表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
人生をあきらめていた男  作者: 眞姫那ヒナ
~闇の組織編~
88/218

親友と俺


人間・・になりたい。』

そう思い始めたのはいつ頃だったか・・・。


俺は親友と二人で平原で仰向けになる。

空気は澄んでいて、夜空には数多の星が輝く。

美しい夜景に俺と親友は心を奪われていた。


「こんな日が永遠に続けばいいのに・・・。」


俺はそんな言葉を漏らした。

俺達には時間が無かった・・・。

それが残念で、俺は悲しくなったのだ。


「俺もそう思うよ・・・。」


親友も俺と同じ気持ちだったようだ。

吐き出される息は、白い。


厚着だけど、夜は冷える。

でも、寒い時の夜空は美しい。

空気中に漂うチリが少なく、対流活動も弱いからだ。


それを考えれば、寒さに耐える価値はある。


「なあ。お前は人間をどう思う?」

俺は、親友に尋ねた。


「なんだよ突然。そうだな・・・。知性があるのに愚かで儚い生命体かな?」

親友の発言に俺は、首を傾げた。


「人間て、そんなに酷い生き物か?」


「ああ。俺は、人間を好いていない。お前と違ってな。」

親友はそう言って俺の方を向いた。


「ははは。」

俺は、笑った。


「お前は、なんで人間になりたがる?俺は、理解に苦しむ。」

親友は上体を起こして俺を見下ろした。


「そうだな・・・。俺が人間になりたい理由は、知りたいからさ。」

親友は首を傾げた。


「人間は愚かで儚い生命体かもしれない。けど、本当にそれだけか?

客観的に見ている俺達にはそう映っているだけかもしれないだろ?

だから、俺は人間になって、人間を知りたい。」


俺の発言に、親友は頭を抱える。

「お前という奴は・・・。物事を楽観的に捉えすぎている。

俺の観点から言わせてもらえば、人間なんて、誕生すべきではなかったのだ。

それに、人間になったとしてそこから戻れる保証はどこにもない。

後悔しても遅いんだ。それでも人間になりたいのか?」


俺は、即答した。

「俺は、人間になりたい。」

好奇心が俺を駆り立てた。


「・・・・・・・・。」

親友は黙り込む。

俺を心配しているのだろう。

表情に出ていたから直ぐに分かった。


「そう心配そうな顔をするなよ。別に死ぬわけじゃないんだ。」

俺が笑みを浮かべて言うと親友は小さく呟いた。


「俺も・・・なる。」

俺はうまく聞き取れず、上体を起こした。

親友はもう一度ハッキリと言う。


「俺も人間になる!絶対にお前を1人で行かせない!」

親友は、真剣な顔で俺に告げる。

俺は、親友の優しさが嬉しかった。


俺はその嬉しさを表現しようと親友を抱きしめた。


「ありがとう。」


親友は、突然抱きしめられて、顔が真っ赤になっていた。

恥ずかしいのかな?と思った俺は直ぐに離れた。


「別に・・・感謝される程でもない。お前の為なら俺は何でもできる。

だから、忘れるな・・・。お前は1人じゃない。」


緩やかな風が平原に流れた。

親友の髪が揺れ、顔がハッキリ見えた。

真剣な顔に俺は笑みを浮かべて、再び仰向けになった。


「ああ、忘れない。忘れても思い出して見せるさ。」


俺は、星に手を伸ばして掴む仕草をする。

どんなに遠くても、どんなに長い時が過ぎようと

俺は必ず思い出してみせる―――――


俺の意思表示だった。


俺と親友は夜空を眺めながら、たわいない会話を続けた。

残り僅かな時でも、俺は親友とこうしているだけで幸せだった。


そう――――せだったんだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ