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人生をあきらめていた男  作者: 眞姫那ヒナ
~初依頼編~
32/218

男は、うつになる。

解体場で、素材の換金取引を行った後、

『メイサの森』で薬草採取、

そして、ドレッド・ベアからリリィを救出した男。

冒険者ギルドに戻るとクレアが、酒場の席で待っていた。

男は、クレアと会話をするが、『話にならない!』と怒りのあまり、酒場の備品を壊してしまう。

男はうつになった・・・。『冒険者ギルド行きたくない・・・。』

『冒険者ギルド』

俺は、初依頼を終えた。

依頼の道中色々あったが、無事達成!


「冒険者証をお返ししますね。」

俺は、受付嬢から冒険者証を受け取る。

一緒にいたリリィは報酬を受け取り、先にどこかへ行ってしまった。

『引退だから、冒険者証返すだけだし・・・。』


今日は、もう日が暮れている。

『夢見の森』のログハウスに戻りたかったが、仕方ない。

と俺は判断し、宿屋で泊まる事にする。


『宿屋―青薔薇あおばら―に行くか・・・。』

俺は、冒険者ギルドから出ようと受付嬢に背を向けた。


「待ってください!」

『またか!!!』

俺は、受付嬢に呼び止められた。

俺はも受付嬢に呼び止められて、『弁当を届けるように頼まれた。』

『今度は何を頼まれるのだろう・・・。』

と俺は振り返る。


「なんだ。」

俺は、受付嬢に要件を聞く。


「えっと・・・。貴方とお話をしたいと言っている方がいるんです。」

と受付嬢は、酒場の席に座る1人の女性を指す。

俺は、受付嬢が指す先を見る。

ライラの姉にして、冒険者ギルド受付嬢の一人―――――――

『クレア・シュバーン・へレンツ』

が座っていた。

受付嬢の恰好でないものの見間違えるはずがなかった。


『表情筋、固まってるんだろ・・・あいつ・・・。』

クレアは、いつも通り無表情を貫いている。

ジーッとこっちを見ているが、俺は動かない。

『俺、あいつと話したくないんだよな・・・。』


理由は、冒険者ギルドの実技試験だ。

俺の相手はライラだった。クレアの妹にして黒い番犬の実力者。

俺は、クレアに『手を抜いてほしい。』と言われたが、断った。


『恨んでいるに違いない・・・。』

俺は、冷や汗が止まらない。

そんな俺に、受付カウンターにいた受付嬢が耳元でつぶやく。


「仕事が終わってからもずーっとあそこで待ってたんです。話ぐらい聞いて頂けませんか?」


俺は、受付嬢の言葉にため息をつく。

『なんで俺なんだよ・・・・。』

俺は恐怖を抱きながら、クレアの元に近づいて行く。

そして、席に座る。


「・・・・・・・・・・・。」

「・・・・・・・・・・・。」

互いに何も話さない。静寂がおりる。


『き、気まずいいいいい! 空気が重いいいいいい! ここは一旦冷静になるんだあああ!』

俺は、1つ息を吐く。


「俺に何の用だ・・・。」

『言ったああああ! 言っちまったあああああ! ぬおおおおお!』

俺は1人心の中で、転げまわっている。


「・・・・・弁当・・・・ありがとうございました。」

『へ?・・・弁当?』

もしかして、『解体場』にいたという受付嬢は、クレアだったのか!

俺は、確認の為聞いてみた。


「・・・解体場にいた受付嬢はお前か?」

クレアは、「はい。」と肯定した。


「お礼を言う為だけに俺を待っていたのか?」

俺は、クレアに尋ねるが、クレアは黙っている。


「・・・・・・・・・・・・・・。」

『なんかいえよ・・・・・。』

俺は、席を立とうとする。弁当の礼だけなら、もう用はないはずだ。


「実技試験・・・・・気にされていますか?」

俺の動きは、ピタリと止まる。俺は、席に座り直し尋ねる。


「俺が、お前の願いを断った件か? それとも、ライラに重傷を負わせた件か?」

クレアは、無表情のまま黙る。

俺の中でイライラが募っていく。

ガルムは、離れた場所に退避する。

俺は、酒場のテーブルに握りこぶしをしく打ち付けた。

『手加減できないって大変だよ・・・。』


ドン!とすさまじい音と衝撃が響き渡る。

冒険者ギルド内にいた者の動きが一瞬止まった。

1階にいた者の視線は勿論俺に集まる。


テーブルは縦に割れ、破片が飛ぶ。

床は衝撃で穴が開いている。

クレアはそれでも表情を崩さない。


俺は、椅子から立ち上がって、クレアにイライラをぶつける。

「言いたいことがあるなら言え!!」

『俺に用事があるんだろう?なんで言わない!!』


クレアも椅子から立ち上がる。

クレアは、背筋をまっすぐ伸ばし、深々と頭を下げる。

「申し訳ありませんでした・・・・。」


「あ゛あ゛?」

急に頭を下げだすクレアに、俺は動揺した。

クレアがしたいことが理解できない俺は、怒りの矛先を失う。

俺は、椅子に再び座り、怒りを鎮めた。

クレアは、立ったまま俺を見つめる。


「俺に対して謝っているのか?それは?」

俺は、クレアに尋ねる。

クレアは、「はい。」と肯定する。


しかし、クレアは、再び沈黙する。

俺は怒りが限界だった。俺は、椅子を立ち上がって、酒場のマスターに聞こえるように言う。


「マスター。すまない。勢い余って備品を壊してしまった。弁償はする。修繕ののち、俺に請求してくれ。」


酒場のマスターは驚きながらも

「わ、分かりました。」と返事をした。


一方クレアは、俺を見つめたまま動かないし、発さない。

俺は、そんなクレアを無視し、冒険者ギルドをあとにした。


―――――――――『宿屋―青薔薇―』―――――――――


俺は宿屋にやってきた。

テンションはクレアのせいでダダ下がりだ。


受付のファルが俺に近づいてくる。

「いらっしゃいませ。 どうされたのですか? 体調が悪そうですが・・・?」

俺は、表情に出さないよう頑張っていたが、無理だったようだ。


「ああ。ちょっとな。」『精神がな・・・。』

と俺は誤魔化して、ある物をファルに手渡す。


「これは?」

とファルは手渡された袋に首を傾げる。

俺は、「開けてみろ」と言う。


ファルは、袋の中身を見て喜ぶ。

「これは!『マッシュドカリー』!?『メイサの森』の奥地でしか取れない。貴重なキノコじゃないですか!」


俺は、依頼で『メイサの森』に薬草を取りに行っていた。

余分に採取する為、森の奥まで行っていたかいがあり、丁度、群生地帯を発見したのだ。


「森の奥まで行っていたからな。ついでに採取してきたんだ。ファルは、色々育ててるって言っていたし、食用アイテムだから料理にも使えるだろ?」


ファルは嬉しさの余り飛び跳ねる。

そして、俺に頭を下げる。「ありがとうございます!」


「それぐらいで大げさだな。 また良さそうな物を見つけたら持ってくる。

今日もここに泊まりたいんだが、空いてるか?」


「空いてますよ!」

とファルは、素早い動きで受付カウンターに戻る。

そして、受付を済ませるのだった。


俺は、ガルムと2階の個室に入る。そして、そのままベットにダイブした。

俺は、寝転がりながら、1日を振り返る。


解体場に行き、素材の換金取引をした。あと、弁当を持って行った。

南門で、ライラの治療。

ガルムのlv上げ。

『メイサの森』で薬草採取ついでに『マッシュドカリー』も採取。

ドレッド・ベアを討伐。


『冒険者ギルドに戻ってクレアに会うまで・・・順調だったのに・・・。』

クレアは俺に用事があって待っていたと他の受付嬢から聞いた。

なのに、クレアは、要件を言わなかった。


俺は、クレアについて1つハッキリした。

俺は、アイツ(クレア)が苦手だ・・・。そして――――――『嫌いだ!』


1日の振り返りはこれぐらいだなと俺は、上体を起こす。

それよりも重要な問題があるのだ。

『冒険者の視線がああああ~!』

俺は、手加減していたが、酒場の備品を壊した挙句、床に大穴まで開けてしまった。

『結構深そうな穴だったな・・・。』


俺は、ベットの上を転げまわる。

途中ガルムとぶつかりそうになった。


『明日も冒険者ギルドに行って、依頼を受けないとランクを上げられないんだ・・・。』

俺は、いやいやでも行く以外の選択肢がないのだ。

『クレアもいるんだよな・・・。』

クレアがいると思っただけで怒りがこみ上げてくる。


「今日はもう寝よう!」

俺は、考える事を放棄した。

前世は、悩みすぎて気づけば『朝でした。』というのがざらにあった。

俺は、自分が『少し楽観的になったな。』と思う。


そして、俺は寝た――――――――――――――


「ふぁああ~・・・。」

俺は、防具を身につけたまま寝てしまっていたことに気付く。


「あ! ベットも汚れてるな・・・。」

俺は、身につけていた装備を全て外し、一か所に集める。


『魔法/第2番:リワインド』

ベットから装備まで全部綺麗になった。ガルムも巻き添えに・・・。


ガルムは空中でくるくると回転する。

「アウアウワフワフウウウ~」

そして、着地。

俺は、ガルムに謝る。

「ごめんな!」

ガルムの毛並みは、魔法によって、汚れ一つないふわふわな毛並みになっていた。

『まあ・・・綺麗になったし、良かったのかな?』

と内心思う俺である。


俺は、服や防具を装備し、準備を終えて、1階ロビーに行く。

そこには、ファルもいた。


「おはようございます。 今日もお早いですね。」

ファルは俺に挨拶する。俺も挨拶する。

「おはよう。・・・どうしたんだ?」


ファルは挨拶してから元気がなかった。

理由を聞くと、まだ朝食ができていないらしい。


「料理長が寝坊しちゃいまして、現在料理中なんです。大変申し訳ありません。」

とファルは頭を下げる。


俺はファルに言う。

「寝坊したのなら仕方がない。今度泊まりに来るとき、デザートを付けてくれ。それで手を打とう。」

ファルは、俺に感謝して、見送ってくれた。


―――――――『冒険者ギルド』――――――――


俺は、冒険者ギルドの扉を開ける。

すると視線が俺に一斉に集まる。

『ぐぅっ!・・・・これは・・・・・・』

思っていた以上にきつかった。

『やはり、昨日のはまずかったか・・・。』


あちらこちらから声が聞こえる。

「あいつだぜ。酒場に大穴開けた新人て・・・。」

「まじかよ!? あんな大穴どうやったら開くんだよ?」


俺があけた大穴は、まだ残っていた。


俺は、依頼を受けてさっさと出よう!と心に決める。

俺は受付カウンターに行く。

「依頼を受けた・・・・い!!」

受付カウンターの受付嬢を見て俺は、驚きと困惑に襲われる。

受付嬢クレア!?・・・・・・・・新手の嫌がらせか!?』


俺は受付カウンターから少し距離をとる。

『あいつが今日受付カウンター担当なんて想定外だ!』

そう思っていると、クレアは無表情に俺に尋ねてきた。

「依頼はどれをお受けになられますか?」


俺は、依頼書をカウンターに並べられる前に、クレアからまとめて取り上げる。


『薬草採取』

『マッシュドカリーの採取』

『マッシュドカリーの採取』


の3つを請け負うことにした。

『マッシュドカリー』の採取依頼は2つあるが、『依頼主』が異なる。

同じ採取素材ならまとめて取ってくれば済むのだ。

俺は、それ以外の依頼書をクレアに返し、冒険者ギルドから出ていく。


――――――――『冒険者ギルド』俺が去った後―――――――――


「・・・・・・・・・・。」

クレアは、無言だった。

俺が去った後、冒険者ギルドの2階から1人の男が降りてくる。


「なんだあ? 騒がしい・・・。」


俺の噂をしていた冒険者たちが、ざわつく。

「ギルドマスターだ!!」


ギルドマスターと呼ばれる男は、受付カウンターのクレアに尋ねる。

「おい!クレア! 説明してくれ。」


クレアはギルドマスターに言う。

「レイダス・オルドレイ・・・。新人冒険者が来ておりました。」


ギルドマスターは笑みを浮かべる。

「ほほう! 噂の新人か!! 黒い番犬ライラを倒し、ドレッド・ベアから冒険者を救出!

酒場に大穴を開けた奴か! それならそうと何故俺を呼ばん・・・。会うのを楽しみにしておったのに・・・。」

ギルドマスターは項垂れる。


「申し訳ありません。 呼び止める前に、依頼を受けていかれました。」

俺は、クレアと居たくなかった。だから、直ぐに冒険者ギルドから出ていった。

クレアの呼び止める暇がないくらいに―――――――――――


ギルドマスターは「そうかい。」と言って2階へ戻っていく。

「そいつが来たら今度こそ呼べよ!」と付け加えて―――――――――

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