~おまけ~Sランク冒険者
アドラスとユウキは不死狼討伐の依頼を受け、『トーリカの森』にいた。
国の兵を30人派遣しても討伐できない魔物に2人で立ち向かっていく。
彼らはSランクの冒険者。
圧倒的な強さを見せつけるのだった。
『冒険者』未知なる土地を探し求める探求者。国の問題を解決する便利屋稼業である。
――――『トーリカの森』――――
手負いの魔物が森を駆ける。
必死に駆ける。
血がどれだけ吹き出ようと、どれだけ失おうと駆け続ける。
「そっち行ったよ!」
魔物の後ろから男の声がする。
魔物は振り返らない。駆ける。
足が動く限り、心の臓が動く限り駆ける。
魔物の前に影が降り立つ。
魔物は生きる為に爪を振るう。
爪は容易に斬り落とされる。
「よう! てめーの命頂くぜ!」
魔物は大剣で両断される。
魔物は倒れるが再生を始めた。『死にたくない・・・。』
しかし、魔物の目の前に大剣を振りかざした男の姿がある。
魔物は、首を斬り落とされ、死に絶えた。
「ふうう~。疲れたぜ。」
大剣を振るっていた男は、汗を拭う。
「お疲れ様~。」
とそこへ弓を持った男が寄って行く。
2人は冒険者だ。
Sランク冒険者『アドラス・ネーガウス』
Sランク冒険者『ユウキ・タリズマン』
彼らは、冒険者ギルドの依頼で王都『グラントニア』から北にある
『トーリカの森』まで足を運んでいた。
相手にしていた魔物は『不死狼』。
弱点の首を斬り落とさない限り、倒せない魔物である。
「足止めできなくてごめん・・・。」
とユウキはアドラスに謝る。
「おいおい。謝んなって!こうして不死狼を倒せたんだから、
結果オーライだ!」
とアドラスは笑みを浮かべながら、ユウキの肩を軽く叩く。
ユウキは触れた肩を手でおさえ、微笑む。
ユウキはアドラスに元気づけられた。
2人の依頼内容は、不死狼3体の討伐である。
『トーリカの森』の近くには、小さな村『トトス』がある。
不死狼が出現してから、
村は不死狼に怯えて暮らしているという。
既に村の死者は15人にのぼる。
早急に片づけなければならない案件だ。
国から兵を30人派遣されたらしいが、全員死亡。
Sランクの2人が依頼を受けて今に至るのだ。
Sランカーは強い。
国の兵士が束になっても倒せない魔物を2人で仕留めたのだから。
「残り1匹だ! 探すぞ!」
アドラスたちは、不死狼の捜索を始める。
不死狼は暗闇から敵の様子を伺い、隙をついてくる。
もう1匹も闇に紛れ潜んでいるはずだ。
アドラスたちは、『トーリカの森』内にある小さな川を発見する。
「お!丁度いい。喉が渇いてたんだ。」
アドラスは川に近づき、かがむ。
「アドラス!待って!!」
とユウキは叫ぶ。
不死狼は、様子を伺っている。
川の水を飲もうとしているアドラスを見て、好機だと判断し、飛び出してきたのだ。
ユウキは弓矢を構えスキルを発動させる。
『太陽の弓兵専用スキル:必中一殺』
このスキルは『弓兵』職専用スキルである。
効果は、『放った矢の攻撃力と命中率を増加させる。』
不死狼に矢は見事命中する。
不死狼は苦しんでいた。
理由は、ユウキの武器に『聖』属性が付与されていたからだ。
『聖』属性は『闇』属性に有効とされている。
「お!ナイス!ユウキ!」
ユウキが矢を不死狼に命中させることが分かっていたかのように
アドラスは大剣を構えて、跳躍した。
アドラスはワザと隙を作り、不死狼をおびき出したのだ。
「うおらああああ!!」
アドラスの大剣は不死狼の首を斬り落とす。
アドラスは、かっこよく着地しようとしたが・・・失敗。
「ぬおあ!・・お!・・ぬぎゃ!!」
そのまま転がって行ったのだった。
ユウキは不死狼が再生しない事を確認し、
アドラスに駆け寄る。
「アドラス!大丈夫!?」
アドラスは、目をまわしていたが返事をする。
「お~・・。だいじょ~・・・ぶだ~。」
ユウキはアドラスの手を引っ張って立たせる。
「いてて! これで依頼完了だな!」
と笑みを浮かべるアドラスに
ユウキは「そうだね!」と笑みを浮かべて返事をするのだった。
「これで、王都に戻れるぞ~!」
と腕をぶんぶん振り回しながら、歩いて行くアドラス。
ユウキはそれについて行く。
「王都につく頃には、『例のあれ』が始まるからな!」
アドラスは笑う。
「例のあれ?」とユウキは首を傾げる。
「何の事アドラス」
と尋ねるユウキに
アドラスは鼻を鳴らす。
「ふふん! いいだろう!例のあれとは 国王主催の『大決闘演武大会』のことさ!」
アドラスの言う『大決闘演武大会』とは、
年に一度開催される。決闘イベントの事である。
優勝者には、最強の称号と大金が与えられるという。
「俺は、今度こそ優勝してやるのさ!」
と意気込むアドラスに「頑張れ!」と応援するユウキだった。―――――




