三賢者同盟VSアミステリア連合 嵐の前の・・・編
ガルゾフ・ド・ネルリアス…ガルゾフ帝国の皇帝、父である先代皇帝を暗殺し弟に罪を着せて処刑した程の野心家、部下の意見もほとんど聞かない暴君であり感情の起伏も激しい
ソロンド…ガルゾフ帝国の重鎮で事実上のナンバー2、軍事、外交にも口を出せる立場で皇帝であるネルリアスにも唯一意見できる存在
東条みゆき…拓斗の幼馴染で剣道の達人、見た目は和風美人だが中身はじゃじゃ馬、戦闘により死亡したがレオの力でゾンビとして行動している、しかしマスターであるレオにも遠慮なしの態度で接している
ステファン・レオ…闇の龍装備を付けるダークドラグナイト、闇の者には絶対的な支配力を発揮し夜の闇でこそ一番力を発揮できる、しかしなぜかみゆきには頭が上がらない
ラインハルト・カナ・ロマーヌ(沢渡香奈)…白剣姫とよばれるアミステリア公国最強の美少女剣士であり軍の最高司令官、そして国民的英雄でもある、拓斗の妹
チャングイ将軍…アミステリア公国の猛将、若いころは”暴走獣”と呼ばれたほどの猪突猛進型の戦士でアミステリアの双璧といわれている一人、ゲルハート将軍とは何かと言い争う事が多いが仲は良い
ゲルハート将軍…アミステリア公国の知将、ナイトの称号を持っている程の手練れだが指揮官が自分で戦う事を良しとしない、計略や謀が得意アミステリアの双璧といわれた一人
サラボルン国王…アミステリア王国の国王で気がやさしく自分の考えを押し通す事を嫌う、それゆえに部下からは慕われている、香奈の事を自分の息子の嫁にしたくて度々言い寄っている
フォレスト・シャーロット…ローゼフォン公国の最高司令官兼国務大臣を務める、冷却系魔法が得意で世界三大賢者の一人”氷壁の魔女”の異名をがあるが本人はそう呼ばれることを凄く嫌っている
ローゼフォン・ソレリア・フローラ…ローゼフォン公国の女王、歳も近い事からシャーロットとは仲が良く二人とも美人である事から”ローゼフォンの双華”と呼ばれている
リチャード・ハウゼン(ジェームズ・マクシミリアン)…世界の魔法使いのトップである”世界三大賢者”の一人で”スタネールの大賢者”と呼ばれている。
鳴沢栄治…脳科学の権威でワールドファンタジアのデータはほとんど頭に入っている
ジェームズ・ハワード…第64代アメリカ合衆国大統領
コンラート・ヴィ・リードヴィッヒ…スタネール共和国の第一王子で次期国王、精鋭騎士団”烈風の牙”のリーダー
須賀之清長…ジパングの摂政を務める陰陽師のトップ、”史上最強の陰陽師”と呼ばれていてハウゼン、シャーロットと同じ”世界三大賢者”の一人
ここガルゾフ帝国の居城ギル・ドレン城では皇帝ネルリアスの怒鳴り声がいつものように、いやいつも以上に響き渡っていた、それは怒っているというよりもヒステリーとも言えるレベルである
「マウリールはどこだ!?早くマウリールをここに連れて来ないか‼」
髪を振り乱し声を荒げて部下に対して怒り狂うネルリアス、マウリールとはガルゾフ帝国の諜報部の長官であり先日このネルリアスにスタネール共和国の王子であるコンラートの暗殺を提案した人物である、部下達は顔を見合わせてうろたえながら恐る恐るネルリアスに答える
「マウリール様は西方の視察の為に昨日旅立ちました、陛下の命令だと聞いておりますが・・・」
その返答にさらに怒りを増しながらキレるネルリアス
「何だそれは!?私はそんな命令は出しておらんぞ、どうなっておるのだ!?さっさと呼びも出せ、今すぐにだ‼」
部下達はネルリアスの顔色をうかがいながら発言する
「ただ今捜索隊を派遣しましたのでマウリール様を発見次第ここに連れてきますのでお待ちください」
ネルリアスは自分の手元にあるワインが入っているグラスを部下達に投げつけた、中に入っていたワインは床に全て零れ落ち高級そうな絨毯が赤く染まる、静まり返った玉座の間に空のグラスが転がる音がむなしく響いた、そんな戦々恐々とした雰囲気の中で静々と玉座の間に入って来た人物がいた、ガルゾフ帝国の事実上のナンバー2である重鎮ソロンドである、ソロンドはガルゾフ帝国とアミステリア公国との同盟の不調の危機を回避する為アミステリア公国まで話し合いに出向き苦しい状況の中で条件の変更をされることなく見事締結させて今帰って来たところなのだ、そんなソロンドがただならぬ雰囲気を察しネルリアスに問いかける
「陛下、ソロンドただ今アミステリア公国から戻りました・・・何やら尋常ではない様子ですが私のいない間に一体何があったのですか?」
ネルリアスはソロンドの姿を確認するとねぎらいの言葉も無くいきなり問いただす
「ソロンド、そちはマウリールの所在をを知らぬか?」
ソロンドは本当に今帰って来たばかりなのだ、まずは皇帝陛下に報告を・・・と思い部屋に一旦寄る事も無く参上したのである、そんな人間にいきなりその質問、その意図がわからず困惑する
「私は今帰って来たばかりなのでマウリールの姿は見ておりませんが・・・マウリールがどうかしましたか?」
イラつきながらも事の経緯を説明しだすネルリアス、ソロンドがアミステリア公国に向けて出立した後、マウリールから提案がありスタネール共和国の第一王子コンラートを暗殺してはどうか?という提案があったと、しかも成功する見込みは高く、もし失敗したとしても絶対にバレないようにするので・・・と言うから許可したのだと、しかし暗殺はあえなく失敗、しかも相手側にはネルリアスの命令という事実までバレてしまったとの事だった、それを問い詰める為マウリールを探しているのだがどこにも見当たらないという事だった、そんな事の詳細を聞いたソロンドは思わず天を見上げた
「陛下・・・まんまとやられましたな、おそらくそれはグランシアの策略です、今頃マウリールはグランシア国内に逃げ込んでいる事でしょう」
あまりの事に茫然とするネルリアス、いやもしかしたら・・・と薄々は感じていたが信じたくはないと心が拒否していたのである、しかしソロンドの言葉で認めざるを得くなったネルリアスはしばらくすると先程よりもさらに怒り狂い声が枯れる程叫び出した
「おのれ‼おのれマウリール、余を謀りおったのか!?今までの恩も忘れおって、許さん、絶対に緩さんぞ‼何としてもマウリールを捕えよ、余がこの手で八つ裂きにしてくれるわ‼」
感情に任せて無茶な命令を下すネルリアス、しかしどうしていいかわからない部下達は右往左往するばかりであった、そんな部下の様子にさらに怒りを募らせぶつけようとしたその時、ソロンドが珍しく強い口調で発言したのである
「陛下、いい加減目を覚ましなされ‼今はマウリールの事などかまっている場合ではありませんぞ!?これは下手をするとアミステリア公国との同盟不調どころかスタネール共和国の連合をも敵に回しかねないとんでもない失態なのですぞ!?早急に対策を検討しないと本当にガルゾフは滅びます、それでもよろしいのですか‼」
ソロンドの言葉にネルリアスは一言も発する事ができなかった、実際それがわかっていたから周りに怒り狂い当り散らしていたのだから、しかしソロンドの言葉に我に返り急に弱気な顔を見せるネルリアス
「どうすればよいソロンド・・・余は良かれと思って・・・ガルゾフの為に・・・それが何でこんな事に・・・」
急に力なくうなだれ膝を落とすネルリアス、そんな姿をソロンドはしばらく黙って見つめていたが玉座の間に入って来た入口の扉を再びを見つめると意を決して話しかける
「陛下、私が再びアミステリア公国に行ってまいります、そして何とか同盟の不調を回避しスタネール共和国の連合に対して上手く取り計らってくれるように働きかけてみます・・・」
その言葉を聞いたネルリアスはすがる様な目でソロンドを見つめ力なく問いかける
「やってくれるか?本当にできるのかそんな事が?」
「難しいとは思いますが、やってみます」
一瞬嬉しそうな表情を見せたネルリアスだが何かに気が付き再び絶望感を漂わせる
「しかしこちらは次期国王であるコンラート王子を暗殺しようとしたのだぞ!?何の咎めも無しに上手くいくなんて事が有り得るのか!?」
その質問にソロンドは目を閉じしばらく黙って考えたがゆっくりと首を横に振った
「それは無理でしょうね・・・ですから同等の以上の罰を持って相手国との和解につなげようと思っております」
その提案にネルリアスの顔から血の気が引く
「同等以上の罰だと!?・・・まさか余の首を・・・余に死ねと申すのか!?」
その質問にはすぐさま首を振るソロンド
「いえ陛下が死んでしまったらこの国は成り立ちません、それに皇帝の首を差し出すような国がその後やっていけるとは思えません・・・」
「それではどうするというのだ?・・・はっ!?まさか・・・」
ソロンドは静かにうなづき
「コンラート王子は次期国王、つまり国のナンバー2です、ですから我が国もナンバー2の首、つまりこの老いぼれの首を持って何とか収めてもらえるように頼んでみるつもりです、それでよろしいですね陛下」
「ソロンド、お主と言う奴は・・・本当にすまぬ、このネルリアス心より感謝するぞ‼」
あの気位の高いネルリアスがソロンドの両手を力強く握り深々と頭を下げたのだ、その目にはうっすらと光るモノすら見えた、そこに居合わせた部下達もそんな光景を見るのは初めてでありみな驚きを隠せなかった
「陛下頭を上げてくだされ、こんな事は国の重鎮として当たり前の事です、寧ろこんな老体にそれほどの命を下さった陛下に感謝いたします」
今度は逆にソロンドが深々と頭を下げる、そしてその表情は驚くほど穏やかだった。
話はネルリアスとソロンドの話があった2日ほど前にさかのぼる、スタネール共和国においてローゼフォン公国とジパング、ハラル共和国、キシェロ公国の五か国による同盟の為の調印式がおこなわれようとしていた、それぞれの国の政治的中心人物が細かい打ち合わせの為、前日からスタネール共和国の居城ギース城に集められ朝から話し合いに時間を費やしていた、のちに”三賢者同盟”と呼ばれるこの同盟は世界の情勢を大きく変えさらに今後世界に広がりゆく事が予想されるので、各国が細かい所まで慎重かつ丁寧に進めている、打ち合わせの中心は世界三大賢者と呼ばれる三人、”スタネールの大賢者”ジェームズ・マクシミリアンことリチャード・ハウゼン、”史上最強の陰陽師”須賀之清長、そして”氷壁の魔女”フォレスト・シャーロットである
「なんでフローラの席が左から二番目なのよ‼色々な意味で一番前でしょ、ねえ清長フローラと正成様の席順代わりなさいよ」
「馬鹿な事を言うな‼この晴れの舞台で正成様は一番前に決まっておろうが‼本当は真ん中が良かったのだがそこは主宰であるスタネールに仕方なく譲ったんだ、絶対に代わらないからな‼」
「はぁ!?この調印式は世界中が注目してるのよ、見た目を考えても冴えない正成様より美人のフローラの方が遥かに見栄えするじゃない、その方がこの式の格調も上がるはずよ そうしましょう」
「黙れ魔女‼それ以上正成様を愚弄すると殺すぞ‼」
「私は魔女じゃないっていい加減覚えなさいよね、それとも本当にケンカ売ってるの!?」
細かい打ち合わせもほぼ終わりジパングの皇王正成とローゼフォンの女王フローラの席順を巡って清長とシャーロットが不毛な争いを繰り広げていた、それを半ばあきれ顔で傍観していたハウゼンがようやく口を挟む
「我々はこれから同盟を組もうと言っているのですよ、その幸先で何を馬鹿な議論を繰り広げているのですか、本当にあなた方の様な人間が政治の中心で国は大丈夫なのですか?国民が可愛そうになってきましたよ全く・・・」
清長とシャーロットが同時にハウゼンを睨みつける、それをわかってなのかは不明だがハウゼンはスッと立ち上がり遠くを見つめるような視線を空に向けた
「そろそろフローラ様へお迎えが合流するころですかねぇ・・・」
ローゼフォン公国の女王であるフローラは自国の警護兵と共にギース城に向け馬車を走らせていた、山道とはいえ非常に広い道路で特にスタネール共和国に入ってからは道の状態が良く必要以上に馬車が揺られることも少なかった、元々乗り物に弱いフローラにとって非常に有難い事であると共にスタネール共和国の道路整備が進んでいる事に感心していた、そんな時護衛兵の隊長であるムルダという男が自分の馬をフローラの馬車に横付けし並走するような形でフローラに話しかけてきた
「フローラ様、そろそろスタネール共和国の護衛軍と合流する地点です・・・あっ!?あれではないでしょうか!?」
フローラは馬車の窓から顔を出しムルダの指さす方向に目を凝らす、すると白馬に跨った屈強そうな男を先頭に30名程の武装集団が近づいてきているのが確認できた、向こうもこちらの馬車を確認できた様子で進軍の速度を速めると5分もたたない内に合流した、その先頭の白馬に跨った男が馬車に近づき窓から見ているフローラに話しかけてきた
「馬上より失礼いたします、フローラ女王陛下であらせられますね!?遠路はるばるようこそ我がスタネール共和国へ、私はスタネール共和国実戦部隊”烈風の牙”隊長のコンラート・ヴィ・リードヴィッヒと申します、これより女王陛下の警護にあたらせていただきますのでよろしくお願いします」
その男は身長も高くがっちりした体型ながら決してマッチョという訳では無くその全身が鍛えあげられている事は素人のフローラにすらわかった、馬車の中からペコリと頭を下げコンラートに挨拶を返すフローラ
「初めまして、こちらも車中より失礼いたします、私はローゼフォン公国女王ローゼフォン・ソレリア・フローラと申します、警護の任務お疲れ様です、道中よろしくお願いします」
フローラの丁寧なあいさつにニコリと笑い軽くうなづくコンラート、その笑顔はとてもさわやかでスタネール一の剣士とは思えないモノであった、フローラはそんなコンラートに話しかける
「それにしても次期国王であるコンラート様自ら護衛をしていただけるなんて光栄です、なんだか逆にこちらが恐縮してしまいます」
フローラが屈託のない笑顔で話しかける
「いや、次期国王と言ってもまだ正式に決まった訳ではありません、我が父であるオストフ国王は”最強の戦士こそ国王の座にふさわしい”と言うのが口癖でして”簡単に国王になれると思うなよ”とよく忠告されているんですよ」
馬に跨りながら恥ずかしそうに頭をかくコンラート、その言動と態度から非常に誠実で真っ直ぐな人間なのだろうと感じた
『これだけ強くて誠実、しかも次期国王となると女性の人気は凄そうですね・・・見た目も凄くカッコいいし・・・正に”白馬に乗った王子様”ですわね』
フローラはそんな事を考えて一人クスクス笑った、コンラートはフローラがなぜ笑ったのかわからなかったがとりあえず機嫌を損ねるようなことは無かったという事で少し安心していた、ゆっくりと道中を進む馬車と護衛の兵達、木々の間からは木漏れ日が差し込み多くの鳥の鳴き声が聞こえてくる、まるでフローラたちを歓迎しているかのようなその光景に嬉しそうなフローラだった
「コンラート様、このスタネールは非常にいい国ですね、気候も暖かく鳥の声が鳴りやまないほどにあふれています、道も凄くきれいに舗装されていて道中非常に快適でした」
フローラからの思わぬ言葉にコンラートの表情がパッと明るくなった
「そうですか!?いや自国を褒めてもらえるという事は嬉しいモノなんですね、私はここで生まれ育ちましてここ以外の国をあまり知りません、ですがこの国は一番だと思っております、気に入っていただけたのであればこんなに嬉しい事は無いです」
「あら!?我がローゼフォン公国もいい国なんですよ、雪が多くてこんなに暖かくは無いですが」
その言葉に思わず慌てるコンラート
「あっいえその、失礼しました、他国の女王陛下に自分の国が一番などと・・・お詫び申し上げます」
そう言い放ち丁寧に頭を下げるコンラート、その仕草もどことなくおかしくてクスクス笑うフローラ
「そんなかしこまらなくてもいいですよ、国の中心人物が自国を一番だと思うのは当然です、今度はコンラート様が我がローゼフォンにいらしてくださいな、私がご案内いたしますから、なるべく暖かい時期をお勧めしますけどね」
イタズラっぽく笑うフローラに少し照れながらうなづくコンラート、その時フローラはある事をふと思い出した、先日シャーロットが”フローラの相手にスタネールのコンラート王子はどうかしら!?”という言葉が頭に浮かんできたのだ
『確かにシャーロットの言う通りこのコンラート王子は素晴らしい人物のようね、でもこの人と私が結婚したら両国の王の座はどうなるのかしら?それにこの方は二人の間に生まれた子供も最強の戦士にするつもりなのかしらね?・・・はっ⁉︎二人の子供って、私なにを考えているの⁉︎』
自分の想像が急に恥ずかしくなり頬を赤らめ両手で頬を抑えるフローラ
「フローラ様どうかなされましたか?」
その様子を心配そうに見つめるコンラート
「いえ、なんでもないです」
慌てて作り笑いをして取り繕うフローラ
「そうですか、ならよいのですが・・・何かありましたら声をかけてください」
「あの一つ聞いていいですか?」
「はい、なんでしょうか?」
「コンラート様は国王を継いだ場合、ご自分の子供にも王位継承の権利として最強を求めますか?」
「えっ⁉︎私の子供に?う〜んそんなこと考えた事もなかったですね・・・」
「変なこと聞いてごめんなさい、少し気になってしまって」
「私はまだ独身で子供を持つ気持ちはわかりませんが自分の子供が息子だった場合、男である以上強くあれとは思います、でも最強である必要はないと考えています、王の資質で必要なモノは心を含めて全てにおいて強くあること、強くなる為に強くあれ・・・という気持ちといいますか・・・すいません、偉そうな事言ってるのに何か上手く説明できなくて」
馬上で語りながら再び頭をかくコンラート、それに対しフローラは目を閉じ静かにうなづく
「おっしゃりたい事はわかります、私にも思い当たる事がありますので・・・コンラート様は良き王様になられるでしょうね」
「そうですか⁉︎フローラにそう言っていただけると・・・」
その会話の最中に突然コンラートは話を止めた、先程まで優しい表情だったコンラートの顔が急に険しいものに変わり周りの兵に命令を下す
「皆の者止まれ‼︎全員抜刀し戦闘準備に入れ‼」
馬車の周りの警護兵が次々と腰の剣を抜き敵襲に備えると周辺に緊張感が高まる、フローラが馬車の窓から不安顔で周りを見渡すが敵の姿は認識できない、しかしさっきまであれだけ聞こえていた鳥の鳴き声がピタリと止んでいる事に気がついた
「コンラート様、これは・・・」
「馬車から絶対出ないでください必ず我々がお守りいたしますから」
コンラートがそう言い終わると同時にグレーの布を顔に巻き刀を持った謎の集団が何処からともなく現れ襲い掛かってきた
「ローゼフォン公国女王フローラだな‼︎お命頂戴する‼︎」
剣を構えながら向かって来る賊の集団に対し非常に統率の取れた動きで迎え討つコンラート率いる“烈風の牙“、スタネール共和国の最精鋭部隊であるその集団は襲い掛かってきた賊を次々と撃退していく、しかし一瞬の隙を突き四人の賊が馬車に向かった、慌ててフローラを守ろうと馬車に戻るコンラートに対し四人の賊が急反転し攻撃してきたのだ
「スタネール第一王子コンラート‼︎覚悟‼︎」
意表を突かれたコンラートだが四対一でも賊とは底力が違う、あっという間に三人を斬り伏せ一人は殺す事なく捕らえることに成功した、周りを見渡しても賊は全て撃退し味方はかすり傷程度のダメージしか受けていない様子であった、しかし油断することなく指揮官として的確に指示を飛ばす
「まだ警戒を怠るな、また襲撃して来ないとは限らないぞ‼︎それと傷を受けた者は早急に手当てを、かすり傷でも相手の剣に毒が塗ってある可能性があるからな、ローゼフォンの警護兵の方はフローラ様の様子を見てください、副長現在の状況説明を」
「はい、敵は全て撃退しました、こちらでも五人ばかり捕縛しています、しかしフローラ様を襲ったにしては少し動きが妙でした・・・」
「うむ確かに、どうやら賊の狙いはフローラ様ではなく私だったようだ」
「ほぅそれは命知らずな馬鹿共ですね、しかしフローラ様を狙われるよりは安心できますけどな、しかし賊が使用していた剣ですが、あの特徴的な剣はガルゾフの物だと思われます」
その報告に少し驚くコンラート
「ガルゾフの仕業と思わせた工作ではないのか?今のガルゾフが俺を狙う理由がわからないが・・・」
「捕縛した賊への尋問でもガルゾフからの依頼と白状しておりますし、まず間違い無いかと・・・」
少し考え込んだコンラートだがそれ以上考えてもわからないので迅速に作業を進めた
「ギース城に報告の為の早馬を出せ、我々も隊列を整えギース城に戻るぞ最後まで気を抜くな‼︎」
副長との短い打ち合わせが終わるとフローラの事が気になり様子をうかがいに行くコンラート、ふと窓から覗き込むと馬車の中ではお付きの者達になだめられながらも顔面蒼白のフローラが恐怖のあまり震えていた、気を使って声をかけるコンラート
「大丈夫ですか⁉︎怖い思いをさせてしまい申し訳ありません、しかしフローラ様は必ず私がお守りいたしますからご安心ください」
その時フローラから見たコンラートは図らずも真の白馬の王子に映っていた
ギース城での会議は終わり清長とシャーロットの繰り広げた不毛な席順争いもハラル共和国の首脳陣からの計らいで無事決着した、真ん中にスタネールのオストフ国王、右手にローゼフォンのフローラ女王、左手にジパングの正成皇王で落ち着いた、この五ヶ国同盟自体“三賢者同盟“と呼ばれている為その所属国を全面的にアピールするのがいいだろうとの配慮である、後は各国の王による調印式を待つだけとなった、三賢者を始め各国首脳陣が歓談していた時、一人の兵士がドタドタと慌ただしく部屋に入って来た
「報告いたします、先程こちらに向かっていたローゼフォン公国のフローラ女王様一行が賊の襲撃を受けたとの報告がありました‼︎」
ざわつく一同の中 報告して来た兵に素早く詰め寄る人影があった、シャーロットである
「フローラは⁉︎フローラは無事なの?ねぇ‼︎」
シャーロットは凄い形相で伝令の兵に詰め寄る、今にも泣き出しそうな表情で体が小刻みに震えていた
「はい、コンラート様を始めとする“烈風の牙“と護衛兵の活躍により賊は撃退しフローラ様はご無事です、賊の一部も数名捕縛したとの事です」
その報告に安心したのか力無くその場にヘタリ込むシャーロット
「詳しい話を聞きたいので伝令兵は私と一緒に来てください、あと清長とシャーロットもいいですか!?」
ハウゼンはすぐさま伝令の兵と清長、シャーロットに別室に来るように伝えると足早にその場を去った
シャーロットが別室に入った時にはすでにハウゼンと清長が椅子に座って待っていた、伝令兵もすでに来ていてシャーロットの来るのを待っていた様子だ、三人に遅れる事10分 ようやく来たシャーロットが口を開く
「遅くなってごめんなさい、さあ始めましょう」
「シャーロットもう大丈夫なのですか?」
「えぇもう平気よ、自分でも驚くほど動揺してしまって・・・自分自身こんなに弱かったとはちょっとショックだわ」
そこまで黙っていた清長がシャーロットに対し静かな口調で口を開いた
「主君に仕えるというのはそういう事だ、それが自分にとって特別な人物なら尚更だ」
「そうね・・・私とフローラは主君とかそういうのじゃなくても・・・いえ始めましょう、ところでこれから何の話し合いをするの?賊の話?」
「えぇその通り、では報告の続きを」
促がされた伝令兵はうなづくと直立したまま報告をし始めた
「先ほどの報告と被るところはご勘弁を、賊は約30人スタネール国境付近のミュリンデル街道の入口で襲ってきました、最初はフローラ女王を狙っている者達だとばかり思っていたのですが・・・」
「えっ!?違うの?フローラが狙われたんじゃないなら何が狙いだっていうのよ!?」
シャーロットの食い気味の質問に少したじろぐ伝令兵だったがそのまま話を続けた
「どうやら本当の狙いはコンラート様だったようなのです」
その報告に少し驚く三人、そして話はさらに続く
「我々は賊の一部を捕え尋問したところ、どうやら首謀者はガルゾフ帝国のネルリアス皇帝自らの命令だったらしいのです・・・」
その報告にさすがの三人も驚きを隠せなかった
「ガルゾフですって!?なんでガルゾフがコンラート王子を狙うの??」
「ガルゾフの刺客を装った別国の仕業と言う線は無いのですか?」
「はい、コンラート様もすぐにそれを疑ったのですが、どうやらその線は無い様子でして、本当にガルゾフ帝国の刺客だったようです、報告は以上です‼」
「わかりましたご苦労様、もう下がっていいですよ」
ハウゼンの言葉に一礼して部屋を出て行く伝令兵、足音が遠のくと再びシャーロットが口を開いた
「なんでこの時期のガルゾフがコンラート王子を狙うの?訳わかんないわね」
しかしハウゼンと清長はシャーロットの質問には答えず考え込んでいた、少し不満げなシャーロットだったがこういう時の二人には話しかけないであげた方が良いのは知っていた
「これはどうやら裏がありそうですね・・・」
「貴様もそう思うか!?」
ようやく口を開いたハウゼンと清長、何やら二人だけわかっている感じなのでシャーロットにとっては非常に気持ち悪い
「裏ってなによ!?やっぱりガルゾフを装った別国の工作って事?」
「そうではありません、これはガルゾフの仕業であり命を下したのもネルリアス皇帝自身なのは間違いないでしょう」
「じゃあ何がどう裏があるって事なのよ!?」
シャーロットの質問に清長がため息をついて答える
「確かにガルゾフの皇帝自ら命令を出してこうなったのは事実だが、おかしいとは思わないか?このタイミングで今のガルゾフが我々にちょっかい出してくるなんて、しかもそれがガルゾフ皇帝の命令なんてわかったらとんでもない事になるはず、なのになぜすぐに首謀者まで露見したのか・・・」
「そう言われれば不思議よね・・・なんでなの?」
「それはですねガルゾフの皇帝に今回の事をそそのかした人物がいて、それが失敗したらすぐにネルリアス皇帝の仕業だと露見するようにワザと仕組んだ者がいるって事です」
「何よそれ!?そんなことして何の得があるってのよ?一体誰がそんな事を?」
清長が再び静かに話始めた
「今回我々三国を含む五か国同盟が成立する、そして今アミステリア公国を中心に同じように連合ができつつあることを知っているよな?ガルゾフもその一員として名を連ねている、事の経緯や些少の違いは有れど基本的に我々の同盟とアミステリア公国を中心とした連合は同じ方向性で進めている、という事はいずれこの二つは合流し一つの巨大連合として動いて行く事は自明の理だ、しかしそうなった場合一番困る国はどこだ?」
シャーロットが思わず”あっ!?”という声をあげる
「グランシア王国・・・」
「そういう事です、今回はグランシアの策略にガルゾフ帝国のネルリアス皇帝がまんまと引っかかったという事でしょう・・・困ったものです」
「じゃあどうするの?いくら口車に乗ったとはいえネルリアス皇帝が自ら命令した事には変わりないんでしょ!?たまたま今回は無事だったからよかったもののコンラート王子が狙われフローラも危ない目にあっているのよ!?そんな国と連合だ同盟だなんて無理じゃないの!?」
「しかしそうやって考えてしまうとグランシアの思うつぼだ!?あそこにしてみれば我々とアミステリアを中心とした連合が戦ってくれることが一番ベストだろうからな」
目を閉じ腕を組んで考え込んでいたハウゼンが急に目を大きく見開き意を決して話始めた
「それではグランシアの策略を逆手にとって利用させてもらいましょうか」
その発言にニヤリと笑う清長
「やはりそういう結論に達したか、もしかすると我々にとっては有難い作戦だったかもしれんな」
二人の態度に益々混乱するシャーロット
「一体何のことよ!?ガルゾフのやった事を全て水に流して連合を組むの?それともこちらの主要人物を暗殺しようとする国なんかと組めないから今後は無視するの?それともいっそのこと戦うの?」
ハウゼンはゆくり首を振りシャーロットの質問を全部否定した
「どれも選択しません、利用させてもらうのです今回我々にとってはかなり有利な立場になったのですよ」
「訳がわからないわ、もっとわかる様に説明してよ!?」
ハウゼンが清長の方に視線を移すとまたもや清長はため息をついて説明し始めた
「ちっ!?全く面倒な事はこちらに回しおって・・・いいか!?戦いでもそうだが交渉をするにも大切なものがあるそれは”機”だ、いつどんなタイミングでおこなうか、それが非常に大切なんだ、それは判るな?今回ガルゾフの策略が露見した事によって我々は被害者として有利な条件で交渉に臨める、ガルゾフでは無く連合の中心国アミステリア公国に話を持って行く、平たく言えば”この落とし前をどうつけてくれるんだ!?”と迫るみたいなものだな、アミステリアとしてもガルゾフは切れないはずだからかなりの有利な条件で交渉に臨めるという訳だ」
「ガルゾフの失態をアミステリアに持って行くの!?そんな事して”そんな事は知らない直接ガルゾフに言え‼”と言ったらどうするのよ、そもそも今のガルゾフっていつ滅びてもおかしくない状態でしょ?アミステリアが見捨てたらどうするの?」
その質問に今度は清長がハウゼンに目線を向ける、すると再びハウゼンが話始めた
「アミステリアがガルゾフを見捨てる事は有りえません、それは二つの理由があります、今のガルゾフに同盟破棄をしてしまった場合間違いなく近日中にガルゾフは滅びます、そうなるとグランシアの国力はさらに増大しガルゾフ側に向けていた戦力もアミステリア側に向けられます、そうなると厳しい立場になるのはアミステリアなのです、それとここでガルゾフを切ってしまうと”アミステリアは一旦同盟国になった国をあっさり見捨てた”なんて評判がたってしまいますから、今後の連合国の増強において信頼が無くなります、それは何が何でも避けたいでしょうからね、いくら苦しくてもガルゾフを見捨てる事は出来ないのですよ」
「はぁ・・・アミステリア公国もとんだ厄介者を仲間にしちゃったわけなのね、他国ながら同情するわ、で有利な交渉って具体的にどうするの?」
ハウゼンはふと窓の外に目線を移しまたもや遠くを見つめる様な仕草をすると
「正直あちら側と交渉するのはまだ先だと考えていました、おそらく向こうもそう考えていたでしょう、しかしせっかくの機会ですアミステリアには悪いですが今回の事を精々利用させてもらいましょう、こちらの五ヵ国と向こうの三ヵ国、二つが合わされば計八か国による巨大連合が成立します、しかし”船頭多くして船山登る”ということわざもある様に大きくなればなるほどその舵取りは難しくなります、それぞれの国にも主張や要望がありますからね、ですからこれを機会に一気に巨大連合を成立させると共にイニシチアブをこちらで握ってしまおうという訳です、アミステリアにとっては弱みに付け込むやり方になってしまいますが何といってもあちらには問題児ガルゾフがいるのです、つけておく首輪は頑丈に越したことはないでしょう」
静かに話を聞いていたシャーロットが不思議そうに問いかける
「でもさ向こうがそんな条件は飲めないって突っぱねたらどうするのよ?」
その質問には再び清長が答えた、冷徹にそして理論立てて説明を始める
「その時は力で潰すと脅せばよい、そもそもこちら側は被害者なのだ現女王と次期国王が暗殺されかかったという動かしがたい事実があるからな、もし戦いになったとしても大義名分は十分立つ、それにこちら側には我々三賢者に加えハラル共和国には”エレメンタルアイ”という世界一の弓使いがいる、そして我が国の陰陽師衆とサムライ軍団、スタネールには精鋭部隊”烈風の牙”、そしてローゼフォンには”魔道化学兵器がある、いくら今アミステリアが飛ぶ鳥を落とす勢いとはいえ所詮は小国、同盟国のコルドバ共和国も弱小国だしガルゾフに至ってはもはや虫の息と言ってもいい状態だ、冷静に軍事的な背景を比較した場合 質、量ともにこちら側が圧倒していると言っても良い、国と国との交渉というのは綺麗事だけでは無い、弱小国が強い国の要望を飲まされることもままあるのが国の交渉というモノだ、向こう側には選択肢を与えずその上で相手に選ばせる、それが上手い交渉術というものだ」
その清長の説明に理解はしたもののイマイチ納得できないシャーロット
「言いたい事理解できるわ、国と国だもの綺麗事だけではないって事もわかる、でも弱みに付け込み力で脅して従わせる・・・あまり気乗りはしないわね・・・」
ハウゼンもため息交じりにゆっくりと語り始める
「それは仕方ありません、しかしどうしても今のうちにガルゾフに首輪をつけておく必要がありますからね、最終的にはアミステリアにとっても悪い話じゃなくなると私は思っていますよ」
「わかったわ、今の説明を聞いて反対する理由も無いしね、しかしあなた達相手に陰謀や策謀って類は絶対やっちゃ駄目だって事が嫌ってほどわかったわ」
シャーロットは渋々ながらもその方針にうなづく、そしてハウゼンが他の同盟国の首脳陣に説明をした後アミステリアに対して交渉の要請を記した書状を送ることを皆に告げた、その書状の内容は丁寧かつ礼節をわきまえたモノであったが相手にとっては決して断れないような内容になっていた。
アミステリア公国において最強の剣士であり最高司令官も兼ねている文字通り”国の中心人物”は若干16歳の少女ラインハルト・カナ・ロマーヌこと沢渡香奈である、このうら若き美少女はその年齢に見合わぬ激務の毎日をおくっていた、何しろ能力が高いうえに国民的英雄である彼女は各所で引っ張りだこなのである、政治、経済、軍事全てにおいて重要なポジションにいる彼女は通常業務のそれだけでなく様々な式典やイベントにも”どうか顔だけでも出してください”という関係者が後を絶たない、そんな彼女が久々にゆっくりとした朝を迎えていた、城内の兵士がせわしなく働いている姿を窓からぼんやり眺めていた
「こんなにゆっくりできるのなんていつ以来かな・・・それにしても急に休みって言われても何しよう・・・」
今日の突然の休みは香奈のあまりの激務を見かねたチャングイ将軍とゲルハート将軍がサラボルン国王に進言し国王命令として与えられたものなのである
「う~ん本当は町にショッピングでも行きたいけど、正体がバレるとさわぎになっちゃうしなぁ・・・芸能人ってこんな感じなのかな!?ちょっと違う気がするけど・・・」
そういいながら部屋のクローゼットの扉を開ける
「うっ!?」
香奈は思わず声をあげた、クローゼットの中に入っている数々の衣装は、政務服、普段着、部屋着、パーティー用衣装、パジャマ、下着に至るまで全て白で統一されているのだ、改めて部屋を見渡してみると部屋の家具、タンス、ドレッサー、テーブル、机、椅子、ベッド、小物に至るまで全てが見事に白い
「イメージなんだろうけどさ・・・私だって年頃の女の子なんだからもう少し色のコーディネイトとかオシャレしたいなぁ・・・ピンクのワンピースとか着たいし、今度仕立て屋さんに頼んで作ってもらおうかしら、そういうのもダメって言われちゃうのかな!?」
香奈は仕方なくクローゼットの中から白いブラウスとスカートを手に取りパジャマを脱いだ、その時何やら外からバタバタとした足音が聞こえ近づいて来た、そして香奈の部屋のドアを激しくノックする
「きゃあ‼」
パジャマを脱いで下着姿の香奈は思わず手に持っていたブラウスを抱き寄せ声を出してしまった
「ロマーヌ殿‼おいででしょうか!?ロマーヌ殿‼」
よく聞くとその声はゲルハート将軍のものであった、何やらひどく慌てている様子である
「はいおります、今開けますので少々お待ちください」
そう返事をして手早く着替えると部屋のドアを開けた
「おはようございますゲルハート将軍、そんなに慌ててどうなさったのですか!?」
ゲルハートは執務室からここまで全力で走ってきたようで顔からは汗がにじみまだ肩で息をしていた
「ロマーヌ殿とにかくこれを、これをご覧ください‼」
ゲルハートはそう言うと手に持っていた一通の封筒を手渡した、ゲルハートの鬼気迫る態度に不安を感じながらも差出人の所を確認して驚く
「スタネール共和国のジェームズ・マクシミリアン様!?あの”スタネールの大賢者”が一体何を?」
そう言いながら封筒の中身を確認し書いてある内容を確認する、すると香奈の表情が見る見る変わり非常に険しいものへとなっていった
「何ですか・・・何ですかこれは‼ここに書かれている事は本当に事実なんですか!?」
その質問に激しく首を振るゲルハート
「わかりません、今事実を調査中です、ガルゾフ帝国にも早速使い魔を出しましたので10分もすれば返事が来るかと・・・どうしますか!?」
香奈は厳しい表情でゲルハートを見つめると
「サラボルン陛下とチャングイ将軍、そして各首脳陣に緊急招集をかけてください、私も10分後には会議室に行きますから‼」
「わかりました、早速手配いたします‼」
ゲルハートは慌てて戻って行く、香奈も部屋に戻るとさっき着たばかりの服を乱暴に脱ぎ捨て政務服に着替える、こうして香奈の久々の休日はあっという間に終わりを告げた
香奈が会議室に到着するとサラボルン国王を始めすでに全ての人間が席についていた、どうやらこうなるであろうと予想していたゲルハートが香奈に報告する際に部下を使って首脳陣全員に緊急招集をかけていたのである、しかし内容までは知らされていないようで”一体何が起こったんだ!?”と皆不安げに話していた
「遅くなりました、では早速緊急会議を始めたいと思います、ゲルハート将軍先ほどの書状の内容を説明してください」
ゲルハートはうなづき右手に持っている書状を高く掲げた
「先程スタネール共和国のジェームズ・マクシミリアン殿よりこのような書状が届きました、書かれている内容はこうです”先日我が連合国の一員であるスタネール共和国の第一王子コンラート・ヴィ・リードヴィッヒとローゼフォン公国女王ローゼフォン・ソレリア・フローラが刺客に襲われるという事件が発生し、調査したところ貴国の同盟国であるガルゾフ帝国のネルリアス皇帝の命令だという事が判明しました、どういった理由でこのような蛮行をおこなったのか納得のいく説明をしていただきたく思います、それについての会合をいたしたくアミステリア公国を訪れますので、この事態の説明と今後について話し合いましょう”とのことです」
それを聞いた一同は衝撃の内容に困惑しざわつき話始める
「なんじゃそれは!?にわかには信じられん‼でまかせではないのか?」
「わざわざでまかせなど書状にして送ってくる訳もあるまい」
「ならばガルゾフに見せかけた他国の工作という可能性は!?」
「何の確証もないままこんな書状をおくって来ることはあるまい、確固たる証拠があるからの事だと思われるが・・・」
「ガルゾフは一体何を考えているのじゃ!?我々を潰したいのか!?」
「全くあそこに関わるとロクな事がない、いっそこれを機会に切り離してしまうというのはどうだろうか?」
「いや今更それは無理であろう、先日同盟を締結したばかりじゃ、今ガルゾフを切り離したら我がアミステリア公国の国際的信用が失墜するわ‼」
「同盟を破棄すればグランシア包囲網も崩壊するしな・・・で、当のガルゾフ自体は何と言っておるのだ?」
その質問に香奈もゲルハートの顔を見る
「ガルゾフに向けて放った使い魔が先ほど戻ってきました、事の詳細を説明する為にソロンド殿が再びこちらに向かっているそうです、明日にはこちらに到着するとの事・・・」
「ソロンド殿がまた来られるのか、つい先日来たばかりだというのにご苦労な事だな」
ここで香奈が口を挟む
「事の詳細はソロンド殿が来てからしかわかりませんが、ワザワザこちらに来てまで説明するという事はおそらく事実なのだと思われます、その方向で進めていきましょう」
重鎮の一人が手を上げ質問する
「それでスタネールら連合の人たちはこちらにいつ来ると言っているのですか?」
「明後日にはここに到着するとの事です・・・」
香奈の回答に再びざわつく一同
「明後日じゃと!?いくら何でも早すぎるではないか!?」
「こちらの都合も聞かないでいきなり明後日来るとは随分無礼な連中ですな」
「しかし向こうにしてみれば次期国王と現女王が狙われたのだ、怒鳴り込んでくる気持ちもわからんでは無い、寧ろ話し合いをしようと言ってくれるだけ理性的なのではないか!?」
「確かに、いきなり宣戦布告されても文句は言えない程の事じゃからな」
「しかし”納得のいく説明を・・・”と言われても我々とて今知った事をどう説明しろと言うのだ?」
「うむ、そもそも相手国の重要人物を暗殺しようとしたのだ、そんな行為自体に納得のいく説明などできる訳も無いからな・・・それをわかってて来るとなると厄介な事になりそうだ」
「しかしなぜ直接ガルゾフに行かずにここに来るというのだ?いくら同盟国とはいえガルゾフはアミステリアの属国ではないぞ!?」
「まぁ今のガルゾフは半死半生の状態だからな、今後の話をするというのであれば同盟国である我が国に来た方が実質的ではあるな」
「しかしガルゾフの起こした問題をこちらにぶつけられても困る、今後の話と言っても謝罪だけですむ話でもあるまい」
「莫大な保証金とか領土の分割譲渡・・・とか要求されても文句は言えない立場だわな」
「なぜ我々がガルゾフの為にそんな事をしなければならぬ!?そんな要求跳ね除けてはどうか!?」
「そうすると下手をすればあちらの連合軍と戦争になりますぞ!?ガルゾフと同盟国である以上我が国も無関係ではすまないでしょう、しかもあちらの戦力は強大です、おそらくグランシアより手強いでしょうな」
「それでは八方ふさがりではないか!?一体どうすればいいというのじゃ」
答えの出ないまま話し合いは紛糾し混迷を極めた、一通り話が出尽くしたと思われるところで香奈が統括する
「皆様、細かい具体策は明日ソロンド殿が見えてから詳細を聞き決めるという事でいいですね、では解散してください、国王陛下とゲルハート、チャングイの両将軍は残ってください」
会議が終了してからも皆ああででもないこうでもないと強い口調で話しながら会議室を出て行った、広い会議室に四人のみ残り重い空気と静寂がおとずれる、そんな空気に耐えられないとばかりにチャングイ将軍が沈黙を破った
「全くガルゾフの馬鹿皇帝はロクなことしねえな、でこれからどうするんだ?というより相手側はどういうつもりでここに来るんだ?」
香奈は神妙な顔でゲルハートの考えを聞く
「今回の相手側の意図をゲルハート将軍はどう思われますか?」
ゲルハートはしばらく考え込むとようやく重い口を開いた
「考えられる事は3つ、まず一つ目が莫大な保証金や領土の分割譲渡の要求、二つ目が話し合いという筋を通したうえでの宣戦布告、そして3つ目が我々三国同盟との連合化に向けての話し合い・・・と言ったところですか」
その最後の意見に少し驚いたチャングイが
「我々との連合化だったら寧ろ渡りに船じゃねーか!?あの連中が味方になってくれるのなら心強いなんてもんじゃねーし完全にグランシアを封じ込める事もできる、かえってラッキーじゃねーか!?」
「しかし今回の事態でいっそ我々の同盟軍を吸収合併してしまおうという考えかもしれません、そうなる我々が傘下に入るという形になる可能性も大きいでしょう」
腕を組み”う~ん”と唸るチャングイ
「傘下に入るのはあまり気が進まないが属国になるって訳じゃねーだろうし、リーダーくらい譲ってもいいんじゃねーのか!?お嬢はどう思うんだ?」
「本当にそれだけで済むならいいのですが・・・」
心配そうな表情を浮かべる香奈にここまで口を出さなかったサラボルン国王が初めて口を出した
「まだ何をいって来るかわからない状況であれこれ気をもんでも仕方あるまい、まずソロンド殿から話を聞き相手側の要求を聞いたうえで考えようではないか」
香奈とチャングイ、ゲルハートもサラボルンの意見に賛同しその日の会議は終了した
翌日早朝から城内には緊張感が漂う、それもそのはず今日明日でこの国の運命が左右されるから当然なのだが・・・昨日とは違い重い気持ちの中で朝を迎えた香奈は一人執務室に向かっていた、すると後ろから走って来た伝令の兵が香奈に声をかけた
「ロマーヌ様、ただ今物見の兵から連絡が入りガルゾフ王国の一団と思われる人たちがこちらに向かっているとの事です、あと30分程でここに到着するであろうとの事です」
香奈は静かにうなづく
「わかりましたご苦労様です、ガルゾフ帝国の一団が到着次第ソロンド殿を会議室に案内してください、あと国王陛下とグルハート、チャングイの両将軍にもその報告を伝え30分後に会議室へ来るよう伝えてください」
「はっ、かしこまりました‼」
そう言うと伝令兵は足早に走り去っていった、その時入れ替わるかのように別の兵が香奈の元へ走って来て報告する
「ロマーヌ様、今城の屋上に巨大なカラスが現れ男性と女性の二人組が降りて来ました、おそらく先日の東条みゆき様とステファン・レオ様ではないかと思われます」
「えっ!?本当?・・・いえそれは誠ですか!?わかりました私もすぐに行きますから失礼の無いように対応してください」
「はっ!?かしこまりました」
伝令兵が走り去っていくと香奈の表情が崩れた
「なんでみゆきさんがここに?でも今の状況で来てくれたのは有難いかもしれない・・・とにかく嬉しいよ」
香奈は自分でも知らない内に早足で歩いていた、屋上への階段を上り扉を開けると巨大なカラスの横でレオに説教しているみゆきの姿が見えた、レオはめんどくさそうに聞いている、いや聞いているのか聞いていないのかわからないようなその態度に余計みゆきが腹を立ててヒートアップしていた、そんな光景を見て思わず口元が緩む香奈、そんな時香奈の姿を見つけたみゆきが大きく手を振った
「お~い香奈ちゃんまた来ちゃった、突然ゴメンね」
香奈は涙が出そうになるのを我慢し極力平静を装い対応した
「いえとんでもないですよ、しかし今回はどうしたのですか?」
その時みゆきが横目でチラリとレオを見るとその脇腹に肘鉄を食らわしたのだ、負傷している箇所へ突然の攻撃に脇を押さえ思わずうずくまるレオ
「このクソアマ、いきなり何しやがる‼」
「アンタが悪いんでしょ、なによさっきの態度は!?あっゴメンね香奈ちゃん実はコイツが怪我しちゃってね神官クラスじゃないと治せないらしいのよ、でもコイツの正体がばれちゃうと困るし・・・で香奈ちゃんを頼ってここに来たって訳、実は拓斗の勧めなんだけどね」
「お兄ちゃんの?まさかその怪我はお兄ちゃんが!?」
慌てて手を振り否定するみゆき
「違う違う、寧ろ拓斗は助けてくれた方、実は別のドラグナイトと戦闘になってね・・・勝ったんだけどレオが怪我しちゃって、だから来たの、迷惑だったかな?」
「いえそんなとんでもない、私にできる事なら何でもしますよ」
「ありがとう香奈ちゃん、ほらアンタもお礼言いなさいよ‼」
「そんな、お二人にはこの国の危機を救ってもらったのにお礼何てとんでもないですよ・・・実は今とんでもない事がおきていて、できればお二人にもここにいて欲しいんですがどうでしょうか?」
それを聞いたレオの目つきが変った
「一体何があったんだ?協力するかどうかは別にして話してみな」
「実は・・・」
香奈は今の状況を二人に説明した、そして明日には相手側の一団が到着するという事も
「昨日の今日で明日が話し合いか・・・確かに急な話だな、話し合いの場で俺達が役に立つかどうかはわからないが暇つぶしには面白そうだ、付き合ってやってもいいぜ」
「レオ、アンタって奴は・・・国の危機で困っている香奈ちゃんに暇つぶしって、もうちょっと言い方ってものは無いの!?」
「じゃあお前はどう役に立てると思ってるんだ?」
「うっ!?そりゃあ私がそんな偉い人たちの話合いに役に立てるとは思わないけどさ・・・剣しかとり得が無いし・・・」
「そんなことありませんよ、お二人にはいてもらうだけでもありがたいです」
「ごめんね香奈ちゃん、私は剣道馬鹿だったからあまりそういう事役に立てそうも無くて・・・」
レオがニヤつきながらが嬉しそうに
「なんだみゆき、お前自分が馬鹿だってようやくわかっのか!?少し成長したな」
「私は剣道馬鹿って言ったのよ‼どうしてそこから剣道の文字を取っちゃうのよ‼本当に殺すわよ‼」
そんな二人のやり取りをほほえましく見つめる香奈、そんな時一人の兵が香奈に近づき耳元で伝令を伝えた
「ロマーヌ様、今ガルゾフ帝国のソロンド様が到着いたしました」
その報告に軽くうなづく香奈
「わかりました、当初の予定通り会議室に案内してください我々もすぐ伺います」
「了解いたしました‼」
小声で返事をした伝令兵は足早に去っていった、その後姿を見送った後くるりと振り向きみゆきとレオに話しかける
「お二人にはついた早々で申し訳ないのですが、今から会議室にご同行願えませんでしょか?」
「えっ!?今から?うんいいけど・・・レオもいいわよね?」
「どこかの馬鹿にやられた脇腹が少し痛むがかまわないぜ!?」
「申し訳ありません、会議が済み次第神官の手配をいたしますので」
レオとみゆきはなんやかんやと会話をしながら香奈の後ろについて屋上の階段を降りて行った、そんな二人の後姿を見送っていた巨大カラスはレオとみゆきが城内に入っていくのを確認すると晴れ渡る空に溶け込むようにスッと消えて行った
アミステリア公国の居城ボレルガン城に到着したソロンドは大きくため息をついた
『やれやれ、まさかこんなに早くここに戻って来ることになるとはの・・・』
ソロンドがアミステリアとガルゾフの同盟締結の為に前回訪問したのはほんの8日前の事である、齢80歳を超えるソロンドにとってこの強行軍の旅は少々きつかった
『しかし疲れたとか言ってられる状況じゃないからのぅ・・・何としても我が祖国の為に』
到着早々アミステリアの兵に荷物を預けると供の者を置いて一人会議室に案内されるソロンド、会議室の扉の前では香奈が一人立って迎えてくれた
「ソロンド殿、到着早々で申し訳ありませんが事態が事態です早速こちらに来ていただきまして会議を始めたいと思います、よろしいですね?」
香奈の問いに静かにうなづくソロンド、ソロンドにとっては寧ろ有難いといった具合である、会議室の扉を開けると一同席に付いていて全員揃っている様子であった、サラボルン国王を始め見覚えのある面々が並んでいてみんな緊張感と苛立ちが表情から伝わってくる、中にはソロンドを露骨に睨みつけている者すらいた
『まぁ状況を考えれば致し方ない事ではあるが・・・』
ソロンドは覚悟を決めて話し合いに臨もうとした、その時であるソロンドの目が大きく開き信じられないモノを見たと言わんばかりに突然大声をあげた
「あああぁぁぁぁ~~~~‼」
ソロンドはその場で尻もちをつき口をパクパクさせながらある方向を指さす、その震える指で指し示した先にいたのはみゆきであった、尋常ならざるその突然のソロンドの行動に一体何が起こったのかわからない一同はざわつき始める、当のみゆきも何の事だかわからずに混乱していた
「あの女・・・あの女は・・・死んだはず!?そんな馬鹿な!?我が国はあの女のせいで・・・」
みゆきはその発言にギクリとして思わず香奈を見つめた、そんなみゆきの視線を感じ説明する香奈
「あのお方はガルゾフ帝国のソロンド大臣です」
そう言ってゆっくりとソロンドに近づいていく香奈、まだ床にへたり込んだまま混乱しているソロンドに無表情のまま平坦な口調で問いかける香奈
「いかがなされましたか、ソロンド殿?」
「あの女・・・あの女は我がガルゾフ帝国の兵4000人と我が軍一の剣士ボウマンを殺した・・・とんでもない・・・何でここに!?・・・」
ソロンドの言葉に全員の視線がみゆきに集まる、どうしていいかわからず戸惑うみゆきにレオが小声で話しかけた
「お前一国の軍隊に喧嘩を売ったのか!?馬鹿だ馬鹿だとは思っていたが・・・そりゃあ死ぬだろ普通に」
痛い所を突かれて一瞬たじろぐみゆき
「う、うるさいわね!?あの時は事情があったのよ‼」
「一国の軍相手に喧嘩を売る事情ってどんなものかじっくり聞きたいもんだけどな、さぞかしのっぴきならない事情だったんだろうな!?」
レオは満面の笑みでみゆきに問いかける、どう見ても面白がっているレオの態度に腹を立てるが一国に対して喧嘩を売ったその行為自体が無茶だったという事は理解している、それゆえにレオの挑発にも似た態度にもグッと堪えた、そんな二人のやり取りを尻目に香奈はへたり込んでいるソロンドの耳元でささやいた
「あの方は特別な蘇生術により復活しました、そして私にとって非常に大事な方なのです、ですから個人的な感情だけで言わせていただきますとあの方を殺したガルゾフ帝国を私は絶対許しません」
その冷静な口調ながらも強い意志を感じる言葉に思わずギョッとして香奈を見つめるソロンド、顔面蒼白になり額に冷や汗をにじませたその表情は絶望感と悲壮感すら漂っていた
「しかし私はアミステリアの為に行動する立場の人間ですから個人的感情は捨ててあなた方ガルゾフ帝国と同盟を結ぶことを選びました・・・しかしこれ以上あの方に何かしようとしたり侮辱するような発言があった場合、どんな事をしてもガルゾフを潰します、公私混同と言われてもかまいません必ずやりますから・・・いいですね!?」
香奈はソロンドの耳元で小声で話している為周りからは会話の内容は聞こえない、香奈は無表情で淡々と話している為周りからはまさかそんな内容の話だとは夢にも思わないのだ、怯えたような表情で何度も激しく首を縦に振るソロンド、その仕草にニコリと微笑む香奈、そんな香奈の笑顔を心底寧ろ恐ろしく感じたソロンドであった。
青く広がる大海原のただ中に大きな軍船が一艘、コルドバ共和国のエドワルド港を目指して進んでいた、ここまで天気も非常に良く正に文字通り順風満帆といったところである
「う~ん気持ちいいですな、これがバカンスならばもっとよかったですけどね」
「それは仕方がない事ですね博士、仕事が終わったらゆっくりできるかもしれませんよ!?」
船上でそんな他愛のない話をしていたのは第64代アメリカ合衆国大統領ジェームズ・ハワードとこの世界ワールドファンタジアの生みの親ともいえる鳴沢英治博士の二人である、アミステリア公国との会合にどうしてもとハウゼンから頼まれ今回も同行しているのである
「もうあと2時間ほどでコルドバ共和国のエドワルド港に到着します」
そんな船員の報告に軽くうなづき空を見上げるハウゼン
「ここまでは順調でしたね、ここからもそうだといいのですが・・・」
「何を言っている、私がいるのだ順調に決まっておろうが」
「なにその根拠のない自信は?でもこの三人で乗り込んで上手くいかなかったらそれはそれで問題だわね」
ハウゼンに話しかけたのは清長とシャーロットである、今回の会談にはこの三大賢者と被害者であるコンラート第一王子とフローラ女王、そしてキシェロ公国とハラル共和国の代表が3名づつ、それにハワードや鳴沢、そして警護の為の”烈風の牙”の精鋭達を含めた約20人程の代表団で形成されている、人数としては少ないが最強の精鋭である、この二十人で落とせない国などほとんどないのでは?と思える戦力なのは間違いない、そんな彼らが一路アミステリア公国を目指して進む、その綺麗な景色を楽しむかのように皆水平線を見つめている、その穏やかな波とは裏腹に波乱に満ちた会談は明日おこなわれるのである。
今回は1部で済むと思っていたんですが思ったより長くなってしまいました、今回はバトルよりも会話ばかりの内容でしたが個人的にはそちらの方が書きやすく進みも早いようです(笑)この話は2部構成で完結するはずですので、またおつきあいください、では。




