男がゴロゴロしている間にpart2
『王都グラントニア』に着いたカイルたち
初めての王都に胸躍らせる。
洋服屋に行きたいというイリヤを洋服屋に残し、ゲイルとカイルは一足先に『冒険者ギルド』へ
カイルの夢が叶う―――――はずだった。
『王都グラントニア』
「つ、着いたー!!!」
カイルたちは『メイサの森』を抜け、目的地である『王都』に到着した。
カイルは、大はしゃぎで王都の正門に向かって行く。
「あ! おい!」
ゲイルが止めようと声をかけるが、カイルには聞こえていない。
「まったく・・・。まるで餓鬼だな。」
ゲイルはやれやれと呆れるのだった。
グラントニアは
『上層』
『中層』
『下層』と分かれている。
上層は国王の城があり、国王や貴族たちが住まう住居エリア。
中層は平民やくらいの低い貴族が住まう住居エリア、
下層は下民と奴隷が住まう住居エリアになっている。
その階級分けを知らない田舎育ちのカイルたちからすれば、
国の正門を見ただけで、国に住む『全ての民』が裕福な暮らしをしているのだろうと想像してしまう。
カイルは満足するほど王都の正門を眺めてからゲイルと、イリヤの元に戻る。
王都を囲む壁や正門は城を基調とし、細かい装飾が施されている。
初めてそれを目にするものは見惚れてしまうだろう。
「ごめん!ごめん! すごい大きくて綺麗な正門でさ!」
「当たり前でしょ!王都なんだから!」
とイリヤが堂々とした態度で胸を張る。
「それはともかく置いておくとしてだな、まずは『検問所』に行くぞ。」
カイルたちは正門近くの検問所へと向かう。
『検問所』では、目的や怪しい人物でないかどうかを調べる。
そこで、問題なしと判断されれば、王都に自由に出入りできる『認可証』を貰えるのだ。
「王都に来た目的は?」
「俺は冒険者になるために王都に来ました。冒険者ギルドに行きたいんです。」
「私も彼と同じだ。」
「私はカイルたちの付き添いで来ました! 冒険者になる気はあまりなかったんですけど、せっかく来たので冒険者試験を受けてみようと思っています。」
「そうか。 よし。 では、中層までの認可証を君たちに与えよう。王都も冒険者が不足していてな。そういった者は大歓迎さ!立派な冒険者になると良い。」
「ありがとうございます!」
こうしてカイルたちは認可証を手に入れ、中層にある冒険者ギルドに行けるようになった。
『中層』
「うわ~~~!!!」
中層についたとたん、今度はカイルではなく、イリヤが大はしゃぎ。
中層エリアには、平民や低貴族でも買える防具屋、武器屋、錬成屋、装飾屋、洋服屋、等あらゆる店が集まっているエリアでもある。
イリヤは洋服が好きだ。
中層エリアの洋服屋が気に入ったのだろう。
「ねえ!ねえ!カイル! あの洋服屋によってもいい?」
「ええ~。ん~。」
カイルはあまり洋服に興味を持っていない。どちらかというか武器や防具に惹かれる。
店には行きたいものの彼の中では、『冒険者ギルド』に行き、冒険者になることを優先したいのだ。
「別にいいんじゃないか?」
やり取りを見ていたゲイルが助け舟を出す。
「私たちは、先に冒険者ギルドに行っているから。ゆっくり見て来るといい。」
「ほんとー!! やったーーー! あとで絶対行くからね!」
そう言ってイリヤは洋服屋へとはいっていった。
「・・・・助かったよゲイル。」
「カイル。言葉は濁すものじゃない。返答は、『はい』か『いいえ』だ。」
カイルはゲイルの臨機応変な対応も見習うべきだと思った。
「・・・・はい。」
カイルとゲイルは冒険者ギルドへ向かった。
そして――――
「き、緊張するな。」
カイルとゲイルは冒険者ギルドの入り口に立っていた。
が、中々入れずにいるカイル。
憧れていた冒険者、そして目の前にある『冒険者ギルド』
冒険者の試験を受けて合格すれば、冒険者カイルと名乗れるのだ。
「そう、固くなるな。やることはやったんだろう?だったら自信を持て。」
ゲイルの言葉に勇気を貰うカイル。
緊張のあまり震えていた体だったがゲイルのおかげで震えがなくなった。
カイルはゴクリと息をのみ
冒険者ギルドの入り口を開けるのだった―――――。
そして、――――数時間後―――――
「ありがとうございました。 またのお越しを!」
「ふっふふ~~ん。」
イリヤが機嫌よく洋服屋から出てきた。
片手に大きい袋を3つ程抱えている。
「いい買い物しちゃった! フフフ。」
イリヤは気に入った洋服を数着購入した。王都は高い品ばかりと思い込んでいた彼女だが、値引きが効いていたのもあり、購入できないほどでもなかった。
「あとで、カイルに見てもらわなくちゃ!!」
イリヤはカイルのことが好きだ。イリヤはずっとカイルのことが好きだった。
小さい頃からカイルが一生懸命両親の手伝いをしているのを見ていた。
困っている人を見かけたら助けようとするのを見ていた。
勉強熱心で努力していたのを知っている。
そんなカイルを応援したいし、何より努力をする彼がどうしようもなくイリヤは愛していた。
そんなことを思っていたイリヤだったが現実に引き戻される。
「あ! 冒険者ギルド!!」
すっかり忘れていたとイリヤは、冒険者ギルドに向かって走り出す。
カイルとゲイルと別れてから数時間たっている。
試験も終わっているかもしれない。
ゼェー・・・ハァー・・・
息を切らしながら全力で走った甲斐あってか、自分が思っていたよりも冒険者ギルドに早く到着したことにイリヤは安堵する。
「はあ・・・はあ・・・着いた。」
ふと
イリヤは冒険者ギルドの入り口の前に二人がいることに気が付く。
カイルは一枚の紙をギュッと握りしめ、うつむいていた。
そんなカイルに言葉を投げかけるゲイルだがカイルから何の反応もかえってこない。
『何があったんだろう?』
イリヤは二人に駆け寄る。
「どうしたの二人とも。 何かあったの?」
イリヤの発言にゲイルは、下唇を噛みしめながら目をそらし、
カイルがボソッとつぶやいた。
「・・・おち・・・・た・・・んだ。」
「え?」
「試験に・・・落ちたんだ。」
カイルはうつむいていた顔を上げながらいう。
「試験におちたんだよ・・・・。」
目から涙があふれるのを堪える彼の姿があった。
「どうして?」
イリヤは不思議だった。カイルは努力していた。
村では、知識を得るために勉強していたし、
魔物を狩り、剣術も覚えた。なのにそんな彼が落ちるとは到底思えなかったのだ。
そんな彼女の疑問にゲイルは答えた。
「実技だ。」
「実技?」
イリヤはさらに分からないと首を傾げた。
「ギルドの試験は二つある。一つは筆記だ。薬草やモンスターの知識、これは問題なかった。
二つ目の実技に問題があった。実技はギルド側が用意した試験官と一体一での勝負だ。合格条件は試験官を倒すこと。私は今のカイルなら試験官に勝てると思っていた・・・・んだがな。」
「負け・・・たの?」
イリヤはショックだった。
ゲイルは、冒険者ギルドの試験を甘く見ていたのかもしれない。
試験官によっては戦い方が違う。
ゲイルは道中カイルに様々な冒険に関する知識や戦い方を教えてきた。
もちろんゲイルは問題なく受かっている。冒険者になるためにひたすら鍛錬を積んできたのだ。
しかし、カイルは両親の手伝いもあり、剣術の鍛錬など積む暇がほとんどなかった。
道中『教えた』とはいえ教えたばかりの剣術や知識が活かせるわけがない。
「私の――――」
「俺が・・・弱かったんだ。」
ゲイルが『私の責任だ』という前にカイルは言った。
「俺が浮かれていたんだ。」
「カイル・・・・・。」
「俺が!・・・もっと・・・もっと頑張っていれば!!」
カイルの目からは涙があふれていた。
「剣術が・・・・少し使えるからって・・・いいきになってたんだ!!
俺は―――――――『弱い』!!!!」
カイルの心からの叫びに二人は何も言えなかった。
そして、カイルは走り出した。
「カイル!!!!」
イリヤがカイルの名を呼ぶが彼には聞こえない―――――聞きたくない。
「っ―――――カ―――――――・・・・・・・」
イリヤとゲイルの声が遠のいていく―――――
カイルは走り続ける。
『王都』の正門をくぐる。
息が乱れ、肺が苦しい、でもカイルは止まらない。
カイルは走り続ける。
そして―――――――――
「うわっ!」
カイルは大木の根に足を引っかけて転んだ。
「ううっ・・・。」
カイルは『メイサの森』まで戻ってきてしまったのだ。
周りを見れば、木々が生い茂っている。
「大分、奥まで来ちまったか。」
完全に日が落ち切り暗闇が『メイサの森』を支配している。
『メイサの森』には夜行性の魔物が多い。一人での行動は危険である。
グルルルゥ・・・・ギシャァァ・・・
周囲から魔物の蠢く声が聞こえる。
そしてカイルに魔物が迫っていく。カイルも魔物が近づいてくるのに気づいていた。
魔物に喰われることを想像したカイル。
その恐怖がカイルを支配する。
いつもなら「魔物なんてやっつけてやるさ!」という場面なのだが、
今は別の言葉がカイルの口からもれる。
「俺は弱い――――弱いんだ――――――。
嫌だ 嫌だ 嫌だ 嫌だ 嫌だ 嫌だ 嫌だ 嫌だ 嫌だ 嫌だ 嫌だ―――――」
ギルドの試験に落ちたショックが大きすぎて、カイルの脳内はパニックになっている。
知ってしまった。己の『弱さ』――――否定したい自分―――――
でも、魔物に喰われて終わるのだけは嫌だとパ二ックになりながらも、本能で剣を抜く。
魔物は闇に紛れカイルに迫る。
――――――――そして――――――――
グシャッ!!!!――――――――――ドシュッ――――・・・・・
男「やっぱ俺だけじゃないんだな。メンタル弱いの。」
神様「自覚あったのかw お主、そろそろ行動を起こさんと主役を取られるぞwww」
男「それはごめんだ。次回からちょっとだけ頑張るとしよう。ちょっとだけ」
神様「2回も言わんでいいぞw」