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人生をあきらめていた男  作者: 眞姫那ヒナ
~はじまり~
9/218

男は『メイサの森』へ

男は、ガルムと共に『メイサの森』へ

そこには、死んだ青年とボアル・ベアがいた。

青年は涙を流して死んでいる。

男が流すことのなかった『涙』を——————

男は、布団に向かって魔法を唱える。


『魔法/第2番:リワインド』


シミついてしまった血から細かい汚れまで消えてなくなる。

この魔法は、『防具や武器以外のアイテムを新品の状態に巻き戻す。』

そして『生命ある者にこの魔法は適用されない』ため『生活用の魔法』と言える。


「傷を癒すのは『ヒーラー』職の十八番だしな。」


『FREE』をしていた頃にこの魔法が『回復にも効果があれば良かった』のにと思ったことは何度もあった。

がそうなると『ヒーラー』職の『回復』という十八番を奪うことになり、『ヒーラー』職の価値は下がっていたことだろう。


「おし。」


俺は、綺麗でふわふわになった布団を見て、想像する。

疲れ切った自分が布団に包まれ癒される姿を―――


「マイホームに帰ってきてからの楽しみができた。」


俺は、『夢見の森』を出て、『メイサの森』に行く予定だ。

しかし、本意ではない。

『夢見の森』には、衣・食・住の全てが揃っているが、この世界は俺の知る『FREE』の世界ではない。

『夢見の森』にそう簡単に侵入できる者がいるとは思えないが、念のために確認は必要だろう。


『夢見の森』に侵入できる者=強者だ。

チートである俺の敵ではないが用心にこしたことはない。

それに――――


「クウゥ―――ン・・・ワフッ!」


「ガルムのlvあげもしたいしな・・・。」

ガルムのステータスはこうだ。


魔物/テンペスト・ウルフ/幼体

lv/5 ガルム


体力/1500

防御/ 700

攻撃/ 800

速度/ 800

持久力/1000

魔力/ 500

魔力量/1200

魔法適正/A


状態:従魔


テンペスト・ウルフは元々上位に入る魔物だ。

初期ステータスは少し高い。

俺の知る世界でない以上ガルムにも強くなってもらい、なるべく危険は避けたい。


俺は基本的に他人を『信用しない』。

しかし、ガルムは俺と『従魔契約』を交わしている。裏切ることはない。

だから俺は、ガルムを信用することができる。


「ワフゥ~・・?」


ガルムは首をかしげる。俺はそれが愛らしくてガルムの頭を優しくなでた。


それから俺は2階にある魔法倉庫から消費アイテムを取り出し、魔法のカバンにしまう。


「念には念を・・・・。」

自分のことはよくわかってる。よくわかってるよ。(2回言う)

今の俺に勝てる奴は多分いないだろう。

しかし、前世のこともあり、俺は過剰なほど、ビビりで心配性になっている。

前世なんて忘れられるなら忘れたい。


「これだけあれば、大丈夫か?」


消費アイテム

『毒消し』×5

『麻痺消し』×5

『攻撃強化薬』×10

『防御強化薬』×10

『全状態異常回復薬』×10

追加の『回復ポーション』×5

を魔法のカバンにしまう。


「・・・・いや、武器が折れる事も考えて予備の剣も持っていくか。」


片手剣炎龍のカトラス/レア度10/攻撃12000↑ 炎属性付与

を魔法のカバンにしまう。


「よし。いくか。」

俺は、ガルムを肩に乗せログハウスから外に出る。


俺は、森の中の広い平地で、魔法を唱えた。


『第8番:空間転移』


俺を中心に空間転移の魔法陣が形成され、瞬時に姿が掻き消える。

そして、『メイサの森』に転移した。


「これが『メイサの森』か・・・。」

俺が想像していた『メイサの森』とは違った。

俺が想像していたのは、『夢見の森』のような幻想的な森だ。

しかし、『メイサの森』は泉や川はおろか、見渡す限り大木に覆われていた。


「暗い・・・。」

大木たちが月明りを遮り、余計に暗い。


「ワフゥ!  ワフッ!」

テンペスト・ウルフは元々夜でも夜目がきく。

ガルムには問題ないようだ。


俺はスキルを発動させた。


『スキル:視界明快』


『視界明快』は視界を明るくする効果を持つ。

常に『視界明快』を発動させていると、消費アイテム『閃光玉』を使われた際に目がしばらく見えなくなる。そのため必要な時以外は発動しない。


グチャ・・・クチャ・・ガシュ・・・


俺が『視界明快』を発動した直後だった。

後方から食べる音がした。

まるで―――――


『野生の動物が生肉を食べるような音』


俺は後方を振り返る。

そこには、若い青年のハラワタを喰らう魔物の姿があった。


―――『ボアル・ベア』―――


『FREE』を始めたばかりの新人には狩るのが難しいと言われていた熊型の魔物である。

血生臭さがあたりに漂う―――――。


ボアル・ベアに喰われていた青年に息はない。

青年は目を見開いたまま死んでいた。涙を流して―――――


ボアル・ベアには無数の浅い切り傷があった。青年が必死の抵抗をした結果なのだろう。

俺は、奥歯を噛みしめる。


悔しかっただろう―――――

無念だっただろう―――――

俺がちんたらせず早く来ていれば―――――――


俺も、前世で幸せだったなら必死に生きようとしただろう。

だが、俺の目の前で死んでいる青年は違う。

俺が言えた義理ではないのは分かっている。俺はあっさり『命』を手放したのだから―――


青年にも辛いことはあっただろう。だけどその中には幸せがあったはずだ。

前世の俺以上に幸福だったはずだ。

俺は前世の俺と青年を重ねた。


『彼』は涙を流して死んでいる―――――――――

俺が死ぬときに流すことのなかった『涙』を―――――――


俺は剣を抜いた。


ボアル・ベアは食べる事を中断し、俺に牙をむく。

俺は名も知らぬ青年の無念を晴らすために戦う―――――そう決めた。


「いいだろう。殺してやる。」


俺は殺意をむき出しにボアル・ベアに迫るのだった。

男「死は――――救いだ――――――」

男「俺みたいに、人生がどうでもよくなって、あきらめた奴からしたら・・・・。

だけど、こいつは違う!名前は知らない!だけど、こいつからしたら死は――――――――――」

青年の無念を晴らすべく剣を抜くのだった。

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