理想のタイプ(2)
「ドキドキするなあ・・」
男の子に声をかけるなんて、小学生以来だ。
ちょっと恥ずかしいけれど、あの子寝てたし。
どうしても隣に座りたかったから座ったんだ。
そもそも、駅で見かけたから、追っかけてきた。
まあ、全く気が付かないし
しゃくだから、少し離れていたら、ますます気が付かない。
そういう対応されると、ますます気になる。
まあ、どうみてもスポーツマン系でない。
体育会系の粗野さはない。
そうかといって調子よくペラペラしゃべる軟派お兄さんでもない。
もともと、そんな男は嫌いだ。
周りに女の子ハベラせて得意がる男も嫌い。
そういう体育会系も、軟派お兄さんも、大した知識もないし、物事深く考えないし、自分中心なヤツが多いし、結局ゴーマンだし。
でも、この子はちょっと見ではわからない、いい雰囲気。
一緒に座ってて、黙って座ってても、ホッとするし癒される。
書く文章も、面白い。
古今、新古今の歌をサラっと文に入れたりする。
どういう勉強してきたんだ?
歴史とか音楽、グルメとか、話し始めると、周りがあの子に寄って来る。
可愛い女の子だと、ちょっとあせる。
特にあの子が笑う、大口あけて笑わないけれど、ふっと笑ったり、ニコッと笑うと、ドキッとして、そして幸せになる。
他の女の子もそんな風に感じてるのかな・・・
とりあえず、電車の横の座席はゲットした。
今は、独占だ。
あれ?
不思議な、でも好きな香りがする。
聞いてみることにしよう。
ちょっとドキドキするな。
「ねえ、何かつけてるの?香水みたいなの?」
「え?ああ・・・少し」
また、普通の顔して答えるし・・
「なんか好きな香りだけれど・・・」
しつこいかな、でも聞いちゃう。
「ああ、白檀の練香水」
まあ、なんて本格的な、マニアックな・・
でも、誰に教わったんだろう・・
すっごく気になる。
「どうして、そんないいもの持ってるの?」
少しドキドキする・・・聞いちゃう
「もしかして、彼女から?」
「え?彼女?」
表情を変えないし、まったく気になってしかたがない。
理想のタイプ(3)に続く




