最強の証明 白と黒編
東条みゆき…拓斗の幼馴染で剣道の達人、見た目は和風美人だが中身はじゃじゃ馬
戦闘により死亡したがレオの力でゾンビとして行動している、しかしマスター
であるレオにも遠慮なしの態度で接している
ステファン・レオ…闇の龍装備を付けるダークドラグナイト、闇の者には絶対的な支配量を発揮し
夜の闇の中でこそ一番力を発揮できる、しかしなぜかみゆきには頭が上がらない
エミリー…マルコの姉で性格はおとなしくて優しい、黒色光蜂教団により怪物化させられ死亡したが
レオの力でゾンビとして行動を共にしている巨乳少女
ステファン・メアリー…幼い頃に両親を亡くしレオの義理の妹として引き取られる、義理の兄であるレオの事が大好きでいずれは結婚したと思っているが重度の中二病な為、上手くいかない
ラインハルト・カナ・ロマーヌ(沢渡香奈)…白剣姫とよばれるアミステリア公国最強の美少女剣士であり軍の最高司令官、そして国民的英雄でもある、拓斗の妹
チャングイ将軍…アミステリア公国の猛将、若いころは”暴走獣”と呼ばれたほどの猪突猛進型の戦士でアミステリアの双璧といわれている一人、ゲルハート将軍とは何かと言い争う事が多いが仲は良い
ゲルハート将軍…アミステリア公国の知将、ナイトの称号を持っている程の手練れだが指揮官が自分で戦う事を良しとしない、計略や謀が得意アミステリアの双璧といわれた一人
サラボルン国王…アミステリア王国の国王で気がやさしく自分の考えを押し通す事を嫌う、それゆえに部下からは慕われている、香奈の事を自分の息子の嫁にしたくて度々言い寄っている
西園寺怜次…西園寺健一郎の孫で”天才高校生剣士”と呼ばれた高校剣道界最強の存在
レオは困っていた、それは先日拓斗に頼まれて
マルコの姉エミリーもメンバーに加わり三人での旅
となった事から始まった
三人はWFプレイヤーランキング第一位、最強の龍戦士
”フロストドラグナイト”を探す
という目的で旅に出ていたのだが
なにしろまともな情報が皆無という
まるで雲をつかむような話なのである
美人の女性を二人引き連れている今の現状は
一見すると”うらやましいハーレム状態”
と思えるかも知れないが現実には女が二人
という状況はレオにとって何とも居心地が悪かった
三人が町はずれの道を歩いていた時
みゆきがエミリーに話しかけていた
「ねえエミリーあなた随分胸大きいけど
やっぱり重たいの?」
「えっ!?なんでそんな事聞くんですか!?」
みゆきからの思わぬ質問に顔を赤くし
咄嗟に腕で胸を隠すエミリー
「いや、世間じゃよく言うじゃないそういう事」
「胸が重いなんて感じた事無いですよ
そもそもみゆきさんだって
胸あるじゃないですか!?」
表情を変えず手を振るみゆき
「いや、私のは普通だから・・・」
「私だって普通ですよ!?」
必死に抗議しながらもエミリーが動くたびに
その胸は左右上下に大きく揺らめく
それはエミリーの意思とは裏腹に
何かを訴えているようにしか見えなかった
『いや・・・普通ではないでしょ・・・』
みゆきは口に出かかったその言葉を飲み込んだ
レオは女性二人のこのような会話がおこなわれている時
どういう態度をしていいやら対応に困るのである
『ったく、男がいる時にする会話かよ
ちょっとは気を使えってんだ・・・』
そんなレオの態度を見て
みゆきがジト目で話しかけた
「ねえレオ、さっきからなんで黙ってるのよ
まさか私達の会話を聞いていやらしい事
想像してたんじゃないでしょうね!?」
思わぬ濡れ衣に苛立ちながら反論するレオ
「あ!?そんな訳ねーだろ、大体今の会話の
どこに俺が入れる箇所があったんだよ!?」
「別に無理に会話に入らなくても
いいけどさ・・・”そうだよね”とか
”そうかなあ”とか適当に合わせて
会話すればいいじゃない」
もはや言いがかりともいえるみゆきの主張に
益々イラつくレオ
「ふざけるんじゃねーぞ、このクソアマ
じゃあ今の会話の中でどうやって
そんな相槌入れるのか
具体的に言ってみろ!?」
腕組みしながら少し考え込むみゆき
「う~ん、そうねぇ例えばさ、さっき私が
”エミリーの胸大きいけど重たいの?”
って聞いた時、あんたが
”うん僕も気になってたんだ”
とかさ・・・」
そのたとえ話にドン引きするエミリー
「テメエ、俺に何言わせようとしてるんだ
そもそも俺がもしそんな事言ったら
お前はどう思うんだよ?」
「えっ!?いやその・・・
普通に気持ち悪いな・・・って
もしくは変態野郎じゃない・・・って
あれ、おかしいな?」
ブンブン首を振って右手を前に突き出すみゆき
「今のは無しね、じゃあ・・・
私が言った”私のは普通だから”に
あんたが”そうだね”とか
エミリーの”私だって普通ですよ”に
”そうかなあ”とか言えばいいじゃない」
もはや理屈ともいえないメチャクチャな言い分に
反論する気すら起きず半ば呆れるレオ
『もしコイツが弁護士だったら被告人は
全員死刑になるんじゃねーか?』
そんな事を想像しながらため息をつく
するとエミリーがそこに口を挟んだ
「あの・・・今のはさすがにみゆきさんが
おかしいと思いますよ、いくら何でも
レオさんがかわいそうです」
思わぬ伏兵に面喰うみゆき
てっきり友軍と思っていた方向から急に矢が飛んできたのだ
「ちょっとエミリーなんでアンタが
レオの肩を持つのよ!?
今のは空気呼んでこっちの
味方をするのが普通じゃないの!?」
もはやみゆきの言う普通は
どこの時代の”普通”を検索したら
それに該当するかすらわからなかった
「でも、さすがにさっきのは
酷すぎるというか・・・」
その時レオがエミリーの右肩にそっと手を乗せ
ゆっくりと首を左右に振った、それは
”その女はもうダメだ・・・”と伝えている様でもあった
エミリーは憐みの様な目つきでみゆきを一瞥した後
「そうですね、もう止めましょう」
と悲しげに言った
「何よそれ!?ちょっとアンタ達
いい加減にしなさいよ!?
そんな言い方じゃあまるで私が
”頭のおかしい馬鹿女”
みたいじゃないのよ‼」
レオがニヤケながら
「そんな言い方じゃあまるで
違うみたいじゃねーか!?」
そんなレオの返しにクスクス笑うエミリー
益々みゆきがヒートアップし反論しようとしたその時
シャーロットにもらった通信機が鳴った
「なによこんな時に、でも
今度こそ香奈ちゃんかな?」
通信機を耳に当て先程まで怒っていたのが
嘘のように明るく答えるみゆき
「は~い、みゆきおねえさんだよぉ~
香奈ちゃんですかぁ~?
あっ!?もし拓斗だったら今の事は
忘れなさいね、忘れないと殺すわよ!?」
『あ、あの・・・私アミステリア公国の
ゲルハートと申します、緊急の事態が
おきまして、みゆき様には至急
こちらに来ていただきたいと・・・』
みゆきの顔から血の気が引き思わず絶句する
その反応を見て大体の察しがついたレオは
再び呆れてため息をついた
「わかりました、すぐにそちらに向かいます
あのゲルハートさん・・・
今のは無しと言いますか・・・
忘れてくださいね・・・」
『・・・努力します・・・』
涙目で通信を斬ったみゆきは震えながら
キッとレオを睨みつけた
「アンタのせいで大恥かいちゃったじゃないの
どうしてくれるのよ!?」
もはや因縁に近い屁理屈でレオに責任追及するみゆき
どんな凄腕ヤクザでもこの程度の案件で取り立ては不可能と
思える程の理不尽な言いがかりである
「みゆきさん、いくらなんでもそれは・・・」
「もう草葉の陰でずっと言ってろ、行き先は
アミステリアだったな、じゃあ行くぞ」
みゆきを無視して巨大カラスを召喚し
そそくさと乗り込むレオとエミリー
「アンタ達私を無視するんじゃないわよ‼」
怒りちらしながらみゆきが乗り込むと
巨大カラスはアミステリアを目指し飛び立った
アミステリア公国ではベットに横たわる香奈に
数名の魔法使いと神官による治療が施されていた
それを心配げに見つめるゲルハートとチャングイ
そしてザラボルン国王の姿があった
「どうなのだ?」
ザラボルン国王が不安げに問いかけた
「命に別状はないです・・・
しかし単なる脳震盪では無いようで
こんな事例は初めてなんです
すぐに目覚めるかもしれませんし
何日・・・もしくは何か月
目覚めないという事も
最悪考えられます・・・」
そう説明する神官の胸倉を掴み強引に持ち上げる
チャングイ、神官の足は完全に宙に浮いていて
少しバタつかせていた
「わからないとはどういう事だ!?
テメエそれでも神官か!?
嬢はいつ目覚めるんだよ‼」
チャングイの肩に手を乗せ制止するゲルハート
「よしなさい、神官にあたっても
仕方がないことでしょうが!?」
「あ!?こんな時までおすまし顔か!?
テメエはすっこんでろ‼」
「なんでしたら腕ずくで止めましょうか!?」
「珍しく言うじゃねーか
やんのかテメエ!?」
「あなたには言って聞かせても
無駄の様ですからね
いいでしょう表に出なさい」
チャングイだけでなく普段冷静沈着なゲルハートすら
イラついていて二人が一食触発の睨み合いになった時
「止めんか馬鹿者ども‼」
大きな怒鳴り声が二人を一括する
その声に周りの者全員が目を丸くして驚いた
その声の主はザラボルン国王だった
ザラボルンは別名”優王”といわれる程
温厚な性格で今まで国王が怒ったところを
見た者など誰もいなかったからだ
そのザラボルンが始めて声を荒げ怒ったのである
驚きのあまりしばらく硬直していた二人だったが
慌ててチャングイとゲルハートが頭を下げた
「申し訳ありません国王陛下
お見苦しいところをお見せしまして」
「すまねえ国王様、
ついカッとなっちまった」
ザラボルンがボソリとつぶやいた
「ワシも同じ気持ちなのだよ・・・
彼女一人に何もかも背負わせて
こんな姿になってまで尽くして
くれているロマーヌにワシは
何もしてやれん・・・
自分に腹が立って腹が立って
仕方がないのじゃ・・・
つまりお主達と同じじゃ・・・
すまんのう、年甲斐も無く
取り乱してしまった・・・」
ゲルハートとチャングイは唇をかみしめ
自分達のふがいなさに震えていた
その時部屋の扉が空き、連絡の兵が入って来た
「東条みゆき様が今ご到着を・・・」
兵がそう言い終わる前に、その兵を押しのけてみゆきが入って来た
「香奈ちゃん!?」
ベットに横たわる香奈を涙目で見つめるみゆき
そして横になっている香奈に抱きついた
「一体誰が・・・」
その後レオがゆっくり部屋に入って来た
「よう、でどうなんだ?」
「命に別状はないようですが
相手に脳天への強烈な一撃を喰らい
昏倒したまま目覚めないのです・・・
どうして目覚めないのかは神官達にも
判らないとの事で・・・」
ゲルハートが神妙な面持ちで答えた
「でもこの姫さんを倒す程の剣士となると
相当の腕の奴だろ、名の知れた奴なのか!?」
その問いに首を振るチャングイ
「いや俺達も全く知らない男だった
でも嬢は知っている風だったな」
「はい、ロマーヌ殿は相手の名前を
西園寺怜次と言っていました」
その名前にピクリと反応したみゆき
「西園寺怜次、本当にそう言ったの!?」
ゲルハートとチャングイがうなづく
「なんだみゆき、お前の知り合いか?」
みゆきの目つきが鋭く変わった
「面識はないけど・・・私達の世界で
あいつを知らない者はいないわ」
「そういえばロマーヌ殿も
そう言っていましたね・・・
何でも拓斗殿でも勝てなかったとか!?」
今度はレオの表情が険しくなる
「拓斗より強かった剣士だと!?
そりゃあ相当強いわな
まともに剣で勝負したら
誰も勝てないんじゃないのか?で
その拓斗にも連絡はしたんだろ!?」
ゲルハートが残念そうに首を振る
「いえ、何度も連絡を試みたのですが
連絡が取れていない状態なのです・・・」
みゆきは横になっている香奈を見つめながら問いかけた
「で、西園寺怜次はどこへ行ったか
わかりませんか?」
「嬢からアンタと拓斗の事を聞いて
また来るって言ってたぜ!?
情けない話だが俺はあの野郎に
本気すら出させずに瞬殺された・・・」
チャングイは悔しそうに両拳を握り怒りに震えていた
その話を聞いてみゆきの目つきが変る
「そうですか、また来ると・・・
なら探しに行くことはないですね」
みゆきの言葉にたじろぐチャングイとゲルハート
「戦うつもりですか西園寺怜次と!?
アレは剣の鬼です、人の身でアレに
勝てるとは思えません、止めておいた方が
懸命だと思います」
「悔しいがゲルハートの言う通りだと思う
あいつは化け物だ、とても無理だぜ」
みゆきは思い詰めた顔で立ち上がる
「西園寺怜次がいかに強いかは私も
十分知っているつもりです
しかし私も武門の家に
生まれた者として
香奈ちゃんを・・・
妹弟子をこんなにされて
黙って引き下がっては
おじい様に面目が立ちません
西園寺を倒すのは東条です‼」
レオがそれを見てニヤリと笑う
「まあいいんじゃねーの
幸か不幸かみゆきは死なない体だし
悔いの無いようやってみろ
俺は見物させてもらうわ」
そう言い残し部屋をそっと出て行くレオ
その後を追う様にエミリーも続いた
二人がしばらく廊下を歩いていると後ろから
足音が近付いて来るのがわかった
「お兄様!?」
レオの背後で大きな声をあげながら走って来る
少女がいた、レオの妹メアリーである
メアリーはこのアミステリアに保護されていた
重度の中二病でありレオの事が大好きな義理の妹が
嬉しそうに駆け寄りレオの背中に抱きつく
「お久しぶりです、お兄様!?」
「よう、おとなしくしてたかメアリー?」
「もちろんですわお兄様
私、お兄様に会わない内に
どんどん女性としての魅力を
増してしまいました
女性の魅力を示すパラメーターが
あったら全ての数値に全振り
できるくらいです、見てください
バストなんか1.5㎝も
大きくなったので・・・」
メアリーがそう話している時、レオの後ろにいる
エミリーが目に入った、そしてその巨大な胸に
思わず目が釘付けになってしまう
「お兄様・・・何ですか
あの牛みたいな女は?」
「あ!?ああエミリーと言ってな
事情があって今一緒に旅をしている」
それを聞いたメアリーの顔から滝の様な汗が大量に流れた
「私は一緒に連れて行ってもらえないのに
あんな牛女を同行させるなんて・・・
なんという超展開、クソゲーもいいとこですわ
胸ですか?胸のせいですか!?
殿方は生物学的に巨乳派と貧乳派の
二つしかいないと聞いておりましたが
やはりお兄様は巨乳派だったのですね・・・
それで私に欲情しなかったのも
合点がいきました・・・
なんという悲劇でしょう!?
イケメンの殿方とイチャつくなら
ともかく、あんな巨乳に惑わされるなんて
あんな女はゴブリンに犯されるだけの
モブでしょうに・・・そんな哀れなお兄様の目を
覚まさせるためにもこの言葉をおくりましょう
確か昔の有名なフランス人哲学者の言葉
だったと思います それは・・・
”小学生は最高だぜ”と」
いつもの展開にもはや呆れてツッコまないレオ
「もう終わったか?で、お前は例の
西園寺とかいう剣士を見たか?」
完全スルーされ、ムッとして一瞬すねるメアリーだったが
気を取り直しレオの問いに答えた
「ええ見ましたわ、戦いの最後の方でしたけど
アニメでいったらCパートぐらいです」
「相変わらず何言っているのか
判らんが、お前はどう思った?」
少し考え込むメアリー
「そうですね・・・お兄様と彼なら
間違いなくお兄様が攻めで
彼が受けだと思います」
レオの表情が怒りに変り無言で立ち去ろうとした
「ごめんなさいお兄ちゃん
行かないで!?」
涙目になり慌ててレオを引き留めるメアリー
その言葉にレオが振り向きメアリーの顔にグッと近づく
「ふざけてないで真面目に話せ
もう二度は言わないからな!?」
メアリーの顔の間近で最後通告の様に言い放つレオ
しかしメアリーはその状況にも喜びを感じていた
『あ~んお兄様のアップ、カッコいい!?
やっぱお兄様は攻めよね・・・あっ!?
いけないいけない、ちゃんと話さないと』
メアリーは”コホン”とワザとらしい咳ばらいをした後
務めて冷静に話始めた
「私が見たその西園寺怜次という男は
背丈は185㎝前後、細身だったけど
痩せこけているという感じじゃなくて
無駄な肉を削ぎ落とし引き締まっている
っていうボクサーみたいな感じかな・・・」
エミリーの説明にようやくまともに耳を傾けるレオ
「なるほどな・・・やればできるじゃねーか
メアリー、他にはないのか?」
初めて褒められたメアリーは一気にテンションが上がる
「それでね、その怜次って奴は
髪が肩まで伸びていて凄く色白なの
ラノベ主人公にありがちな
中性的な美少年そのものって感じ
なんだけど、なろう系主人公みたいに
優柔不断だけどモテモテで
ラッキースケベに連続遭遇・・・
という展開には無縁のタイプね
女にも全く容赦なかったし
剣以外の事には全く興味ないって
印象だったわ、剣オタよ剣オタ!?
ああいうタイプでブヒる女もいるけど
私はパスね・・・
どっちかっていうと襲い受けより
誘い受けのタイプに見えたわ
それはね・・・」
「もういい黙れ‼」
レオの一言でバッサリ切られたメアリーはようやく我に返る
「はっ!?私は一体何を!?・・・」
呆れたレオはメアリーを置いて立ち去ろうとした
「待ってお兄様‼」
大声で呼び止めるメアリーは背中を見せているレオの腕を掴む
「今度こそ端的に言うわ
あの西園寺怜次って奴は
ヤバいわ・・・私がS装備で
活動限界まで戦ったとしても
おそらく勝てないと思う・・・
強さのパラメータだけ
飛びぬけているチート級の
バーサーカーみたいなモノよ!?」
エミリーのS装備は非常に特殊で強さが
5分だけしかもたないという欠点があるものの
その威力は凄まじく、本来の力を大幅に増幅し
無双を誇るという代物だ
以前戦った時はみゆきを圧倒するほどの強さを見せた
そのエミリーをして勝てないというのだから
香奈が敗れたのも道理であり
普通で考えればみゆきに勝ち目は無い
「それでも戦うって言うのだろうけどな
あの馬鹿女は・・・」
レオはボソリとそうつぶやくとレオはそのまま部屋へと戻っていった
それから三日が過ぎた、相変わらず香奈は目を覚まさなかったが
みゆきはずっと付きっきりで看病していた
その日も太陽が傾きつつ空が徐々に赤く染まって来た時
香奈とみゆきがいる部屋に慌てて兵が駆け込んで来た
「来ました‼ 例の剣士、西園寺怜次が!?」
「そうですか・・・」
静かに一言つぶやくように口を開くと
目つきが変りスッと立ち上がるみゆき
「じゃあお姉ちゃん行って来るよ・・・」
今だ目を覚まさない香奈に向かって
優しく声をかけ部屋を出た
対戦は闘技場でおこなわれる事になっていて
みゆきが姿を見せた時には対戦相手の怜次はもちろんの事
チャングイ、ゲルハート、ザラボルン国王までもが
みゆきの到着を待っていた、闘技場の入口では
レオが腕を組みながら壁に背を預けて立っていた
「まあ精々頑張ってきな
俺がいる限り、お前は
死なないから心配はいらねえ
まぁ死んでる奴に”死なないから”
ってのも変な話だけどな」
レオが微笑みながらそう告げた
「アンタには感謝してるわ・・・
いつも色々ありがとう」
みゆきの言葉に驚きの表情を見せるレオ
「なんだよいきなり・・・
気持ち悪いじゃねーか
妹的に言ったら”死亡フラグ”
ってヤツじゃねーのか!?」
「アンタがいる限り
私は死なないんでしょ?
まあアンタをどう見ても
白馬の王子様には程遠いけどね」
「うるせーよ、ゾンビのお姫様
よか全然マシだろうが!?」
二人は思わず笑った
闘技場に入ると西園寺怜次が中央に立っていて、ふとこちらを見た
「君が東条源次郎先生のお孫さんかい?」
「そうよ西園寺健一郎先生のお孫さん」
無表情で問いかけた怜次に対し
あくまで自然体で対するみゆき
ゲルハートが中央に出てきて二人を交互に見た
「今回も立会人は私ゲルハートが
務めさせていただきます
よろしいですね、では
始めてください‼」
怜次とみゆきが剣を構える、その瞬間怜次から凄まじい闘気が発せられた
「今回は最初から全力という訳か!?」
「ええそのようですね・・・
しかし相変わらず恐ろしい
闘気です・・・ただ見ているだけの
我々すら気を強く持っていなければ
倒れそうになるほどです」
チャングイとゲルハートがつぶやく、横で見ている二人でさえ
そう感じるのだ、対峙しているみゆきには想像を絶する圧力があった
『何よこれ!?このとんでもない気・・・
とても人のモノとは思えないわね
剣の鬼か・・・香奈ちゃんの事が
なかったら逃げ出しそうよ・・・
でも負けられないのよ今回は‼』
自分を睨みつけるみゆきの姿を見て怜次はニヤリと笑う
「じゃあ僕から行くよ」
その言葉を言い終わるや否やいきなり斬りこむ怜次
空気を切り裂き凄まじい速度と圧力で怜次の剣がみゆきを襲う
チャングイとゲルハートにはその剣が見えなかった
初撃を何とか受け止めたみゆきに対し
間髪入れず次々と連続攻撃を繰り広げる怜次
圧倒的なまでのスピードと圧力で攻めまくる怜次に対して
何とか耐えているみゆき、怜次の攻撃を受けているだけでも
驚愕に値するのだが攻めに転じる事ができない以上
どう見てもジリ貧である、嵐の様な攻撃は益々勢いを増し
徐々にみゆきを追い詰める、見ていた者達もそれを感じていた
「チクショウ・・・やっぱダメか!?」
「そうですね、このままではいずれ・・・」
しかしみゆきは耐え忍びながらチャンスを待っていた
どうせまともな攻撃では怜次を倒す事ができない
ならば一度のチャンス、一撃に賭けていたのだ
『耐えろ、必ずチャンスは来る
それまでは必死に食らいついく』
防戦一方だったみゆきの目が一瞬大きく見開いた
怜次の攻撃が少しだけ荒くなってきたのだ
今まで難攻不落とも思えた相手にできた一瞬の隙
待ちに待ったチャンス、みゆきはそれを見逃さなかった
『来た!?ここで‼』
防戦一方だったみゆきが初めて攻撃の為の一歩を踏み出す
怜次はまるでつられるように上から剣を振り下ろした
『今だ‼』
みゆきは屈むように怜次の左前に踏み込み怜次の剣をギリギリでかわすと
相手の胴体に向かって剣を横凪に切り裂く
『勝った‼』
みゆきが勝ちを確信した瞬間”キーン”という金属音と共に
硬い物にぶつかったような感触があった
「えっ!?」
驚いて目の前を見てみるとみゆきの剣は怜次の剣で見事に防がれていたのだ
この一撃に全てを賭けていたみゆきは半ば無防備の状態である
上から見下ろすように怜次が嬉しそうに微笑んでいた
「いい攻撃だ、今の一撃、
本当にいい抜き胴だったよ!?」
「読まれてたの!?」
「まさか、体が単に反応しただけだよ
本当に楽しかったよ、じゃあね」
無情に振り下ろされた剣はみゆきの左肩口から
斬りこまれ心臓の所まで達していた
「がはっ!?」
斬られたみゆきは剣が体に刺さったままの状態で
両膝を付き剣を地面に落とした
怜次が剣を引き抜くと、そのまま崩れ落ちるように倒れるみゆき
皆が慌てて駆け寄る
「治療班の魔法使いと神官は早く手当を!?
すぐに大聖堂に運んでください‼」
ゲルハートの声が闘技場に響く、剣を鞘に納め
何事も無かったかのように立ち去ろうとする怜次
「ちょっと待てや‼」
怜次の背中に向かって呼び止める声が聞こえた
その声に対しゆっくりと振り向く怜次、声の主はレオだった
「ようよう兄ちゃん、まさかこのまま
黙って帰れるとは思ってないよな!?」
不思議そうにレオを見つめる怜次
「君は?」
「あ!?俺か?今さっきお前が戦った
女の連れだよ、自分の連れの女を
やられて黙って見過ごせるほど
人間が出来ちゃいないんでね・・・
是非俺とも遊んでくれや!?」
少し目を細め再び問いかける怜次
「君は剣士なのかい?」
「いや、剣士なんて御大層な者じゃねーよ
まあしいて言えば戦争屋だな!?」
それを聞いた怜次は再び背中を向け立ち去ろうとした
「僕は剣士以外には興味が無い」
その態度にレオの目つきが更に怒りに変る
「待てやコラ‼お前に興味があるとか無いとか
関係ないんだよ、そもそもテメエに最初から
選択肢なんざねーんだ、あるのは
俺にボコられてボロ雑巾のようにされるか
俺になぶり殺されてミンチになるかの
二択なんだよ!?さあ好きな方選びな!?」
レオの言葉にため息をついて振り向く怜次
「しょうがないね・・・じゃあ相手するよ」
面倒臭さそうにそう言い放つと
半身の体勢になり手刀を前に出し構える怜次
「ほう、ようやくやる気になってくれたか
しかも素手だと?どういうつもりか知らねえが
こっちとしても無抵抗の人間をボコるのも
気が引けたからな!?」
レオも両拳を前に出し構える、レオの戦闘スタイルは
傭兵時代に培った格闘技術いわゆる”軍隊格闘技”である
その最大の特徴は相手を倒す為の技術では無く
相手を殺す為の技という点である、つまり相手を殺す為なら
利用できる物はどんな物でも使うし勝つためなら何でもする
そんなレオが怜次の構えを見て目を細める
『隙が無い・・・剣の達人だから
素手でもある程度強いのはわかるが
何だコイツの構えは?
日本の古流武術なのか!?』
相手を冷静に分析しながら慎重な姿勢のレオ
「来ないのかい?じゃあ帰ってもいいのかな?」
怜次のその言葉にレオの気持ちが弾けた
「無事で帰れると思うなよクソが!?
その綺麗な面を修羅場に変えてやんゼ‼」
一気に距離をつめワンツーパンチを繰り出すレオ
その攻撃で相手の反応を確かめるように観察する
怜次は前に着きだした手刀でレオのパンチを軽くいなし
接近したレオを見つめる
「武道みたいなお行儀のいい事を
やっている奴等は大概これで!?」
接近した怜次に対してレオは頭突きから金的への膝蹴りを試みる
「なにっ!?」
怜次はそれを予想していたかのように簡単にかわすと
まるで剣の様に手刀を振り下ろした
「くそっ!?」
レオはそれをギリギリかわす、そして体勢を低くし
怜次の足にタックルを仕掛けて相手を転ばす事を試みた
「寝技ならどうよ、剣士にはどうする事も・・・」
しかし怜次はレオの仕掛けたタックルを簡単にいなす
思わずバランスを崩されたレオは慌てて前転し距離を取った
そんなレオに対し追撃はせず再び半身で迎え撃つ構えを見せる怜次
そして怜次の目つきが変りあの圧倒的な闘気が発せられた
「こいつ・・・」
片膝を付きながら怜次を睨みつけると
レオは左手に地面の砂を握り込み素早く立ち上がる
「スカしてるんじゃねーぞ、カスが‼」
そう叫びながら一直線に向って行くレオ
しかしこれはレオの作戦なのだ、逆上しているように見せて
心の中では冷静に相手を分析していた
『何だかわからないがコイツは
妙に戦いなれていやがる
武闘家って奴は意表を突いた
想定外の攻撃に対しては
案外もろいモノなんだが・・・
まあいい、ならばコイツが
想像もつかないような意表を
突けばいいだけの事だ・・・』
レオはボクシングの様な構えから左手をかざす仕草を見せる
それに対し怜次の目線が左手に向いた
『かかった!?』
その時レオは右手に隠し持っていた小石を
怜次の顔面目掛けて親指で弾く
それと同時に怜次の足元にスライディングの様な恰好で
滑り込むと怜次の足の関節を取りに行った
「左手に握り込んだ砂はお前に警戒させるために
ワザと見えるように握ったんだよ!?
本命はコッチだ‼」
レオが怜次の右足を掴むか!?と思われたその時
そこにあるはずの右足が無かった
驚いたレオが思わず見上げると
怜次は右足を高々と上げていた、そして
かかと落としの様な恰好でレオ目掛けて
右足を振り下ろしたのだ
咄嗟に両腕でガードし、かかと落としを防いだレオは
左手に握り込んでいた砂を反射的に投げつけ、再び距離を取った
『なんなんだコイツは!?』
驚愕の表情で怜次を見つめるレオ
さっきかかと落としをガードした腕は
まだジンジンしびれていた
「君が前転で逃げた時、とっさに右手に
小石を握り込んだのがわかったからね
その後左手に砂を握り込んだのを
ギリギリ見えるようにしてたから
君の攻撃は大体予想できたよ」
勝ち誇る訳でもなく、何事も無かったように言い放つ怜次
「この野郎・・・人をナメるのも
大概にしろよコラ!?」
レオは本当にイラつき始めていた、そしてそれから
思いつく限りの攻撃をくり出すレオ
ありとあらゆる技や方法を試し怜次に挑みかかるも
その全てを退ける怜次、周りはすでに暗くなっていて
二人はゲルハートが用意した魔法による光で戦っていた
「はぁはぁはぁ・・・チクショウ
一体どうなってやがる!?」
息を切らせながら睨みつけるように相手を見つめるレオ
それに対し汗すらかかず涼しい顔の怜次
「まだやるのかい?」
「うるせーよ、テメエは俺が
ぶちのめすんだからな
黙ってボコられろクソが!?」
その時、夜空を切り裂くような高い声が闘技場に響いた
「待ちなさいよレオ‼」
二人がその声の方向を見るとそこには体に包帯を巻きながら
兵士に肩を担がれていたみゆきがいた
「ば、馬鹿な!?あの傷で
生きているはずが!?」
絶句しながら驚愕の表情でみゆきを見つめる怜次
今までの態度とは違って明らかに動揺しており
あの圧倒的なまでの殺気が失せていた
「ようやく隙を見せたなスカシ野郎」
レオは一気に距離をつめ怜次の右足を掴みタックルすると
そのまま地面に組み伏せ上から見下ろした
「さあこれからがお楽しみタイムだぜ」
レオは馬乗りの様な形で拳を何発も振り下ろす
怜次の白くて端正な顔にレオのパンチが次々と襲い掛かる
何発も殴られながらも喉元や首筋、眼球などの急所への攻撃だけは
何とか防いでいる怜次
「随分粘るじゃねーか、だが
それも時間の問題だろうけどな」
馬乗り状態で殴り続けながら隙をうかがうレオ
その時再びみゆきの声がした
「ちょっといい加減にしなさいよレオ
はっ倒すわよ!?」
レオがみゆきの声に一瞬気を取られた隙に素早く脱出する怜次
レオとの距離を取り再び構える、しかしその顔は口から血を流し
数か所が赤くはれ上がっていて先程までの余裕はなくなっていた
レオがみゆきを睨んで怒鳴った
「このクソアマ、気が散る事言いやがって
何のつもりだ!?」
「何のつもりだじゃないわよ!?
そいつは私の獲物よ勝手に
戦ってるんじゃないわよ‼」
「何言ってやがる、さっき完敗した癖に
偉そうなことぬかすなボケ‼」
「あんただって私が声をかけなきゃ
一方的にやられてたじゃないの
馬鹿じゃないの!?」
みゆきとレオの喧嘩に呆れた様子で構えを解く怜次
「痴話喧嘩やってるなら僕は帰らせてもらうよ」
そういいながら背中を見せて帰ろうとしていた
「トコトン人の気を逆なでする奴だな・・・
どこまで俺を馬鹿にすれば気が済むんだ
もう構わねえ、テメエはぶちのめす
どんな事をしてもだ・・・
チェンジ装備ドラゴン‼」
レオは光に包まれると黒い龍装備に身を包む
「ちょっとレオ、いくら何でも
それはやり過ぎよ、止めなさい‼」
「うるせーぞ、コイツはどうしても
許せねえんだ、止めるなみゆき‼」
レオはこれ以上無い程怒っていた
なぜ自分がこれほどまでにイラついているのか
自分自身にもわからなかったが、そんな事を考える事すら
でき無い程に腹を立てていたのだ、そんなレオの姿を見て少し驚き
チラリとみゆきの方を見た怜次
「ドラグナイト・・・・
なるほどそういう事か!?」
怜次はフッと笑った
「テメエこの状況でもスカシてやがるのか!?
余裕ぶっこいてるんじゃねーよ
その胸糞悪い面のままくたばりな‼」
レオの背中から数本の影が発生するとそれは
凄まじい速度で一斉に怜次に襲い掛かった
その時怜次がボソリとつぶやく
「チェンジ装備ドラゴン」
その瞬間、怜次の体は光に包まれ白い装備に包まれた、それと同時に
白い冷気の霧が発生し襲い掛かる影を凍結させたのだ
「な!?」
「うそ!?」
レオとみゆきだけでなくそこにいた全ての人間が
驚きのあまり声を出す事も出来なかった
そしてレオの口元が緩んだ
「そうかテメエが・・・
考えてみりゃあ当然か、俺の攻撃を防ぎ
拓斗より強い剣士がただの男の訳ないわな
会いたかったぜ”フロストドラグナイト”!?」
みゆきもあまりの事に混乱していた
「西園寺怜次がドラグナイト!?
嘘でしょ・・・」
ゲルハートとチャングイも困惑していた
「あれがドラグナイトの中でも最強と言われる
氷の龍戦士ですか!?」
「そんなの相手じゃいくら俺様でも
勝てる訳ないわな・・・」
動揺する皆と違ってレオは嬉しそうだった
「そうか、そうかテメエが・・・俺がこれほど
イラついた原因がわかって逆にスッキリしたぜ
幸い今は夜だ、鳴沢のジジイが言った事が本当か
試してやるぜ!?」
以前鳴沢英治がレオに言った事、それは
”夜のダークドラグナイトは最強だが互角に戦える奴が
二人いる、それは炎の龍戦士と氷の龍戦士だ”と
「同じドラグナイト同士なら
遠慮はいらねえよな
喰らえや‼」
怜次の周りを大量の闇が覆い、一気に怜次を包み込んだ
その黒い闇は漆黒の球体となり徐々に収束しながら縮んでいく
「闇に飲み込まれて
死んじまいなクックック」
しかしある一定の大きさになると収束が収まりしばらく
の静寂が訪れる、すると漆黒の球体の表面が白くなり始め
段々ひび割れていく、そしてガラスが粉々に割れるように
弾けるように砕け散ったのだ、中ならは何事も無かったかのように
たたずむ怜次がいた
「くそっ、じゃあこれならどうだ!?
闇の龍神 邪悪なるゾルダークよ
汝が汚れを罪人に与えん
魂には絶望を肉体には闇をその深き
執念の果てに地獄への運命へと導かん
”ボルドルビゲン・リフィ・デゴエラス”‼」
レオが呪文の詠唱すると魔法陣が発生し地の底から
聞こえて来るような絶望の悲鳴が響き渡った
それを聞いたゲルハートとチャングイが顔をしかめた
「この呪文は!?あのグランドレッドを
壊滅に追い込んだ精神破壊呪文では!?」
「ああ、この詠唱は間違いないぜ・・・
俺はあの時見た地獄絵図をいまだに
忘れる事ができないぐらいだからな」
二人がそんな事を思い出しながら怪訝そうな顔で
レオと怜次を見つめていた時
それに合わせるかのように怜次も詠唱を始める
「氷の龍神 邪悪なるファルメスよ
その静かなる意思をもって全ての罪を静めん
強欲を無に絶望を霧散に変える冷たき世界へと
誘う零度の慈悲をここに与えん
”シャウラウト・ビゲルデス・スフォルダ”‼」
怜次の足元に魔法陣が発生したものの、それ以外何も起こらず
皆不思議そうな顔で成り行きを見守った
「何だ何だ!?この期に及んで
魔法失敗か!?天才剣士様も
魔法は苦手ですかぁ
クックック、じゃあ絶望と恐怖の中で
惨めに死んでいきな‼」
絶望と恐怖のオーラが怜次を襲う
怜次は目を閉じ直立したまま全く動かなかった
「立ったまま壊れちまったか!?
気の毒にな、じゃあいっそトドメを・・・」
その時怜次の両目が大きく見開きレオに向かって右手を突き出すと
冷気の衝撃波、ドラゴニックオーラをくり出したのだ
慌てて闇の防護壁で冷気のドラゴニックオーラを防ぐと
思わず歯ぎしりしながら怜次を睨むレオ
「何だコイツ、俺の精神破壊呪文が
全く効いていないのか!?
物理的攻撃と違って精神破壊魔法は
通常では防げないはずなのに・・・
一体どうなってやがる!?」
怜次はその質問に冷静にかつ淡々と語り始めた
「僕の今の呪文は物理的な事をおこなう
魔法じゃなかったんだよ、いうなれば
”自分の心を凍結”させる呪文だ
一つ言っておくけど
僕に凍結できないモノは無い
さっきも君の影を凍らせただろ!?
あれが証拠さ、それが物理的な物でも
精神的なモノでも僕にかかれば
凍らせることは容易いんだよ」
その説明に驚愕する一同
ゲルハートが吐き捨てるように口走った
「そんな相手にどうやって勝つんですか!?
物理的なモノ以外の対象すら
凍結できるなんて無茶苦茶ですよ‼」
レオは怜次を睨みながら必死に考えていた
『確かに鳴沢のジジイが言ってたことは
本当みたいだな、冷気による絶対的な
防御力、こんな奴とどうやって戦う
どうやって!?・・・』
レオと怜次の睨み合いが続き夜の闘技場に奇妙な静寂が訪れた
「もうお終いかい?じゃあ僕は帰るよ
でも剣以外でも中々面白い戦いが
あるって事がわかったのは収穫だった
また僕と戦いたくなったらいつでもおいで
確か君達はグランシア王国と仲が悪いんだよね?
じゃあ僕はグランシアに行く事にするよ
じゃあね」
怜次はそう言うと背中から氷による真っ白な羽を発生させた
自分の体の何倍もの大きなその羽を優雅にはばたかせ
音も立てずにフワリと飛び立つと、そのまま夜の闇に消えて行った
それは神話から飛び出してきた天使の様だった
その姿は気品に溢れ格調高く感じる程、美しい光景であった。
最後の主要人物である西園寺怜次の登場でようやく役者がそろったところです
(どれだけ時間かかって出したんだ!?というツッコミは百も承知であります・・・)
もはや前半の登場人物に関しては私も忘れているくらいですから皆さんが覚えている
はずはないでしょう・・・・という確信の元で当たり前の様に登場せるつもりですので
懲りずにおつきあいください、では。




