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再会への試練 姉の思い弟の願い

沢渡拓斗…世界で七人しかいない最強戦士ドラグナイトの一人、しかしドラグナイトから解放される為に旅をしている。

マルコ…さらわれた姉を助ける為最強を目指している少年

メリンダ・パルケード…不思議な力を持つ少女”深淵の預言者”と呼ばれた祖母よりも強力な力の持ち主。

ソドム…黒色光蜂教団の総帥、合成獣の研究を進めていて自分自身もかなり強い

タウティ…黒装束の集団の幹部の一人、ソドムの補佐的な役割もこなしていてソドムを崇拝している

エミリー…マルコの姉で本人にも自覚は無いが非常に強い力を秘めている

ラナン・アナスタジア(アニア)…パン屋でバイトをしていた17歳の少女、この世界に来て戦乱に巻き込まれ逃げ延びるも黒装束の集団に捕まってしまった(第2部 いざワールドファンタジアの世界へを参照)

拓斗達三人は黒装束の集団”黒色光蜂教団”のアジトである

洞窟へとたどり着き捕えられていた人質を解放したが

時すでに遅くマルコの姉エミリーは黒色光蜂教団の

首魁ソドムによって怪物へと変えられてしまっていた

「なんてことを・・・」

メリンダはおぞましい怪物に変えられてしまっていた

エミリーの姿を見て思わず両手を口に当て震えながら嘆いた

「姉ちゃん、俺だよマルコだよ、わかるか!?姉ちゃん‼」

マルコは変り果てた姉に対して必死に呼びかけるがエミリーには

その言葉は届いていない様で全く何の反応も無かった

「クックック無駄だ、もうこの者は私のいう事しか

 聞こえぬ、今から地獄を味あわせてやるから

 楽しみにしておくのだな」

ソドムは仮面の下で笑っていた

マルコの姉エミリーを取り込み、何とも不気味な

姿の植物魔獣は何本もの触手をウネウネと動かしていた

「ダメだ完全に同化してしまっている・・・」

思わず拓斗が目を細めてつぶやいた

「では私の作った最高傑作”カオス”の

 力を試す為の生贄になってもらおう」

ソドムが右手を上げ合図をすると

カオスと呼ばれる怪物は背中から生えている

数本の触手を大きく広げ狙いを付けるかのように

一度ピタリと動きを止めた後

三人目掛けて向かってきたのだ

それはその一本一本が意思のある鞭のように

拓斗達三人に猛然と襲い掛かって来た

唸りをあげ迫りくるそのスピードは凄まじく

常人では目でとらえる事すら不可能な程だったが

拓斗達に到達直前でピタリと止まりボトボトと

地面に落下していった、よく見ると触手の先が全て

切断されておりその斬られたと思われる触手は

地面に落ちた直後、炎に包まれあっという間に燃え尽きた

「ほう、中々やりおるの、まあそれぐらいは

 やってもらわないとテストにすらなら

 ないからな、クックック」

ソドムは全く動揺する様子も無く得意げにそう言い放つ

カオスの切断された触手の先から新しい触手が生えてきて

あっという間に再生してしまった

「キリがなさそうだな・・・」

拓斗はボソリとつぶやく、そしてメリンダはカオスを

ジッと見つめその体内のエネルギーの流れを探っていた

「あの”カオス”と呼ばれる魔獣は地面に対して

 根を張っています、どうやら地中を伝って

 森の木々や地脈からエネルギーを補充している様です」

メリンダの分析にソドムがピクリと反応した

「ほうカオスの秘密を一目で看破するとは・・・

 貴様ただの小娘では無いな・・・その緑色の瞳

 そうか魔眼か!?今日は何という良き日だ

 触媒となるべき材料が向こうからノコノコやって来て

 くれるとはな!?」

ソドムは上機嫌でそう言うとさらに話を続けた

「今回の”カオス”は今までの合成獣とは違い

 他からエネルギーを補充する事により無限の

 力を得ることができる、そしてどれほど破壊されても

 何度でも再生する事が可能なのだ、数回能力を

 使っただけで魔力切れを起し朽ち始めた

 今までの試作品とは訳が違うぞ!?はっはっは」

得意げに勝ち誇るソドムに対しマルコは

悔し涙をにじませて怒鳴りつけた

「この変態教祖、姉ちゃんを元に戻せ‼」

ソドムの笑い声がピタリと止み仮面越しにマルコを

睨みつける、凄まじい殺気を帯びた視線が

マルコに浴びせられるが今回はマルコも一歩も

引かない、ありったけの勇気と怒りをもって睨み返す

「この小僧、いい度胸をしているな、貴様はタダでは

 殺さん、じっくりいたぶりながら生きているのを

 後悔するほど残忍に殺してやるから楽しみにしてろ」

その言葉に少し気圧されるマルコ、そこに拓斗が

話しに割って入った

「ソドムとか言ったか?アンタの言っている事は

 とても教祖様の言葉とは思えないけどな

 人類の救済が目的とか大層な看板かかげていると

 聞いたが女子供相手にそれじゃあ人類どころか

 虫一匹救えないぜ!?」

拓斗はワザと怒らせるような事を言って挑発した

その効果はてきめんあった、ソドムは表情こそ

仮面でわからないモノの怒りで体をブルブル震わせていた

「おのれ・・・おのれ痴れ者共・・・

 世界の救世主たるこの私に向って

 何という無礼千万、その罪万死に値するぞ‼」

ソドムはカオスの方に振り返り怒りに任せて命令した

「じっくりいたぶり殺してやろうかと思ったが

 もういい、今すぐ消し飛ばしてやろうぞ

 カオス”聖母の歌声”浴びせろ‼」

その声に反応し植物に取り込まれているエミリーの

口が大きく開く、そして歌を歌うかのような仕草で

凄まじい衝撃波をくり出してきた、拓斗はマルコと

メリンダ、そして解放した女性達を庇うように

前に立ちふさがり盾によって衝撃波を防ぐ

圧倒的なまでのソニックブームが拓斗達を襲い

周りの木々が吹き飛んでいく、衝撃波自体は拓斗が

防いでくれていたがカオスの歌声によるあまりの大音量に

マルコとメリンダ、人質達の耳はマヒしてしまい

激しい耳鳴りで何も聞こえない状態になってしまっていた

「もうよい、一旦止めろカオス」

ソドムの命で口を閉じ歌うのを止めるカオス

「どうしたんだ、もうおしまいか!?

 あんた自慢の最高傑作はそんなもんかい?」

拓斗の挑発じみた言葉に少しイラつくソドム

しかし気を取り直し冷静を装う

「そんな事を言っていていいのか?

 後ろを見てみるがよい」

拓斗がハッとして振り向くとマルコとメリンダ

そして人質の女性達が両耳を押さえ

苦しそうにうずくまっていた

「はっはっは、いくら衝撃波を防いだとしても

 常人にはこの音量は耐えられまい

 いくら両手で耳を塞いでも”聖母の歌声”の

 特殊な超音波は直接脳にダメージを与える

 ドラグナイトの鎧を着ている貴様はともかく

 後ろの連中にはとても耐えられまいて

 連れの女子供が白目を向き泡を吹きながら

 狂い死にする様をジックリ見届けるがよいわ」

拓斗の目つきが厳しいモノに変る、その瞬間

ソドムに向かって右手を突き出し

ドラゴニックブームを放った、しかしソドムの前に

カオスの触手が現れソドムを覆い隠す様に庇う

ドラゴニックブームによって触手が吹き飛ぶが

又あっという間に再生してしまう、思わず唇を噛む拓斗

「どうした小僧、先ほどまでの余裕が無くなったな

 しかし安心せい、そっちの女子供を殺したのち

 貴様もすぐ後を追わせてやるぞ

 これが私の慈悲深き救済と知れ、はっはっは」

再び上機嫌で勝ち誇るソドム、その時拓斗は先程の

メリンダの言葉を思い出した

『そうか、あのカオスという植物魔獣は

 森の木々と地脈からエネルギーを補充している

 とメリンダが言っていたな、だったら方法はある

 しかし・・・』

拓斗は苦悶の表情を浮かべていた、それを見て

更に悦に入るソドム

「いいぞいいぞその顔が見たかったんだ

 その絶望のまま仲間が死んでいくのを

 ジックリと見守るがよいわ

 カオス、再び”聖母の歌声”を放て‼」

カオスは再び口をゆっくり広げ始めた

「くそっ、迷っている暇はない」

拓斗は両手に力を込めるとその手には

龍装備の赤い剣とフロストバスターの白い剣が

それぞれ握られていた

「剣を二本出したとて何ができるというのだ?

 見ての通りいくら攻撃してもカオスは再生する

 そして攻撃も無限に続く、この期に及んで

 無駄なあがきを・・・見苦しいのうクックック」

ソドムは楽しくて仕方がないといった様子であった

その時拓斗は右手の赤い剣を目の前に地面に刺し

左手のフロストバスターを後ろの二人と人質の女性達の

前の地面に刺すと目を閉じ呪文の詠唱を始めた

「炎の龍神 邪悪なるフォレリオガルンよ

 その赤き意思をここに授けん、紅蓮の炎で

 全てを焦土と化し憤怒の世界へと導かん

 ”ヂュメンデット・ダフォリアル”‼」

「今更魔法などカオスには・・・な、何だ!?」

その瞬間ソドムの目の前の景色が真っ赤に染まった

目の前に広がっている闇夜の森が一斉に巨大な爆炎に

包まれたのだ

「何をやっているのだ貴様は!?」

拓斗の行動が理解できないソドム、そして何やら

自分の足の裏に変な違和感を感じ始めた

「熱っち、今度は何だ?」

よく見ると地面が赤くなり始め凄まじい高温になっていた

慌ててカオスの肩に飛び乗るソドム

その瞬間カオスが”聖母の歌声”を放ち再び凄まじい衝撃波が

皆を襲う、衝撃波自体は拓斗が防いでいたものの超音波による

脳への攻撃は後ろにいる皆を苦しめていた

「一体何を始めたのかと思ったが何の事はない

 ただの悪あがきであったか・・・ん!?」

その時ソドムはカオスの異変に気が付いた

カオスの触手の先が枯れ始め胴体部分が

徐々に赤くなってきていたのだ

「何だ!?なぜ完璧なはずのカオスが

 枯れ始める?そしてこの胴体の

 赤さは・・・はっまさか!?」

ソドムが拓斗を見つめる

「そうだよ、ようやく気が付いたかい?

 そのカオスって植物魔獣は森の木々や

 地脈からエネルギーを補充していたんだろ?

 だから森中の木を焼き尽くしエネルギー補充を

 阻止すると共に地面を超高温にすることによって

 膨大な熱も一緒に吸い上げさせたのさ

 だからその魔獣はエネルギー不足と超高温を 

 体内に取り込んでしまった為に崩壊を始めたのさ」

「馬鹿な!?そんな事をしたら後ろの女共は

 消し炭になって・・・なんだと!?」

マルコとメリンダ、そして人質の女性たちは

全員無事で特別熱がっている様子も無かった

「一体何が!?・・・まさかその白い剣が!?」

「そうだよ、これは”フロストバスター”と言って

 冷気を操る剣なんだ、後ろの人間を守るために

 フロストバスターの冷気で調整してたって事さ

 まあタネを明かせば単純だろ?さすがに森の

 木を焼き尽くすのは気が引けたが俺にとっては

 こんな森よりも後ろの二人の方が大事だからな」

ソドムと拓斗の立場が完全に逆転した、ソドムが

カオスを見つめると数本の触手がボロボロと

徐々に崩壊し始め、熱を取り込んでいた胴体は

ついに燃え始めた

「くそっ!?私の最高傑作が・・・おのれ~!?」

「もうアンタ詰んでるよ、諦めな」

ソドムと拓斗が視線を交わしながら睨み合う

「こうなったら仕方がないカオスよ再び

 ”聖母の歌声”を放て、そして最終手段を実行せよ‼」

その言葉にギョッとする拓斗

「そんな事をしたら数分後には完全に崩壊するぞ!?」

「かまわん、私が撤退する時間持てばよいのだから」

ソドムの言葉に思わず怒りの表情を見せる拓斗

「テメエって奴は・・・どこまでもクズ野郎だな」

その言葉にピクリと反応したソドムだったが

すぐさま反転し逃げる態勢に入る

「待てこの外道、逃がすかよ!?」

拓斗が追おうとしたときカオスが立ちふさがった

既に体は炎に包まれ触手はボロボロと崩れ始めていた

口を大きく開き”聖母の歌声”を放とうとしていた

「くそっ、倒すしかないのか!?」

拓斗は苦悶の表情で剣を大きく振りかぶった、その時

「止めてくれ‼」

拓斗とカオスの間に割り込んだ影があった

マルコである、両手を大きく広げ拓斗の前に

立ちふさがったのだ

「どけマルコ、お姉さんはもう・・・」

「嫌だ、俺の姉ちゃんなんだ、俺の大切な・・・

 本当に優しい姉ちゃんなんだよ殺さないでくれ

 拓斗兄ちゃん、頼むよ」

その時後ろからメリンダが叫んだ

「あのカオスという魔獣の本当の目的は自爆です

 体内に取り込んだ膨大な熱エネルギーを暴走させ

 爆発させるつもりの様です

 物凄いエネルギーの膨張を感じます‼」

マルコの顔から血の気が引き絶望的な表情に変わる

ソドムの姿はすでになく、逃げてしまっていた様だった

「そんな・・・何とかならないのかメリンダ姉ちゃん?

 姉ちゃんを助けてくれよ、お願いします

 何でもしますから姉ちゃんを・・・」

マルコはその場で土下座して頼み込んでいた

しかしメリンダは目を伏せゆっくりと首を振る

「ごめんなさい、お姉さんはもう・・・」

その時ゆっくり拓斗がカオスに向かって歩き出す

「止めてくれ兄ちゃん、止めてくれよ・・・」

「どけマルコ、その魔獣が自爆した場合

 どんな現象が起こるかわからない

 さっきの超音波の様に俺の盾でもみんなを

 守れないかもしれないんだ・・・」

涙を流しながら膝から崩れ落ちるマルコ

しかし再びスックと立ち上がると

拓斗に向かって剣を構えた

「何の真似だマルコ?」

「姉ちゃんは殺させない、姉ちゃんは俺が守るんだ‼」

少しの間沈黙したが再び拓斗が歩き出す

「止まれ、止まれよ兄ちゃん、本当に攻撃するぞ‼」

そんなマルコの言葉にも耳を貸す事無く

剣を振りかぶる拓斗

「ちくしょう、兄ちゃんのわからずや・・・

 闇の精霊 偉大なるゼイレルよ

 我が欲望の彼方に汝の怒りを分け与えん

 ”デッドペリエント”‼」

マルコは拓斗に教わった暗黒魔法ファミリアクローを放つ

しかし拓斗の前まで来ると魔法が弾けるように消し飛んだ

「くそっ、デットペリエント‼デットペリエント‼」

マルコは涙目になりながら何度も何度も

ファミリアクローの呪文を放つがその魔法が

拓斗に届く事は無く目の前でことごとくはじけ飛んだ

「言わなかったか?ゼイレルはゾギアスの従属魔であり

 ゾギアスの魔法が使える人間には全く効かないと・・・」

マルコは魔法を諦め再び剣を構える

低い姿勢を取り今にも斬りかかろうか

という形相で拓斗を睨んでいた

「マルコ・・・その攻撃は奇襲だからこそ

 効果があると言っただろ、攻撃手段が

 バレている相手には無駄だと・・・」

マルコはそんな忠告にもかまわず拓斗を睨み続けた

「俺はこれしか知らない、だからこれで姉ちゃんを

 守るって決めたんだ‼頼む兄ちゃん姉ちゃんを

 殺さないでくれよ・・・」

メリンダが思わず両手で口を押え涙を流す

その時カオスの異変に気が付き叫んだ

「ダメです、もうすぐ爆発します!?」

拓斗は気を取り直しカオスに向かう

「ここまでだマルコ」

「うわぁぁぁ~‼」

マルコは泣き叫びながら拓斗に斬りかかる

拓斗はそれを軽く半身でかわすとマルコは頭から

滑り込むように地面に倒れた

拓斗がカオスに斬りかかろうとしたとき

マルコが拓斗の足にしがみつく

「姉ちゃんを殺さないでください・・・

 お願いしますから・・・」

涙と鼻水でぐしゃぐしゃになりながら訴えるマルコ

その時、かすかに細く小さな声が聞こえた

「早く・・・逃げなさい・・・」

それはカオスに取り込まれていたエミリーが

意識を取り戻しマルコに話しかけていたのだ

「姉ちゃん、姉ちゃん正気に戻ったのか!?」

嬉しそうに話しかけるマルコだったが

エミリーを取り込んでいたカオスはすでに

崩壊を始めており熱エネルギーを吸収し続けた為に

自爆目前までエネルギーの膨張は進んでいた

「もう抑えておけない・・・早く逃げ・・て」

「嫌だ、姉ちゃんを置いてなんていけない」

そんなマルコの言葉にカオスに取り込まれていた

エミリーの目から涙がこぼれ落ちた

「ゴメンねマルコ・・・お姉ちゃんもう・・・」

その時拓斗が何かを思いついたように反転し走り出す

そして地面に突き刺してあったフロストバスターを

引き抜くとカオスに向かって力強く振り下ろした

爆発寸前だったカオスは完全に凍りつき

一瞬にして氷像と化した

「これでダメならもう打つ手がないが

 メリンダ、エネルギーの膨張は

 どうなっている!?」

「えっ!?はい・・・大丈夫です

 熱エネルギーを吸収し続ける事で

 膨張していましたから、凍結させた

 事で問題は解決いたしました、もう

 爆発する事はありません、でも

 ・・・」

メリンダは悲しげにマルコを見つめた

マルコは変わり果てた姿で氷像となり絶命した

姉を信じられないと言った目で見つめていた

「姉ちゃん・・・嘘だろ、姉ちゃん・・・」

メリンダはこぼれる涙を抑えきれずに

ショックで呆けているマルコを見つめていた

そんな時、拓斗はゴソゴソと自分の

ポケットやバックを探しあさっていた

「あれ?どこやったかな、確かここに入れておいた

 はずなんだけど・・・あった!?」

拓斗はポケットから小さなバッチの様な物を取り出した

こんな空気の中、一人違う雰囲気の拓斗に思わず

問いかけるメリンダ

「拓斗さん、一体何を探しておいででしたか?

 それは一体?」

その質問にニヤリと笑う拓斗

「もしかしたらマルコのお姉さんの事

 何とかなるかもしれないぜ!?」

その言葉に驚くメリンダ、拓斗はその物体を

おもむろに指で押すと耳に当てた

『もしもし、香奈ちゃん?どうしたの?』

そこから聞こえてきたのはみゆきの声であった

その時拓斗の考えている事がメリンダにもわかった

「おうみゆきか?ちょっとレオに代わってくれ」

『えっ!?拓斗!?なんであんたが??

 ああそうか香奈ちゃんにもらったのね

 レオ?ちょっと待っててね・・・』

みゆきからレオに代わり拓斗と少し会話していた

数時間後レオとみゆきは拓斗に呼び出され

拓斗達と合流していた、マルコは何も聞かされていない為

泣き疲れてメリンダのひざまくらで眠ってしまっていた

「なんだここは、一面焼け野原じゃねーか!?

 拓斗お前がやったのか!?」

レオはキョロキョロと辺りを見回し呆れるように言った

「まあな、ちょっとしたゴタゴタがあって

 で、さっき話した件なんだが・・・」

レオは凍り付いたカオスの氷像をジッと見つめた

「これか?この怪物の中の女だけ

 蘇らせたいって訳だな?」

「そうだ、できるか?」

レオは頭をかきながらしばらく考え込むが

「できなくはないが・・・

 ここまでおかしくなっていると

 まともな意識と体で蘇るとは限らないぞ!?

 それでもいいんんだな!?」

拓斗は眠っているマルコをチラリと見て

「ああかまわない、やってくれ」

レオは軽くため息をついて氷像に手を当てた


「起きなさいマルコ・・・マルコ・・・」

そんな優しい声にゆっくり目を開けるマルコ

すると目の前には優しく微笑むエミリーがいた

「姉ちゃん・・・嘘だろ、夢なら覚めないでくれよ」

「馬鹿、夢じゃないわよ、心配かけたわねマルコ」

マルコの頬にそっと手を当てるエミリー

その目にはいっぱいの涙があふれていた

そんな姉の姿に泣きながら抱きつくマルコ

「うわ~姉ちゃん、姉ちゃん~‼」

号泣しながら抱き合うマルコとエミリーの姿に思わず

もらい泣きしてしまうメリンダとみゆき

「いいですね兄弟って・・・

 私は一人っ子なので兄弟がいるって

 凄くうらやましいです」

「わかるわ、私も一人っ子だからさ

 兄弟欲しかったんだよね、今は

 香奈ちゃんが妹みたいなものだけどさ」

レオが呆れながらボソリと話す

「兄弟なんてそんなにいいモノじゃないぜ!?

 いたらいたでめんどくさい事も多いしな」

レオの言葉にフッと笑う拓斗

「まあな、兄弟愛なんて世間一般には

 幻想に近いだろ!?実際香奈も俺より

 みゆきに懐いてるぐらいだからな」

二人の言葉にムッとした表情で睨みつけるみゆき

「何でそんな事言うのよ、アンタ達は!?

 ムード台無じゃない全く・・・

 実際そんな事言いながら妹がピンチの時は

 二人とも血相変えて駆け付ける癖に

 今更なに恰好付けてるんだか」

みゆきの言葉にわかりやすく動揺するレオと拓斗

「ば、馬鹿!?な、な、な何言ってるんだよ

 そんな訳ねーだろ!?」

「お前いい加減な事言ってるんじゃねーぞ!?

 俺がいつ妹の為に血相変えたんだ!?」

「はいはい、妹大好きお兄ちゃん達は

 もう結構ですよ、シスコンとか意味不明

 全く気持ち悪いったら・・・」

拓斗とレオがさらに必死になって弁明するが

言い訳すればするほど・・・という

感じでドンドン深みにはまっていく

それを見てクスクス笑うメリンダ

そんなやり取りを横目に少し落ち着いた

マルコがエミリーに問いかけた

「でも姉ちゃんどうして?

 もう助からないって・・・」

「うん結局助からなかったよ

 今の私は死人なの・・・」

その衝撃的な言葉に思わず固まるマルコ

「すまんマルコ、俺にはこんなやり方しか

 思いつかなかった、エミリーさんは

 このレオに死人として蘇らせて

 もらったんだ、だからレオが死んだら

 エミリーさんも死体に戻る」

悲壮感漂う表情でレオを見つめるマルコ

「安心しろガキ、俺は闇のドラグナイトだぞ

 早々くたばる事はねーよ、それに逆を言えば

 俺が死なない限りお前の姉ちゃんが

 死ぬことはないという事だ

 まあ正確に言えば死んでるんだけどな」

「私と全く一緒の立場になるって事ね」

みゆきがニコリと笑いかけた

「それとエミリーさんは今後もレオと共に

 行動することになる、そうしないと

 元の死体に戻ってしまうからな

 それにいつ何時ソドムが狙ってくる

 かもしれないからな、護衛と言う意味でも

 レオが一緒ならかなり安全だろう

 だからマルコとは一緒にはいられない

 そこはわかってくれ」

その言葉にうつむくマルコ

「うんわかった、どういう状態でも

 姉ちゃんが戻って来てくれたのは

 凄く嬉しいし会えなくても

 生きていてくれるなら・・・

 あぁ死んでるのか、ややこしいな

 でも姉ちゃんがいてくれるなら

 それでいいよ、ありがとう」

その時レオが拓斗の腕を引っ張って

少し皆から離れると小声で話しかけた

「おい、あの女も一緒に行くなんて

 聞いてないぞ、女の二人連れで

 旅なんて面倒臭え事この上ないだろ!?」

「甦らせるって事はそういう事だろ!?

 この前命救ってやったんだから

 それぐらい頼むぜレオ」

「それはお前の妹のピンチを助けた事で

 チャラのはずだろ!?」

「まあそう言わずに頼むぜレオ

 それにさっき少し話したが

 あの子は”黒色光蜂教団”とかいう

 カルト教団に狙われているんだ

 何かあの子には秘められた

 凄い力があるらしいんだ・・・」

「ふ~んあの女に凄い力ねぇ・・・」

レオと拓斗は思わずエミリーの方を見た

しかし二人の視線はいつの間にか

ついその豊満な胸に行ってしまい釘付けとなる

ジッと見つめながら少し赤くなってしまう二人

「二人とも何いやらしい目で見てるのよ!?」

みゆきが背後から二人に話しかけた

その言葉にビクッと反応し再び動揺するレオと拓斗

「なにを言っているんだいみゆきさん

 嫌だなぁ単なる誤解ですよそれは

 ねえレオ君」

「ああその通りだよ拓斗君、一体君は

 何を根拠にそんな発言をするのかね?

 理解に苦しむね」

明らかに態度のおかしい二人を

ジト目で見つめるみゆき

「拓斗さん、エミリーさんをいやらしい目で

 見ていたというのは本当なんですか?」

メリンダも拓斗をジッと睨みながら問いかけた

「メリンダまで何を言い出すんだ!?

 そんな訳ないだろ!嫌だなあハハハハ」

拓斗の乾いた笑いが空に響き渡る

しばらくしてレオ達が旅立つ事になった

巨大カラスの背中に乗って飛び立とうとする時

マルコの頭に手を乗せて優しく微笑むエミリー

「いい子にしてるのよマルコ

 皆さんに迷惑かけちゃ駄目よ」

「なんだよ俺はもう子供じゃねーんだぞ

 姉ちゃんこそあんまり無理するなよ」

「うん、ありがとう」

ニコリと笑うエミリー、そして巨大なカラスは

大きく羽を広げ大地を蹴った、その時

そこに駆け寄る一人の少女がいた

「待ってエミリー」

走りながら叫んでいたのはアニアだった

既に空中へと浮かんでいたカラスの上から

エミリーが覗き込むようにアニアを見つめた

「エミリーありがとう本当にありがとうね~」

空のエミリーに大声で感謝の気持ちを伝えるアニア

「お礼を言うのはコッチよアニア

 私こそありがとう‼」

「私達はずっと友達だよ~‼」

大声でそう叫ぶアニア、エミリーも空中から

何か叫んでいたがもうお互い声は届かなかった

そんな姿をほほえましく見ていた拓斗とメリンダ

「じゃあ俺達も行くか、人質となっていた

 人たちを町まで届けなきゃいけないしな」

「そうですね、早く家に帰してあげましょう

 ご家族も心配しているでしょうしね

 それに女性がいっぱいいますと

 拓斗さんは目移りするようですし」

「なっ!?だからアレは誤解だって

 俺はエミリーさんの胸なんか見てないし」

メリンダがジッと拓斗を見つめる

「私には嘘が通じないって事を知ってて

 そんな嘘を信じろと言うのですか?」

「あっ!?いやその・・・スミマセン嘘でした

 エミリーさんの胸をつい見てしまいました

 でもこれは男の本能みたいなものでして・・・

 いうなればDNAに刻まれている生命の性とでも

 言いますか・・・その・・・」

そんな拓斗を膨れ面で睨むメリンダ

「エミリーさんほどではないですが

 私だって胸は結構あるんですよ・・・」

そういった途端顔を真っ赤にして動揺するメリンダ

「何を言わせるんですか!?

 拓斗さんは本当にエッチですね!?」

「いや、今のは君が勝手に・・・」

そんな二人のやり取りを

申し訳なさげに見つめるマルコ

今回姉を見つけ出し形はどうあれ救出できた

という事はマルコにとって拓斗やメリンダと

一緒に旅を続ける理由が無くなってしまったのだ

ましてや今回は拓斗に戦いを仕掛けると言う

とんでもない事をしてしまったのである

『もうお前と一緒に旅をする理由も無いし

 ここでバイバイだな』

『そうですね、拓斗さんに戦いを挑むような

 馬鹿な子とは一緒にいられませんものね』

そんな想像が勝手に膨らみマルコの中では

二人にいつ絶縁を切り出されるかと

ヒヤヒヤしていた、だから拓斗達が

出発しても怖くて足が出ず立ちすくんでいた

「ん?何やってるんだマルコ、さっさと行くぞ!?」

「急いで彼女たちを届けなきゃいけませんしね

 グズグズしていると置いてきぼりに

 なっちゃいますよマルコさん」

驚いた表情で二人を見上げるマルコ

「いいのか?また俺一緒に行っても?」

拓斗とメリンダは呆れるように

「お前が一緒に行かなくてどうするんだ

 世界一の戦士になるんだろ!?」

「そうですよ、三人でこその

 パーティーじゃないですか

 それに二人きりは

 ちょっと気まずいと言うか・・・

 いえ何でもないです」

マルコの顔が一気に明るくなり拓斗に駆け寄り

腕にしがみつく

「拓斗兄ちゃん、姉ちゃんの

 オッパイばっか見てたんだって?

 姉ちゃんオッパイ大きいもんな」

「馬鹿、何言ってるんだよ!?

 それにその話題はもう止めろ

 メリンダの機嫌が・・・」

「私の機嫌がなんですか?

 女の価値は胸だけじゃないんですよ

 大体殿方と言うのは・・・」

再び責めるメリンダに必死に弁明する拓斗

そんな二人を見ながら笑うマルコの声が

どこまでも響いた。


 


投降が大変遅くなってしまい申し訳ありませんでした

年末でバタバタしていて中々進まず、ようやく

この話の完結までたどり着けました次話では最後の

主要登場人物を出そうと思っております、これだけ

たくさんの人物を出しておいてまだ登場させるという事に

”覚えきれねーよいい加減にしろ”というツッコミは

自分自身にもしております、いつもの言葉ですが

懲りずにおつきあいいただけると幸いです、では。

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