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人生をあきらめていた男  作者: 眞姫那ヒナ
~大決闘演武大会編~
60/218

『大決闘演武大会』男vsヴィラル・アルスール

男は、『ヴィラル・アルスール』と戦う。

エルフ種にして準決勝に残った実力者だ。

男は、『ヴィラル・アルスール』の思惑通りに動くが、あくまで演技だった。

『ヴィラル・アルスール』は大技を仕掛けるが、それは覆される―――――


『観客席』


決闘は進み、出場者は俺を含めて4人となった。

レイダス・オルドレイ

サラル・ユーギニウス

ヴィラル・アルスール

ローズル・ラングエッジ

の4人だ。


今フィールドでサラルがローズルと『命』を賭けて決闘している。

持ちかけたのはサラルだった。

自分の腕に自信があるサラルは『命』を軽く見ている。


命を軽視しているという点では俺と一緒になるが、決定的に違うものがある。

俺は復活が可能という事だ。

サラルは死んだら終わりなのだ。


俺はサラルに聞きたくなる。

『どこから来るんだその自信は?』


死ぬのが怖くないのか?

俺以外の人間は死を恐れているはずだ。

『サラルに後で聞いてみよう。』


どっちにしろサラルが決闘に勝利すれば、戦うことになる。

その時聞けばいい。


「ぎやあああああ!?」

フィールドから悲鳴が上がる。ローズルだ。

首をレイピアで刺されている。

防具はガランの時と同様ボロボロになっている。


サラルも手傷を負っているようだが、余裕の笑みを浮かべている。

サラルは顔についた返り血をペロリと舐める。

細目が見開かれ、レイピアをローズルの首にねじ込む。

レイピアは、首を貫通。


「ヒュー・・・ヒュー――・・・。」

ローズルの目は虚ろになり、武器の斧を手放した。


サラルの攻撃はそれで終わらない。

この決闘は『命』がかかっている。

サラルは首に刺さったレイピアを捻る。


ゴキッ!!という鈍い音があたりに響き渡る。


サラルは、相手の首をへし折ったのだ。

サラルは、レイピアを引き抜く。


ローズルは仰向けに倒れた。

顔は反対を向いている。


「『大決闘演武大会』決闘!勝者『サラル・ユーギニウス』!」

観客たちが湧く。

国王と『上層』の連中が笑みを浮かべる。

国王の歪んだ笑みは見ていて気色が悪い。


サラルは試合が終わるとこっちを見た。

俺は、目を逸らす。

国王の手の平で踊るサラルに俺は嫌気をさしている。


アイテムの音が鳴る。

観客席から席を外し、階段を下りていく。

フィールドの入り口にはサラルがいた。


サラルは笑みを浮かべて、俺に尋ねる。

「オルドレイさんではありませんか!僕の腕はいかがでしたか?」


俺は、サラルの満面の笑みに無表情で答える。

「別に。」


「そうですか・・・。」

とサラルのテンションは下がった。


俺はサラルの事が少しわかった。

『強くなるためなら『殺人』も平気でする男だ』と―――


「でも、貴方も私の糧となりますから大丈夫ですよ。」

サラルは俺を殺す気でいた。


前言撤回しよう。

強くなるためなら『殺人』も平気でする男ではない。

『自分を『最強』と思い込んでいる男』だ。


自分が最強だからこそ『命』を賭けられる――――

自分が最強だからこそ相手を自分の糧として『殺す』――――

『サラル・ユーギニウス』とはそういう男だ。


俺が『どこから来るんだその自信は?』と聞く必要もなかった。

俺は、サラルの横を通り過ぎる。


「時間がないんだ。失礼する。」


俺はいつものようにガルムを入り口に残し、フィールドに入場する。


―――――『フィールド』―――――


相手は『ヴィラル・アルスール』。

エルフ種だ。


金髪で髪の先端が緑がかっている。

緑を基調とした服を着ている。

持っている弓は『神木』から製作したのだろう。


「私の名は『ヴィラル・アルスール』!誇り高きエルフ種にして、『ヴァルハラ』の民だ!

貴殿の名は?」

『わざわざヴァルハラから来たのか・・・。』


『ヴァルハラ』はエルフの国である。

王都グラントニアから北西に進むと『ヴァルハラ』の領土が広がっている。

『ヴァルハラ』は北西に進むだけと言ってもかなりの距離がある。

馬で移動しても5日はかかるのだ。


「俺は『レイダス・オルドレイ』。人間だ。」

俺は、普通に自己紹介する。


「決闘ルールは如何ほどに?」

ヴィラルは俺に尋ねる。


「俺が指定してもいいのか?」

ヴィラルに聞くと「貴殿になら任せられる。」と言われた。

『どういう意味だ?』


俺は決闘ルールを提示する。

1、消費アイテムを使用しないものとする

2、観客を巻き込む魔法は禁止とする。

3、どちらか一方が降伏した場合、決闘は決着とする。

4、どちらか一方が戦闘不能になった場合、決闘は決着とする。


の4つを提示した。

すると、ヴィラルがふと笑った。

「貴殿は優しいようだ。」

俺は首を傾げた。


俺は優しくない。

相手によっては残酷な行いを平然とする。

俺が平静を保っていられるのは、ヴィラルに人徳があるからだ。


「では、始めよう!」

ヴィラルは弓を構える。

俺は、ヴィラルを鑑定した。


エルフ種/『太陽の弓兵』職

lv/39 名前/ヴィラル・アルスール


体力/13000

防御/ 9000

攻撃/12000

速度/ 8000

持久力/13000

魔力/ 7500

魔力量/13000

魔法適正/B

弓兵適正/A


「開始!」

監督役の合図と同時にヴィラルは矢を放つ。

俺は、余裕で避けるが、

『やはり、ユウキより矢が速い。』


ステータスとlvはユウキより上だ。

ここまで敵を瞬殺してきた俺は、ここで様子を見る。

『観客全員が俺の実力を疑っている。』


俺の強さは異常なのだ。

相手を、ましてや実力者を瞬殺してしまうと誰もがおかしいと思う。

アドラスを倒して以降の俺は、ある理由から相手を2人瞬殺した。

ここで払拭しておきたい俺である。


ヴィラルがスキルを発動させ、矢を放つ。

『太陽の弓兵専用スキル:必中一殺』

『太陽の弓兵専用スキル:複数掃射』


矢の数は3本だ。

ユウキと同じ攻め方をしてきた。


俺は、矢を順番に落としていくが、矢に気を取られている間、

ヴィラルは次の手を打っていた。


『太陽の弓兵専用スキル:必中一殺』

『太陽の弓兵専用スキル:複数掃射』

『太陽の弓兵専用スキル:天の雨』


『スキル:天の雨』は天から相手に矢の雨を降らす専用スキルである。

スキルを3重掛けすることで、本数、攻撃力、命中率が上がっている。


俺は、矢を弾き落とし終えると、ヴィラルに向き直る。

ヴィラルは、俺が真上に気付かないよう矢を打ち続けた。


『天の雨』は時間差で降ってくる。

その為の時間稼ぎだ。


俺が近づこうとすれば、ヴィラルは離れる。

上を見ようとするとヴィラルは攻撃を仕掛ける。

俺はヴィラルのあからさますぎる行動に『天の雨』を発動させたと推測する。


『天の雨を全部防ぐと怪しまれるか・・・。』


俺は、魔法を使って対処することにした。

そして――――

その時が来た。


「終わりだ!」

ヴィラルは天を指す。

矢の雨が俺に迫る。

矢の数はスキル効果により本数が増えている。

元々の矢の数は10本、それが30本になっている。


「どうかな?」

俺は、片腕を上げる。そして、矢の雨にむかって魔法を発動させる。


『FREE』をプレイしていた時、便利な魔法として誰もが使っていた。

正し、条件を満たすためには難易度が高かったため、

習得しているプレイヤーは少ない。


『魔法/第5番:重力グラビティ


矢の雨は空中で止まる。


「なに!?」

ヴィラルは驚愕する。

俺は、片腕を上げたままヴィラルを見る。


「お返しだ!」

片腕をヴィラルの方へ振る。

矢の雨は俺からヴィラルへと方向を変えた。

そして、重力操作された矢はヴィラルを襲う。


「うあああああああ!?」

その数30―――――


ヴィラルは30本の内の何本かを浴び、動けなくなる。

俺は、剣を納めてヴィラルの傍に行く。


「降参か?」

俺はヴィラルの顔を覗き込む。


「ああ。降参だ。悔いはない。持てる力は全て出し尽くした。」

ヴィラルは地面に仰向けになっている。

満足そうな表情をしていた。


「貴殿は強いな!初めて相対した時から感じていた。

国に良い報告が出来そうだ・・・。」

ヴィラルは、笑う。


「戦士なんだな・・・。」

俺はつぶやく。


ヴィラルは、俺のつぶやきに笑みで答える。

『この世界にも・・・いい奴はいる・・・。』


『悪意探知』を使ってから、俺は他人を疑うようになっていた。

誰にでも悪意はある。割り切っていたつもりだったけど・・・。

出来ていなかったみたいだ。


俺は、立ち上がって監督役に言う。

「勝負は決した!宣言を頼む!」


監督役は宣言する。

「『大決闘演武大会』決闘!勝者『レイダス・オルドレイ』!」


観客が湧く。

しかし――――

『上層』と国王は別だった。

国王は手に持っていた金で装飾された杖をへし折る。

表情は、怒りに歪む。


「私の決闘が!血の祭典が!何故だあああ!」

自分の思う通りに事が進まない。国王は1人荒れ狂う。


そんな国王をよそに俺はフィールドを去ろうとするが、足を止める。

『このあと決勝だよな?このままここにいたほうがいいのか?』


数秒後―――


心配は無用だったようだ。

アイテムが鳴る。

続行して戦うようだ。

ヴィラルは治療の為、回復要員に運ばれていく。


俺は、フィールドの奥に進んで振り返る。

相手はサラルだ。

『命を賭けましょう!・・・て平然と言いそうだな。』

俺が、サラルを来るのを待っていると、観客席が騒ぎ出す。


「うおおおぅ!?」

「なんだ!?」


観客の間を縫ってフィールドに向かってくる1人の男の姿があった。

『おいおい・・・。』

俺はドン引きした。


男はフィールドに華麗に着地する。

「お待たせしました!」

サラルだった。

『登場の仕方に美意識でも求めてるのか?』


サラルがきたことで監督役が述べる。

「これより、『大決闘演武大会』の決勝戦を行います!」


観客席は盛り上がる。


「決勝だあああ!」

「早く始めろおおお!」


観客たちは戦いに飢えていた。

その中の1人の声が俺に届く。


「殺せええ!!殺せえええ!」

サラルは笑みを浮かべる。


俺は忘れようとしていたのに、観客の声が思い出させた。

『やばい・・・・。』


今にも気に喰わない奴らを殺してしまいそうだ・・・。

俺は、理性で押さえつける。拳を握りしめた。

『忘れろ!今は考えるな!』


そこにサラルは声をかけてくる。

「オルドレイさん。ルールを決めましょう。」


「分かった。」

俺は、決闘ルールを提示する。


1、消費アイテムの使用を禁止とする。

2、強力な魔法の使用を許可する。

3・・・・・・・


3つ目を言おうとした時だった。

「『命』を賭けましょう!」

俺は、サラルを見る。

サラルは笑みを浮かべている。


「『命』ですよ!」

『お前何を言っているか分かってるのか・・・。』


命を玩具にしやがって、サラルは国王と同類だ!

事前に確認していたはずなのに・・・。

サラルは自分が『最強』だと思い込んでいるおかしな奴だという事を―――

俺は、知っていたはずなのに――――――


「いいだろう・・・。」

サラルの顔が明るくなる。

国王もまた、笑みを浮かべる。


『教えてやろう――――』

この世界の強者を――――

『教えてやろう――――』

死の恐怖を―――――――――


俺は、ルールを提示した。

1、消費アイテムの使用を禁止とする。

2、強力な魔法の使用を許可する。

3、お互い『命』を賭けるものとする

4、どちらか一方の『命』を奪わない限り決闘は終了しないものとする。


「さあ。私の糧になってください!」

サラルはレイピアを構える。

やる気は十分だった。


サラルは知らない。

自身がこのあとどうなるのか――――

どんな死を迎えるのか彼はまだ知らない―――――

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