第一話
ここは大都ローカデアス。
この世界の中心と言っていいほどの大都市である。
中世ヨーロッパを沸騰させる建物が立ち並ぶ街で、世界一美しい街でも有名な場所だ。
ローカデアスの名物である中央ローカデアス通りは、年中お祭り騒ぎのように盛り上がっている。
住民はもちろん、旅人、商人、大道芸人等様々な人が訪れるこの街には世界中からたくさんの物が集められ売買されているのだ。
道の両脇ではこれでもかというほどに店がひしめき合い、客を集めようと店員が声を張っている。
この光景には覚えがある。
そう、無理やり妹に連れていかれたショッピングモールだ。
「全品20%OFFでーす!」とか「今からタイムセール始まりまーす!」とか。
その度に目を輝かせながら突っ走っていく妹の背中を追いかけたっけ。
目を離すとすぐに迷子になるからお守りも大変なんだ。
なんて話はおいといて。
その数ある店の中に俺の店【ジョリーシャト】がある。
フランス語で素敵な猫という意味だ。
と言っても、フランス語なんてわかる人はここには居ないわけなんだが。
街中に大鐘の音が響き渡る。
街の中心にあるベネトリ大広場の時計塔の鐘の音だ。
時計塔は200年前、この大都ローカデアスが出来たときに造られた時計で、動き始めてから一度も止まることなく時を刻み続けているそうだ。
この時計塔は、決まった時間と深夜の時間帯以外は一時間ごとに一回鐘がなるようになっている。
この世界では壁掛け時計はあるのだが、持ち歩けるサイズの小さい時計は無いのだ。
外にいる人にでも時間の経過がわかるように時計塔の鐘が鳴るらしい。
時計塔の鐘が2回鳴り響く朝の10時、この鐘の音を合図に俺の店は開店する。
それがこの世界に来てからの俺のいつもの日常だ。
そしてこの日から、本格的に俺の勇者としての【制服の為に世界征服】が始まる。
「いらっしゃいませ!皆様に安らぎのひと時をお届けする【ジョリーシャト】へようこそ!!」
異世界パンチラの前に書いた物です。
異世界パンチラを全力で書いているので更新が途絶えると思います。