理想のタイプ(3)
「彼女ねえ・・・」
考えたこともなかった。
今も考えていない。
女の子と話をすることはあっても、特定の人とということはなかった。
もちろん話しやすい人はいたけれど、それだけで彼女ということではないし。
でも、見つめられると恥ずかしい。
きれいな整った顔。
肌もきれい。
服装もいつもシックで上品。
何より、チャラチャラした軽さがない。
ブランド品で飾り立てる女性は好きでない。
車とか宝石とか物の自慢をする人も嫌い。
自分の親とか親戚とか知人の自慢をする人も嫌い。
それは、偉い人が偉いのであるし、その人が何を出来るのかとは、関係ない。
でも、この人は違う。
優しいし、思いやりとか機転がすごくよくきく。
何度も、困った時に察してくれて助かった。
今回の「カエサル攻略本」も「天の救い」かと思った。
でも、答えないと・・・
「彼女は・・・」
少しドキドキする。
じっと見つめてくるし・・・
真顔だし・・・
「今は特に・・・」
やば・・・今は が余分だった。
もともと、いないし・・・
「へえ・・・」
にっこりと笑ってる。
わあ・・・
花が咲いたような笑顔だ。
「白檀の練香水は、もともとお香とか好きで・・・」
「というか、親から教わったんだけれど・・・」
うまく答えられないや
「うん、いいなあ・・・うらやましいなあ・・・」
「ねえ・・」
花の咲いた笑顔が見つめてくる。
「夕ご飯一緒しない?」
「もっとお話ししたくなっちゃった」
いつの間にか手を握られている。
理想のタイプ(4)に続く




