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プロローグ
プロローグ
「はあ。はあ。」
僕は走っている。悲しみに突き動かされて。悲しみ?なんで悲しいのだろう。そんなことを考える余裕を持たないほど切羽詰まっている。額が雨に濡れて前がみにくい。僕は今、どこに向かっているのだろう。
目の前の歩道橋をわたろうとした時、ふと視界に赤色の蝶が入った。雨の日でも蝶は飛ぶんだな。ヒラヒラと自由に舞ってるその姿が羨ましい。僕は走り続ける。そして歩道橋を駆け降りる。
「うわっ!?」
足を滑らせてしまった。まずい。確実に着地に失敗する。そんな中、視界にさっきの蝶が入ってきた。その蝶は街路樹であるイトスギにとまった。なんとなくイトスギの花言葉を思い出そうとする。花言葉は確か___