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エレメンタルアイ(下)

登場人物

ジェームズ・ハワード…第64代アメリカ合衆国大統領

リチャード・ハウゼン(ジェームズ・マクシミリアン)…世界の魔法使いのトップ、三賢者の一人でスタネールの大賢者とよばれている

鳴沢英治…脳科学の権威でワールドファンタジアのデータはほとんど頭に入っている

ケビン・ハーパー(ロビン・エルフォード)…エレメンタルアイの異名を持つ世界№1の弓使い

オーデラン国王…ハラル共和国国王、各国に講和路線を広めている温厚な国王

ザッハ将軍…キシェロ公国№1の将軍、真面目で融通の利かない面もある

ソコナレフⅢ世…キシェロ公国の国王

コリナール王子…キシェロ公国の第一王子、ちまたでは馬鹿王子と言われている

ゲベル将軍…グランシア王国の新しい司令官優秀だが性格はゲス

オルベルト参謀…非常に優秀で広い知識を持っている、他国より高額で引き抜かれた



ゲベルが待ちきれないとばかりにソワソワしている


「参謀⁉︎モンスターの準備はまだか?」


「今準備が整いました、号令を」


ゲベルはまたゲスなことを考えている


『ハラルにキシェロ,さらにスタネールの大賢者を倒したとなると


 さらに愛人2人いや3人はいけるなグフッ』


「ディアブロコングを放て‼︎」


数人のトレーナーが一斉に指示を出す


「行きなさいコング全てを叩き潰してやりなさい‼︎」


20頭のディアブロコングが一斉に走り出し城壁にへばり付く


『ディアブロコングは通常の弓矢などでは全くダメージを受けない


 唯一不安だったのが”エレメンタルアイ"がいた場合だったのですが


 どうやら北側にいるようですね、打つ手なしでしょう


”スタネールの大賢者”私の勝ちです‼︎』


オルベルトがほくそ笑む、それに合わせるかのように


グイグイ城壁を登るディアブロコング達


「今です熱湯を‼︎」


ハウゼンの号令で一斉に熱湯を下に落としていくハラル兵


「ギャゴワーー‼︎」


顔を押さえながら城壁から次々と落ちていくディアブロコング


ゲベルもオルベルトもなにが起こったかわからない


ディアブロコングを心配してかけよるトレーナー


「何があったのか直ちに報告せよ」


ゲベルが叫ぶ、オルベルトも一刻も早く報告が聞きたかった


『なにが?一体なにがあったというのだ?』


オルベルトは混乱していた勝利を確信していたからである


そこに伝令の兵が走って来た


「申し上げます敵軍は我が軍のモンスターに対して熱湯を使った模様


 現在各トレーナーがモンスターを鎮静化させるのに奮闘しています


 以上‼︎」


ゲベルは愕然としてその報告を受けた


「熱湯だと・・・おい参謀‼︎あのモンスターの弱点を


 相手は知らないんじゃなかったのか⁉︎」


オルベルトはゲベルの言葉が全く聞こえていない様子だった


顔面蒼白で目は虚ろずっと独り言をぶつぶつ言っている


「なんで知ってる、なんで知ってる・・・ありえない、ありえない


 どうしてわかった・・・どうして・・・」


チッ⁉︎ゲベルが再び舌打ちをする、すぐさま指示を出す


「戦線を立て直す、2キロ北まで一旦後退する」


ハウゼンがつぶやく


「今ですね、スモーク‼︎」


ハウゼンの言葉と同時に黒い闇が一気に広がるりグランシア兵が混乱し


騒ぎ出す、ゲベルが必死に立て直そうとする


「静まらんか⁉︎全軍秩序を守って行動せよ‼︎」


そのころグランシア兵に擬装したビリー達が城壁を降りて来た


全員が降りたところでロープを2回引っ張り合図を送ると


垂らされたロープは全て巻き戻されていった


「さて行くか⁉︎」


ビリー達は暗闇でほとんど視界がきかない中慎重に進む


闇が段々晴れて来て少しづつ視界が良くなると足音を立てないように


素早くトレーナーの元に駆け寄る、そして左手でトレーナーの口を塞ぎ


右手のナイフで一気に急所を突いた、一人のトレーナーに対して


数人の特殊工作兵が視界の悪い中意表を突いて襲うのだから


トレーナー達はなす術もなく次々倒れていった


闇が完全に晴れた頃ディアブロコングが暴れていた


制御を失ったのと熱湯の痛みで錯乱しているようにすら見える


周りのグランシア兵は散り散りに逃げ出す、それに便乗して


ビリー達も撤収した、その有様を見てゲベルが叫ぶ


「トレーナーはなにをしておる早くモンスターをなんとかせんか‼︎」


そこに伝令の兵が来て


「申し上げます我が軍のトレーナー全員が何者かによって


 殺されております」


「全員?誠か?」


「はい、全員死亡が確認されております」


あまりの事にまた愕然とするゲベル、振り向くとまだ正気でない


オルベルトがぶつぶつ言っている


「まだだ、まだ兵の損失はほとんどない立て直しさえすればいける


 まだ終わらんよ‼︎」


下の光景を見ていたハウゼンが鳴沢に尋ねる


「鳴沢博士、最近のグランシア軍の敗戦の内容を知りたいのですが


 わかりますか?」


「ワシもくわしくは知らないがアミステリアに負けた時は


 陽動されて挟撃されて分断されて各個撃破されたらしい」


「それは、散々ですね・・・でガルゾフの方は?」


「ガルゾフに負けた時は魔法によって撹乱されバルザークの


 得意呪文でドカン 統制を失った軍に掃討作戦で詰みじゃ」


考え込むハウゼン


「やっぱりそっちでいきますか…不本意ですが…」


ハウゼンは憂鬱な気分で呪文詠唱をし始めた


『こんな気分で呪文詠唱をするのは初めてですねぇ


 バルザークの呪文は確か暗黒系と爆炎系の融合でした


 以前しつこくからんできた時もなんだかその呪文の事も


 自慢していたと思いますが・・・聞き流していたものですから


 全く覚えてないんですよねぇ 正直暗黒系はあまり得意では


 ないですが自分なりにアレンジして作ってみますか!?』


「炎の精霊偉大なるボルケリオスよ闇の精霊偉大なるゾギアス


 よ我は願い訴えん 灼熱の激情を刃に 漆黒の劣情を飢えに


  天界の聖人に闇の爆炎を与えん 憤怒の果てに絶望の炎をまとう


 死の精霊に君を捧げん バルゲナリ・ド・フェイス‼︎」


グランシア軍の中央部に巨大な火柱が上がりその周りに黒い闇が渦巻く、


それを見たグランシア兵が悲鳴をあげる


その光景を見たハウゼンがボソリとつぶやく


「恐怖というのは中々払拭できないんです


 しかも厄介なことに恐怖は伝染するんですよ」


「馬鹿な〜あれはガルゾフの時の!?ダメだ‼︎」


「あれで何人死んだと思ってるんだ⁉︎逃げろ‼︎」


「嫌だ死にたくない、死にたくない‼︎」


ハウゼンの呪文はグランシア兵を飲み込んでいく


恐怖で逃げ出すグランシア兵 ハウゼンが指示を出す


「さぁ出番ですよ、一番美味しいところです、存分に


 食べ尽くしてくださいな」


重武装槍隊のラウル隊長が笑いながら舌舐めずりをする


「待ちくたびれたぜ、おかげで腹ペコだ」


グランシア軍はもはや軍隊とはいえない状態である


そこにハウゼンの声が響く


「門を開けよ今から掃討戦を開始する‼︎」


南門がゆっくり開き全身鎧で武装した槍隊が現れる、ラウルが叫ぶ


「テメエら久々のご馳走だ食べ残すなよ‼︎」


混乱するグランシア軍に重武装槍隊の長槍が次々と襲う


グランシア軍が面白いように掃討されていく、そんな中ゲベルが叫ぶ


「お前ら逃げるな‼︎戦え‼︎それでも偉大なるグランシア兵か⁉︎」


ゲベルの周りは我先に逃げ出す兵士ばかりだがその兵士達の一部が


爆発したかの様に吹き飛ぶ、なにがあったかわからず覗き込むゲベル


そこには返り血で真っ赤の鎧兵士ラウルがいた


恐怖で一言も出せないゲベル


「お前指揮官だな⁉︎いただきます‼︎」


笑いながら槍を構えるラウル それがゲベルの見た人生最後の光景であった





北側は膠着状態であった、元々キシェロ軍は10000人しかいないので


単独での攻城は考え辛い にらみ合いが続く中コリナールが


「ザッハこのままにらみ合いも変だろ⁉︎少し仕掛けるか⁉︎」


ザッハが慌て忠告する


「何を言い出すんですか王子⁉︎我々はあくまで牽制です


 ハラル軍の一部をこちらに引きつけておく為にいるんです


 そもそも我が軍10000人ではジゼル城は落とせません‼︎」


「そんなことやってみないとわからないじゃないか⁉︎」


呆れるザッハだがなんとか説得しようと試みる


「いいですか王子⁉︎今回は我が軍はにらみ合いでハラル軍を分断して


 引きつけるだけで充分なんです、グランシア軍が南門を破るか


 ハラル軍が南門に援軍を送り始めこちら北門が手薄になった時のみ


 攻撃に移れるんです、ここで動くとグランシア軍にも迷惑が


 かかるんです‼︎」


コリナールが不満そうな顔で


「でもさこちらが攻めたら向こうは北門と南門の両方で


 戦わなきゃいけなくなるんだろ?それにこちらが


 北門を破ればグランシアも助かるじゃん」


「ですから我が軍が負けたら台無しになるんですってば


 今は一兵でも損なう訳にはいかないんです‼︎


 わかってください‼︎」


「なんで戦う前から負けること考えるのかなぁそんな考えだから


 負けるんじゃないの?必ず勝つんだよ‼︎」


「ですから王子‼︎考えとか気持ちじゃなくて現実に10000人


 でジゼル城は落ちません、これは常識なんです‼︎」


「常識を打ち破ってこその伝説だろ⁉︎よし決めたジゼル城を落とすぞ‼︎」


「王子お考え直しを⁉︎」


「うるさい‼︎もう決めたことだ、ただちに投石機の用意をしろ‼︎」


投石機が前面に出て来て投石の用意を始めるキシェロ軍


それを見たハーパーが


「ん、まさかあれで攻撃してくるつもりか?


 噂通りの馬鹿王子だな、んじゃあまぁやりますか」


ハーパーはアルテミスボウを引きしぼり矢を放つ


投石機を準備していた兵の頭に矢が刺さる


それを見た近くの兵がア然とする なんでこの距離で・・・


そんなことを思っていると次々と兵の頭に矢が刺さり倒されていく


コリナールは呆然としてしまう


「なんであんな距離から矢が飛んでくるんだ?あそこから届くなら


 なぜ今まで打ってこなかったんだ??」


ザッハが慌て指示を出す


「投石兵は至急下がれ‼︎盾兵、投石兵を守れ早く‼︎ 


 王子わかったでしょうあれがハラルの誇る


 ”エレメンタルアイ”なんです」


「でも今まで打ってこなかったじゃないか⁉︎」


「この時を待っていたんですよ、もしかしたらもっと


 射程距離は長いのかもしれません、これでわかったでしょう!?


 もう攻撃は・・・」


「いや攻撃続行だ、たかが弓矢じゃないか‼投石兵には鉄の鎧を着せて


 盾兵に守らせながら投石させろ‼︎」


コリナールの指示通り投石兵に完全防備であたらせた


『これなら投石を防げまい…』


コリナールは勝ちを確信していたが今度は投石機自体が弓矢で


破壊されていく 投石機の急所部分に的確に矢が放たれる そ


れを見たコリナールは


「投石機の急所部分を守れ!!早く!!」


キシェロ軍の投石機はすでに20基の内8基にまで減らされていた


コリナールの元に伝令が入る


「投石準備完了しました!!」


コリナールはニヤリと笑い


「見てろよこれでボコボコにしてやるからな!?投石を開始せよ!!」


今回キシェロ軍が初めての投石を開始した、勢いよく放たれる投石 


しかし次の瞬間放たれたはずの投石が空中で砕けた 


各投石機から次々に放たれる投石がことごとく空中で砕かれていく


「な!?なにがおこって…」


コリナールの疑問にザッハが答える


「これも”エレメンタルアイ”の仕業ですよ王子、奴がその気になれば


 防御等無意味だと警告しているんです」


「そんなはずはない!!倒せるのに倒さないなんてありえないだろ!?」


コリナールがそのセリフを言い終わるかどうかの時 


投石機の作業兵や急所を守っていた盾兵が次々と盾ごと貫かれていく


あっという間に盾兵は全滅し投石機も全て破壊された


「馬鹿な、こんなことが…」


コリナールは未だに信じられない様子だ そこに伝令の兵士が


息を切らしてやって来た


「申し上げます‼︎南門攻略側の状況なのですが…」


コリナールの表情が明るくなる


「もう終わったのか?まだ開始して1時間ちょっとしか経っていないぞ⁉︎


 さすがはグランシア王国いやゲベル将軍か⁉︎」


伝令の兵士が報告をやや躊躇したが続けた


「グランシア軍は敗退しました‼︎各部隊とも壊滅的なダメージを受け


 グランシア兵は次々敗走している状態です」


この報告にはさすがのザッハも驚きを隠せなかった


「そんな馬鹿な大国グランシアだぞ⁉︎120000人だぞ


 1時間ちょっとで敗退などあり得るか!?ゲベル将軍はどうしたのだ?」


コリナールの質問に伝令の兵士が答える


「総指揮官ゲベル将軍と作戦参謀オルベルト様


 共に所在が掴めず消息不明とのことです‼︎」


ザッハが慌てて聞き直す


「グランシア軍は本当に敗退したのだな?一体なにがあったのだ?」


「南門側には”スタネールの大賢者”がいたようです」


ザッハとコリナールが息を飲む


「スタネールの大賢者だと・・・なんで」

ザッハも計算外のことで驚きを隠せないでいた


伝令の兵士が報告を続ける


「グランシア軍は魔法攻撃、投石攻撃、モンスターによる攻撃を


 仕掛けましたがことごとく防がれ巨大魔法により壊滅的な


 ダメージを受けグランシア兵が敗走を始めたところを


 敵重武装槍隊により掃討されたとのことです」


その報告にザッハとコリナールは言葉をだせなかった。





城壁の上から見ていたハーパーがキシェロ軍の異変に気づく


「ん⁉︎なんだか騒がしいな、なにかあったな⁉︎」


ハーパーの横にハウゼンが並びかける


「ハウゼンそっちでなにかあったのか?」


「こちらはあらかた完了しましたかのでそちらの手伝いに来ました」


ハーパーが驚き顔で


「あらかた完了した?グランシア軍を撃退したってことか?


 まだ一時間ちょいしかたってないぞ⁉︎」


ハウゼンはニヤリと笑う ハーパーはもはや呆れるしかなかった


「なるほどなそれで敵はあんなに慌ててるのか」


そこに鎧を返り血で真っ赤に染めたラウル重武装槍隊長が来た


「ガッハッハ、グランシアの腰抜け共を散々蹴散らしてやりましたわい


 これが土産です」


ラウルがもっていたのはゲベル将軍の首だった


ラウルかハーパーとハウゼンに聞く


「この首どうします?さらしますか?それとも丁重に葬りますか?」


ハーパーが答える


「首をさらすってのは俺の趣味じゃない、かといって丁重に葬る


 というのも何か違う気がするしな、キシェロの奴らに


 返してやったらどうだ?」


ハウゼンも同意する


「そうしましょうラウル隊長あなたの怪力でなるべく


 キシェロ軍の中心部に向かって投げてくれませんか?」


ラウルはうなづきゲベルの髪の部分をつかみブンブンと振り回し


投げ飛ばした


「そーらよっと、しっかり受け取れ‼︎」


ゲベルの首は信じられないほど飛んだ 城壁の上から正体不明の


黒い物体が飛んできたのでキシェロ軍は思わず避けた


その為に集団の真ん中にぽっかりと人のいない空間ができ


そこに飛んできた物体は落ちて2、3度バウンドした後


ゴロゴロと転がった それが止まったのを確認してからキシェロ兵が


恐る恐る近づいた その後悲鳴にも似た声がいくつも聞こえた


「一体なにごとか⁉︎」


ザッハが尋ねる これ以上兵士に動揺が広がると


グランシア軍の二の舞いになると感じていたからである


そこに伝令の兵士が来た


「申し上げます、先ほど敵側から飛来した物体はゲベル将軍の首との


 ことです以上‼︎」


コリナールの顔が青ざめる


「ザッハどうすればいい?ザッハ⁉︎」


ザッハは少し考えてからコリナールに告げる


「王子ここは退却の指示を‼︎ 」


「わかった即時退却だな⁉︎」


「しかしすんなり退却させてもらえるかどうか?です」


「どういうことだ?ザッハ?」


「元々我がキシェロ軍は10000人それに対しハラル軍は25000人


 こちらの士気が最悪なのに対し向こうの士気は最高潮のはずです


 しかも向こうにはグランシア軍を壊滅に追い込んだ魔法もあるんです…」


コリナールが泣き出しそうな顔になる


「じゃあ余はここで死ぬのか?こんなところで…」


「ここで普通に撤退しても追撃を受けた場合、我が軍は相当な


 打撃を被るでしょう、ギエル城に帰還できたとしても


 ハラル軍の攻撃に耐えられないと思われます」


「我がギエル城がそんな簡単に落ちるのか⁉︎」


「通常ならば落ちませんが今回は別です、今ならグランシア軍に


 城を攻められることがまずありませんからハラル軍はほぼ全軍で


 ギエル城を攻略できます、命からがら逃げ帰った兵では


 士気上がるハラル軍の敵ではないでしょう」


「じゃあやはり、余は・・・」


ザッハは苦悩に満ちた顔で決断した


噛み締めた唇からは血がにじんでいる


「王子私に考えがあります、非常に不本意ですがオーデラン国王の命と


 引き換えに無傷で撤退させてもらえるよう私が交渉してみましょう


 向こうの大将”エレメンタルアイ”とはまんざら知らない仲でも


 ありませんので」


「そうか、そうであったな‼︎頼むぞザッハ‼︎」


ザッハとハーパーは国王同士が非常に仲が良かったので


互いの国王が一番信頼する部下同士ということで色々な場で


顔を合わせた 武人を地でいくザッハとどこかいい加減なハーパー


性格は正反対だが妙に気があった


「エルフォードそのいい加減な性格何とかならんのか?」


「そう固いこと言うな相変わらず石頭だなザッハ」


2人の掛け合いをいつも温かく見守る国王2人であった


ザッハが両手を上げ無抵抗の意思を示しながら城壁に近づいて来た


「ハラル共和国軍総大将ロビン・エルフォード殿と話がしたい‼︎」


「なんだザッハ降参か?俺とお前の仲だ悪いようにはしないぜ⁉︎」


「我々キシェロ軍をこのまま無事に帰してはもらえないだろうか?


 もしその要求を飲んでくれるなら無事に帰還後、必ず


 オーデラン国王を返還する」


「ふざけるな‼︎そんな約束を信じられるわけないだろ⁉︎


 お前はともかくあの馬鹿王子が約束を守るとは思えない


 そもそも今回の同盟破棄や国王の人質なんてお前が


 賛成するわけがない、どうせあの馬鹿王子がお前の忠告を無視して


 勝手に決めたことだろ‼︎」


「そこを頼む、この私の命に代えても約束は守らせる、だから頼む‼︎」


「いやダメだ‼︎あの馬鹿王子は絶対に約束を守らない俺にはわかる


 そうなった場合お前は責任を感じて自害しかねないからな・・・


 友としてそんなことはさせられない」


ザッハはその言葉が涙が出る程嬉しかった


『まだ俺を友と呼んでくれるのか⁉︎』


「頼むエルフォード‼︎頼む‼︎」


深々と頭を下げるザッハ、あまりの願いに一瞬言葉を失うハーパー


その時ハウゼンがハーパーに近づき耳打ちする


「私に策があります、時間を稼いでくれませんか?」


小さくうなづくハーパー


「少し考えるから時間をくれ、その間そちらが妙な動きをしたら


 即攻撃する」


「わかった、すまないエルフォード」


ザッハの帰りを待っていたコリナールは興奮気味に話した


「よくやったザッハ‼︎さすがはザッハだ‼︎」


「いえ王子まだ無事に帰れるとは限りません、向こうの返事待ち


 なんですから・・・」


「いや、あの感じならこちらの要求を飲むさ、人を散々馬鹿呼ばわり


 しおって無事にギエルに着いたらみてろよ、必ずこの借りは


 返してやるからな、倍返しだ‼︎」


「なにを言ってるんですか王子、ハラルと戦争をしても


 勝てません今度こそ国が滅びますよ‼︎」


「お前こそなにを言ってるんだ、オーデラン国王を人質に取ってる以上


 ハラルは攻撃できないんだから負けるはずないじゃないか⁉︎」


その言葉にさすがのザッハも激怒する


「なにを言ってるんだ貴方は‼︎無事に帰れたらオーデラン国王を


 解放する約束でしょうが‼︎」


「なんでそんな約束を馬鹿正直に守らなきゃいけないんだ?


 国王を返してしまったら本当に我がキシェロは滅ぼされてしまう


 じゃないか、しばらくグランシアもあてにはできないんだから」


「その時は私が命に代えても王子と城をまもりますから‼︎」


「わかったわかった、ちゃんと返すよ


 だから話をまとめてくれなザッハ」


ザッハはハーパーに申し訳ない気持ちでいっぱいだった


ハーパーが少し考えると言ってから一時間以上が過ぎた


コリナールの指示で返事はまだか?と聞きに伝令の兵士を2回行かせたが


返事はいつも”まだ検討中もう少し待て”だったコリナールが


「遅いのぅ、なにをモタモタしているのだ?」


ザッハが答える


「向こうも国王の命がかかっているのです慎重にもなりましょう」


ハーパーがハウゼンに問いかける


「なぁハウゼンお前の策とやらはまだなのか?そろそろ向こうも


 しびれを切らしてくるころだが」


「私の読みだとそろそろなんですけどね」


そう言った時城内に一羽の燕が入って来た、燕はハウゼンの指に止まり


”ピギー”と鳴いた後フッと消えた ハーパーが不思議そうに聞いた


「なんだ今のは?」


「今の燕は私が用意した使い魔です、先程ギエル城を落としました


 国王ソコナレフⅢ世殿と第2王子ルクレール様を確保したとの報告です」


あまりの驚きで口を開けたままア然とするハーパー


「おい今なんていった?冗談言うような場面じゃないぞ」


ハウゼンがため息をついて答える


「私がそんな冗談を言うタイプに見えますか?


 昔から知ってるでしょうに」


「いやまぁそうなんだがあまりに突拍子過ぎて、どうやったんだ?」


ハウゼン微笑みながら話した その内容は南門での戦いで特殊工作部隊が


グランシア兵に儀装しモンスタートレーナーを暗殺した後


東の森に撤収しそのままギエル城に向った というものであった


「今回キシェロとグランシアが共同戦線を張ることは


 キシェロ兵ならば皆知っていたでしょう 同盟軍のグランシア兵が


 ギエル城に逃げてきてもそこまでおかしくはないはずです


 そもそも丸腰の兵士が100人ばかり来ても城を攻撃するなんて


 誰も思わないでしょうから、入城を拒まれたら


 ”グランシアの兵を見殺しにする気か!?”と脅せば


 キシェロの立場上断れないはずです、キシェロ側も伝令の為に


 魔法使いの使い魔で近況を報告しているでしょうから


 グランシアが敗れて兵が敗走しているという事実が


 ギエル側にも来ているはずですしね、そうして入城した工作員100人で


 門を開け騎馬隊2000人と4000頭の馬に乗せた歩兵で一気に制圧します 


 キシェロの本隊はほとんどこちらに来ていますから城に残っているのは


 せいぜい1000人前後 相手が気が付くころには制圧が完了している


 という訳です、ただキシェロの国王と第2王子は確保できましたが


 オーデラン国王は見当たらなかったということです・・・


 こちらに連れてきているようですね。」


ハーパーが関心して肩をすぼめるポーズしてゆっくり首を振った


「お前だけは敵に回したくないよ」


「さてハーパーこれで五分以上条件での交渉ができるでしょう」


ハウゼンと握手して嬉しがるハーパー


「ありがとうハウゼン、この借りは・・・やめておこう」


二人は笑った


ようやくハーパーが城壁の上から顔を出す、コリナールがつぶやく


「やっと決心がついたのか、さてどんな言い訳を


 聞かせてくれるのかな?」


ハーパーがキシェロ軍全員に聞こえる程の声で伝える


「お待たせしたなキシェロ軍の諸君!!ここでまずはいい報告を


 しようか諸君らのギエル城はすでに我が軍の支配下にある


 国王ソコナレフⅢ世様と弟2王子ルクレール殿下はこちらで


 手厚く保護をしている」


その発言にざわつくキシェロ軍 コリナールが混乱してザッハに問う


「おいザッハ今のは何の話だ??」


「我がギエル城が落ちたとか…そんなはずは・・・」


そこに1羽の蝶が舞い込んで来てキシェロ軍の魔法使いの手に止まり


消えた、その瞬間魔法使いの顔色が変わる


「申し上げます!!ギエル城からの伝令でギエル城が・・・


 落城したそうです」


愕然とするザッハとコリナール ハーパーが続ける


「その様子だとギエル城のことが真実だと認識できたかな?


 さあ交渉を始めようか!?こちらの要求はオーデラン国王の


 即時解放とキシェロ軍の武装解除だ、その条件を飲むのなら


 こちらもギエル城とソコナレフ国王とルクレール殿下の身柄は返還し


 キシェロ軍の安全を保障しよう、約束する、ただし絶対に譲れない


 条件が一つある、コリナール王子の王位継承権の剥奪だ!!


 これを飲めないのならキシェロ公国という国の歴史は今日で


 終演を迎えることになる 返答やいかに!?」


キシェロ軍の兵士は安堵の声をあげる、状況的には皆殺しや奴隷となる


こともあり得た場面で嘘のような話である そもそもコリナールの


馬鹿王子ぶりは国内でも有名で国の将来を不安視する声も多かった 


ハーパーの出した条件はまるで天国のようなものである 


しかしこの条件を受け入れがたい人物がいた


もちろんコリナールである


「ふざけるな・・・なんで余が王位継承権を剥奪されなければ


 ならないのだ!?」


ザッハがコリナールになだめるように話す


「こうなったら仕方がありません、城と国王が向こうの


 支配下にあるのであれば手の打ちようがありません


 条件を受け入れましょう王子」


「しかたがないだと!?他人事だと思ってお前は!!」


「ここで戦っても勝ち目はありませんし逃げ帰る城もありません


 抵抗自体無意味なんですよ王子!?」


「ふざけるな、ふざけるな、ふざけるな!!どいつもこいつも


 余を馬鹿にしおって!!見ておれよオーデランを出せ!!


 はりつけにしてだ!!急げ!!」


キシェロ兵は渋々したがう ザッハが制止する


「もうやめてください王子!!このままでは皆殺されます 


 あなたはキシェロ公国を終わらせた張本人として歴史に


 名を刻むことになってもいいんですか?」


「うるさい!!もうキシェロがどうとか関係あるか!?


 せめてオーデランは道連れにしてやる!!」


はりつけのオーデランが運ばれてきてハラル軍がざわつく 


ハーパーが激怒する


「てめえらなんのつもりだ!!本当に全滅のキシェロ終演が


 のぞみか!?」


ハーパーの発言に反論するコリナール


「うるさい!!いいかよく聞けこちらの要求を飲まないのであれば


 オーデランを殺す!!ハラルとキシェロを無条件でよこせ!!


 ハラルの国民は全員奴隷だ!!余は本気だからな


 余を馬鹿にした罪を思い知れ!!」


明らかに正気じゃないコリナールの様子をみてハーパーが苦悩する 


そこにはりつけにされているオーデランが叫ぶ


「ワシを打てエルフォード!!ワシは国民の為に生きて国民の為に


 死ぬと決めたのだ、それが自分の落ち度で国民を苦しめるなど


 あってはならん 国民がワシの犠牲になるなんて耐えられん


 自分を絶対に許せないんじゃ!!」


「しかし国王あなたがいなければこの国はどうなってしまうのですか?」


オーデランが優しげな顔になり答える


「君が王になるのだエルフォード・・・君ならいい王になれる」


「なにを言ってるんですか!?あなたじゃなきゃ


 あなたじゃなきゃダメなんですよ!!」


ハーパーは少し前にオーデランと話した事を思い出していた


「なあエルフォードよワシはなみんなに忘れられる王になりたいんじゃ」


「なんですか?それは?」


「この世界は戦いに勝ちながら領土を広げていくような王が


 英雄としてもてはやされるじゃろ!?ワシはそんなの求めておらん


 国民が全世界の人々がのんびり暮らせる世の中を作りたいのじゃ


 それが絵空事で綺麗事なのもわかっとる、でも本当は


 みんな好きじゃろ!?絵空事と綺麗事が だからなワシが死んでも


 なにもなかったように時が流れて そういえばそんな国王いたね!?


 ぐらいの国王になりたいのじゃ」


「なれますよ、ええなれますともあなたなら


 私もお手伝いしますから 二人で忘れられましょう!?」


「ワシはともかくお前は忘れられんわハラルの誇る


 ”エレメンタルアイ”だからな」


「すいません国王」


二人は笑った



ハーパーは弓を弾くもオーデランを打つことはできなかった


「すいません国王私にはできません」


「打てエルフォード!!国民の為に生きると決めたではないか!!


 ワシの・・・ワシの夢を壊さないでくれ、ハラル国民の為


 世界の人々の為、なによりワシの為に打てエレメンタルアイ!!」


コリナールがそれを聞いて舌打ちをする


「ちっ!?なにをごちゃごちゃいってるんだ!!


 もういい殺せ!!オーデランを殺せ!!」


オーデランの周りには数十人の槍を持った兵士がいる


自分の弓矢では間に合わないのだ!?ハーパーはとっさに


ハウゼンの方を見たがハウゼンは首を振った


「すみません私の魔法では威力が強すぎてオーデラン国王まで


 巻き込んでしまいます」


目を閉じるハーパーしかし特別に騒ぎが大きくなった様子がない


目を開けてみるとキシェロ兵がオーデラン国王を殺すのを


ためらっているのだ それも当然でここでもしオーデランを殺せ


ば自分たちも殺されることは明白である 


兵達も本音ではコリナールに失脚してほしいのだ 


一向にオーデランを殺そうとしない兵に苛立ちを募らせるコリナール


「もういい、どいつもこいつも馬鹿にしやがって!!


 余が自分でやる!!」


コリナールは自分の横にいた兵士の槍を奪って自ら


オーデランを殺しに向かった ハーパーはその時を見逃さなかった


『射程に入った!!』


ハーパーは素早く弓を引き絞りコリナールに狙いを定める


『死ねや馬鹿王子!!』


ハーパーの弓が一直線にコリナールに向かう直撃したか!?


と思った瞬間に間に割って入る影があったザッハである


「ぐふっ!!」


胸に矢を受けるザッハ コリナールが一瞬ア然とするが先ほどより


さらに狂気の表情で


「ザッハ!?よくも よくもザッハを、殺してやる・・・


 ぶっ殺してやる!!」


「どけザッハ!!どくんだ!!」


ハーパーが叫ぶ、オーデランに向かおうとするコリナールに


ハーパーの矢が次々と襲う ザッハはとっさに抱きかかえるように


コリナールを守る ザッハの背中に何本もの矢が刺さる


「ゴハッ」


口から大量の吐血するザッハ、その大量の血がコリナールの顔にかかり


それで正気を取り戻したコリナール


「おいザッハ・・・嘘だろ!?お前はずっと余のそばにいてくれると


 言ったじゃないか!?お前がいなくなったら誰が余の言うことを


 ちゃんと聞いてくれるんだよ!?誰が余を叱ってくれるんだよ!?


 おい命令だ死ぬなよザッハ絶対に死ぬんじゃないぞ!!


 聞いてるのかザッハ!!」


ハーパーは20mはあるかという城壁の上から飛び降りて


ザッハの元に向かう ザッハの横には泣きじゃくるコリナールがいた 


ハーパーはコリナールの胸ぐらをつかみ


「てめえのせいで!!てめえのせいでなぁ!!」


思い切りぶん殴るハーパー、小兵で痩せているコリナールは


ぶっ飛んでいく


「おいザッハしっかりしろザッハ!!」


ハーパーを見たザッハは小さな声でつぶやく


「エルフォード・・・またお前は・・・大将が敵陣に単独で


 来るとか・・・何を考えて・・・ゴハッ!!」


「ザッハてめえはこんな時にも説教か!?石頭にもほどがあるぞ!!」


ハーパーはあふれる涙を抑えきれなかった そこにコリナールが近づく


「わああぁぁ~ザッハ!!」


ハーパーに殴られ顔が腫れあがっているのにザッハに向かうコリナール 


ハーパーのことは完全に視界に入っていない ハーパーが寄ってくる


コリナールを何度も殴り倒す しかし足がガクガクになりながらも


立ち上がりザッハにすがりつくコリナール ハーパーは5度目のこぶしは


振り下せなかった


ザッハも薄れゆく意識の中で昔の事を思い出していた 


それはソコナレフⅢ世との会話だった


「ザッハよ誰にも言うなよ、私はな戦争が嫌いだ、人が死ぬから


 とかではなく単純に怖いのだ、だから戦争はしたくない 


 だからオーデランとは妙に気が合うのだ、でもあいつは凄い


 私とは比べ物にならん程高い志を持っておる 大したものだ」


「国王、戦争を憎み平和を愛する気持ちには変わりないでは


 ないですか!?どちらが上とか下とかないですよ」


「そう言ってくれると少し気が楽になる、あいつはなにもかも


 私より優れている両国の力の差は国王の能力の差なのではないか?


 とさえ思えてしまうのでな」


「そんなことはありませんよ、ハラル共和国とキシェロ公国では


 国の面積から違います人口も農産物も全て面積に比例するものです


 むしろ比率で換算すれば我がキシェロ公国の方が効率よく


 回しているのですよ」


「あいつはどんなに自分が上でも上から見ることはないし


 自慢することもなかったのだが一度だけ自慢されてなそれが元で


 一度だけ大ゲンカをしたことがある、殴り合い寸前までいったな」


「お二人がですか??想像もつきませんが何が原因だったのです」


「おぬしだ」


「は??」


「オーデランの奴が初めて自慢してきたのがロビン・エルフォードという


 部下のことだ、余程信頼して気に入っているのだろう


 随分上機嫌で話してきてな今思うとあんなオーデランは今にも後にも


 あれきりだ、そのうちのってきたのかあんな有能な奴はいないとか


 自分は世界一幸せだとか言いだしおって、聞いてて段々


 腹が立ってきてな」


「なぜ国王がご立腹に?」


「私の部下の方が優秀だと言ってやったんだ、黙って聞いてれば


 いい気になりおって、ザッハお前の方がずっと優秀だと


 言ってやったんだ、そうしたらあいつムキになりおって 


 そこから大ゲンカよ」


「国王・・・エルフォードは非常に優秀な男です、私よりも・・・」


「それ以上は言うなお前がなんと言おうとそこは譲れん!!」


「国王・・・」


「なあザッハよ私は戦争が大嫌いだ、でもな譲れないものがあるのも


 事実だ、人間譲れない物の為には戦うべきだと思っている


 私にとって譲れないのは国民と子供たちとお前だ、お前はこの国の柱だ


 私はそう長くない、私がいなくなってもコリナールを含め


 この国をよろしく頼むザッハ」


「もったいないお言葉このザッハ命にかえても


 この国と王子達のために働きます」




ザッハは最後につぶやく


「エルフォード、王子を頼む…」


『国王すいません国王亡き後も国と王子を守ると約束したのに


 約束守れませんでし・・・』


キシェロ公国一の将軍ベルハルト・ザッハは息を引き取った


戦いが終わり静寂さが戻って来た、解放されたオーデラン国王が


皆の元に返ってきた


「みんな苦労をかけたすまない」


ハーパーらハラルの兵達がオーデランを迎える


「遅くなりまして申し訳ありません、よくぞご無事で」


「君には特に苦労をかけたなエルフォード」


「本当に、本当に良かった・・・」


涙を流すハーパー そこにコリナールが運ばれてくる


先ほどまではザッハの遺体にすがりついて泣いていたが


今は呆けている感じである ラウル隊長が国王に聞く


「オーデラン様あの~そこのコリナール王子はどうしましょう?」


その時、呆けていたコリナールがまともな顔に戻り発言する


「殺せ、俺を殺せ!!俺はそこのオーデランを拘束し殺そうとした男だ


 許せる訳もないだろう、それにもしキシェロに帰っても


 ザッハがいないんじゃ誰も俺の言うことをきかないしな・・・


 ハラルとの今後の関係を考えれば国に帰っても処刑か暗殺


 よくて一生地下牢に幽閉ってところだろ・・・


 どのみち殺されるんだ、俺を殺してさらし首にでもしたらどうだ?


 特にエレメンタルアイ!!お前は俺を一番恨んでるだろ!?


 いいぜ殺せ ただな、俺もお前を許さないザッハを殺したのは


 お前の矢だからな、あと少しの命でも絶対許さないからな!!」


ハーパーがオーデランの前にスッとひざまずく


「国王にお願いがあります、このコリナール王子を


 俺に預けてはくれませんでしょうか?」


その言葉に一同が驚く、てっきり”自分に殺させてくれ”と


言うかと思っていたからである コリナールが叫ぶ


「なにを考えているんだエレメンタルアイ!!


 俺のやったことを忘れたか!?ザッハが死んだのも俺が原因だぞ


 わかっているのか‼」


「わかっているに決まってるだろ!!でもなザッハを殺した矢は


 俺の矢なんだよ、ザッハの最後の願いはお前を頼むだったんだ


 あいつの願いは死んでも叶える、お前に一から弓矢を仕込んでやる


 俺に教わるのなんて死ぬほど嫌だと思うけどよ


 ザッハの最後の願いをきいてやってくんねえか!?」


またコリナールの目から涙が零れ落ちる


「ザッハ・・・見ててくれ」


のちにコリナールは ロビン・コリナールと名前を変えハーパーと共に


”エレメンタルアイズ”と呼ばれるようになる。

今回は前回の続きです、自分ではこんな話にするつもりはなかったのですが流れでこうなってしまいました、(当初はコリナールは最後まで馬鹿王子でどうしようもない人間のつもりでした)構想とは全然違う話になってしまいましたがどうだったでしょうか?ハーパーもこれっきりの登場のつもりでしたが書いてるうちに気に入ってしまいまして又どこかで登場させるつもりです、その時までお付き合いいただけると幸いです。

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