~おまけ~神様
※おまけ 本編に支障なし~
※ネタバレOKな方のみです!<(_ _)>
※更新予定の82部にてリメイクverを出す予定です!
私は言った。
「死とは、
―恐怖であり―
―絶望であり―
なにより抗うものだ。」と――――――
私は、1人暗闇を漂い続ける。
私は、生きとし生ける生命を見守る神だ。
死んだ者の記憶を消し、転生させる。
それが私の役割だ。
この目で全ての生命を見守ってきた私は1人の男を発見する。
男は知らない。
自分が実は何度も死んでいることを―――――
私は、前世以前の男も知っている。
この手で何度も転生させてきた。
私は、男の人生を見守り続けた。
不幸が男を襲った。襲い続けた。
すべての者に平等に与えられる幸せが男にだけ与えられなかった。
男に不幸が集中していた。
周りの者は楽しい人生を送っているのに
男だけがどん底に立たされている。
『男の元いた世界を管理する神アデウス』が
男に不幸を押し付けたのだ。
「一体何のために?」
男は、何度も自害する。
そして、何度も事故や災難に見舞われる。
男の魂にはいつの間にか『生への恐怖』が刻まれた。
――――死は救いだ――――
私は、男に言った。
『死が救いだと?』
「死とは、
―恐怖であり―
―絶望であり―
なにより抗うものだ。」
「私は愚かな行為だと思うぞ?」
全ての生命は生を終えるその瞬間まで
生に執着する。
「死にたくない――――」と。
それが《感情》であり、《本能》だ。
男にはそれが全くなかった。
私は、男を気に入った。
『私がお主を幸せにして見せよう!』
私は、死を救いだと崇める男の魂を転生させる。
『神アデウスの管轄外の世界だ。』
男は、旅立っていく。
新しい世界へ―――新しい体へ―――と
そこへ《神アデウス》がやってくる。
「私の家(空間)に不法侵入とはいい度胸だ・・・。」
私は、《神アデウス》に殺気を放つ。
「余計なことをしてくれたな・・・。」
『神アデウス』もまた殺気を放つ。
「余計な事だと?
生命には平等に幸せを与えねばならない。
それは、神の義務だ!」
《神アデウス》に私は言い放つ。
《神アデウス》は笑う。
「ふはははははは!!」
《神アデウス》の笑い方は狂気に満ちていた。
「な、何が可笑しい!?」
私は戸惑う。
「平等だと?神の義務だと?
これを笑わずして何とする?
お前は過ちを犯したのだ!《神エーテル》!」
「私は、過ちなど犯していない!
お主は1人の人間に不幸の全てを押し付けたのだ!
それこそ過ちであろう!」
『私は引かない。引いてなるものか!私の行いは間違っていない!!』
私は、奥歯を噛みしめ、拳を握る。
「お前は見ていただろう?
私の管理していた世界が崩壊する様を・・・。」
《神アデウス》は語る。
私は《神アデウス》が言うように世界の生命たちを見守っていた。
私が男を《神アデウス》の管理する世界から引き抜いたことで、
世界中の人間に不幸が蔓延した。
戦争が起こり、死んでいく生命たち―――
幸福な人生が奈落へと突き落とされる―――
「だからなんだ!
お主が男に不幸を押し付けた結果ではないか!」
そう、元々は《神アデウス》が男に全ての不幸を押し付けたのが発端だ。
『全ては平等であるべきだ。』
与えられなかった幸せを与えて何が悪い?
それこそ不平等だ。
「ああ。そうだな。
俺があいつに押し付けた結果だ。
撤回しようお前は過ちを犯していない。犯したのは俺だ・・・。」
《神アデウス》はあっさり自分の過ちを認めた。
私は、驚く。
「お主の目的は一体なんだ?」
私は、尋ねた。
私の直感が『神アデウス』は意図的に男に不幸を押し付けていたように思えたからだ。
他の人間に押し付けれる事も可能なはずだ。
『神アデウス』は素直に答えた。
「あの男は、いずれ全てを無に帰す存在だ。生命あるもの全てを消し去る存在だ。」
「戯言を・・・。」
戯言の何だというのだ。
『神アデウス』の言っていることは狂人の戯言だ。
1人の人間にそんな力があるはずがない。
「神の1人が消失したことをお前は知っているか?」
私は知っている。
私や『神アデウス』以外にも神はいる。
消失した神はすさまじい力を持っていた。
神たちが束になっても敵わないほどに・・・・。
「その消失した神と男がどうつながるというのだ?」
私は、尋ねる。
消失した神と男に接点がない。
神は神だ。生命たちが崇める限り神は存在し続ける。
魂は魂だ。生きとし生ける者たちの根本であり、輪廻の輪へと必ず帰る。
「いずれ分かる。お前はもう見ているはずだ。ふははははは・・・。」
《神アデウス》は意味深な台詞を残し、私の家から消え去る。
私は、間違っていない。
私は男を見守り続ける。
生を与えられた男の精神は不安定だった。
恐怖―――悲しみ―――絶望―――
しかし、男は徐々に変化する。
人生とは何なのか――――
感情とは――――
他人とは――――
男は学んでいった。
『―――――――人生を――――――』
男は、人生を謳歌する。
しかし――――
「――――死は救いだ――――」
男の根本は変わらない。
「どれだけの時が経とうとも・・私が必ず変えて見せる・・・。」
私は神として生命に平等の幸せを与える。それが私の役割だ。
『生命たちよ―――謳歌せよ!』
「私は《神エーテル》生命の選定者にして、守り神である!」
私の《想い》は届かない・・・。
けれど、それでもいい・・・。
これが私の―――神としての生き方だ―――――




