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最凶ギルド”国士無双”(上)

場人物

沢渡拓斗…世界で7人しかいない最強戦士ドラグナイトの一人、しかしドラグナイトから解放される為に旅をしている

マルコ…さらわれた姉を助けるため最強を目指している少年

東条みゆき…拓斗の幼馴染で剣道の達人、見た目は和風美人だが中身はじゃじゃ馬、ギルドチーム”疾風の剣”に所属している

ユキ…ギルドチーム”疾風の風”のリーダー、物事をハッキリと言う性格でメンバーのマイヤーと付き合っている

マイヤー…ギルドチーム”疾風の風”のメンバー、エセ関西弁でしゃべるムードメーカーだが痩せていて戦士風の装備が似合わないのをよくからかわれる、ユキの彼氏

ザック…ギルドチーム”疾風の風”のメンバー、背は低いが筋肉質いわゆる”チビマッチョ”童顔を気にしていてスキンヘッドにしている

次郎…ギルドチーム”国士無双”のリーダー、”アックスマスター”という珍しい称号を持っている、豪快な性格で部下の面倒見がよく慕われているが、女性に惚れっぽく奥手である

テツヤ…ギルドチーム”国士無双”の副リーダー、頭が切れる為に参謀的な役割をしている、魔法剣士であり剣の腕前は相当なものらしい、奇抜な恰好を好む

ホラダ…ギルドチーム”国士無双”のメンバー、普段はぼーっとしてることが多い、召喚士サモナーである為メンバー以外の人間からは敬遠されている

ヤスオ…ギルドチーム”国士無双”のメンバー、魔法剣士だが剣も魔法もレベルは低い、自分のことを”あっし”という、唯一の特技が抜群に足が速い事

アミステリア公国を出た拓斗とマルコは隣国グランシア王国に


入っていた、しかしグランシアに入ってからというもの


妙にマルコがそわそわしている


「おい兄ちゃん、本当にこんな所に来て大丈夫なのか?


 俺の為だってのはわかってるから有難いんだけどよ・・・」


そのマルコの発言に頭をポンポンと叩く


「大丈夫だよ、でもマルコその態度は不審者そのものだ


 もし捕まったらお前のせいだからな」


「なんだよそれ!?わかったよ、堂々としてればいいんだろ!?


 堂々と・・・」


拓斗たちがグランシアに来ているのには理由がある


アミステリアの一件でグランシア国王の甥とマルコの姉の


捕虜交換を試みたのだが、マルコの姉は行方不明になっていて


グランシアでもどこにいるのか把握できていないとの


返答が返ってきたのだ、詳しく聞いてみるとグランシア兵が


マルコの姉を含む数人の人間を拉致したがグランシアに帰国する際に


謎の集団に襲われ奪われたとのことだったのだ、その時いた


兵士の情報では、その連中は仮面を被り黒装束に身を包んだ


30人程の集団で怪しげな”蜂の紋章”を付けていたとのことであった


グランシアも国の威信にかけて探しているとの事だったが


まだ有力な情報は得られていないらしい


「しかしよ仮面を被った黒装束の集団って怪しすぎるだろ!?


 そんな奴らがウロウロしてたら普通すぐ見つかるんじゃねーのか?


 グランシアも案外だらしないな、だから負けてばっか


 なんじゃじゃねーのハハハハハ」


マルコがグランシアを馬鹿にして大笑いする、グランシア王国は


姉をさらった相手だから大嫌いなのだ


「マルコ調子に乗り過ぎだ、連中が普段からそんな格好してる訳


 ないだろ!?それに虚を突かれたとはいえグランシアの


 正規兵数千人を相手に30人ほどで襲撃し捕虜を奪って逃げるなんて


 芸当は相当な腕が無ければできない事だ


 しかも誰一人やられていなんだ」


「うっ!?そうかもしれないけどよ、拓斗兄ちゃんにかかれば


 そんな奴らイチコロだろ!?」


「そんなことはわからない、龍装備ドラゴンそうびしてない時なら


 やられる可能性はあるさ」


「またまたご謙遜を、天下のドラグナイトが負ける訳ねーじゃん


 冗談ポイだぜ」


「声がでかいぞマルコ‼俺だって一対一ならそれなりに自信はあるが


 相手はどんな技を使うかわからない集団なんだ、相手の事を


 何も知らないのにナメてかかるのは愚の骨頂だぞ


 ”油断大敵”という言葉を知らないのか!?」


「わかったわかった、で兄ちゃんここには何しに来たんだ?


 こんな田舎町になにかあるとは思えないけど・・・」


ここはグランシア王国の中でも辺境の田舎町でポグラートという


人口800人程の町である、グランシアは大国であるが故に


色々な国と隣接している、そして領土も広大である為辺境にまで


軍が守りきれない事がままあるのだ、グランシアは大陸制覇を


掲げていてこの世界最大の国家である、だから侵略する為の軍備は


惜しまないのだが逆にこのポグラートの様に戦略的価値の薄い土地には


軍を出さずに金で傭兵を雇いその都度問題に対処する事も


よくあることなのである


「この町ポグラートはここ最近で数度にわたり謎の集団に襲われて


 100人程の死者が出たらしいんだ、警護の為の傭兵も全てやられたって


 話だ、調べてみたらそのやられた傭兵ギルドの中には


 結構な有名ギルドチームもいて、そんじょそこらの野盗集団に


 やられるようなチームじゃないだよ・・・」


先程までおどけムードだったマルコが真顔で振り向く


「おい兄ちゃんそれって・・・まさか・・・」


「まだわからないが可能性はある、どこかの国の軍が攻めてき


 たという記録もないしな・・・」


「それでこの町で聞き込み調査でもするのか?」


笑って首を振る拓斗


「いや、この町でまた傭兵募集の通知が出てたから様子を


 見に来たんだよ、参加するしないは別としても所々を渡り歩いている


 傭兵ギルドってのは意外と多くの情報を持っていたりするしな」


「なるほどねぇ、相手がその黒装束集団なら是非参加したいけど・・・


 でも参加したらしたで色々問題がありそうだけどな」


そんな話をしてるうちに二人は町の中央広場に到着した


今回の募集を見て集まったと思われるそれっぽい傭兵団が


色々いたが拓斗が予想した数よりずっと少なく感じた


「なあ兄ちゃんよ、こんなもんか?俺が思ってたより


 人が少ないけど・・・」


「いや明らかに少ない・・・前回有名なギルドが全滅してるからな


 その影響かもしれん・・・」


その時聞き覚えのある声が背後から聞こえた


「あれ?拓斗じゃない、アンタ何してるのこんな所で!?」


驚いて振り向くとそこには派手な装備をした幼馴染の東条みゆきがいた


「みゆき!?お前なんでここに?」


「それはこっちのセリフよ、もしかして拓斗も募集を見て来たの?」


「まあそんなところだ・・・という事はお前もなのか?ていうかみゆき


 お前WFプレイヤーだったのか!?」


その質問に得意げに話すみゆき


「まあね、そっか拓斗には驚かせようと思って内緒にしてたもんね」


2人がそんな会話をしていた時マルコが拓斗の背中を肘で突いている


「なんだよマルコ」


「おい兄ちゃんよ、この綺麗なねーちゃん誰だ?


 もしかして兄ちゃんの彼女か?」


その思わぬ質問に慌てる拓斗


「馬鹿ちげーよ、コイツは俺の幼馴染で東条みゆきっていうんだ」


ニコリと笑いマルコに顔を近づけて挨拶をするみゆき


「こんにちは”ただの”幼馴染、東条みゆきですよろしくね


 君の名前は?」


顔を真っ赤にしながら直立不動の姿勢で答えるマルコ


「俺・・・いや僕はマルコっていいますです、よろしくお願いします」


そんなマルコの様子を見て鼻で笑う拓斗


「マルコ、何だらしなく鼻の下伸ばしてるんだ?


 コイツはな見た目は清楚系お嬢様に見えるが中身はとんだ


 じゃじゃ馬・・・痛てててて」


拓斗の耳を引っ張るみゆき


「誰~がじゃじゃ馬ですって拓斗君?あまりいい加減な事を


 申しますといくら清楚でお嬢様なわたくしでもつい


 ぶっ殺したくなりますわよ」


「それ言葉がおかしいだろ!?わかったから耳放せ!?」


あっけにとられるマルコ、そんなやり取りをしていると


そこに三人組の男女が近寄って来た


「何を話し込んでいるのみゆき、もしかして知り合いなの?」


「あっうんそうなんだ・・・こいつは私の幼馴染で沢渡拓斗


 あと連れのマルコ君、紹介するわ拓斗これが私のギルドチーム


 ”疾風の剣”のメンバーで・・・」


「はじめましてユリって言いますよろしく」


「俺はザックといいます、よろしく」


「ワイはマイヤーといいますよろしくです」


その男2人女1人のメンバーが挨拶してきた、慌ててぺこりと頭を下げ


挨拶し返す拓斗とマルコ


「うわー拓斗くんイケメンじゃん、ねぇもしみゆきと


 付き合ってないなら私とどう?」


ユキと名乗ったその子は少し年上で背が高くショートヘアーで


スポーティーなイメージの女子である、ハッキリものを言う所が


みゆきに似ていて気が合うのだろう


「なんだよユキ、それじゃあ俺達の中にイケメンがいない


 みたいじゃないかよ!?」


ザックと名乗ったその男は背は低いがガッチリ系の筋肉質で


頭は坊主なのだが妙に童顔でそのギャップが面白い


「こらユキ、彼氏の前でナンパか?ええ加減にせいよ!?」


笑いながらツッコむマイヤーと名乗る男はどうやらユキの彼氏らしい、


カップルでWFに参加していた時にみゆき達に出会い意気投合して


チームを組んだとのことだ、マイヤーは背は高いが痩せている為に


身に付けている戦士風の装備がやたら似合わない男である


エセ関西訛りの言葉遣いが皆を和ませるムードメーカーの様だ


「ねえ拓斗君は今回参加するの?」


ユキが興味ありげに聞いてくる、その上目使いの態度に動揺する拓斗


「ちょっとユキさん‼この拓斗にはねもう彼女がいるの、しかも私の


 親友なんだから、ちょっかい出さないでよね!?


 コイツはすぐのぼせちゃうタイプなんだから」


「本当なの~拓斗く~ん?」


さらに上目づかいでねっとり聞いてきた


「えぇまあ・・・本当です」


ユキは空を見上げて軽くため息をつく


「なーんだ残念、やっぱいい男には女が付いてるものなんだね~」


「こらユキ‼その辺にしとき、さすがのワイも怒るでしかし」


マイヤーのツッコミに笑う一同、しかし再びユキが同じ質問をしてきた、


しかも今回は真剣な顔である


「さっきの話だけどね、冗談抜きで参加をどうするのか聞きたいのよ


 正直私たちは今回降りるつもりなのよね・・・」


意外な返事に戸惑う拓斗とマルコ


「えっ!?何でですか?参加せずに帰っちゃうんですか?」


コクリとうなづきピースサインの様に指を二本立てるユキ


「理由は二つ、まず人数が少なすぎる、前回の戦いで傭兵ギルド


 ”キングスボム”が全滅したのを知ってるでしょ?」


「あっ、はい知ってます」


「私たちはある戦いで”キングスボム”と一緒に戦ったことがあるのよ


 強いギルドだったわ・・・抜きに出たメンバーはいなかったけど


 チームプレーが抜群でね、あんなチームを作りたいねって


 みんなで話してたのよ」


2人の男メンバーもその話を聞いて大きくうなづく


「今回集まったギルドを見渡して、知ってる奴らが多いんだけど・・・


 あの”キングスボム”がやられた相手なのに


 このメンバーで勝てるとは思えないのよ、可能性はあるけどね・・・」


「そうなんですか・・・可能性って?なにか引っかかることが


 あるんですか?」


ユキは急に小声になって話し始める


「大きい声じゃ言えないけどね・・・あそこにいる四人組、わかる?」


ユキが自分の体で手を隠しながら後ろ方向を指さす


その方向に奇妙な組み合わせの四人組が見えた


「あの大きな体でサングラスかけてる人がいる四人組ですか?」


ユキは細かく何度もうなづいた


「あのギルドはね”国士無双”というチームなんだけど


 あいつらはとにかくヤバいのよ・・・」


「ヤバいってなぜですか?」


「あいつらは本来モンスター狩りがメインのギルドなんだけど


 条件次第で傭兵もやるってチームなの」


「条件次第って金ですか?」


大きく首を振るユキ、そして小さなため息をつく


「それが金じゃないみたいなの、偉そうな軍人の下には


 絶対に付かないって流儀らしいけど・・・


 だから今回みたいな助っ人はよく参加することが多いらしいわ」


「じゃあそれほど悪い人達じゃなさそうですけど・・・


 一体何がそんなにヤバいんですか?」


「あのギルドの参加する戦いは味方が全滅するケースが多いの


 しかもあのチームだけ全員無事でね・・・どんなに酷い負け戦でも


 あのチームだけは必ず生き残ってきた・・・だから不吉と


 言われていてみんな一緒に戦いたがらないのよ」


なるほどとその理由に感心する拓斗


「だから今回我々”疾風の剣”は不参加の予定なの、せっかく来たけど


 死にたくないしね・・・で拓斗君はどうするの?」


「僕たちは少し考えてみます」


「そう、じゃあ私たちは30分後には出発するから・・・


 みゆきそれまでは拓斗君と話しててもいいわよ


 私達邪魔しないからイヒヒヒヒヒヒヒ」


口に手を当ていやらしく笑いながら立ち去るユキとその他メンバー


なぜかマルコも向こうのメンバーについて行った


「ちょ、ちょっとユキさん‼なんですかそれ!?


 私と拓斗はそんなんんじゃ・・・もう」


「中々良さそうなメンバーじゃないか」


「まあね、悪乗りが過ぎるけど・・・であんたはなんでここに来たの?」


マルコとの出会いからマルコの姉の手がかりを求めて


ここに来たことを話す


「そう、気の毒な子だったのね・・・見つかるといいわねお姉さん・・・


 あっ!?そう言えばアンタさっきアミステリア公国に寄ったって


 言ってたわよね!?」


嫌な予感がして身構える拓斗


「あぁ寄ったけど・・・」


「あそこには”ホワイトソードプリンセス”とかいう有名な


 天才美少女剣士がいるって聞いたけど、拓斗はその子に会ったの?


 どんな子だった?やっぱり強いの?・・・」


「いやその・・・何だ・・・」


返答に困る拓斗、そのはっきりしない態度に不審がるみゆき


「なによ、その反応!?まさか美人だったから唯を差し置いて


 浮気したとかじゃないでしょうね!?」


「馬鹿ちげーよ、何言ってるだ、そんなわけないだろ‼」


「じゃあ何よ、本当にそんなに強いなら一回戦ってみたいと思ってね


 どんな子なんだろ?」


みゆきのそのセリフに思わず口走る


「いや何度も戦ってるし・・・」


「は?何言ってるの?」


思わず口に出してしまった言葉にしまった!?と思ったが


目を細めてジッとこちらを見つめてくるみゆきに


本当の事を言うかどうか迷っていた


「まぁ・・・みゆき相手に隠す事もないか・・・


 アミステリアの白剣姫ホワイトソードプリンセスって


 香奈なんだよ・・・」


「は?今なんて?」


「だ・か・ら‼白剣姫ホワイトソードプリンセスは俺の妹で


 お前の妹弟子の沢渡香奈だって言ってるんだよ‼


 何度も言わすな恥ずかしい」


「えっ!?香奈ちゃん‼白剣姫ホワイトソードプリンセスが?嘘!?」


「俺だってビックリしたんだよ、なんか成りゆきで国の代表同士で


 戦う事になっちまってさ、俺も香奈も知らなかったからもう


 ビックリでな・・・」

「へえ~それはそれは・・・この世界って狭いわね


 まあ拓斗と私もこんな所で会うんだから、そんなこともあるか・・・


 で?どうだったの勝負?」

「まあ勝ったよ・・・でも本当に紙一重だった、あいつ


 凄く強くなってた、今やったらお前でも危ないぞ」


みゆきは拓斗を見ていた目線を下に移し少しの間沈黙した


「そう、そうなんだ・・・そうだよね、あのおじいちゃんが


 天才って言ってたぐらいだからね、美少女天才剣士か・・・


 考えてみれば香奈ちゃんにピッタリじゃない」


「お前だって負けてないだろ・・・剣も見た目も・・・」


寂しそうなみゆきの横顔を見て思わず口に出してしまった


「えっ!?なんか言った拓斗?」


「言ってねーよ何にも」


不思議そうに見つめるみゆきだがすぐに次の話題に移った


こういうあっさりした性格で本当に助かったと思った拓斗であった


「でさ、拓斗はどこに飛ばされたの?私はさっきの人達と


 ギルドを組んで登録してたから隣国のトルチラ民国に


 飛ばされたんだけどね、今もそこを中心に活動してるんだ」


「トルチラか!?俺もここが終わったらトルチラに行くつもり


 だったからな、お前のとこにも寄るよ」


「何?女の一人暮らしの部屋に押しかけようっていうの?


 唯に言いつけるわよ!?」


「おかしな言い回しするんじゃねーよ、別に部屋とか入らねーし」


「冗談よ、なにムキになってるのよ、じゃあさ来るとき


 グランシア名物”タコラッチョ”買って来てよ」


「自分で買えや、そんなもん‼」


「もちろん自分でも買うわよ‼でもお一人様につき数量限定商品だから


 食べ始めるとすぐ無くなっちゃうのよ、わかった?


 必ず買ってきてねダーリン」


イタズラっぽくニコリと笑うその笑顔に昔の甘酸っぱい想いを


思い出させる


「ヘイヘイわかりましたよ、買って行きゃいいんだろ買って行けば」


みゆきはその後急に真剣な顔をして話し始めた


「でさ拓斗・・・あなたどこに飛ばされたの?香奈ちゃん以外に


 誰か知り合いに会った?」


うつむいて静かに話し出す拓斗


「飛ばされたのはガルゾフとラジュールの国境付近だ・・・


 それで俺の他に唯やさとし、慎吾や近所の人も一緒に飛ばされた


 唯たちはまだそこにいるよ・・・」


それを聞いて驚くみゆき、態度が一変し急に強い口調に変わる


「じゃあアンタこんな所でなにやってるの!?拓斗ぐらいの腕があれば


 唯を守ってやることぐらいできるでしょ!?なんで唯を


 置いてきたのよ?答えなさい‼」


しばらく沈黙を続けた拓斗だがみゆきが再び問い詰めようと思った瞬間


口を開いた


「俺ドラグナイトなんだよ」


その告白に言葉を失うみゆき、そしてなぜ唯の元を離れたかを理解した


「ゴメン拓斗、あんたの気持ちも知らずに・・・」


「いやいいよ、みゆきになら話しても構わないさ


 内緒にはして欲しいけどな」


「それはもちろんよ・・・でも辛いね」


「そうでも無いさ、それなりに楽しんでる、この秘密がある以上


 一か所には留まれないけど今はマルコのお姉さんを探しながら


 レベルを下げてドラグナイトから解放される為の旅を続けてるんだよ」


「そう頑張ってね拓斗」


優しく微笑むみゆき、その気持ちが凄く嬉しかった


「弱くなるために頑張るってのも変な話だけどな」


「そうね、お互い強くなるために毎日竹刀振ってたもんね・・・」


その後お互いしゃべらず静かな時間が流れる、その静寂を破る様に


「お~いみゆき~そろそろ行くよ~‼」


遠くでみゆきを呼ぶユキと仲間がいた、逆にマルコがこちらに


走ってくるのが見えた


「じゃあ私そろそろ行くね”タコラッチョ”頼むわよ」


「ああ任せておけ、じゃあな」


帰り際”疾風の剣”のメンバーも拓斗たちに手を振って別れる


拓斗はみゆき達が見えなくなるまで後姿を見送った


周りを見渡すと元々少なかった傭兵ギルド達がさらに減っていることに


気付く、それが人数によるものなのか、”国士無双”の影響なのかは


わからないが・・・


「まあどっちでもいいけどな、さあどうすっかな・・・


 情報は欲しいが戦いたくはないんだよなぁ」


その時背後に人の気配がして不意に振り向くと真後ろに2m近い大男が


拓斗を見下ろしていた、その男は上半身裸で両肩に黒い武具を


付けていて、頭はスキンヘッドでサングラスというこの世界には


似合わない世界観だ、右肩に大きな斧を背負っている


先ほど聞いたギルドチーム”国士無双”のメンバーだった


「俺に何か用か?」


拓斗は何も言わずにただジッと見下ろしているその男に質問する


それでもその大男はまだ何も話さない、重い空気が立ち込める


その時同じ”国士無双”のメンバーと思われる男が急いで近づいてきた


その男は背は小さく痩せていて見るからにやさしい感じの顔であり


その大男とは全く正反対の見た目なのだが


近づくなり拓斗にぺこりと一礼すると


「あの~次郎さん、言いたい事があればあっしが聞きますけど・・・


 どすか?」


サングラスの大男はその言葉に一度うなづくと体を折り曲げ


近づいてきた小男の耳元で何かささやく、聞いている小男は


ウンウンと何度もうなづき


「わかりました、あっしにお任せください


 あの~そこの兄さんちょっとよろしいですかい」


「なんだよ俺に何か用かい?」


「いえね、あっしらのリーダーがあなたに聞きたい事があるんでさぁ」


大男は未だ拓斗を見下ろしている、何を聞かれるのかと


目を細めて警戒する拓斗


「さっき兄さんがしゃべってたお嬢さんのことなんですけどね・・・


 あの子は兄さんの彼女さんですかい?」


「はぁ??」


あまりの予想外の質問にあっけにとられる拓斗、落ち着いてよく見ると


サングラスの男の顔が赤く紅潮しているのがわかった


『まさかコイツ・・・みゆきに一目惚れしたのか!?』


拓斗は笑いたくなる気持ちをグッと抑えて、絞り出しながら答える


「いえ、あいつは俺の幼馴染ですよ、彼女ではありません」


その言葉を聞いた次郎は二カっと笑った、それを見た小男は


「変な事聞いてすいませんでしたね兄さん、こちらはあっしらの


 ギルドリーダー次郎さんです、こんな強面ですが優しくて


 いい人なんですよ、ちなみにあっしはヤスオっていう


 ケチな野郎でさぁ以後お見知りおきを、では」


そう言い残すと足早に立ち去って行った、


一部始終を見ていたマルコが思わず


「なんだありゃ?結局何がしたかったんだあいつら・・・」


それからしばらく経ってから町の長が出てきてみなに挨拶をした


「みなさんこの度は我がポグラートの為にお集まりいただいて


 誠にありがとうございます、大したおもてなしはできませんが


 滞在中はどうぞゆっくりしていってください、では」


手短な挨拶が終わるとそそくさと去っていく町の長


しかしなにやらブツブツ言いながら歩いて行く


「ちくしょう全くグランシアは何をやっておるのじゃ!?


 いつもいつもこの町を見捨ておって・・・だから信用ならんのじゃよ


 そもそも大国だからと言って・・・」


マルコが不思議そうにジッと見ていた


「おい兄ちゃん、あの町の長よ、さっきからずっとグランシアの


 悪口言ってたぜ!?、ここってグランシアなんだろ?」


「グランシア王国は広いからな、こんな辺境にまでは国軍は


 中々来てくれないからな・・・そう言ったことが不満なんだろう」


「なるほどな、デカい国にはデカい国の悩みがあるって事か!?」


そんな事を話していると後ろから呼びかける声がした


「そこの兄さん達ちょっとよろしいですか?」


拓斗たちに声をかけてきたのは二人の男、一人は赤い和服に


茶筅髷ちゃせんまげキセルを咥えながら腰には二本の刀を


差している、しかもその刀の鞘の先には花が数本くくりつけられて


いるのだ、もう一人の男は背格好は普通だがとにかくボーっとしている


目の焦点が合っていなくて常にどこか遠くを見てるような印象すら受ける


「俺達に何か用ですか?」


拓斗が聞くと笑って頭をかきながらながら近づいてきた


「いや~先ほどはウチのリーダーとヤスオがご迷惑かけました


 私はギルド”国士無双”副リーダーのテツヤと申します


 コイツはメンバーの一人でホラダと申します以後お見知りおきを


 では」


一礼して立ち去るテツヤとホラダ、思わず頭を下げる拓斗とマルコ


「なあ拓斗兄ちゃん、変わった奴ばっかだなあのチーム・・・


 でもそんな悪い奴らには見えないけどな」


拓斗も同じ印象を受けた、そして傭兵ギルドが7チーム 総勢42人が


今回町の警護にあたることとなった、傭兵ギルド達は町の教会で


寝泊まりすることとなりその夜から食事が振る舞われた


敵の襲撃に備えて酒は出なかったがそれなりに豪華な食事が


出てきたことに驚く拓斗、マルコは横で出された食事をバクついている


そんなとき拓斗に話しかけてきた男がいた


ボサボサの髪に無精ひげ上半身裸の上に和風の甲冑を付けている


その姿は護衛の兵というより野盗と言った方が似合う風体だ


「なあ兄ちゃん、あんた昼間に”国士無双”のメンバーと話してたよな


 あいつらと知り合いかい?」


『なんだコイツ・・・いきなりなれなれしいな・・・』


そう感じながらも今後共に戦う仲間である為


無視する訳にもいかずなるべく丁寧に返事する


「いえ、今日初めて会ったんですが・・・」


「そうかい、だったらあいつらがヤバい奴らだってのは知ってるかい?」


「噂程度でしたら聞いていますが、詳しい事は何も知りません」


その返答にニヤリと笑うその男は話を続ける、そして反対側にいる


”国士無双”のメンバーを顎でクイッと指し示すと


「じゃあ特別に教えてやるよ、あのデカい図体にサングラスの男が


 リーダーで”アックスマスター”の称号を持っている」


「”アックスマスター”とは珍しいですね、持っている斧も


 レベル高そうだし・・・」


横で食事にバクついていたマルコが口に食べ物を残しながら問いかける


「なあ ングング にひちゃん ”アックスマスター”って 


 ングング なんら?」


「食べるのか聞くのかどっちかにしろ全く・・・


 ”アックスマスター”ってのは剣士の斧版みたいなものでな


 装備の特性やメリットを斧のみに絞って戦う戦士のことだよ」


「へえ~そんなのがあるんだ・・・」


男は軽くうなづき再び話を始める


「そしてあの横の副リーダーのテツヤ、”国士無双”の頭脳って


 言われている男だ、あいつらが今まで生き残って来れたのは


 テツヤの作戦のおかげだ・・・とか言われてる」


「そうなんですか、あんな奇抜な恰好をしているのに・・・


 じゃあ彼は戦闘ではなく参謀というか頭脳担当って事ですか?」


男はその質問に首を振り


「いやテツヤ自身もかなり強いって話だ、奴は”魔法剣士”らしいんだが、


 聞いた話だと魔法は並みというか大したことないらしいんだが


 剣の腕は相当らしい」


拓斗の目が嬉しそうに笑う


「へえ~それは楽しみですね、どんな流派を使うんですか?」


「それは謎なんだよギルドメンバー以外は誰も知らないって噂だ」


拓斗は興味深々でテツヤを見つめる、テツヤはその視線に気づき


目が合ってしまったので拓斗は慌てて目線を逸らす、しかし男の話は続く


「あとあの茶髪でぼーっとしてる奴、あいつは普段いつも


 あんな感じだが戦闘になるとヤバいんだよ・・・」


「ヤバいってどういうことですか?


 狂戦士バーサーカーみたいな感じになるとか?」


「いやあいつは”召喚士サモナー”なんだよ」


召喚士サモナー!?それは珍しいですね」


目の前の食事を食べ終わったマルコが再び質問してきた


「なあ兄ちゃん、召喚士サモナーってなんだ?」


召喚士サモナーってのは異世界より魔物やモンスターを召喚して


 操る者達だよ」


「ふ~ん、でも何で珍しいんだ?」


召喚士サモナーは魔物やモンスターを召喚する際と


 操る時に大量の魔力と精神力を要する、だから自分の力量を超えた


 物を呼び出したり使役しようとすると逆にそいつらに襲われるんだ


 それは疲れてきたり、集中力が切れてきても同じでな


 だから今では召喚士サモナーになろうって奴は少ないんだ」


拓斗の話にその男が補足する


召喚士サモナーの最後は大概自分の呼び出した魔物か


 モンスターに食われるってのがお決まりだ


 大体いつ暴走するかわからないのに一緒に戦おうって


 仲間も少ないしな、だから召喚士サモナーは短命だし嫌われ者だ」


2人の説明にフムフムとうなずくマルコ


「なるほどね~じゃあそんなヤバい奴を仲間に入れてるんだ!?


 凄いな”国士無双”じゃあ最後の一人も凄い奴なのか?


 そんな風には見えないけど・・・」


男は苦笑しながら話を続けた


「いやあのヤスオってのはそうでも無い、一応”魔法剣士”ではあるが


 魔法も剣の腕も並み以下との話だ、ただ物凄く足が速いって


 聞いたことがある」


「そうですか、中々バラエティーに富んだメンバー構成ですね


 そういえば偉そうな軍人の下には絶対つかないとか


 聞きましたが・・・」


「そうなんだよ、ある戦いで指揮官である偉そうな軍人を


 リーダーが殴っちゃったらしくてな・・・それ以来


 そういう戦いには加わらないらしい、しかしあのリーダーと


 副リーダーには各国から高給でのスカウト話が来てるって


 噂も良く聞くな・・・」


「そうなんですか・・・」


拓斗達に話し終わったその男は”じゃあな”と言い残し立ち去って行く


そしてまた違うメンバー達に話しかけていた


「あのおっさん結局何が言いたかったんだ?」


そんなマルコの問いに拓斗は答えられなかったが”国士無双”の


メンバーの事がわかって何だか嬉しかったのでよしとした





翌日の朝、拓斗は町の様子を見る為にぶらりと町中を歩いていた


そこらじゅうに戦いの後が残り、焼け落ちた家屋や散乱した瓦礫


なんかもチラホラ見かけた、そのせいか町の人々もあまり元気がない


町の中央に来ると綺麗な川がありその川沿いには白い花をつけた


並木がずらりと並んでいてここだけ別世界のような風景が広がっている


拓斗はその風景を楽しむようにそのまま川沿いを歩いていた


すると川に入って体を洗っている男がいることに気付いた


”国士無双”リーダー次郎である、声をかけるべきか素通りするべきか


悩んでいたところ向こうが拓斗に気付いて声をかけてきた


「おう兄ちゃん‼昨日は悪かったな」


手を挙げながら川から上がって近づいてきた、


「ひゃー冷たかった、でも気持ちいいぜ兄ちゃんもどうだい?」


「いえ僕はいいですよ」


次郎は体を拭きながら拓斗にも水浴びを勧めるが苦笑いで断る


「そういえば兄ちゃんの名前聞いてなかったな


 俺はギルドチーム”国士無双”のリーダー次郎だ」


「あっ僕は沢渡拓斗と言います、よろしくお願いします」


2人は挨拶と共に握手をして、川辺に座って話し始めた


「傭兵なんかに来る割にはちゃんとした挨拶ができる人間なんだな


 いいことだ、でもその装備を見る限りお前さんあまり強くないだろ!?


 戦いになったら俺達の後ろに来な、二人ぐらいなら守ってやれると


 思うからよ、がっはっはっは」


「じゃあお言葉に甘えてお願いします」


拓斗も一緒に笑った、そしてやはりこの男達は悪い人間じゃ


ないんだな・・・と心の中で思った


「でもよ拓斗、そんな強くも無いのになんでこんなヤバい所に来たんだ?


 そんなに金に困っていたのか?」


いきなりの呼び捨てにやや戸惑ったが、これまでの事情を話し


マルコの姉をさらった集団の情報を求めてここに来た事を伝えた


「そうか・・・あの子のお姉さんを探して・・・なるほどな


 だから今回の相手がその黒装束の集団ではないか!?


 と思って来てみた訳か!?」


「はい、そうなんです・・・とにかく手がかりがほとんど無い


 ものですから・・・」


次郎は口を閉じ少し考え込んでいた、先ほどまでの明るい雰囲気とは


全く違う次郎の態度にやや戸惑う拓斗、しばらく川のせせらぎの音だけ


耳に届いた、そしてようやく次郎が口を開く


「あのよ拓斗、残念だが今回の敵はそいつらじゃないぞ」


その言葉に驚く拓斗、次郎はそう言った後一呼吸置いて再び話し始めた


「実はよ、その”蜂の紋章”の入った黒装束の集団な


 俺達戦ったことがあるんだわ・・・」


驚きのあまり立ち上がる拓斗


「本当ですか!?一体どこでですか?」


「トルチラの北部にドラガン山脈っていう所があってな


 俺達はそこに生息するっていう”オプティマスベアー”という


 モンスターを狩りに行ってたんだけどよ、そこで偶然


 奴らに出くわした」


「そんな山で・・・ですか!?」


コクリとうなづく次郎


「あいつら何も言わずにいきなり襲い掛かってきやがった


 もちろん応戦したが強いのなんのって・・・今まで戦った奴の中で


 一番強かったぜあいつら、こう言っちゃなんだが俺達だから


 死なずに済んだってとこだ」


「それでどうなったんですか?」


「4~5分ぐらい戦ったらあいつらさっさと引き上げていったんだ


 あのまま戦っていたらヤバかった」


豪快で自信家の次郎がここまで言うのだから相当な強さだという事を


改めて認識した


「それで今回の敵がその連中じゃ無いってのはなぜわかるんですか?」


腕を組み”う~ん”とうなる次郎、どう説明するか考えているようだ


「なんていうかよ・・・違うんだわ、俺は話すのがあんまり


 得意じゃないから上手く説明しにくいけどよ、今回の敵はある程度


 理性的というか組織だった戦いの様に思える、それは生き残った


 町の人の話や戦場跡を調べてもわかる、でもよあの黒装束の集団は


 違う、なんていうか戦い方が野性的というか明らかに人間離れした


 戦い方だった、俺達の本職はモンスター狩りだからわかるんだが


 あれは人間というより獣、モンスターに近い動きだった・・・」


拓斗はその話を聞いて納得したがその集団の目的と


二つの共通点を考えてみた


『モンスターしかいないような山に現れ、そして軍隊を襲撃し


 数人の人間を誘拐する・・・一体何を、何の為に・・・』


一人で考え込む拓斗に呼びかける次郎


「おい兄ちゃんよ」


「あっ!?はい」


「俺じゃあまり上手く説明できなかったけどよ、理解はできたか?」


「はい助かりました、僕はそのドラガン山脈に


 行ってみようかと思います」


その返事を聞いてぎょっとする次郎


「マジか!?あそこはかなり危険な場所だぞ!?でもそれしか


 手掛かりがないのであればしょうがないか・・・


 じゃあ今回はどうするんだ?」


少しだけ悩むが、すぐさま決断した


「次郎さんの話には説得力がありましたので今回の戦いには


 参加せずにドラガン山脈に向かいます、ありがとうございました」


深々と頭を下げる拓斗に次郎は少し照れた様子で答える


「それがいい、こんな用心棒まがいの仕事は俺達みたいなのに

 

 任せればいいんだからよ」


そんな次郎に益々好感を持った、そして彼らに興味が出てきたので


もう少し聞いてみることにした


「あの噂で聞いたんですけど・・・軍のお偉いさんを


 ぶん殴ったと聞いたんですが本当ですか?」


次郎は大笑いをしたのち答えてくれた


「はははははは、そんなこともあったな、あのバカ軍人ども


 普段は威張り腐っている癖にいざとなると、てんで使えない


 前にも傭兵の助っ人の仕事があってそれに参加したんだが


 劣勢になった途端、市民を見捨てて自分たちを守れと


 ぬかしやがったんだ!?本来軍人ってのは国民を守る為の


 兵隊じゃねーか!?それで頭来てガツンとな・・・


 おかげで変な噂が立っちまったが後悔はしてねーよ」


「そうだったんですか、でも次郎さんとテツヤさんには


 色々な国からスカウトが来てるって聞きましたよ」


次郎は照れたように語りだした


「まあな・・・俺は腕っぷしが自慢だからな、どこの国も強い武将を


 欲しがる、助っ人で参加した戦場で名のある敵の将軍を3人程


 ぶっとばしたことがあってな・・・それ以来スカウトが結構来るな


 まぁだから味方の将軍ぶん殴ってもおとがめがなかったんだけどな


 がはははははは」


拓斗はこの次郎という男の話を聞いていくほど彼を凄く気に入っていた


「テツヤの奴は腕も立つんだが、とにかく頭が切れるからな


 俺達がここまで生き残って来れたのもあいつの作戦や


 状況判断によるものが大きい、俺と違って参謀とか軍師とかでの


 スカウトも結構来てるはずだ、でもなぜか全て断ってるみたいでな


 俺の下でいいって言いやがるんだ、本当に不思議な奴だぜ」


拓斗にはテツヤの気持ちがわかる様な気がした、そして次郎は再び


話をし始めたが今度はどことなく寂しい表情で語りだした


「俺だってこんな雇われ傭兵やモンスター狩りみたいな


 いつ死ぬかわからない危険な職業よりどこかの国に


 抱えてもらった方が賢いって事はわかるんだ・・・


 でもなお前さんは知ってるか?ウチのメンバーのホラダは


 ”召喚士サモナー”だ・・・だからどこの国も召し抱えようとは


 しないんだよ、召喚したモンスターや魔物がいつ後ろから


 襲ってくるかわからない・・・そんなリスクは冒せないってな・・・」


「あと、ヤスオの剣や魔法はお世辞にも上級者とは言えない


 レベルだからな・・・特技はとびっきり足が速いって事だが


 軍にしてみりゃそんなの伝令ぐらいしか使い道がないって


 言いやがる・・・、だから俺やテツヤにスカウト話があった時は


 必ず四人一緒に・・・という条件を出すんだけどな


 どこも首を縦に振らないんだよ」


「そうですか・・・」


「だから四人一緒でもいいという器のデカい国が現れるまで


 頑張るしかねーのさ、がははははは」


豪快に笑う次郎を見てると拓斗はすがすがしさすら感じた


その時次郎が何かを思い出したかのようにピタリと笑うのを止め


真剣な顔をしながら拓斗の顔に近づいてきた


「な、なんですか急に・・・どうかしました?」


次郎はなにやら急にモジモジし始め、さっきまでのあの豪快さが


嘘のような態度に変わると


「あのよ拓斗・・・お前の幼馴染っていうあの可愛い子なんだけど・・・


 付き合ってる人とかいるのか?」




拓斗とマルコはポグラートの町を出発した、町の入り口まで


”国士無双”のメンバーが見送りに来てくれたが色々な意味で


目立つ四人が手を振って見送る姿は、ある意味異様な光景であった


「兄ちゃんよ、何かあの四人結構いい奴だったな、見た目はともかく」


「確かにそうだな、いい人・・・だよな・・・」


苦笑いの拓斗、あれから次郎の必死のお願いを断りきれずに


みゆきの所在を教えてしまったのだ、心の中で謝罪する拓斗


『スマンみゆき・・・詳細な住所までは教えてないから、勘弁してくれ』


そんな事を思いながらトルチラ民国のドラガン山脈を目指した



拓斗とマルコがポブラートの町を出た頃、町に近づく集団があった


先頭を歩くリーダーと思われる男が横の男を手招きして呼び寄せる


「ちゃんと手筈はできているんだろうな?」


「そりゃあもちろんです旦那、今でも傭兵達は40人程しかいませんし


 楽勝ですよ」


「よし、ならば結構、今回あの町は傭兵達もろとも全滅させる


 予定だからな、精々楽しませてもらうか・・・」


不気味な笑い声で話しながら進む二人を先頭に


ポグラートに向かう集団の列がいつまでも続いた・・・







この最凶ギルド国士無双は上、下の二編の予定です、これからの物語につながるエピローグ的な話なので登場人物の紹介ばかりな印象ですがご勘弁を・・・また懲りずにお付き合いください。

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