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人生をあきらめていた男  作者: 眞姫那ヒナ
~大決闘演武大会編~
52/218

『大決闘演武大会』3日目朝

男は、冒険者ギルドにやってきた。掲示板には『近況報告』の貼り紙がされていた。

男は『大決闘演武大会』の進行状況かと思ったが、

実は、賭け事の報告書だった。

『大決闘演武大会』は誰が優勝するのか・・・。それをかけているという。

男は断トツの1位だった。順位が高いという事は優勝確率が高いという事――――

男は、取り敢えず試合を観戦しに行くことに・・・。


『夢見の森 ログハウス』


『大決闘演武大会』3日目の早朝


「・・・・・・・。」

俺は、ベットの上で悩んでいた。

『鑑定したくない・・・。』


俺は、今日まで戦ってきた。

戦ってきたんだ!

俺のlvは上がっているはずだ。


俺は、深く深呼吸する。

自分のステータスを確認するだけで俺は、緊張していた。

「よし!」

俺は覚悟を決める。―――鑑定―――


lv/435 名前/レイダス・オルドレイ


体力/8600000

防御/5700000

攻撃/7500000

速度/6000000

持久力/8750000

魔力/4500000

魔力量/8000000

魔法適正/―測定不可―

剣術適正/―測定不可―


状態:職派生可能


『10も上がってるよおおおおオオオ!!』

俺は、心の叫びで抑えることができた。

以前の俺なら、大声で叫んでいただろう。

ステータスの上がり方は相変わらず異常だった。


『俺はどこまで強くなるんだ・・・。』

ふと思ってしまう。

俺は、強すぎる。

この世界にとって有毒じゃないかと思うほどに・・・。

俺のlv上限は1000だ。

百万で留まっているステータスはいずれ一千万に突入するだろう。


俺は、頭を左右にぶんぶん振る。

『ネガティブに捉えたらダメだ・・・。』

俺は、リリィやライラのように前向きに頑張ると決めたんだ。

俺は両の手で顔を叩いた。


「今日も『大決闘演武大会』か・・・。」

俺は、気を引き締める。

畑に水をやった後、キッチンで朝食を作り、ガルムと一緒に食べる。

その後に顔を洗って髪を整える。

防具と武器を装備し確認する。


「問題なし!」

と俺が言うとガルムが肩に飛び乗ってきた。

「ワフッ!」

俺は、ガルムの頭を優しく撫でる。

そして、王都に向かった。


―――――『冒険者ギルド』――――――


俺は、決闘場に向かう前に冒険者ギルドによった。

『近くだし・・・。』


受付の方を見ると、掲示板に人が群がっていた。

『今度はなんだ?』


俺が不思議に思っていると横から解説が始まる。

「『大決闘演武大会』の近況報告さ!」

横をみるとガランだった。


「お前、酒は抜けたのか?」

昨日、ガランは酒を飲んで爆睡していた。

ガランに巻き込まれたカイル、イリヤ、ゲイルもだ。


「おお。なんとかな!」

ガランは笑う。


「さっき言っていた近況報告というのは?」

俺は尋ねた。

『大決闘演武大会』の現在の進行状況なのだろうが・・・。


「多分お前が思っているのと少し違うぞ?」

心を読んだかのような発言に俺は驚くがすぐ冷静になる。


「どういうことだ?」

と聞くが、ガランはもったいぶって話さない。

そんなガランに少しイラっと来た。


「もったいぶるな。」

俺は、もったいぶるガランに「さっさと言え」と促す。


「焦んなよ。近況報告っていうのは、

大会の進行状況じゃなくて、賭け事のことさ。」

『賭け事?』


ガランから詳しい話を聞くと、『大決闘演武大会』では賭け事が行われているらしい。

『誰が優勝するか』それを賭けるのだという。

1位から優勝確率が高いらしい。

その状況が今、張り出されている。

『『大決闘演武大会』の賭け事 近況報告・・・・か・・・。紛らわしい。』


正直、気持ち悪かった。

俺の考えでは、上層連中が中心となって賭け事を行っている。

あとは、一攫千金狙いの博打好きだろう。


「俺たちの名前も恐らく載ってるぜ?」

俺とガランは確かめるべく、人を掻き分けていく。


「・・・・・・。」

俺は、近況報告をみて、呆然とした。


「すごいな・・・。」

ガランも見て驚いている。


近況報告一覧

1位 レイダス・オルドレイ

2位 サラル・ユーギニウス

3位 ヴィラル・アルスール

5位 アドラス・ネーガウス

6位 ユウキ・タリズマン

32位 ガラン・レーガン


『俺が・・・1位・・・?』

順位は32位まで表示されている。


「アドラスより上がいるんだな!」

『そこじゃねーよ!!』

俺は心の中でガランに突っ込む。


「なんで金額が表示されていない?賭け事なんだろ?」

俺は、ガランに質問した。


「ああ~。それはかけ金がデカすぎるから伏せてるんだ。」

俺は「なるほどな。」と頷いた。


『上層』も絡んでいるんだ。

掛け金は億を軽く超えているだろう。

『俺の鉱石を5億で買ったのも上層の人間だからな・・・。』


「戦っている身としては賭け事をやめてほしいが、これで実力が分かるな。」

ガランは首を傾げる。


「なんで分かるんだ?」

『自分で言っていただろう・・・。』


「1位から勝率が高いんだろ。」

ガランは「ああ!」と腕を組む。

『頭がいいのか悪いのか・・・。戦闘センスは高いみたいだが・・。』

俺は時々ガランが分からなくなるのだった。


「アドラスとパーティを組んでいるユウキという奴もいるな。」

『確か弓を持っていたな』

Sランク冒険者は上位職を有している可能性がある。

『FREE』とは違い、俺の知識にない職もあるかもしれない。

警戒をして損はないだろう。


俺は近況報告を見終わり、決闘場に向かう。


「あ・・・!おい!待てよレイダス!俺も行く!」

ガランが俺についてくる。

お互い『大決闘演武大会』の出場者だ。


『別にいいか・・・。』

俺は、歩く速度を落とし、ガランと並んで歩く。


―――――『観客席』――――――


俺は空いている観客席に座る。

『何故横にいる・・・。』


俺は視線をフィールドから横に移す。

俺の隣にはガランが座っていた。

『正直隣にいてほしくない・・・。』


そもそも、俺は、ガランと会場・・までのつもりでいた。

『観客席までついてきたか・・・・。』


観客の視線が俺たちに集まっている。

それもそのはず、近況報告のランキングに入っている2人だ。

ガランは32位だが、俺は1位だ。

正直視線が気になって観戦に集中できない。


「レイダスどうした?」

表情が表に出ていたのか、

ガランが心配そうな顔をする。


「なんでもない。気にするな。」

俺は、ガランから視線を逸らす。

『集中しろ俺・・・。機会を見てこの場を離れるんだ。』


俺は、再びフィールドを眺める。

『出てきたな。』

フィールドに4人の出場者が集まる。

俺は鑑定するまでもなく、勝利するのが誰か分かってしまった。


「右の白い男だ。」

ガランは俺の発言に男を見る。


金髪で、細目な優男だった。長い髪を青い紐でしばっている。

服は白く、防具は軽装だった。

武器は片手剣だ。

優男が片手剣を抜く。刀身を見る限り『レイピア』だ。

レイピアは斬撃による攻撃力が低いが代わりに―――しなる。

腕がいいと攻撃が変則的で読めない。


「あいつは、『サラル・ユーギニウス』だな。」

ガランはそう言った。

『2位の奴か・・・。』


サラルは監督役の開始合図の直前こっちを見た。

ニッコリと笑みを浮かべている。

『戦線布告のつもりか?』

笑みに混ざって、『殺気』が飛んできた。

ガランはそれに気づいていないようだが・・・。

サラルはこの世界で相当な実力者のようだ。


「開始!」

監督役の合図が出る。

サラルの相手は3人共、近距離職だ。

3人が同時にサラルに迫る。

『サラルを3人で倒そうという腹だろうが・・・。』


サラルは、左腕を後ろに回し、レイピアを持つ右腕を構える。

レイピアの切っ先を上にむけている。

両足を揃えて立つその姿は『聖騎士』を連想させる。


3人は同時に攻撃を仕掛けるが、サラルはレイピアで受け流す。

レイピアの受け流しの動きは見事の一言だろう。

まるで川のような滑らかな動きだった。


3人は攻撃を受け流されたことで背後を取られる。

そこからサラルのレイピアが火を噴く。

目にも止まらぬ連撃が3人を襲った。


レイピアはしなるだけが利点ではない。

『軽さ』もまたレイピアの利点である。


レイピアは攻撃力が低い。

その代わりに、それを補うだけの手数があるのだ。


勝負はあっという間についた。

傷だらけの3人は地に伏す。


「勝者!『サラル・ユーギニウス』!」

観客席から歓声が上がる。

サラルは笑みを浮かべたまま、再びこちらを見た。

『やっぱり宣戦布告か・・・。』


「私の剣はいかがでしたか?」といわんばかりの態度を俺は無視した。

サラルは本気で『最強の称号』を取りに来ている。

俺は、それに興味がない。

国王の玩具になっているような奴を相手にする理由が俺にはないのだ。


試合終了と同時に俺のアイテムが音を発する。


「次は、レイダスの番か!頑張れよ!」

ガランは大手を振って俺を見送った。

今回、観客席にガランがいるので、そのままガルムを預けていった。


『俺の相手は誰だ・・・。』

誰が来ても、俺は勝つ。

俺はフィールドに足を踏み入れた。


―――――『フィールド』――――――


「冒険者ギルドで会って以来ですね。あの時はアドラスが失礼しました。」


フィールドに入ると見たことのある人物がいた。


「『ユウキ・タリズマン』」

アドラスとパーティを組んでいるSランク冒険者。


「僕の名前を憶えてくださっているなんて光栄です。」

俺は、なぜかお辞儀された。

『近況報告1位だからか?』


「俺は、お前やアドラスに嫌われてると思っていたが?」

ユウキの態度に俺は疑問を抱く。

『冒険者ギルドで絡まれたのもある。』


「アドラスは嫌っているでしょう・・・。でも、僕は違います。

ギルドマスターは貴方の実力を認めた。

それだけの物を貴方が持っているからです。

僕はそれを確かめるために『大決闘演武大会』に出場したのだから!」


「つまり、俺の実力に納得がいってないから確かめたいと?」

ユウキは「はい!」と真剣な目で俺を見る。


『嘘・・・じゃなさそうだ・・・。』


俺とユウキ以外の2人がフィールドに入ってくる。


「これが『決闘』じゃなくて残念だ。」


「そうですね。」


これは、『デスマッチ』だ。

ゆっくり話し合うには入場してきた2人を潰すしかない。

俺は、作戦が決まった所で、剣を抜き、臨戦態勢をとる。


「それでは、改めてよろしくな。近況報告6位さん。」

俺は、ユウキを挑発する。


「お手柔らかにお願いしますね。近況報告1位さん。」

ユウキも俺を挑発するのだった。


「開始!」

監督役の合図がでる。


―――――――俺の3回戦目が始まった。―――――――

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