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人生をあきらめていた男  作者: 眞姫那ヒナ
~大決闘演武大会編~
42/218

『大決闘演武大会』開催前

男は、国王主催の『大決闘演武大会』に出場することに!

久しぶりに再会したガランも「俺も参加するぜ!」ということで、

『大決闘演武大会』にエントリーするのだった。

リリィからの連絡を受け、向かおうとするが――――――――――


俺は、冒険者ギルドに向かって歩いていた。

道中に貼り紙がされていて、人だかりができている。

『なんだろう・・・。』


気になった俺は、人だかりの一人に声をかける。

「何の騒ぎだ?」

声をかけられた男は俺を見る。


「国王主催の『大決闘演武大会』が始まんだよ!」

『『大決闘演武大会』?』俺は、首を傾げた。


「あんた知らないのか!?」

『俺は、転生者だからな。』


おそらく『大決闘演武大会』は、この国の一大イベントなんだろう。

俺は、『大決闘演武大会』がどんなイベントか尋ねた。


「仕方ねーな。教えてやるよ。

『大決闘演武大会』つうのは、この国で毎年行われる一大イベントさ!

他国から猛者が集う最強を決める大会さ!」


俺は、黙って話を聞いた。

「教えてくれてありがとう。」と礼を言って、俺はその場を去った。

『最強ね~~。』


俺は、『大決闘演武大会』に興味を持っていなかった。

俺はこの世界で既に『強者』だ。

別に出場してもいいのだが、戦闘を見られるということは、戦い方を知られるということだ。

情報を相手に与えるに等しい。


俺は、情報が洩れる事に不安を抱いたが、直ぐに消える。

『手の内を見せる前に終わるからな・・・。』


そして、『猛者が集う』という言葉が印象に残っていた。

「この世界の強さを知れるか・・・?」

俺は、まだこの世界の『強さ』を把握していない。

そう考えると若干興味が湧いた。


俺は、決断する。

「『大決闘演武大会』・・・。出場してみるか。」

とつぶやき、俺は冒険者ギルドに向かう。


――――――『冒険者ギルド 入り口』――――――


冒険者ギルドに行くと、ここでも人だかりができていた。


「なんだ?」

2人の冒険者を中心に人が集まっている。


俺が、遠目で様子を伺っていると後ろから声がかかる。

「こんな所で何してんだ?」

俺に声をかけたのは俺の知っている人物だった。

「ガラン。久しぶりだな。」


「おう!久しぶりだな!!」

ガランは相変わらずハイテンションだった。

しかし、いつもガランと一緒にいるフェノールの姿がない。


「フェノールはどうしたんだ?あと、あの人だかりはなんだ?」

と俺は、冒険者ギルドの入り口を指さす。


「フェノールは、依頼で別行動中だ!」

話を聞くと『自分の力を測りたい』という理由らしい。

きっと、相手を虫かゴミとして処理しているだろう。

フェノールという女はそういう女だ・・・。


「あと、あの人だかりは、Sランクの冒険者が帰ってきたらしいんだ。」


「Sランク冒険者?」


俺は、Sランクの冒険者に会ったことがない。

以前リーゼルが上位ランカーの冒険者は出払っていると言っていた。

それが、今帰ってきたのだという。


「なんでも2人で不死狼アンデットウルフを討伐したとか・・。すげーよなあ!」


不死狼アンデットウルフは不死だ。

弱点である首を斬り落とさない限り再生し続けるのだ。

『確か、不老狼アンデットウルフのlvはlv30のはず・・・。』

lv30の魔物を倒すだけの力を持っているようだ。


「それよりも、ギルド内に入りたいのだが・・・。」

俺は、『大決闘演武大会』の出場について冒険者ギルドに尋ねたかった。

この人だかりでは中に入れない。


「俺も中に入りたいんだよな~。大会のエントリーがしたいのに・・・。」

ガランは、しょげる。


「お前も『大決闘演武大会』に出場するのか?」

俺は、ガランが『大決闘演武大会』に出場することに少し驚く。


「おう!フェノールと同じさ!自分の力が通用するのか試したいんだ!」

ガランは、拳を握る。


「も(・)って言ったよな?レイダスもエントリーするのか?」

俺は、「ああ。」と頷いた。


すると、ガランは「よっしゃあああ!」と大喜びする。

『テンションが高い・・・。』


実技試験では、1対1の決闘だった。戦いの様子は見る事が出来ず、控室で待機状態。

ガランは戦ってみたかったのだ・・・俺と。

ガランの喜び方がそれを物語っている。

『フェノールと一緒にいるぐらいだしな・・・。』


「お前はエントリーの仕方を知ってるのか?」

と俺は、ガランに尋ねる。


大喜びしていたガランは一旦落ち着く。

「ん? ああ。決闘場の入り口に今だけ設置されている受付カウンターか

冒険者ギルドでなら、エントリーができるぜ!」

『決闘場はやっぱりそういう場所だったか・・・。』


ガランの発言から会場は決闘場だと判断する。

「そうか。」と俺は、返事をした。


「お! 人だかりが減ってくぜ!」

ガランが冒険者ギルドの入り口を指さした。

どうやら話をしている内に人だかりが引いたようだ。

Sランクの冒険者もいなくなっている。


俺とガランは冒険者ギルド内に入った。


―――――『冒険者ギルド』―――――


ギルド内は、いつも以上に冒険者で溢れかえっていた。

皆『大決闘演武大会』のエントリーに来ているのだろう。


「『大決闘演武大会』のエントリーをしに来た。」

と受付嬢に俺は言う。


「畏まりました。今一度お名前と冒険者証の提示をお願いいたします。」

俺とガランは名を名乗り、冒険者証を提示した。


「エントリーは完了しました。

『大決闘演武大会』は3日後に開催されます。

『大決闘演武大会』のルールにつきましてはこちらの資料をご覧ください。」

と受付嬢に資料を手渡された。


出場登録を終えた俺とガランは酒場の席に着く。

ガランが「飲もうぜ!」と言い出したからだ。


「実技試験が終わった後に言っただろ?酒を奢ってやるって!」


「そんなこともあったな。」

と俺は鼻で笑う。

酒の入ったジョッキがテーブルに置かれる。

俺とガランは酒を飲む。


数分後―――――


「おれは~! ぜって~ゆうしょーするぜ~!!」

『酒弱すぎないか?』

俺とガランはジョッキ2つ目に投入していた。

俺は、スキルで酔うことがない。酔ったとしても場酔いだ。


ガランはジョッキ一杯目を飲み終える時点で様子がおかしかった。


3杯目を飲み終えた頃――――


ガランはテーブルにもたれかかる。

『寝たな・・・。』

ガランは爆睡した。

俺は、眠ったガランを酒場のマスターに任せてその場を離れる。


実は、冒険者を引退したリリィから冒険者ギルドに連絡が届いていたのだ。

『解体場』の近くに店を建てたらしく、

『解体場』から素材を買い、装飾品を製作しているとか・・・。


『大決闘演武大会』が始まるまで3日間期間がある。

俺は、リリィの店に行ってみようと思ったのだ。


俺が、酒場の席を立ち、ギルドの入り口から出ようとした時、

2階から声が聞こえた。


「なにいいいいいいいい!?」


大きな声だった。

1階にいる全員が聞こえただろう。

声の主は、ギルドマスターの部屋から飛び出し、

階段を下りる。それに続いて、もう1人降りてくる。


『冒険者の入り口にいたSランク冒険者じゃないか?

ギルドマスターと話をしてたのか・・・。』

俺は2人を見る。


赤い鎧をまとった男は大剣を背にしている。

髪も赤い。


もう1人の男は、俺よりちょっと背が低い。

金髪で弓を持っている。

『弓に『聖』属性が付与されているな・・・。』


「アドラス!落ち着いてよ!」

と赤い鎧の男を鎮めようとしている。

『アドラスと言うのか・・・。』


「落ち着いていられるか!DランクからAランクだと!

ふざけやがって、俺たちでさえそんな事なかったのに!

ユウキ!お前は悔しくないのか!?」


「それは!・・・・・。」

ユウキはうつむく。悔しいに決まっている。


『もしかして、俺の事か?』

俺は、静かに冒険者ギルドをあとにしようとするが・・・。


「おい!そこのお前!」

アドラスに声をかけられる。


俺は、硬直した。

『やばい!やばい!やばい!やばい!』

冷や汗が止まらない。


アドラスが両腕で俺を強制的に振り向かせる。

「レイダス・オルドレイって男を知らねーか!!」

『俺です・・・。なんていえるかあああああ!!』

俺は、硬直したまま動けない。


「他の奴は、知らねーか!!」

とアドラスは大声で1階にいる冒険者に尋ねる。

皆指を指す。―――――俺に。


「・・・・・・・。」

「・・・・・・・。」

アドラスは無言で俺を見つめる。

そして――――――――――


「なにいいいいいい!?」

と俺から手を放し、後ずさり。

『ナイスリアクションだ!』


「お前があの、レイダス・オルドレイか・・・?」


『あの』という時点でギルドマスターになにか吹き込まれたのは明白だった。

『リーゼルの奴・・・なに言ったんだ?』

リーゼルは過大評価がうまい。俺の話を盛った可能性があった。


俺は「ああ。俺がレイダスだ。」と言った。


先程、アドラスは俺に怒っていた。

DランクからAランクに急に上がるなんて、本来はないのだろう。

しかし、俺は特例だ。

ギルドマスターの権限でAランクに昇格した。


「俺と決闘しろおおお!!」

とアドラスは、俺に大剣を突きつけた。


「アドラス!」ユウキが止めに入ろうとするが、それは無駄に終わる。

何故なら俺が即答でこういったからだ。


「断る。」


3日後に『大決闘演武大会』が控えている。

それに、俺はこのあとリリィの店に行くのだ。

そんな暇はない。


周囲はざわめく。

「あいつSランクの決闘断ったぞ。」

「『大決闘演武大会』を控えてるからだろ?」

「ビビってんじゃないのか?」


『勝手に言ってろ!』と心の中で思う俺。


周囲の言葉を聞いてか、アドラスは、大剣を収める。

「お前、『大決闘演武大会』に参加するのか?」

というアドラスの質問に俺は、「ああ。」と頷く。


「じゃあ。『大決闘演武大会』で勝負だ!俺とお前どっちがつえーか!」

アドラスは自信満々な表情を浮かべながら、俺に宣戦布告する。


「いいだろう。お互い決勝まで残ると良いな。」

俺は、そのまま冒険者ギルドを去った。

『あいつが予選で落ちれば済むだけの話だ。』


俺は、リリィの店に向かうのだった。


――――『冒険者ギルド 俺が去った後』――――


「アドラス!何してるんだよ!」

ユウキがアドラスに怒鳴っていた。


「Sランクの僕たちが負けるわけないだろ?レイダスはAランクなんだ!

どうして、彼にそこまで拘るのさ!?」


アドラスはDランクの俺がAランクに昇格したのが悔しかった。

アドラスに才能はない。

彼は『努力』でSランクに昇りつめた。

しかし、才能のある者にはかなわない。

だから、証明したかったのだ。

努力は無駄じゃなかったと―――――。

自分は強くなったのだと―――――。


アドラスは、ユウキに「すまない。」と謝る。

「熱くなりすぎた。」と―――――


アドラスは『大決闘演武大会』に参加する。

誰にも負けない自信はある。それは、彼が努力したからだ。

しかし、強くなったからこそ分かる。


「レイダス・オルドレイは強い。」

ギルドマスターが彼に言った。

『レイダスは俺たちにない強さを持っている。』と・・・。


「見定めてやるんだ!」

アドラスは拳を力強く握りしめた。


「あいつにあって俺にない何かを!!」

険しい顔をするアドラスをユウキは見つめる。


Sランクの冒険者がAランクの冒険者に宣戦布告したという噂は瞬く間に広がる。

アドラスと俺の決闘は『大決闘演武大会』で早い段階で行われることになるのだった。


――――『リリィの店 ―ワルプール―』―――――


俺は、リリィの店を訪れた。

「いらっしゃいませ!」

店員が出迎える。


そこへリリィが駆け寄ってきた。

「久しぶり! どう私の店!素敵でしょ!」

店内の壁には、加工された鉱石が埋め込まれ、綺麗な輝きを放っている。

置かれている装飾品も他の店に比べると質が高い。効果が付与されているものもある。


1周見て回った俺は評価する。

「良い店だ。」

俺の評価に後ろをついてきていたリリィが嬉しそうに笑う。


「貴方に評価されて嬉しいわ!」

店を立ち上げてから、大変だったという。

店を立ち上げたもののリリィは元冒険者で、商売は素人だ。

資金繰りに苦労したという。


「素材は、解体場から流れてきているのか?」

と聞くと「そうよ!」と返事が返ってきた。


「普通じゃ入手できない素材も解体場から買えるからな。いい判断だ。

役立ちそうなアイテムを入手したら、直接もって来よう。」

と俺は言う。


「いいわよ!?そんな貴方に迷惑かけたくないし・・。」

リリィは戸惑う。


「なに。リリィに役立って、俺にとって不要なアイテムなら一石二鳥だろ?」

俺は、リリィを説得した。


「それなら・・・うん!わかった!ありがとう。」

俺は、リリィと握手して、店を去る。


―――『リリィの店 ―ワルプール― 俺が去った後』―――


俺とリリィのやり取りを遠目で見ていた店員の表情がとろんとしていた。

「かっこいい方ですね。」

その言葉にリリィが「な!?」と振り返る。


「だ、ダメよ!!レイダスはダメったらダメ!」

リリィの顔は真っ赤になる。


店員はリリィの態度に笑う。

「フフフ。」


リリィが店員に尋ねる。

「なに笑ってるのよ・・・。」


「いえ、何でもありません。

ただ・・・。もたもたしてると誰かに取られちゃいますよ?」

と店員はほほ笑む。


リリィの顔はさらに真っ赤になった

そして店員に怒鳴る。

「馬鹿あああああああ!!

そんなんじゃないんだからああああ!!」

と店員をぽかぽかと叩くリリィ。


リリィにほほ笑み続ける店員であった。

ガラン「むにゃむにゃ~・・・・。もう・・のめねー・・zz」

酒場のマスター「毛布かけといて。」

酒場の店員「はい。」

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