表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/47

闇の王

沢渡拓斗…世界で7人しかいない最強戦士ドラグナイトの一人、しかしドラグナイトから解放される為に旅をしている

東条みゆき…拓斗の幼馴染で剣道の達人、見た目は和風美人だが中身はじゃじゃ馬、ギルドチーム”疾風の剣”に所属している、ナイトの称号を持っている凄腕の魔法剣士

ガルゾフ・ド・ネルリアス…ガルゾフ帝国の皇帝、父である先代皇帝を暗殺し弟に罪を着せて処刑した程の野心家、部下の意見もほとんど聞かない暴君であり感情の起伏も激しい

ソロンド…ガルゾフ帝国の重鎮で内政のトップ、軍事、外交にも口を出せる立場ではあるが、ネルリアスを恐れ中々発言できない。

ラインハルト・カナ・ロマーヌ(沢渡香奈)…白剣姫ホワイトソードプリンセスと呼ばれるアステリア公国最強の美少女剣士、拓斗の妹

チャングイ将軍…アミステリア公国の猛将、若いころは”暴走獣”と呼ばれた猪突猛進型の戦士でアミステリアの双璧と言われた一人、ゲルハート将軍とは何かと言い争うことが多い

ゲルハート将軍…アミステリア公国の知将、ナイトの称号を持っている程の手練れではあるが自分が最前線に出るのを良しとしない、計略や謀はかりごとが得意、アミステリアの双璧の一人

ザラボルン国王…アミステリア公国の国王

ロズワルド・サランディア…グランシア王国の皇帝、若くして皇帝に即位したが能力自体は高い重鎮のロネオラには頭が上がらない。

ロネオラ…グランシア王国の重鎮で先代王から使えている長老的存在、サランディアの教育係も務めていたことがあり今でもつい教師口調でしゃべってしまう事がある

ギルティア…ネクロマンサーでありその地位の低さを常に嘆いている、野心家で大国に士官し出世するのを目標にしている

ステファン・レオ…金髪の美少年で18歳のフランス人、黒い龍装備を付けたダークドラグナイト、闇の者には圧倒的な支配力を持つ

バレンシア牧師…ラジュールの教会に住む心優しき牧師


ここグランシア王国の居城メルマンティア城では今緊急会議が


おこなわれていた、グランシア王国皇帝サランディアは玉座に座りながら


目を閉じ臣下の者達のやり取りを黙って聞いていた


「だからワシは反対だったんじゃ‼あのままガルゾフに攻め込んでいれば


今頃あそこは占領下だったはずじゃ‼」


「今更そんな事を言ってもしょうがなかろう


そもそも今回の議題とズレておるわ‼」


「むしろガルゾフを占領下に置いてしまっていなくて


不幸中の幸いだったのではないか?」


「確かに貧乏くじだったかもしれん、しかし、・・・」


玉座の間に集まったグランシア王国の重鎮がさまざまな意見を


出し合って議論を交わしていた、しかしまとまる様子はなく


むしろ混乱する方向に進んでいるようですらあった


サランディア同様極力発言を控えていたロネオラが口を開く


「皆の者、少し落ち着いてもう一度問題を整理して建設的な意見を


出し合おうではないか」


重鎮の中でもロネオラは長老的存在であった、先代王から使えている


重鎮であり皇帝サランディアの教育係を務めていた事もあり


サランディアもロネオラの意見はよく取り入れるからだ


だからこそロネオラが意見を出すとそれで決定してしまうのではないか?


という空気になってしまう為今回極力発言を控えていたのである


「先日ガルゾフより”ドラグナイト現る”の連絡が入った件を


話し合うのが今回の議題じゃ、先日のガルゾフ侵攻作戦とは切り離して


考えて欲しいのじゃ、ドラグナイトに対してどう対処すべきか?


それを考えて発言してほしい」


ロネオラの発言で一旦は治まるが重鎮の中でも若い内政担当の男が


手をあげ発言する


「ロネオラ様、ドラグナイトについてどう対処するか?と言われても


実際どうするというのです?いにしえの協定で


”ドラグナイトが現れた場合は全ての国が協力してこれにあたるべし”


というのがあるのは知っていますが・・・」


その意見に他の重鎮達も追従する


「確かに、前回この協定により戦闘がおこなわれたのは


大昔の話だからな・・・」


「確か”嘆きの森”でのモンスター戦争の時、各国の連合軍を結成する際に


この協定を応用したと聞いてますが、今回もその要領で行うのは


どうでしょう!?」


「しかしあの時はモンスターの軍団が我々人類に対して宣戦布告する


というわかりやすい構図だったからな、いうなれば相手は全人類の敵


なのだから人類も協力して戦おう‼という大義名分もあった」


「そうですね、ガルゾフに潜入させている諜報員からの情報では


今回のドラグナイトの出現はどうやら仲間の遺体を取り返しに


来ただけらしいのです、もちろん死傷者も出てはいますが


ドラグナイトに危害を加えようとしたものだけが


殺されただけの様で・・・実際その仲間を殺した者すら


殺されなかったようなのです・・・」


「なんだそれは!?ドラグナイトは無慈悲、無情、絶対死では無いのか?


古の言い伝えとは随分違うではないか!?」


「しかし個人でそれだけの力を持っている者がいるという事実が


問題なのでは?今回は単に仲間の遺体回収だけで済んだかも


しれませんが、もし気が変わって次々と国を攻撃し始めたら・・・


そうなる危険性があるならば早めに対処しておくのは


必要だと思われますが!?」


「しかし誰がそれをやるのだ?もし相手にその気がなくとも


こちらが攻撃したせいでその国を潰してしまおうという


考えになったとしてもおかしくはない、ワザワザ虎の尾を踏む


危険を冒す必要があるのか?」


「そうですな、そもそも今回はガルゾフがドラグナイトの仲間を


殺してしまったせいでおきてしまった訳だろう!?


いわばガルゾフの責任、自業自得ではないか!?


なぜ我がグランシアがガルゾフの尻拭いをしなければならぬ」


「確かに今回の事件で出た死傷者はガルゾフ側の避難誘導が


うまくいかずに倒れた人間を後から来た人間が


踏み潰して出た者の方が多いとか聞いております」


「なんじゃそれは!?馬鹿馬鹿しい、元々敵であるガルゾフなぞ


どうでもよいのじゃ、静観するのが良策であろう」


「しかし今回静観した場合、もしドラグナイトが我が国に


攻撃を加えてきた時、他の国も静観する可能性が高くなりますが


よろしいですか?」


「ならば他国の動向を見ながら、というのはどうでしょう?


今回”ドラグライン”によって全世界の国にこの知らせが


行っているはずです、という事は各国でも同じ議論が


おこなわれているのは必至、他国の方針をみながら


我が国の対応を決めるというのはどうでしょう?」


「たわけ‼我がグランシア王国は大陸制覇をかかげる


世界最大国家なるぞ!?それを他国の出方を見ながら


方針を決めるなんて恥ずかしい事ができるか‼


どの国よりも早く方針を発表してこそ


リーダーとしての威厳を保てるのじゃ‼」


「威厳とかそんな事を言ってる場合じゃないでしょう!?


この方針はもしかしたら国家の存亡にすらかかわる


かもしれないのですよ‼」


「貴様はわがグランシア王国がたった一人の


ドラグナイトに滅ぼされるとでも言いたいのか‼」


議論は紛糾しどうにも収集がつきそうになかった


ロネオラは喧々諤々《けんんけんがくがく》している重鎮達を


しばらく見守っていたが小さくため息をつきサランディアの方を見た


サランディアは玉座に座り目を閉じ重鎮達の議論を黙って聞いていたが


「もうよい止めよ‼」


皇帝の一言であれだけ白熱していた議論がピタリと止まる


そして皆サランディアがどういった決断下すのかを


息を飲んで見守った、しかしサランディアの発言はロネオラを含む


全ての重鎮達の想像を遥かに超えたものであった


「なんとかそのドラグナイトと連絡は取れないものか?


どんな条件でも飲むのでわが軍に迎えたいと伝えたいのだ」


淡々と静かに話したその言葉に重鎮一同


言葉を発することができた者はいなかった。




ガルゾフを出た拓斗はみゆきの遺体をちゃんと葬ってやろうと


一旦トルチラ民国に向かった、しかし”ドラグナイト出現”の事実は


トルチラにも伝わっているであろう事は拓斗にもわかっていた


現にガルゾフを出てから使い魔と思われるカラスがずっとついてきて


いた、12匹までは殺したのだが、ついてきているカラスが死ぬと


すぐに次のカラスが出てきて付いてくるのだ、拓斗は諦めて


ほかっておいたが、このままマルコやユキの所に連れて行く訳にはいかず


どうしようか・・・と考えていたところ,前から6人程の牧師の集団が


近づいて来るのが見えた、向こうも拓斗に気が付き近くまで来た時に


話しかけてきた


「こんにちわ、我々は巡回説教をしている牧師です


そのお嬢さんはどうなされたのですかな?


もし我々にできることがあれば力になれるかもしれません」


「ありがとうございます、実は彼女は戦争に巻き込まれて


亡くなったのですが、どこかで丁重に葬ってやりたいと思いまして・・・


でもどこに行っていいかわからず困っていたところだったのです」


6人の牧師たちは顔を見合わせその後全員で拓斗に軽くお辞儀をした


「それはお気の毒に・・・私達からも祈らさせてもらいます


もしよければこの先のラジュール王国にフナレンという町があります


その町の北西部に教会がありそこにバレンシアという牧師が


おりますので、そこを訪ねたらよいでしょう


その娘さんを丁重に葬ってくれるはずです」


「そうですか、ありがとうございます、その牧師様を訪ねたいと


 思います」


「そうですか、お役にたてたのなら嬉しいです、貴方とその娘さんに


 精霊セルミューゼ様のご加護がありますように」


そういって深々とお辞儀をすると牧師達は去っていった


拓斗は言われた通りラジュール王国にある教会に向かうことにした


なるべく最短で行けるように山道やあぜ道なども通り道中を急いだ


しかしフナレンの町に着いた頃にはすでに夜になっていた


「こんな夜でも取り合ってくれるだろうか?・・・」


不安を抱えながら拓斗は教会のドアを叩くとしばらくして


ドアがゆっくりと空いた


「どなたじゃな?」


ドアからでてきたのは年齢が60歳ほどの小柄の牧師であった


小さな丸メガネをかけシワの多いその顔は一見おばあさんかと


思える風貌だったが明らかに声が男性のモノであったので


男なのだろうと確認できた


「夜分遅くスイマセン、実は連れが戦争に巻き込まれ


 亡くなってしまったのですが、ちゃんと葬ってやりたいと思い


 ここにきました・・・」


「それはお気の毒に・・・わかりました、私でよければ


 お力になりましょう、それでお聞きしたいのですが


 そのお嬢さんが亡くなられてから何日が経っていますか?」


この牧師の聞いた死亡からの日にちというのは重要で


この世界では人やモンスターといった生物は死んでも腐敗したり


することはない、しかしなにもしないと10日後に消滅するのである


それは死亡時刻からキッカリ240時間後にスッと消えるのである


なにもしないと・・・というのはモンスターの牙や鱗を武器として


加工したり肉を食用にしたりすることである


人やモンスターの死体をそのままゾンビとして使役したりする


こともある為その猶予期間とでもいったところだ


「彼女が亡くなったのは3日前のことです・・・」


拓斗は努めて冷静にこたえる、そんな拓斗の気持ちを理解してか


「そうですか・・・つらかったですね・・・ちゃんと彼女を


 送り出してあげましょう、3日前なら今晩彼女が消える事は


 無いんですね・・・でしたら今晩は礼拝場でセルミューズ様の


 ご加護を受けまして、明日葬儀を行いましょう


 貴方も今日はここに泊まるがいいでしょう


 部屋は用意しますので・・・」


拓斗は深々と頭を下げる


「ありがとうございます、ご厚意感謝します、しかし私は今晩


 彼女のそばにいてやりたいのです・・・」


拓斗のその言葉に目を細め優しげな表情を浮かべるバレンシア牧師


「そうですか、わかりました・・・ではまた明日に・・・」


あることを思い出した拓斗は立ち去ろうとする


バレンシア牧師を呼び止める


「あの!?一つ聞きたいのですが、葬儀をおこなった後


 みゆきの・・・彼女の亡骸はどうなるのでしょう?」


バレンシア牧師は目を閉じ下を向くと静かに話し出した


「この教会の裏に墓地があります、もしあなたがよろしければ


 そこに埋葬してやりたいと思いますがどうですか?」


「はい、それでよろしくお願いします・・・でもあの・・・


 お代金の方は?・・・」


拓斗の質問にフッと笑うバレンシア牧師


「お金なんていただきませんよ、先日もこの近くで戦いが


 ありまして・・大勢の死者が出ました・・・その人たちも


 裏の墓地で眠っています、埋葬の時などは町の人に手伝って


 もらう事もありますがお金の心配はありません、ご安心を」


ニコリと笑うバレンシア牧師、そして用意してもらった棺に


みゆきの亡骸をおさめると礼拝堂に置かれた


「偉大なる精霊セルミューゼ様のご加護を・・・」


バレンシア牧師はそういい残し一礼して部屋に引き揚げて行った


その様子を礼拝堂の窓から覗き込むカラスの姿があった





”ドラグナイト現る”その情報は当然アミステリア公国にも届いていた


サラボルン国王を中心に議論の真っ最中であった


グランシアと同じような議論が繰り広げられていて


気が付けばすでに夜中になっていた、そんな中一人浮かない顔をして


議論に加わらない者がいた、白剣姫ホワイトソードプリンセスこと


ラインハルト・カナ・ロマーヌ、本名沢渡香奈である


『ドラグナイトって・・・絶対お兄だ、一体何やってるのよ!?』


様子のおかしい香奈の態度を不思議に思ったゲルハート将軍が


声をかける


「ロマーヌ殿、どうなされた?体調でも悪いのですか?」


チャングイ将軍も声をかける


「そうだぜ、お嬢さっきからなんか様子がおかしいなぁと


 思ったんだけどよ、気分が悪いならさっさと寝るに限るぜ!?」


「いえ何でもありません、なんでも・・・ご心配なく・・・」


議論はガルゾフの要請に応じてドラグナイト討伐に参戦するべし


という流れが大勢を占めた、総括としてサラボルンが発言する


「ガルゾフ帝国は我が同盟に加わってもらおうと思っている国である


 よってガルゾフの要請に応じてドラグナイト討伐連合に加わろうと


 思う、しかし細かな決め事などもあるだろうから最終決定は


 明日に持ち越し明日ガルゾフに返事をしようと思うがそれで良いな!?


 ではまた明日の朝10時からこの会議の続きをおこなう解散じゃ」


会議が終わり皆自室に帰っていく、誰もが疲れ果てた顔をしている中で


チャングイ将軍だけが腕をぐるぐる回しながら元気が余っている様子で


「ドラグナイトがナンボのものかしらねえが俺様が


 ぶっ倒してくれるぜガッハッハ」


その横を浮かない顔をした香奈がトボトボと歩いている


そんな香奈にチャングイが駆け寄る


「おいお嬢、一体どうしたんだ、ずっと様子が変だぞ!?


 何があったか言ってみろよ俺様が力になるぜ‼」


そんな香奈の様子を見てゲルハートも速足で近づいてきた


「そうですよロマーヌ殿、今日のあなたの様子は明らかにおかしい


 我々では力になれませんか?」


香奈はしばらく黙っていたが思い切って打ち明ける


「チャングイ将軍、ゲルハート将軍、お願いです力を貸してください‼」


その香奈の鬼気迫る態度にただならぬものを感じた二人は理由を聞くが


香奈は首を振る


「すいません、ここでは話せません、できればお二人と国王様の


 三人だけに聞いていただきたいのです」


ゲルハートとチャングイはお互いの顔を見合わせ


「わかりました、今から国王様の部屋に三人で行きましょう」


「そうだな、ものは急げって言うからな、心配するなお嬢


 俺達が何とかしてやるからよ‼」


2人の心遣いに嬉しくて少し涙がでてくる香奈


「ありがとうございます、両将軍には本当に・・・いつか必ず


 お礼をいたしますから」


「何を水臭い、俺とお嬢の仲じゃねーか、なあゲルハート」


「そうですよ、我々がどれほどあなたに助けられたか・・・


 我々でできる事なら何でもしますよ、そもそもあなたは


 我々の上官なのですから」


「上官とか命令とかそういうのじゃねーだろ!?俺とお嬢はだな・・・」


「いつも言っていますがあなたは立場とか規則とかですね・・・」


そんなやり取りの後三人はサラボルンの部屋を訪ねた


もう寝るところだったようで寝間着姿の国王が思った以上に


かわいくてチャングイが笑いそうになっていた


「どうしたのじゃ?三人揃ってこんな時間に・・・」


香奈がひざまづき神妙に話始める


「夜分遅くに申し訳ありません、しかしどうしてもお三方に


 話しておきたい事がございまして・・・ドラグナイトの件で


 ございます」


「ほう、会議ではガルゾフに協力して討伐連合に加わる方針で


 大筋決定方向だったがロマーヌ殿は反対なのかな?」


「はい、報告すべきか迷っていたのですが・・・お願いしたいのは


 ここにいる三人以外には他言無用に願います」


「なるほど、それほどの秘匿情報だったので会議では言えなかった


 訳ですね」


「何だよお嬢、俺達にしか言えない秘密なんて


 なんか恥ずかしいじゃねーか!?」


サラボルン国王は真剣な顔で静かに話す


「わかった誰にも言わない事をアミステリア公国サラボルン国王の


 名においてここに誓おう」


「ありがとうございます、実は・・・今回ガルゾフ帝国に現れたという


 ドラグナイトはおそらく私の兄です」


香奈の言葉に絶句する三人、あまりに突拍子もない話なので


冗談でも言っているかとも思ったが香奈の態度がそうではないと


語っている、ゲルハートが質問する


「それは本当ですか!?あの伝説のドラグナイトがロマーヌ殿の


 兄君だと!?」


「お嬢の兄ちゃんってこの前の小僧・・・じゃなくて拓斗の事か!?」


大きくうなづく香奈、思わずベットに座り込むサラボルン


「なんと!?・・・まさかあの拓斗殿が・・・


 伝説のドラグナイトとは・・・」


しばらく沈黙が続き香奈が話始める


「これは事実です、前回我が国へのグランシアの奇襲作戦も


 兄のドラグナイトの力で解決してもらったのです・・・」


「そうだったのですか・・・じゃあガルゾフのバルザークを倒した


 ドラグナイトというのも・・・」


その問いに香奈は無言でうなづく


「実は私も先日まで知りませんでした、しかし兄はむやみに


 他国を攻撃するような人間ではありません、ですからなにとぞ


 ドラグナイト討伐連合軍に加わるのは考え直していただけませんか


 お願いします」


深々と頭を下げる香奈、チャングイとゲルハートはサラボルンの顔を


見つめて香奈と同じ気持ちであることを目で伝える


サラボルンはニコリと笑うと


「わかった、明日の会議でワシの方から皆に伝える


 ドラグナイト討伐連合には参加しないとな」


香奈の表情が初めて明るくなる


「ありがとうございます、ありがとうございます、本当に・・・


 本当にありがと・・・」


香奈は両手で顔を覆い泣きながら頭を下げる、それを暖かく見守る


両将軍、サラボルンは嬉しそうに何度もうなづいた





ガルゾフ帝国ネルリアス皇帝は部下からの報告に激怒していた


それを見かねた重鎮のソロンドが


「陛下、どうか落ち着いてくだされ・・・」


そのソロンドを睨むようにして言い放つ


「これが落ち着いていられるか‼グランシアとアミステリアが


 早々にドラグナイト討伐連合の参加を拒否してきたのだぞ!?


 何を考えているのだあいつらは!?」


重鎮達は怒り狂っているネルリアスに何も言えない


しばらく一人でグランシアとアミステリアへの怒りをぶちまけていた


いかしネルリアスの気持ちを考えればそれも当然であった


大陸一の大国グランシアと今飛ぶ鳥を落とす勢いの国


アミステリアが早々に連合の不参加を表明したという事は


他の国もそれに続く事は誰の目にも明らかであったからである


「ふざけるな‼”ドラグナイトが現れた場合は全ての国で協力して


 これにあたるべし”という古の協定はどうなるのだ‼


 どいつもこいつも勝手な事を」


ソロンドが恐る恐る話しかける


「しかし敵対国グランシアはともかく同盟を持ちかけてきている


 アミステリアまでもが断って来ってくるとは・・・


 しかし同盟の締結は引き続き願いたいときているし・・・


 本当に訳がわからんな・・・」


「その通りだ、アミステリアは一体何を考えているのだ!?


サラボルンのジジイ・・・いやあの小娘の考えか!?


こんな扱いを受けて誰が同盟なぞ組んでやるものか‼」


ネルリアスの発言に重鎮達は反対したいのだが誰も口を出せない


そして横目でソロンドを見つめてなんとかしてくれ


という目線を送ってきた、ソロンドはヤレヤレとばかり肩をすぼめ


ネルリアスの怒りが少し治まってきたころに再び話し出した


「陛下・・・陛下の気持ちは十分わかります、正直我々も


同じ気持ちです・・・しかし冷静にお考えください


今現在我がガルゾフ帝国は大魔道士バルザーク殿と魔法軍団を失い


ガルゾフ軍最強の戦士ボウマンと重装騎士団も失いました


正直今我が国にグランシアと戦える力はありません」


ようやく玉座に座ったネルリアスが再び立ち上がり


ソロンドを指さし怒りをぶちまける


「だからといってこんな扱いを受けてまで同盟をお願いします


なんて言えるか!?お前にはガルゾフ帝国の誇りは無いのか‼」


「ならば誇りと共に滅びますか?それこそグランシアの


思うつぼですが!?」


ソロンドのその言葉にネルリアスは一言も言い返せない


ソロンドもネルリアスに対してここまで言ったことは初めてである


最悪処刑も覚悟したが愛するガルゾフ帝国が滅びるのを


その目で見るよりは祖国の為に死ぬのも悪くないと開き直った


からである、ネルリアスは再び玉座に座り下を向いて頭を抱える


そしてしばらくそのまま無言で動かなかった


誰も発言できるはずもなく重い空気だけが玉座の間を支配する


永遠に続くかと思われたその時間に終止符を打ったのは


やはりネルリアスだった、頭を抱え座ったままの姿勢でボソリと


言い放った


「ソロンド・・・アミステリア公国に同盟の件を受諾すると伝えよ」


それを聞いたソロンドは軽く頭を下げ


「かしこまりました、よくぞ決断してくださいました


部下、国民に成り代わり感謝申し上げます」


そう言うとそそくさと玉座の間を出て行った






フナレンの町の教会ではひっそりと葬儀がおこなわれていた


近所の人も手伝ってくれたので思ったよりちゃんとした葬儀が


できた事は拓斗にとって嬉しい誤算であった


式も終わり埋葬も終わった頃にはすでに夕方になっていた


『ごめんなみゆき、たまには墓参り来るからさ・・・』


そんな事を考えていると、後ろからバレンシア牧師が声をかけてきた


「今日はご苦労様、ところでもうこんな時間になってしまった


今日はここに泊まっていきなさい」


「いえ、ここまでしてもらって、これ以上ご迷惑をかける訳には・・・」


「今から出発しても次の町に着くころは真夜中になってしまうよ



いいから泊まっていきなさい、野宿よりはマシという程度だがね


ハハハハ」


拓斗は置いてきたマルコが気になっていたので早く帰りたかったが


これ以上拒否するのも寧ろ失礼かもと思い


「それじゃあお言葉に甘えて今晩までお世話になります


本当にありがとうございます」


バレンシア牧師はニコリと笑い嬉しそうに大きくうなづいた


夜になりバレンシア牧師が夕食の用意の為裏の畑に向かった


墓地のある場所は元々畑だったのだが、畑の持ち主が


戦で死んだため町の人の要望もあり半分を墓地にして


半分を畑として残すこととなったのだ


昨晩の食事も野菜スープが中心の質素なものだったが


心から温まる様な気分がして嬉しかった


『それにしても遅いな牧師さん・・・』


そんな事を考えていた時、裏から”ガラガラガシャーン”という


何かをひっくり返す音がするそして


「ぎゃあああああああぁぁぁぁぁぁぁ」


バレンシア牧師のものと思われる悲鳴が聞こえた


慌てて裏の畑に走る拓斗、するとそこには恐ろしい光景が広がっていた


大量のゾンビがバレンシア牧師に襲い掛かっていたのだ


倒されたままでありとあらゆるところを噛みつかれていて


すでに絶命していることは一目瞭然であった


「なんてことを・・・しかしこのゾンビは・・・」


その時後ろに人の気配を感じた拓斗はその場にあった農用フォークを


投げつける


「ウゴォォ」


農用フォークの三本の歯がゾンビに突き刺さり低いうなり声をあげる


ゾンビ、しかし何事もなかったように再び動き出す


そしてゾンビの後ろから男の声がする


「さすがはドラグナイトですね」


よく見るとゾンビの群れの中に黒いローブを頭からかぶった男が


立っているのが見えた、あちこちの地面が不自然に盛り上がり


墓地から次々とゾンビが現れる、大人のゾンビから年寄り


子供、女性とバリエーション豊かなゾンビが次々現れる


『そういえば最近戦があって死者がいっぱい出たと言ってたな・・・』


ゾンビたちは生気の無い目で目標を視認するとぞろぞろと


拓斗に寄ってくる、しかしゾンビは動きが遅い


拓斗に簡単にあしらわれてしまう、そして先ほどまで倒されていた


バレンシア牧師がのそりと起き上ってきた”アァ~~”と


低い唸り声をあげながらこちらにゆっくり向かって来る


「なんてことを・・・コラ、そこにいるんだろさっさと出てこい‼」


さっきの黒いローブを着た男が顔を出す


「はじめましてドラグナイト、私はネロマンサーのギルティアと


申しますよろしく、おや?案外若いんですね、驚きです」


「やっぱりネクロマンサーか、昨日からカラスの使い魔を


放っていたのもお前だな、俺に何の用だ?


こんなゾンビを何人出そうが俺は倒せないことぐらいわかるだろ!?」


拓斗は話しながらも次々と寄ってくるゾンビを素手で破壊していく


それを見て感心するギルティア


「ほう、龍装備をしていなくともゾンビの頭を素手で


破壊できるとは・・・さすがドラグナイト」


「それで何が目的だ、いくら大量の死体があっても無限じゃない


こんなんで本当に俺を倒すつもりか?」


「もちろんそのつもりですよ、国をも滅ぼすと言われたドラグナイトを


私が倒したとなればどんな国でも私を認めざるを得なくなる


どれほど実力があってもネクロマンサーというだけで


私を蔑んできた愚かな者達に思い知らせてやるわ!?」


確かにこの世界ではネクロマンサーの地位は低い


死者を冒涜するけがらわしい職業と蔑まれているのが現状だ


そんな恨み節にも似たギルティアの言葉にため息をつく拓斗


「そんなのの為に俺の命はやれんよ・・・」


そう言いながら襲ってきたバレンシア牧師のゾンビの首を


手刀ではねる、その時ギルティアの口元が緩む


「ほう、恩ある人物でも容赦ないんですね、じゃあこれならどうです?」


拓斗は目を疑う、みゆきがゾンビとなって拓斗に迫ってくるのだ


「テメエ・・・ギルティアとか言ったな、俺をそんなに


怒らせたいのか!?」


次から次へとと迫りくるゾンビを簡単に破壊していく拓斗だが


みゆきのゾンビだけは破壊できない


「やっぱり!?やっぱりそうでしたか!?その子には余程の


思い入れがあるのですね、それさえわかればこちらのものです


殺せ‼ドラグナイトを殺せ‼」


ゾンビのみゆきは”アァ~~”と唸って返事にならない言葉を


発しながら襲ってくる


「止めろみゆき‼止めろって‼」


拓斗は叫ぶがゾンビ化しているみゆきには届かない


ギルティアが拓斗に向かって叫ぶ


「彼女はあなたのせいでこんな姿になってしまったんでしょ!?


だったら彼女に殺されてやる事こそあなたにできる


せめてもの償いなんじゃないんですか!?」


その言葉に顔をしかめる拓斗、本当にそうなんじゃないか?


とすら思えてきたからだ、その表情の変化を見逃さなかった


ギルティアはさらに続ける


「彼女もあなたが一緒に死んでくれるのを望んでいますよ


一緒に死んであげましょうそれが本当の彼女への供養です‼」


拓斗の動きが止まる、拓斗はゾンビ化したみゆきに語りかける


「そうなのか、みゆき?本当にそうした方がお前に・・・」


無抵抗になった拓斗にゾンビ化したみゆきが迫る


ギルティアは笑いを抑えきれない


「やったぞ!?これで俺はドラグナイトを倒せる‼


士官も出世も思いのままだ‼これから俺の・・・」


そんな時ギルティアの後ろから声が聞こえる


「あ~あ見てられないよ全く・・・」


振り向くとそこには17~18歳くらいで金髪の美少年が


木に背中をもたれかかって立っていた、いい気分に浸っていた


ギルティアは眉をひそめる、そしてその男を睨みながら


「なんだ貴様は、後でゾンビにしてやるからそこで待ってろ


今私は忙しい、ゾンビにやられるあの男を見てられないんだろ!?」


その美少年はクスリと笑うとギルティアに向かって


「見てられないのはアンタの方だよ、全くネクロマンサーってのは


汚らわしい、毛嫌いされるのもわかるよ全く・・・」


その言葉にギルティアの表情がみるみる怒りに変わっていく


「このガキ‼どうやら先に死にたいようだな、わかったお前を先に殺して


ゾンビにしてやるから有難く思え、ゾンビにしたらこの私を


愚弄したことを死ぬほど後悔させてやる、そのくらいこき使って


やるからな‼」


「殺してから死ぬほど・・・って言葉のセンスすら無いんだ


それとも無いのは教養かな?どのみち生きている価値も無いのは


アンタの方みたいだね、ハハハハハ」


ギルティアの表情が怒りに満ち溢れる


「このガキ、調子に乗りやがって‼ゾンビ共よ、あいつを殺せ


肉片も残らないぐらい喰らい尽くせ‼」


大量のゾンビがその少年に近寄っていく、少年はずっと木に


もたれかかったまま動かない


『なんだ、諦めたのか?他愛のない・・・』


ギルティアがそう思った瞬間、信じられないといった表情を浮かべた


ゾンビの動きがピタリと止まったのだ


「なっ!?一体何がおこったのだ?・・・コラお前ら動け


そいつをさっさと殺せ‼」


いくらギルティアが命令してもゾンビ達は全く動かない


そしてその少年がつぶやく


「跪《ひざまず』け」


その瞬間ゾンビ達が一斉にひざまず


しかもかなり俊敏な動きで綺麗に並んでかしこまっているのだ


愕然とするギルティア


「なっ!?なにがおこって・・・お前は一体・・・


まさかお前もネクロマンサーなのか?」


その一言に少年の表情が急に険しくなる


「テメエなんかといっしょにすんな、このクズが」


怒り交じりの表情でギルティアを睨む、そして続けてゾンビ達に


命令を出す


「とりあえずあいつをぶん殴ってここに連れてこい」


「はい、わかりましたマスター‼」


ゾンビが命令を理解し返事をしたのだ、信じられないといった表情で


見つめるギルティア、命令を受けたゾンビ達は通常の人間よりも


速い速度で近づき戸惑っているギルティアをボコボコに殴った


それは一見リンチの様な光景だった


「もういいよ、殺しちゃったらめんどくさいからね


さっさとこっちに連れて来て、さてと・・・


それでは今回の目的だけどドラグナイトのお兄さん


っていうか俺より年下か?」


金髪の美少年はポケットに手を突っ込みながら薄笑いを浮かべつつ


近づいて来る、拓斗の前には完全に動きの止まったみゆきがいた


その少年は今度はみゆきに命令を出す


「とりあえずどいてくれるかな?」


その言葉に即座に反応するみゆき、ささっと後ろに下がりながら


「はいマスター」


その声は何度も聞いたみゆきの声そのものだった


その衝撃に我を忘れそうになるが近づいて来る男を


睨みつける拓斗


「お前は一体何者だ?一体何が目的だ!?」


「う~んと何から話そうかな・・・じゃあ僕の力を力の一部を


見てもらおうかな」


そう言い放つと指をパチンと鳴らす、その瞬間みゆきがこちらを見て


涙を流す


「拓斗・・・ゴメン、私殺されちゃった・・・」


あまりの出来事に言葉が出ない拓斗、しかし次の瞬間怒りが湧いてくる


「こらテメエ何のつもりだ!?みゆきは死んだんだ


これは何の仕掛けでやっている、事と次第によっちゃあ許さないぞ‼」


「まあ死んではいるけど・・・仕掛けでもなんでもないんだけどね・・・


じゃあ見てもらうのが一番かな”チェンジ装備ドラゴン”」


少年がそう叫んだ時その全身は真っ黒な装備に包まれる


黒い鎧、黒い剣、黒い盾、そして龍の紋章が盾と鎧に刻まれているのを


確認した


「まさか・・・お前もドラグナイトなのか!?」


「お前はやめてよ、僕の名はステファン・レオ、フランス人の18歳だ


見ての通り暗黒龍ゾルダークの加護を受けたダークドラグナイトだよ


君の名は」


「俺は沢渡拓斗、日本人の16歳だ、爆炎龍フォレリオガルンの


加護を受けたフレイムドラグナイトだ、で?同じドラグナイトの


アンタが俺に何の用だ?それにみゆきに何をした?」


「かぁ~~やっぱり年下かよ~しかも二つも・・・じゃあまだ


高校生じゃん、まあそんな事はどうでもいいや、僕の目的は


君と仲良くなりたいんだよ」


「なんだよそれは、ふざけているのか!?」


「ふざけてなんかいないよ、まあ確かに仲良くってのは


ちょっとニュアンスが違うか・・・じゃあここからが本音だ


なぁ拓斗、俺達ドラグナイトは無敵だ、いわばチート級の強さを


持っているのはお前も感じているだろ!?


たとえ世界中の軍隊を敵に回しても勝てる自信がある、違うか?」


返事に困った、そんな事を考えた事は無かったがどんな相手でも


ドラグナイトでいる限りは負ける気がしなかったのは事実だった


「確かに・・・考えた事は無いけどそうかもしれないな・・・で


それがどうかしたのか?ワザワザ自慢や確認の為に俺に


会いに来たわけじゃないんだろ?」


レオは軽くうなづき話を続ける


「じゃあ俺達無敵のドラグナイトが殺される時はどんな場合だと思う?」


その時初めてレオが自分に会いに来た理由がわかった


「そうだ、ドラグナイトを殺せるのはドラグナイトだけだ


それに相性ってのを考えた事があるか?」


「相性?」


「あぁ相性だ、例えば俺は暗黒龍の加護を受けているから


使う呪文は暗黒呪文ばかりだ、そして暗黒魔術や


このドラグナイトの武器や装備にも特徴がある


それはこんな夜の闇でこそ最も力が発揮できる


それとここみたいな墓地や戦場跡などは恐怖、怨念、恨みなど


負の感情が渦巻いているから魔力も極限まで発揮できる


つまり今ここで戦ったら他のドラグナイトでも俺には勝てない


唯一お前を除いてな拓斗」


「俺だけ?それはなぜだ?」


「炎の使い手だからだ、炎の特徴は光、熱、浄化・・・どう考えても


俺にとっては天敵だ、だから味方になれとは言わないが絶対に


俺と敵対しないで欲しい、その保障が欲しかっただから来た」


「敵対しない保障?手形でも欲しいのか?」


「何だよそのジョークは・・・だからこの子なんじゃないか!?」


レオはみゆきの腕を引き寄せる、みゆきが不安げな顔で


拓斗を見つめている、それを見た拓斗の表情が変わる


「その手を放せ本当に殺すぞ‼」


「そんな事言っていいのかい?僕を殺すとこの子は本当に死ぬよ!?」


「何を言ってるんだ、みゆきは死んだんだ、一体何をしたんだ


どんなトリックだそれは?」


「確かにこの子は死んでるよ、でもそれに何の問題があるんだい?


僕は暗黒龍の加護を受けているんだよ、この子は死んでいる


でもそれ以外は何の問題も無い、君の知っているみゆき君そのものだ


記憶も気持ちも能力も・・・全てそのままだ」


レオの言葉を信じられないといった表情で見ている拓斗


じっとみゆきを見つめている


「まだ信じられないかい、じゃあ証明してみせよう


みゆき君、君の本当の気持ちをこの拓斗君に聞かせてあげなさい」


みゆきが凄い形相でレオを見て懇願する、拓斗は何が何だか


わからない為茫然と見守っていた


「マスター、それは・・・それだけは勘弁してください・・・」


レオが少し厳しい顔をしてキッパリと言い切る


「駄目だ、じゃあ支配を少し強めるよ」


レオがそう言い放つと先ほどの様に指をパチンと鳴らす


するとみゆきは拓斗の方を見ながら涙を流し何度も首を横に振った


「拓斗・・・あのね・・・私あなたの事が好きだった・・・」


その言葉に衝撃を受ける拓斗、しかしみゆきの態度が明らかにおかしい、


顔を歪めまるで泣きべそをかいているような表情で涙を流し


首を何度も振りながら話しているのだ、その時拓斗は気づいた


みゆきは自分の意思とは無関係にしゃべらされていると


本当は聞かれたくない事を言わされていると


「あのね・・・私高校に入ってから自分の気持ちに気が付いた・・・


でもその時唯がね・・・拓斗が好きだから応援してくれって・・・


あんないい子が・・・でも私の方が・・・って気持ちも・・・」


拓斗は何とも言えない気持ちになった、昔ずっと好きだったみゆきが


自分の事を好きでいてくれた事も、しかしこの状況で聞いている自分に


どうしようもなく腹が立つのと、そしてみゆきにあんな表情をさせている

レオに怒りが治まらなかった


「やめろ・・・」


思わず、つぶやく拓斗、しかしみゆきの話は続く


「唯を憎んだこともあった・・・あんないい子を、私の親友を・・・


でも辛かった・・・だって私の方が・・・」


「やめろ‼」


拓斗が叫ぶ、それに対してレオがスッと右手を上げる


するとみゆきの話が止まる


「あれ、せっかくの告白を、男の風上にも置けないね君は」


「黙れ、そんなに俺を怒らせたいのか!?」


レオが拓斗の怒りの表情を見て軽いため息を吐く


「わかったよゴメン、やり過ぎたようだ」


そういうとまた指をパチンと鳴らす、するとそれに合わせて


みゆきがその場に泣き崩れる


「ゴメン拓斗、私そんな事絶対言わないつもりだったのに


私、唯との事応援するって言いながら本心では・・・ゴメンね」


そんなみゆきを見て優しい顔でみゆきに語りかける拓斗


「俺の方こそゴメン、それにメチャクチャ嬉しかったよ


俺さずっとお前の事好きだったんだぜ、だからお前から


唯を紹介された時正直ショックだった、でも今じゃ唯が大好きだ」


拓斗の言葉に救われた気持ちになり泣き止むみゆき


「本当・・・なの?」


「ああ本当だ、お前は俺の初恋の相手だよ、香奈も知ってる」


みゆきが笑う、しかし拓斗の目線はレオに向かう


「で、貴様はどうしたいんだ?お前がみゆきにやった事は


絶対許さないからな、殺し合いがしたいならかかって来いよ」


拓斗の怒りが本物と知るとレオは天を仰ぎため息をつく


「なんだかなぁ、逆だよ君とは戦いたくないの、確かに告白させて


感謝されようと思ったのに僕の予想外の展開になっちゃって


僕も戸惑ってるんだよ、でもね・・・」


レオのおちゃらけた態度が急に変わり真面目な表情に変わる


「いくら相性が悪いといってもどうしてもって時は僕もやるよ


それに忘れないでほしいのはここにいるみゆき君は死んでいるけど


生きている時となにも変わらない、だけど僕を殺せば


また元の死体に戻るからね、それを忘れないでよ」


しばらく黙っていた拓斗だが、拳を握りしめ唇をかんで気持ちを


抑えながらもレオに答える


「わかった、俺はアンタとは敵対しない事を誓う、だからみゆきを・・・


みゆきを大事にしてくれ、さっきみたいな事だけはもう止めてくれ


それを約束してくれるならアンタの部下になってもいい、だから・・・」


レオは少し考え答える


「わかったよ、これからは今以上支配を強める事はしない


それに部下になんてならなくていいよ、敵対しないって


約束してくれればね」


2人の話が終わりに近づいてきたとき、そんなやり取りを


晴れ上がった顔で見ていたギルティアは


「しょんな、ドラグナイトが二人・・・しかもほれよりずっと


しゅごい支配力って・・・」


その言葉を聞いたレオはギルティアの方を改めて見た


「あぁそういえばあいつ忘れてたな」


レオは人差し指をギルティアに向けると


「ばぁん」


レオがそう言った瞬間ギルティアの顔が後ろに跳ね上がる


その額には人差し指と同じ大きさの穴が開いていた


ギルティアはぐったりとして完全に白目をむいて死亡していたが


そんなギルティアに


「おい、いつまで寝てるんだ」


レオが呼びかける、するとギルティアが飛び起き敬礼する


「ハイすいませんマスター」


「さっさとこの辺りを片付けろ、10分でやれ、いいな」


「わかりましたマスター‼」


そういい残しダッシュで片付けを始めるギルティア


レオはそんなギルティアを見て拓斗に問いかける


「あいつの扱いには注文ないよな?」


「あぁもちろん、精々こき使ってくれ」


そしてふたりでニヤリと笑う、そしてレオが右手を高く上げて


いきなり呪文の詠唱を始めた、突然の魔法に構える拓斗


レオはそんな拓斗に笑いながら首を振る


「闇の龍神邪悪なるゾルダークよその醜悪なる力の源をここに授けん


妬まれた怨念の矛先をここに集めん”グドリジン・ボマーレ”」


レオが詠唱を終えると上空から黒い闇が降りて来た


その闇は地上でどんどん広がっていき体長5m程の巨大なカラスになった


「カアァァァーー‼」


カラスは羽をはばたかせ雄叫びを上げると今度はおとなしく


地上に伏せた、それはまるで上に乗ってくれと懇願している様であった


「じゃあ拓斗君、僕らはもう行くよ、また近い内に会う事もあるでしょ、


そん時は頼むよ・・・じゃあみゆき君別れの挨拶でもしたら」


そのレオの言葉を聞く前にみゆきは拓斗に話しかけていた


「あの拓斗・・・色々ありがとうね」


「それはこっちのセリフだよ・・・でもお前が死んじゃって


メチャクチャ悲しかった、もしあいつがお前にひどいことしたら


俺がブッ飛ばしてやるから、その時は俺に言えよ」


「でも手加減してやってね、殺しちゃうとまた私死んじゃうらしいから」


「あぁわかってるよ、もうお前が死ぬのはたくさんだ」


「何か変な感じだね、子供の頃からずっと一緒にいたのに・・・


今までこんな話したことなかったのにね」


「そうだな、馬鹿は死ななきゃ治らないって事じゃないかな?」


「なによ、それじゃあ私が馬鹿みたいじゃないの」


2人は久しぶりに笑った、拓斗は今こうやってみゆきと話せていることが


嬉しくて仕方なかった


「話盛り上がってるとこ悪いけど・・・みゆき君そろそろ行くよ」


レオが出発の時間を告げる


「じゃあね拓斗、アンタは死なないでよ」


「あぁ頑張るよ、またお前に会えてメチャクチャ嬉しいかった


ユキさん達には上手く言っておくよ」


「そうお願いね、じゃあ」


そう言うと巨大カラスに乗り込むみゆき、そして手を振って見送る拓斗、


巨大カラスはあっという間に見えなくなってしまったが


いつまでも空を見守っていた拓斗であった。



今回は一部だけでおさめることができました、最凶ギルド国士無双からの流れで一気に書いてみましたがどうだったでしょうか?レオ&みゆきコンビはちょくちょく出すつもりなのでよろしくお願いします、次回はハウゼンの話に戻る予定ですので、またお付き合いいただければ嬉しいですでは。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ