それより行くぞ。もう時間だ」


 俺が顎で時計を指すと、ビオラは思い出したかのように立ち上がる。

 ビオラの準備ができると俺達は、学生寮の裏にある、公園へと向かった。



―――――――――――――――――――――



 「遅い! なんでアンタが私を待たせるのよ!」


 公園に着くと、いつものやかましい声がこだました。


 「時間通りだろうがよ、ウルカ」

 「そういう事じゃないわよ! アンタがお願いしてきたから、わざわざ来てやったのになんで待たせてんのって話よ!」


 鬱憤を晴らすように、俺の足元にゲシゲシと蹴りを入れるウルカ。

 シャルロットさんは、その様子を見てさも嬉しそうに微笑んでいた。

 女神 グアリーとの一件以降、かなりゴタゴタが続いたようだが、最近になってやっと落ち着いたらしく、今はこうして、ウルカに再び俺のコーチとなってもらっている。

 そう、俺はまた魔力の特訓を始めたのだ。

 唯一無二の“純黒”が流れているとは言え、総量は実戦レベルではない。……となれば、特訓して量を増やすしかないだろう。


 「そ、それより……、どう?」


 ウルカが見せびらかすように、くるりとその場で回転する。


 「似合ってる?」


 赤面しながら首を傾げているが、何のことか全く不明だ。俺が何も言わずに黙っていると、ビオラが耳打ちして教えてくれる。


 「あ! 制服か!」

 「今更気づいたの?! 休み明けから入学すのよ」


 ウルカが驚きで肩を落とす。

 彼女は、俺やビオラと同じ、ヴァルーチェ魔術学園の制服を身にまとっていたのだ。

 いつぞや滅んだ女神との契約で、“黄金魔術”以外が使えなかったウルカが入学するという事は……、本当にあらゆるシガラミから解放されたということだろう。


 「良かったな……ウルカ……」            


 きっと、誰よりも魔術が好きな彼女が、やっと自由に詠唱できるようになる。……まるで自分のことのように嬉しく思えた。


 「喜びなさい。これからは学園にいても特訓できるわ。さぁ、今日の分始めるわよ」

 「へいへい……」   


 これからも俺は詠唱し続けるのだ。

 ―――誰にも聞き取れないくらい“早口”で。

  

これにて、この物語も完全完結です。

前作の“能力事情”に引き続き、2つ目の完結作品になります。

しかし、前作より長く、文字数も倍以上あるというのに何故かやり切ったと言う気持ちにならないのです。なんだか不思議な気持ちでこの後書きも書いています。

ヨツバの物語にこれ以上続きはありません。他キャラの番外編とかならともかく、ヨツバが主人公として登場することはないでしょう。

自由奔放で最後まで欲望に忠実だった彼がいなくなるのは寂しいですが、彼のお陰で最後まで楽しくかけました。また別の話に、違う設定で登場とかさせてみたいです。

キャラ一人一人の思い入れを書いていきたいのですが、下手したら本編並みに長くなってしまうので、私の心に閉まっておきます。


改めて、ここまで……しかも後書きまで読んでいただきありがとうございました。私が書きたいものを書きたいままに書いた、自己満足の塊のような作品でしたが、楽しんでいただければ幸いです。

作品の感想、疑問点等ありましたら、出来る限りお答えしますので、その場合は感想欄かTwitterにでも送ってください。今後の励みにもなります。


最後になりましたが、次回作についてです。


投稿を始めて約三年がたち、これで2作目が完結しました。

そろそろ、どこかの賞に投稿してみようかと思っています。なので、ここでの連載は少しお休みになります。……と言っても何処の何に投稿するかも決めてないので、普通にこのサイトで連載するかもしれません。

何か情報がありましたら、Twitter等に載せる予定ですので、気になる方は確認してみてください。ツイートは止まってますが、見てはいますので。チスペレで検索すれば多分出ます。


どう転ぶかは分かりませんが、年内には新作を投稿すると思います。その時はまたよろしくお願いします。多分SFです。


では、またいつか近いうちに会えることを願います。


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