『大決闘演武大会』3日目帰宅前~犯人を追え!~
男は、リリィの店に立ち寄ったあと、冒険者ギルドに向かった。
そこには珍しく黒い番犬ウェルダンの姿が・・・。
ウェルダンは男にあることを告げる。
「『大決闘演武大会』出場者が次々に暗殺されているそうです。」
「・・・・・・・・・え?・・・・・・・・・」
『ワルプール リリィの店』
俺は、決闘場からリリィの店にやってきた。
「いらっしゃいませ!」
「リリィはいるか?」
俺は、店員に尋ねた。
「奥の倉庫にいると思いますよ!」
店員はにこっと笑って答えてくれた。
「そうか。」
と言って、俺は店の奥に向かう。
レジカウンターの裏に扉がある。
『これが、倉庫か?』
俺は、扉を開けてリリィを呼ぶ。
「リリィいるか?」
倉庫の中は棚が並んでいた。
店に並べる商品を保管しているのだろう。
声を聞きつけて、リリィがやってきた。
「いらっしゃい!ギルドマスターから子供は預かってるわよ!」
「そうか。子供は元気か?」
と尋ねるとリリィは笑みを浮かべて頷いた。
「きて!」とリリィは倉庫の奥へと歩いて行き、手招きする。
俺はリリィについて行った。
そこには、子供が一生懸命品物を棚に並べている姿があった。
汗をかきながら、丁寧に品物を置いていく。
白いシャツが汗でにじんでいた。
「あの子。ここに来てからずっとあの調子なのよ。」
リリィは笑顔で子供を見る。
子供は汗をかきながらも、楽しそうに仕事をしていた。
リリィに与えられた仕事がよっぽど気に入ったのか。
それとも、それしかすがる物がなかったか。
どっちにしても俺は良かったと思っている。
「仕事が気に入って何よりだ。リリィには迷惑をかけたな。」
俺はリリィに謝罪した。
村で救出した子供を突然押し付けたのだから、戸惑っただろう。
「あっ。いや!大したことないよ!私も人手が欲しかったし・・・。」
リリィはそう言いながら、顔を真っ赤にする。
『風邪か?』
ボソボソと言っているがうまく聞き取れない。
『まあ・・・いいか。』
「俺はこのあと冒険者ギルドに行く。
また様子を見に来るから、それまで子供の事はよろしく頼む。」
「あ!うん。わかったよ!」
リリィは俺の言葉に頷いた。
俺は、冒険者ギルドに向かうため、『ワルプール』をあとにするのだった。
―――――『ワルプール 俺が去った後』――――――
「店長!アタックのチャンスだったのに!」
店員がリリィに駆け寄り、リリィを両手で揺さぶった。
リリィの顔は真っ赤になって湯気を上げている。
「だ、だ、だ、だってえええええ!!」
リリィはボソボソと言っていた。
「私とレイダスの子供みたいだね・・・。」と。
しかし、声が小さすぎて俺には聞こえていなかった。
「うううううう~ええええ~ん。」
リリィは泣き出してしまった。
その場でしゃがみこんで自分のふがいなさに泣いた。
店員は
「てんちょ~。泣き止んでくださいよ~。」と慌てる。
倉庫の奥からリリィの鳴き声を聞きつけた子供が
「どうしたの?」と尋ねる。
慌てる店員は何も答えられない。
子供は考えての行動なのか。なんとなくの行動なのかは分からないが、
リリィの頭を優しく撫でた。
「よしよし。」
泣いていたリリィは子供の行いに驚いて、泣き止んだ。
そして、リリィは子供を抱きしめる。
「ありがとう・・・。ぐすっ・・・。」
リリィは子供のやさしさに感動した。
店員もほろりと涙を流す。
『ワルプール』は今日も平和だった。
―――――『冒険者ギルド』――――――
俺は冒険者ギルドの扉を開ける。
すると、冒険者ギルド内の冒険者たちが騒いでいた。
『あれ?・・・ウェルダンさん?』
受付カウンターで受付嬢と話す
黒い番犬にしてライラの上司『ウェルダン・マルクダ―ン』の姿があった。
俺は、受付に近づく。
「お久しぶりです。」
とウェルダンさんが先に挨拶してきた。
『流石だ・・・。』
「お久しぶりです。冒険者ギルドに来るなんて珍しいですね。」
俺は、ウェルダンさんに言う。
「貴方に用事があったのですよ。」
『俺に?』
悪い行いをしたつもりはないのだが・・・。
俺は、転生してからの過去の記憶を辿る。
『色々してるかもな・・・。』
俺は取り敢えず話を聞いてみる事にした。
「用事とは?」
「ええ。実は、『大決闘演武大会』出場者全ての方に黒い番犬総出で伝えて回っているのですが、
『大決闘演武大会』は開催5日目以降から決闘ルール、1対1になるのはご存知ですよね?」
俺は「知っている。」と頷く。
「出場者が暗殺にあっているようで、決闘ルールが明日より施行される予定となりました。」
『今すごいことサラッと言ったぞ!?』
俺は、出場者が暗殺されているという事実に驚愕する。
決闘ルールが施行されるということは出場者が32人になったという事だ。
『大決闘演武大会』の出場者は100人以上。
100人以上だから、200人いてもおかしくないのだ。
『デスマッチ』で人数が減っているとはいえ、まだ3日目だ。
出場者は32人以上いるはずなのだ。
「誰がそんな事を・・・。」
俺は、暗殺をした場合にメリットが得られる人物を思い浮かべた。
1、『大決闘演武大会』出場者にして優勝狙いの人物
大会で優勝する為に出場者を減らしている可能性がある。
2、『上層』や博打好き
上層の人間や博打好きな人物が『暗殺者』を雇い、
邪魔な出場者を消して回っている。
「分かりません。犯人らしき人物を我々が発見し、
追い詰めても、あと一歩という所で逃げられてしまいます。
部下からもそう報告を受けています。」
ウェルダンさんは悔しそうな表情を浮かべる。
「犯人を発見したんだろう?特徴はないのか?」
ウェルダンさんはあと一歩まで追い詰めたと言っていた。
姿を部下が見ているはずだ。
「黒いフードコートを着用し、背丈は160と小さいです。顔までは・・」
俺は考える。
俺の知り合いでそれらしき人物はいない。
暗殺という事は、『暗殺者』職の可能性が高い。
『俺が犯人に遭遇できれば、鑑定で分かるんだが・・・。』
このまま犯人を放置すれば俺が潰れる。
『常に後ろから狙われていると思うと、精神がすり減るんだよ!』
俺の精神は紙だ。ペラペラだ。軽く指で突いくらいで簡単に穴があく!
俺はウェルダンさんに提案する。
「俺に1人黒い番犬を付けて貰えないか?」
ウェルダンさんは顎に手を当てる。
「何故?」
「犯人は出場者を殺しまわっている。俺も出場者だ。
寝首をかかれて殺されるなら、こちらから出向いてやろうと思ってな。」
俺は、自分を『餌』として犯人をおびき出そうと考えた。
それに、『大決闘演武大会』出場者を倒せるだけの実力を有している犯人を
俺は見てみたい。つまり、俺の好奇心だった。
可能性の1と2が当たっていたら、それはその時で対処する。
「いいでしょう。私の信頼する部下を1人お貸しいたします。」
ウェルダンさんはあっさり承諾した。
「出てこい!」
とウェルダンさんが受付カウンターに隠れている人物に言う。
「はい!」
敬礼と共にライラが返事をする。
『カウンターの下にいたのか・・・。』
「御仁をしっかり警護しろ。問題があった場合は至急私に連絡しろ。いいな!」
「はい!了解です。」
軍人のようなやり取りをするウェルダンさんとライラを見ていて、
『追われたらどうなるんだろう・・・。』と想像してしまう。
俺だったら、後ろを絶対振り向けない!
「じゃあ。早速釣りを始める。いくぞ。」
俺は、ライラにそう言って、冒険者ギルドをあとにした。
「待ってくださいよー!」とライラが付いてくるのだった。
――――『冒険者ギルド 俺が去った後』――――
「よかったのですか?」
受付嬢がウェルダンに尋ねる。
「言わなくとも気づいておりました。」
ウェルダンはふと笑った。
「犯人は『上層』の雇われか、『大決闘演武大会』出場者でしょう。」
ウェルダンははっきりそう言った。
メリットがあるのはそのどちらかだけだ。
暗殺者は出場者を狙っている。これは、計画的に動いている証拠だ。
只の殺しであれば、無差別に出場者以外も殺されているはずなのだ。
「あの御仁は強い。私が敵わないほどに・・・。」
ウェルダンは俺が強者であることを初めて会った時から感じていた。
実際、ウェルダンは自分以上の実力を持つ者にしか『御仁』と言わない。
それは、ウェルダンが俺を認めている証だった。
「私はあの御仁が敗れる、又は犯人を逃がすなどの考えを抱いておりません。
きっと、良い報告が期待できます。」
とウェルダンはニッコリ笑った。
受付嬢も同様だった。
受付嬢は、はっきりとこういった。
「はい。私もそう思います。」
ウェルダンは黒い番犬の仕事へ
受付嬢は受付の仕事を続けるのだった。
―――――『中層』――――――
俺は1人中層を歩き回り、ライラは屋根の上から監視の目を光らせる。
暗殺は闇に紛れて行われる。
夜が暗殺に最も最適な時間だ。
俺は夜の『中層』を歩き続けた。
1時間後――――
『全然釣れない・・・。』
美味しい『餌』が目の前にあるのに、音沙汰なし。
『警戒しているのか?』
俺は、スキルを発動させて、ライラと話をする。
『スキル:念話』
『聞こえるか?』
『はい!ばっちりです!』
とライラは屋根の上から合図を出す。
『恐らく、犯人は俺を警戒している。
『中層』の人気のない場所に誘導してくれ。』
俺は、ライラの指示を仰ぐ。
『はい!中層と下層の中間地点は人気がありません。いかがでしょう?』
俺は、『ああ。』と肯定した。
冒険者ギルドの反対側まで来ていた俺は、中層の東門に向かった。
―――――『中層 東門』―――――
俺は、ここであるスキルを発動させる。
本当は俺が一番使いたくないスキルだ。
『英雄王専用スキル:悪意探知』
『悪意探知』とはそのままの意味だ。相手の悪意を探知する。
俺が頭痛に襲われた時に解放されたスキルの1つだ。
「うっ!」
『これは・・・・。』
俺の周りにいる人間の悪意が見える。
紫や黒い炎が人間の胸にあった。それが悪意だ。
悪意が俺の中に流れ込んでくる。気持ち悪くて吐きそうだ。
俺は、壁に寄りかかった。
『どうしたんですか!?』
念話は繋がったままだ。俺の異変に動揺しているようだ。
『大丈夫・・・。スキルの負荷がかかっただけだ。』
と俺は言う。
俺が『悪意探知』を使いたくないのは、前世の事があるからだ。
俺は悪意のある世界で生きてきた。この世界にも悪意はすくなからずあるだろう。
俺は、それを信じたくなかった・・・。
だから、発動をためらった。
「あるよな悪意ぐらい・・・。」
俺は小さくつぶやく。
そして、もう一度発動させた。
『英雄王専用スキル:悪意探知』
気持ち悪い・・・。俺は吐き気に耐える。
悪意がライラに迫っているのに俺は気が付く。
『ライラそこから飛び降りろ!!』
俺は念話でライラに呼びかける。
ライラは後ろを振り返る。
2本のダガーがライラに牙を剥いていた。
ライラは構えようとするが間に合わない。
「くっ!」
しかし――――
「へ?」
ライラは足を滑らせ下に落下した。
「きゃああああああ!?」
それを俺がキャッチする。
俺のステータス値は高い。
『ライラの重さなんて・・・。失礼か・・・。』
「大丈夫か?」
俺はお姫様抱っこでキャッチしたライラに声をかける。
「は、はい・・・。」
ライラの顔が真っ赤になっている。
『魅了効果か?風邪か?』
俺は、ライラを下ろす。
犯人は逃げずに、屋根から降りてきた。
『特徴は一致しているな。』
黒いフードコート、背丈160くらい。
犯人は、2本のダガーを構えながら、ブツブツつぶやいている。
「憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い・・・。」
俺は、犯人を鑑定した。
人間種/『二刀暗殺者』職
lv/34 名前/グレム・ロッグ
体力/12000
防御/ 4800
攻撃/10000
速度/ 7000
持久力/10000
魔力/ 7000
魔力量/10000
魔法適正/C
剣術適正/C
暗殺適正/A
『グレム・ロッグ?』
聞いたことのない名だった。
『二刀暗殺者』職は『常闇』職から派生する。『常闇』職より上の職だ。
ダガーを2本装備できる。
「ライラ。お前には荷が重い。下がっていろ。」
俺はライラに指示を出すが、首を横に振る。
「ダメです!私は、レイダスさんの警護を任されたんです!1人にはさせません!」
俺は、心の中で舌打ちする。
『気づけよ!足手まといなんだ!』
ライラよりも強い。
lvもステータス値も明らかにグレムが上だ。
ライラを説得したいが、犯人のグレムは待ってくれない。
「憎いいいいい!!」
さっきはライラを狙って攻撃を仕掛けてきたのに、俺に向かってきた。
俺は、鞘から剣を抜き受け止める。
『武器の刀身に脈のような赤模様・・・。』
『出血』効果のある武器に浮き出る独特な模様だった。
俺は状態異常にならないから問題ない。
グレムはダガーを俺に振るい続ける。
「レイダスさん!」
ライラは駆け寄ろうとするが、俺は止める。
「来るな!」
ライラは駆け出しそうになる足を必死に抑える。
ライラは俺を見守る。
俺はダガーを弾き飛ばす。
弾き飛ばされたダガーは空の彼方へ飛んでいく。
そして、グレムの両腕を斬り飛ばした。
「あああああああああ!!」
犯人が痛みでのたうち回る。
俺は、犯人の頭を鷲づかんで、フードを取った。
「やっぱり知らない・・・。」
「ああ!」
ライラが声を上げる。
「知り合いか?」
俺はライラに尋ねる。
「いえ、でもこの人『大決闘演武大会』の出場者ですよ!」
俺は、驚愕する。
『出ていたのか!?』
俺が観戦していなかっただけかもしれないな・・・。
俺がいないとき、試合にでていたのだろう。
「こいつは『大決闘演武大会』の32人に残っているのか?」
「いえ、残った32人は近況報告の通りです。」
とライラが説明する。
すると、グレムが暴れだす。
「負けてない・・・。僕は負けてない!!」
腕がない体で暴れるグレム。
足しかない体で逃亡は不可能だ。
ましてや俺の腕力からは逃げられない。
「俺の予想に過ぎないが、試合に負けた腹いせに出場者を殺しまわってたんだろう。」
俺の言葉にライラが頷く。
「ウェルダンさんを呼んできますので、犯人を逃がさないように見張っていてくれませんか?」
俺は、ライラの言葉に頷き、グレムをライラの用意した縄で縛りあげた。
ライラはウェルダンさんを呼びにその場を去って行った。
俺はグレムの横に座る。
「なんでこんなことをした?」
「・・・・・・・・・・。」
グレムは無言だった。
先程は凄い暴れていたのに、今では大人しい。
「負けたって言ってたな。誰にだ?」
「・・・レーガン・・。ガラン・レーガン・・。」
グレムはそう言った。
『俺ガランの2回戦見てないな。』
知らないわけだ!と自分で納得した。
「腹いせに殺してたのか?」
コクリとグレムは頷いた。
「上層の人間から雇われたか?」
コクリとグレムは頷いた。
俺の予想2が的中していた。
『上層』の人間がグレムに依頼を持ちかけたのだろう。
『『大決闘演武大会』出場者を殺せ』と・・・。
大会でガランに敗れたグレムは腹いせも兼ねてこの依頼を受諾した。
「上層の依頼者の名は?」
「・・・・・・・・。」
グレムは黙り込んだ。
『上層』の人間に話したら殺すと言われているのかもしれない。
『そうか・・・死ぬのが怖いのか・・・。』
俺の中で何かが蠢いた。
俺は、グレムの右足を斬り飛ばした。
「ぎやああああああ!!」
グレムは地面に横になる。
両腕を失っただけじゃなく、足も失ったグレムは叫ぶしかなかった。
『死の恐怖』が彼の目の前にある。
「死は救いだ。怖くない。」
俺は語り聞かせる。
「死んだら、今お前が感じている痛みは全て消えてなくなる。
それでも生きたいか?『グレム・ロッグ』・・・。」
グレムは横になったまま涙を流し始める。
怖い―――――苦しい――――何もかもが――――
自分は成功者のはずなのに・・・。
グレムはどん底に突き落とされた。
『ここは地獄だ・・・。』グレムはそれでも―――――
「生きたい!!」
グレムは、はっきりとそういった。
「そうか。それがお前の意思か・・・。」
俺は、斬り飛ばした右足をグレムの右足の断面にくっつけて、回復魔法をかけた。
「お前は、生を選んだ。
上層の連中から脅されていようともお前は生き延びる。
お前は生きたいのだから・・・。」
グレムは身体を横にしたまま動かない。
「さあ・・・話してくれ。お前に依頼した上層の人間の名を―――」
「―――――――――――――――――――」
グレムは俺に全てを話した。
15分後―――――
ライラがウェルダンさんを呼んできた。
「レイダスさん!」
ライラの息が荒い。
『冒険者ギルドから東門まで距離があるからな。』
ウェルダンさんが頭を下げる。
「犯人の捕縛に感謝いたします。」
俺は、立ち上がって服についた砂を払う。
そして、小さな紙をウェルダンさんに手渡した。
「これは?・・・!?」
ウェルダンさんが紙を開いて驚愕した。
「今回の首謀者と共犯者のリストだ。」
俺は、グレムが話している時メモを取っていた。
ウェルダンさんの顔色が真っ青になる。
俺は、上層の住人の顔と名前を知らない。
その中で、俺が知っているのは2人だ。
その内の1人がメモに載っている。
『エリック・ツヴァン・グラントニア』
グラントニアを統べる王であり、『大決闘演武大会』の主催者だ。
あの王様が上層の住人に指示を出し、グレムに出場者を殺させた。
理由は至って簡単だ。『―――決闘が早く観たい―――』それだけだ。
『国王は真っ黒さ・・・。』
俺の中の何かが蠢き続ける。
『『国王』を殺せ』と―――――――
ウェルダンさんはメモをズボンのポケットにしまう。
「ああ!見せてくださいよウェルダンさん!」
ライラはメモの内容が見えなかった。
いや、ウェルダンさんが見せなかったという方が正しい。
「レイダス殿!私からお願いがあります。」
ウェルダンさんが真剣な顔で、頭を下げる。
「この1件は黒い番犬に任せて頂けないでしょうか!!」
急に頭を下げだす上司にライラは戸惑う。
そして、ライラも頭を下げた。
「お願いします。」
黒い番犬に今回の件を預けたとして、もみ消されるのが落ちだった。
国王という権力はこの国で絶対だ。
黒い番犬が国に逆らえばどうなるか・・・。
解散?指名手配?処刑?可能性は無限大だ。
黒い番犬は国の平和を維持してきた。
姫様が国を変えようと奮闘している以上、まだ消えて貰うわけにはいかない。
「条件がある。受け入れなければ黙認はできない。」
俺がそういうとウェルダンさんは背筋を伸ばして、「はい!」と返事をした。
ライラもよく分かっていないが上司に合わせて返事をする。
俺は条件を提示する。
1、俺が手渡したメモを厳重に保管すること
2、今回の件を俺の同意なくして、上層に報告しない事
3、グレム・ロッグの保護
4、発動する魔法に俺の指示に従い、サインする事。
尚、質問は認めないものとする。
以上の4つが俺の提示した条件だ。ウェルダンさんは頷いて承諾した。
俺は、4の条件に則り魔法を使用した。
『魔法/第10番:直筆契約』
俺の目の前に魔法で生み出された羽ペンと用紙が現れる。
俺は、ペンと用紙をウェルダンさんに手渡した。
「これは・・・?」
不思議がるウェルダンさんに
「俺が提示した条件を書き入れて、最後に自分の名前を書いてくれ。」
と指示する。
ウェルダンさんは、俺に言われるがまま書き込んでいく。
かき終わった羽ペンと用紙は、光となって消えた。
「これで終わりだ。今回の件は黙認する。あとは任せた。」
「「はい!」」
ウェルダンさんとライラは返事をする。
その後、両腕を失くしたグレムを2人は連れて行った。
俺が発動させた
『魔法/第10番:直筆契約』は、
記した条件を破った場合、サインした者を呪う魔法だ。
どんな呪いが発動するかはランダムで、俺にも予測できない。
魔法を発動させた俺に害はなく、
今回の場合はサインしたウェルダンさんに呪いが降りかかる。
『条件を破らなければいいだけだしな。』
俺は、周囲に人気がないことを確認し、『空間転移』で『夢見の森』に戻った。
『ガルムが完全に肩で眠ってしまったからな!』
俺は、そっとベットにガルムを置く。
「今日は長かった・・・。これで俺の精神も安泰だ!」
俺は、寝る準備を始める。
―――『大決闘演武大会』3日目はこうして終わった――――
作者「長くなったああああ!( ;´Д`)」
男「いいじゃないか。頑張れ作者!」
神様「頑張るのだ作者!」




