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人生をあきらめていた男  作者: 眞姫那ヒナ
~闇の組織編~
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男の攻防戦part2

――――平地――――


「そこをどけええええ!!」

3人の住民が俺に武器を振るう。

俺はそれを全て避ける。


剣や槍を持っている者もいるが、ほとんどの住人が

《農具》を武器として使用している。

《農具》は、『FREE』の世界では武器とされており、クワは《斧》に分類される。


『いい機会だ。俺の実験台になって貰おう。』


俺は住人達から少し距離を取り、手の平を住人達に向ける。

俺は、今まで使用してこなかった魔法を唱える。


「《破滅の魔導士専用魔法/第5番:催眠スリーピング》」


目が血走っていた住人達は次々に倒れる。

近づけば、住人達はぐっすりと眠っていた。


「どうやら、成功のようだ。」


俺は《魔導士》職を取っている。

催眠スリーピング》は相手を《睡眠状態》にする魔法だ。


最高位の職は《破滅の魔導士》だったが、俺にはまだ派生先がある。

しかし、俺は派生先に変更しない。

理由は、ステータス値が大幅に上昇するからだ。


強者の俺がこれ以上強くなれば、生活に支障が出るかもしれない。

『触れただけで物を壊したりとか、人を傷つけたりとか・・・。』

俺は、想像しただけでゾッとした。


『ガルムにも触れなくなるのは嫌だ!』


俺にとってガルムは大切な家族だ。

初めてできた大切な家族なんだ!

失ってたまるものか!

俺は、首を横に振って、派生先について考えるのをやめる。


「今は、目の前に集中しろ!」

俺は、自分にそう言い聞かせる。

網を抜けた住人達がこっちに来ていた。


「数は5人か。」


俺は、魔法を住人達に向けて放つ。


「《破滅の魔導士専用魔法/第8番:捕縛ホールドチェーン》」


《捕縛の鎖》は視界に入った相手の動きを止める遠距離魔法だ。

住人達の周辺から光り輝く鎖が出現する。


空中や地面から出現した得体のしれない鎖に住人達は動揺する。


「な、なんだ!?」

「魔法か!?」

「散れ!散れえええ!」

「いや、攻撃だ!攻撃して破壊するんだ!」

「き、斬れない!?どうなってるんだ!?」


俺は、住人達に向けている手を握りしめ、魔法を発動させる。


「捕縛!」


鎖は住人達の体に絡みつく。

胴に腕に足に――――

住人達は暴れるが複雑に絡まった鎖はそう簡単に外す事は出来ない。

俺は、住人達に近づき、魔法を唱える。


「寝てろ。《催眠スリーピング》」


住人達が眠りに落ちたことを確認し、

《捕縛の鎖》を解除する。

俺は、住人達を1か所に集め、縄で縛りあげた。


「これで8人か。」


住人達は、ぐっすりと眠っていた。

俺は《催眠スリーピング》の効果時間を確かめたかった。

『FREE』をプレイしていた当時、効果時間は10秒しかなかった。

スキルを発動させて、効果を延長させてもたったの1分。

あまり役に立たない魔法だったのだ。


それが今では、1分経っているにも関わらず、住人達はぐっすりである。

この世界は『FREE』の世界とは異なる。

阻害系魔法や強化系魔法の効果時間に影響があれば、以前のように使用はできない。

どこかで試す必要があったのだ。


「次の住人達が来るまで時間を測るか。」


俺は、眠っている住人達の傍に座り、時間を測り始めた。

30分経過――――――


『全く起きる気配なし!』

俺は、鑑定で住人達の状態を確認する。

《睡眠状態》と確かになっていた。


「効果時間そんなに伸びたの?」


催眠スリーピング》の効果時間が伸びているのであれば、

魔物や対人戦で有利になる。


しかし、対人戦では使えない。

俺は剣士で通っている。

だから、魔導士専用魔法が使用できる事実は隠蔽しなければならない。


『便利な魔法が使えるのに使えないとは・・・。矛盾しているな。』

俺は、ため息を吐く。


「残念だ・・・。」


俺は、ぼやきながら眠っている住人1人1人に《記憶改変》を施していく。

俺の魔法を忘れて貰うのだ。


「忘れて貰うぞ。」


《記憶改変》が終わった頃、

新天地から丁度いいタイミングで住人達がこちらに向かってくる。


「数は、10人か・・・。」

『冒険者達は本当に抑えているのか?』


俺は、住人達の多さにため息を吐く。

俺は再び、手の平を住人達に向けたが―――――


俺の存在に気付いた住人の1人が残りの住人達に指示を出して、足を止めた。


「止まれ!」


俺は手を下ろした。

『そういう事か・・・。冒険者達が住人達を止められなかった理由は――――』

指示を出す人物に俺は怒りを募らせる。


「何故お前がそこにいる・・・アドラス!!」


大剣を背に携えるSランク冒険者の姿がそこにあった。


――――俺の中の何かが再び蠢き始める。――――

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